Webアプリ開発で使われるプログラミング言語一覧
プログラミング言語とはコンピュータに命令するための言語ですが、様々な種類の言語を駆使してアプリやWebサイトを制作します。その数は数百種類以上あり、使用頻度の高いプログラミング言語は数十種類程度に絞られます。
ここではまず、Webアプリ開発で使われている言語について紹介します。Webアプリ開発に携わりたい方は、これらの言語を学ぶことをおすすめします。それぞれの言語のメリットや特徴について、詳しくみていきましょう。
PHP
PHPは代表的なWebアプリ開発用言語です。PHPで作られたECサイトやSNSは多くあり、代表的なサービスにはFacebook・Wikipedia・ぐるなびなどがあります。PHPのメリットは学習コストが少なく、未経験者でも挫折しにくいことです。
また、コードの記述量も少ないためエンジニアの負担を減らすことができたり、短い納期でも開発を間に合わせやすくなったりするなど、使いやすい言語の1つです。
Ruby
RubyもPHPと並ぶWebアプリ向きの言語であり、学習コストが少なく習得しやすい言語です。Rubyには「Ruby on Rails」という優れたフレームワークがあり、これを活用することでWebアプリを素早く開発することができます。
他の言語はフレームワークが何種類もあることが多く、エンジニアは複数のフレームワークを勉強する必要がありますが、RubyはほぼRuby on Rails一択のため、その分勉強時間を減らせます。
Python
PythonもWebアプリを開発することが可能です。Pythonはコード記述の制約が多く、誰が書いても同じようなコードになりやすいのが特徴であるため、他人のコードが読みやすく、チーム開発の効率化に繋がるでしょう。
また、Pythonは処理速度的にも優れているため、Webアプリ開発だけでなく、機械学習にも多く使われています。Webアプリだけでなく機械学習も学びたいという方は、Pythonがおすすめです。
JavaScript
JavaScriptは、Webアプリ開発におけるフロントエンドの動作を書ける言語です。PHPやRubyなどは、バックエンド側の処理を書くのに使います。JavaScriptは、例えばサイトにアラートを表示したり、ユーザーの動作によって表示を変更したりすることが可能です。
フロントエンド分野では、Microsoftが開発したTypeScriptが台頭してきたことにより、JavaScript一強の時代ではなくなってきました。
ただ、TypeScriptはJavaScriptとの高い互換性があること、まだまだJavaScriptを扱う企業も多いことから、フロントエンド分野で仕事をしていきたい方は、まずはJavaScriptを学習することをおすすめします。
SQL
SQLは、データベースを操作するための言語であり読み方は「エスキューエル」や「エスキューエルシークェル」です。データベースとは、データを更新したり追加したりしやすくまとめられたデータ群のことです。SQLはプログラミング言語ではなくデータベース言語という括りですが、システム開発をする上では欠かせない存在です。
Webアプリ開発ではほとんどの場合データベースが使われるため、SQLの習得は必須と言って良いでしょう。SQLはプログラミング言語と文法が全く異なるため、個別に学習する必要があります。
HTML・CSS
HTMLやCSSは、Webサイトを作成するために必要です。どちらも厳密にはプログラミング言語ではないのですが、Webアプリ開発には欠かせません。HTMLとCSSを使うことで、静的なサイトを作ることが可能です。
静的なサイトとは、ページの表示内容が毎回変わらないサイトのことです。PHPなどによって作られる動きのあるサイトは、動的なサイトと言われています。Webアプリを開発する場合、プログラミング言語だけでなく、HTML・CSSも必ず習得しなければなりません。
C言語系の言語一覧
続いて、C言語系のプログラミング言語を紹介します。C言語はプログラミング言語の中でも有名なものであり、大学の情報工学部で1番最初に学習するケースも多いです。
また、C言語を元に作られた言語は多くあり、それらの言語も開発現場で多く活躍しています。ここでは、そんなC言語系の言語について詳しくみていきましょう。
C
C言語は主に冷蔵庫やテレビに内蔵されたコンピュータを作るのに使われており、コンパイラ言語の分類に入ります。コンパイラ言語とは、ソースコードをコンパイラによって一括で機械語に翻訳する言語のことです。
