PHPでできることは多い
PHPはさまざまな場面で使えるプログラミング言語です。その用途は幅広く、Webサイトの作成、システムの構築、データベースとの連携など、多くのシーンで活用されています。
ここではまず、PHPの特徴とメリットを簡単に説明します。
そもそもPHPとは?
PHPとは、サーバ側で動的にWebページを作り出せるスクリプト言語の一種です。HTMLやJavaなどと比較すると、仕様や文法がシンプルで、習得の難易度はそれほど高くないと言われています。
PHPは他のプログラミング言語と組み合わせやすいのも特徴です。例えば、HTMLファイル内にPHPのコードを埋め込むことで、部分的にPHPによるプログラムを機能させられます。このように、柔軟な活用ができるのがPHPの大きな魅力です。
PHPのメリット
前述したように、PHPは柔軟な利用が可能なため、多くの企業やサービスが使用している将来性がある言語です。PHPを扱うエンジニアは求人数も多く、経験を積むことでキャリアアップが見込めます。
また、習得の難易度が比較的低いことにくわえて、利用者が多いためさまざまな情報を得ることができます。PHPを勉強していくうえで疑問を感じることがあっても、多くの情報を見つけられるため初心者でも学びやすいプログラミング言語と言えます。
PHPでできること7選
ここからは、実際にPHPでできることをまとめました。PHPができることとして代表的なものは、Webサイト作成・掲示板作成・SNS開発・ECサイト開発・WordPressのテーマ・プラグイン作成・バッチ処理の作成・データベースやAPIとの連携の7つです。
これらの開発に携わりたい人は、PHPを学ぶのが良いかもしれません。それでは、1つ1つPHPができることについて、詳しくみていきましょう。
Webサイト作成
PHPでは、Webサイトを作成することが可能です。HTMLとCSSだけでもWebサイト作成は可能ですが、PHPを使うことで「動的なページ」を作成することができます。動的なページとは、ページを表示するタイミングやその人によって、表示内容が変更されるページのことです。
例えば、ユーザの残りポイント数や今日の日付なども表示可能です。また、お問い合わせフォームなど、ユーザが書き込むためのページもPHPで実装できます。PHPで作られたサイトの例としては、ぐるなびやCAMPFIREなどが挙げられます。
掲示板作成
PHPは掲示板を作成することも可能です。掲示板はユーザが書き込んだり、削除・返信したりできるようにしなくてはいけません。PHPではこれらの機能が一通り作れます。
実際PHPによって作られた掲示板は数多く存在します。また、掲示板にログイン機能を実装し、登録ユーザのみ書き込めるようにすることも可能です。
SNS開発
SNSのような高度な機能が必要なアプリもPHPで作れます。他のユーザと繋がる機能や、「いいね」ボタンを押したり、他人の投稿を拡散したり、といった機能も実装可能です。例えば、FacebookはPHPによって実装されました。
SNSはさまざまな機能を付ける必要があり、一から開発するのは大変ですが、PHPはフレームワークが充実しているため、簡単に実装することができます。
フレームワークとはWebアプリに必要な機能が予め用意されたもののことです。PHPで使える人気のフレームワークには、LaravelやCakePHPなどがあります。
ECサイト開発
PHPを使うことで、Amazonや楽天などのECサイトも開発できます。ECサイトには、商品の購入機能や決済を行う機能、商品を検索する機能などが必要ですが、これらもPHPで実装可能です。
また、ユーザが使う機能だけでなく、商品の在庫管理や売上管理など、サイト管理者が使う用の機能も用意できます。
WordPressのテーマ、プラグイン作成
PHPは、WordPressのテーマやプラグイン作成にも使えます。WordPressとは、HTMLやプログラミングを使わなくてもサイトが作れるCMSのことです。
細かいデザインなどの調整が難しいWordPressですが、PHPを使ってテーマやプラグインのカスタマイズを行えば、自分好みに変更できます。PHPを使ったWordPressのテーマ作成の案件は数多くあります。
バッチ処理の作成