一括で翻訳する分、PHPやRubyなどよりも処理が高速です。その反面、C言語は学習コストが高いのがデメリットとして挙げられます。特にポインタという概念が難しく、未経験者がCから勉強すると挫折してしまうケースも多いです。
C++
C++は、C言語にオブジェクト指向の概念を取り入れて開発された言語であり、読み方は「シープラスプラス」です。オブジェクト指向で記述できるため、大規模な開発でも使いやすくなっており、Webアプリ・デスクトップアプリ・ゲームなど、幅広い分野で活用されています。
言語としての難易度は高めですが、C++ではライブラリが多数あるため、Cに比べると容易である場合もあります。
C#
C#は、C言語を元にMicrosoftが開発した言語であり、読み方は「シーシャープ」です。C#は、.Net Frameworkというプラットフォームで動作させるために開発されました。C++同様、オブジェクト指向が取り入れられています。
また、C#の文法はJavaに似ているため、Javaを習得済みの方はC#も習得しやすいでしょう。C#はGUIアプリやWebアプリ開発で多く使われています。C言語に多くの改良が加えられており、かなり習得難易度が下がりました。
スマホアプリ開発で使われる言語一覧
続いて、スマホアプリ開発に使われる言語を解説します。スマホには大きく分けてAndroidとiOSがあります。これら2つの開発できる言語をそれぞれまとめました。
Java
Javaは、Androidアプリ開発で使える言語です。Javaはオブジェクト指向型言語であり、大規模開発に向いていると言えます。また、シェアを多く獲得しており、Androidアプリだけでなく、Webアプリやデスクトップアプリなど様々な分野で活躍しています。
また、JavaはJVM上で動かせるので、様々な開発環境で動かせるのも特徴です。Javaの難易度はやや高めといったところでしょう。C言語などに比べると易しいですが、PHPやRubyよりも難しいです。
Kotlin
近年Androidアプリ分野で注目されているのが、Kotlinです。KotlinはJavaよりも文法が平易な上に、バグが出にくい仕様です。
また、GoogleはAndroidアプリ開発においてKotlinを正式言語として採用したため、Kotlin採用企業はGoogleのサポートを受けることが可能です。案件数でみるとJavaの方が優勢ですが、Androidアプリ分野ではKotlinのシェアもどんどん拡大しています。
これからAndroidアプリを開発する場合では、JavaではなくKotlinを採用することが今後も増える可能性があり、近い将来Javaよりもシェアを上回る可能性も否定できません。
Objective-C
Objective-Cも、iOSアプリ開発で使われる言語です。最近はSwiftにシェアを奪われてきています。Objective-Cは難易度も高く、初心者の方が今から学ぶのはあまりおすすめできません。
Swift
Swiftは、Objective-Cに改良を加えて誕生した言語です。Objective-Cよりも学習コストが低い上に、コードの記述量も減っています。現状iOSアプリ分野では、Swiftの方が人気なため、これからiOSアプリ分野に参入するならSwiftから学ぶのがおすすめです。
近年注目されている言語一覧
ここでは、近年注目されている言語を紹介します。これらの言語はまだ主流ではありませんが、今後シェアが伸びる可能性もあります。
エンジニアは現在の需要だけでなく、将来性も踏まえた上でスキルの習得をしましょう。近年注目されている言語について、1つ1つ詳しく解説します。
Scala
Scalaは、オブジェクト指向と関数型の両方を扱える言語であり、読み方は「スカラ」です。2つの書き方ができるため、開発するアプリの種類によって使い分けられる点がメリットです。
また、Java同様JVM上で動作するため様々な開発で使え、JavaのライブラリのほとんどがScalaでも利用可能です。
Scalaはオブジェクト指向と関数型の両方を勉強しないといけないため、非常に難易度が高いと言えますが、汎用性は高く、今後シェアを伸ばす可能性はあるでしょう。
Go
Go言語はGoogleが開発した言語のことで、処理速度が速いことが特徴です。加えて、文法も平易で分かりやすく、学習コストも低いと言われています。
GoはGoogleの社内でも使われている他、メルカリなどでも活用しています。Googleを始め多くの大手企業が活用しているため、今後流行る可能性が高いです。
R
R言語は、統計解析に特化したプログラミング言語です。他の分野で使うことはできませんが、その分統計解析をするのに便利な機能が揃っています。