PHPはWebサイトの表側だけでなく、裏側でも活躍します。いわゆるバッチと呼ばれるプログラムはPHPで開発されており、特定の時間帯に動いてデータを作成します。例えば、データベースからユーザ情報を取り出し、サイトに表示するためのデータを生成するなどです。
実際の業務では、こういったバッチ処理の作成を行う機会も多いです。このような、Webサイトやアプリ制作に欠かせないPHPは、多くのエンジニア達が習得しています。PHPを使いこなし、実績を積むことでキャリアアップや転職に有利に働くでしょう。
データベースやAPIとの連携
PHPは、「MySQL」などデータベース管理システムとの連携が可能です。多くの情報がテーブルに格納されているデータベースに接続することで、情報の保存や削除、取り出しといった作業をPHPから行えます。
また、他社や他のサービスが提供している機能「API」も、PHPで利用できるものが多くあります。PHPを開発していく中で、APIが利用できるのはたいへん便利です。
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PHPが苦手なこと・できないこと
PHPでできることについて解説しました。続いて、PHPが苦手なことについて解説します。PHPでは実装が難しかったり、他の言語を使った方が効率が良かったりするジャンルもあります。PHPはどういったジャンルを苦手とするのか、1つ1つみていきましょう。
フロントエンド開発
PHPが苦手なのは、Webサイトにおけるフロントエンドの開発です。先程PHPはWebサイト作成で使われると解説しましたが、Webサイトの全ての部分がPHPで実装できるわけではありません。
サイトが表示されてから、アニメーションを表示したりアラートを表示したりといったフロントエンドの部分は、PHPではなくJavaScriptによって実装されます。こういったフロントエンドの開発に携わりたいなら、JavaScriptを勉強した方が良いでしょう。
大規模データの処理
PHPは、大規模データを処理するのも苦手とされています。PHPはインタプリタ型言語であり、処理速度が他の言語に比べて遅いからです。インタプリタ型言語とは、ソースコードを1行ずつ機械語に翻訳して実行するプログラミング言語のことです。1行ずつ実行するため、どうしても速度が遅くなるデメリットがあります。
大規模データを処理する場合は、R言語など他の言語を使った方が良いでしょう。
デスクトップアプリ開発
オフィス製品やSkypeなどのデスクトップアプリの開発では、PHPは使われていません。開発できないことはないのですが、JavaやRubyなどの言語の方が使われることが多いです。特にJavaはデスクトップアプリの分野ですでにかなりのシェアを獲得しており、今からPHPに乗り換えるメリットはないかも知れません。
スマホアプリ開発
スマホアプリ開発にも、PHPが使われることはありません。AndroidアプリはJava・Kotlin、iOSアプリはSwift・Objective-C、といった言語で開発するのが主流です。PHPでスマホアプリも作れると、Webアプリとスマホアプリ開発で使う言語を統一できて便利ですが、残念ながらPHPはスマホアプリには向いていません。
機械学習
ディープラーニングなどの機械学習にも、現状PHPが使われることは少ないです。機械学習においてはPythonが使われます。Pythonは機械学習ライブラリを多く使える言語です。
一応、PHPでも機械学習ライブラリー「PHP-ML」があり、機械学習ができない訳ではありませんが、Pythonは現在シェアを伸ばしている言語でもあるので、機械学習に参入する場合はPythonを勉強するのが良いでしょう。
PHPの資格やPHPエンジニアの年収
PHPには国内外にスキルを証明するための資格が存在します。ここでは、日本国内におけるPHPの資格やPHPを扱うITエンジニアの年収について紹介します。
PHP技術者認定試験
国内のPHPのスキルを認定する資格には、「PHP技術者認定試験」があります。PHP技術者認定試験とは、「PHP技術者認定機構」が実施する認定試験であり、試験区分として以下の4区分に分けられます。
・PHP7技術者認定初級試験 ・PHP5技術者認定初級試験 ・PHP8技術者認定上級/準上級試験 ・PHP5技術者認定上級/準上級試験
【参考】:PHP技術者認定試験