例えば、R言語では複雑なグラフを描くことが可能です。データ分析や機械学習は注目されている技術分野なため、R言語も将来性が高いと言えます。
難易度別のプログラミング言語ランキング
ここでは、プログラミング言語を難易度別にランキング形式で3位まで振り分けました。初心者の方は難易度の低いものから学習するようにし、徐々に難易度を上げてスキル習得をしましょう。
3位:JavaScript、PHP
プログラミングにおける最も難易度の低い言語は、JavaScript・PHPが挙げられます。この2つは初心者でも比較的容易に学習・習得しやすい言語で、入門編と言える言語たちです。JavaScriptはWebのフロントエンドで活躍し、PHPはバックエンドで活躍します。
JavaScriptとPHPは共にインタプリタ型言語と呼ばれ、記述したコードを機械語に解釈しながら実行する方式です。人とコンピュータとの通訳の役割をし、プログラムのデバッグを行いやすかったり、柔軟性があったりします。
コンパイラ型と比べると実行速度は遅いですが、Webアプリ開発のフロントエンド・サーバーエンドで広く活用されています。
2位:Python、Go、Ruby、Swift
JavaScript・PHPの1つ上の難易度として、Python・Go・Ruby・Swiftが挙げられます。これらも比較的難易度は低いとされている言語で、初心者におすすめの言語たちです。
Python・Ruby・Swiftにおいてはそれぞれの資格試験があるため、スキルアップのためにも積極的に資格取得にチャレンジしましょう。資格試験の詳細は下記の各公式サイトよりご確認ください。
【参考】:Python試験(Python資格) 【参考】:Ruby技術者認定試験 【参考】:App Development with Swift
1位:C、C++
プログラミング言語において、難易度が高いとされるのがC・C++です。データサイエンスや統計学などの知識も必要なため、初心者にとって習得が難しいとされています。
また、他の言語だと容易に処理できることも、自分自身で処理しなければならない場面もあり、そういった部分も難しいとされる理由の1つです。
しかし、その分C・C++を扱えるエンジニアは将来性が高く、キャリアアップも望みやすいため、ある程度プログラミングの理解や知識が得られたら学習しましょう。
プログラミング言語の選び方
前述の通り、プログラミング言語には様々な種類があり、開発するものによって選択する言語が異なります。これからプログラマーやシステムエンジニアなどを目指す場合、まずはどういった言語から習得していけば良いのでしょうか。
ここでは、プログラミング言語を選ぶ際のポイントをご紹介します。
作りたいもので選ぶ
プログラミング言語を選ぶ前に、まずは自分がどういったものを作りたいのかを明確にさせる必要があります。興味がある分野や作りたいものがある場合は、それに関わるプログラミング言語を選択しましょう。興味や目標があった方が学習へのモチベーションが高く保てるため、プログラミング言語の習得が早くなります。
分野としては、以下のようなものがあります。
・Webアプリ/Webサービス ・スマートフォン向けアプリ ・デスクトップ向けアプリ ・AI/機械学習 ・IoT(組み込み系) ・ゲーム
さらに、Webであればフロントエンドとバックエンド、スマートフォンアプリであればiOSとAndroidなどで使用される言語が異なるので、目的に合わせたプログラミング言語を選択しましょう。
難易度やトレンドで選ぶ
習得難易度が低いものから選択する方法もおすすめです。PHPなど比較的習得しやすい言語から学んでいき、徐々に難易度を上げて扱える言語を増やしていく方法です。
また、近年注目されている言語から始めてみるのも良いでしょう。特にトレンドの言語は様々なIT企業で活用される可能性が高く、それを使いこなすことで自身の市場価値を高められるかもしれません。
トレンドのプログラミング言語については、検索数の多さから見ていきましょう。ここでは、TIOBE Software社が発表している、Googleなどの検索エンジンを対象に、プログラミング言語を使用する開発者数・コース数・サードパーティベンダー数などの調査を元に作成したランキング「TIOBE Index」を紹介します。それによると、2023年4月版のトップ10は以下の結果になりました。
1位 Python 2位 C 3位 Java 4位 C++ 5位 C# 6位 Visual Basic 7位 JavaScript 8位 SQL 9位 PHP 10位 Go
このような指標やこの記事で紹介したプログラミング言語の難易度などと合わせて、学習するプログラミング言語を選びましょう。
【参考】:TIOBE Index for April 2023
プログラミング言語の学習方法
ここでは、プログラミング言語をどのように学習すればいいのかについて情報をまとめました。学習サイト・参考書など、おすすめの学習方法を紹介します。
勉強が捗る独学のステップ
プログラミング言語の勉強を始める前に、まずはどの言語からスタートするのかを定めます。目標を1つずつクリアしていかなければ、どう勉強を進めるべきなのかが分からなくなります。
「何を作りたいか」をテーマに言語を定め、それに必要な言語の習得から始めた方が取り組みやすいでしょう。このとき、習得したことで市場価値はどの程度なのかというビジネス的な観点も考慮します。
アプリを作りたい場合は、Swift・Java・Rubyがおすすめです。また、プログラミングに欠かせない環境構築やツールの使い方なども学んでおきましょう。
学習サイト
プログラミング言語の習得におすすめなのが、学習サイトの活用です。学習サイトには有料と無料のものがあります。スクールに通うよりも、まずは無料の学習サイトを活用して勉強を進め、段階的に有料サイトを利用する方法がおすすめです。
以下に、おすすめの学習サイトを2つご紹介します。
■Progate プログラミングの学習サイトといえば「Progate」が最も有名です。ユーザー数は240万人を超え、イラストやスライドを活用した解説によって直感的な学習ができます。
実際にプロダクトを作成しながら学習できるため、より実践的なスキルが身につきます。会員登録は無料で行え、有料会員への切り替えも可能です。
【参考】:Progate
■ドットインストール こちらも無料利用が可能なプログラミング学習サイトです。7,043本の動画の中から自分が習得したいスキルの動画を視聴できます。
動画は3分でまとめられているため、隙間時間を活用して無理のない学習が可能です。レッスンは開発環境を整えるところからスタートするため、初心者におすすめです。
【参考】:ドットインストール
おすすめの参考書
プログラミング言語の学習には参考書の活用も欠かせません。ここでは、当記事がおすすめする参考書を3つご紹介します。
■知識ゼロからのプログラミング学習術 独学で身につけるための9つの学習ステップ 本書は、プログラミング学習に必要な知識やノウハウが詰め込まれた1冊です。入門書をお探しの方にピッタリで、知識がゼロでもプログラミングどういう風に学んでいけばいいのかを丁寧に分かりやすく解説しています。古今東西のプログラマーの知恵を凝縮した参考書です。
▪著者:北村 拓也 ▪ページ数:224ページ ▪出版社:秀和システム ▪発売日:2020/02/08
【参考】:知識ゼロからのプログラミング学習術 独学で身につけるための9つの学習ステップ
■プログラムはなぜ動くのか 第3版 知っておきたいプログラミングの基礎知識 「これからの10年も通用する基本」をモットーにプログラミングに必要な知識が集約されている参考書です。そもそもプログラムがコンピュータの中でどのように動作するのかを分かりやすく解説しており、この第3版では登場する製品や開発ツールなどが刷新されています。
▪著者:矢沢 久雄 ▪ページ数:308ページ ▪出版社:日経BP ▪発売日:2021/05/17
【参考】:プログラムはなぜ動くのか 第3版 知っておきたいプログラミングの基礎知識
■プログラマー脳 ~優れたプログラマーになるための認知科学に基づくアプローチ プログラマーとしてもっと楽しく、もっと効率的に仕事をこなすためのメソッドを紹介している参考書です。認知科学を理解して活用することで、プログラミングの技術向上に役立てることが期待できます。
▪著者:Felienne Hermans ▪ページ数:288ページ ▪出版社:秀和システム ▪発売日:2023/02/16
【参考】:プログラマー脳 ~優れたプログラマーになるための認知科学に基づくアプローチ
それぞれの言語の違いを理解して自分に合った言語を選択しよう
本記事では、プログラミング言語の一覧を解説しました。それぞれの言語の特徴がお分かり頂けたかと思います。新しく学習する言語を選ぶ際は、それぞれの言語の違いを理解することがコツです。
例えば、同じWebアプリ系の言語でもPHPはWebアプリに特化しているのに対し、Pythonは機械学習にも使うことが可能です。自分が将来何を専門分野にしたいかを踏まえつつ、言語を選択してみてください。
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