それぞれの区分の概要を以下で簡単にまとめました。
■ PHP7技術者認定初級試験
・レベル:ITスキル標準(ITSS)レベル1に相当する初級レベル ・試験時間:1時間 ・問題数:40問 ・受験料金:12,000円(税別) ・受験方法:試験会場は全国のオデッセイコミュニケーションズCBTテストセンター ・出題範囲:「初めてのPHP」(PHP7版)が主教材・合格基準:正答率7割
【参考】:PHP7技術者認定初級試験
■ PHP5技術者認定初級試験
・レベル:ITスキル標準(ITSS)レベル1に相当する初級レベル ・試験時間:1時間 ・問題数:40問 ・受験料金:12,000円(税別) ・受験方法:試験会場は全国のオデッセイコミュニケーションズCBTテストセンター ・出題範囲:初めてのPHP5」を主教材とし、PHP5.3を対象 ・合格基準:正答率7割
【参考】:PHP5技術者認定初級試験
■ PHP8技術者認定上級/準上級試験
・レベル:準上級試験はITSSレベル2に相当し、上級試験はレベル3に相当 ・試験時間:2時間 ・問題数:30問 ・受験料金:15,000円(税別) ・受験方法:試験会場は全国のオデッセイコミュニケーションズCBTテストセンター ・出題範囲:PHP公式サイトの掲載情報が主教材 ・合格基準:準上級試験は5割以上7割未満、上級試験は正答率7割以上
【参考】:PHP8技術者認定上級/準上級試験
■ PHP5技術者認定上級/準上級試験
・レベル:準上級試験はITSSレベル2に相当し、上級試験はレベル3に相当 ・試験時間:2時間 ・問題数:60問・受験料金:15,000円(税別) ・受験方法:試験会場は全国のオデッセイコミュニケーションズCBTテストセンター ・出題範囲:「プログラミングPHP 第3版」が主教材 ・合格基準:準上級試験は5割以上7割未満、上級試験は正答率7割以上
【参考】:PHP5技術者認定上級/準上級試験
PHPを扱うITエンジニアの年収
ここまでは、PHPでできることやできないことについて解説しましたが、ここでは、PHPが扱えるITエンジニアの年収について紹介します。PHPを活用する職種である、プログラマーの年収を参考にしてみましょう。
「マイナビエージェント 職種図鑑」でのプログラマーの平均年収は344万円、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のSE・プログラマ(ソフトウェア製品の開発・実装)を参考にすると、平均年収568万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、プログラマーは一般平均年収と比較して、年収にバラつきがあることが分かります。
プログラマーの年収は、年齢・スキル・資格の有無によって大きく変わります。PHPの資格である「PHP技術者認定試験」などの資格の取得を目指し、年収アップにつなげましょう。また、さまざまな言語を扱えるようになることで、より収入の高い職種へのキャリアアップも可能です。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
PHPはこんな人におすすめ
ここまでのPHPに関する内容を踏まえて、どういった方がPHPを勉強するのがおすすめなのかをまとめました。PHPをこれから勉強しようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
Webアプリケーション開発をしたい人
最もおすすめなのは、Webアプリケーション開発をしたい人です。PHPはSNSや掲示板など、とにかくWeb開発に多く使われます。また、Webサイトの裏側のバッチ処理のプログラムも、PHPによって作られています。実際PHPを使っている企業は多く、習得することでWebプログラマーとして活躍できる可能性が高いでしょう。
ただし、注意すべきなのは、PHPはフロントエンド開発では使われないことです。フロントエンド開発を行いたい場合は、JavaScriptを学習する準備をしましょう。
求人・案件の選択肢を増やしたい人
転職の選択肢を増やしたい人も、PHPがおすすめです。PHP以外にもPython・Ruby・Perlなど、Webアプリケーション開発で使われる言語は多くあります。その中でもPHPは比較的案件数が多い言語であり、ベンチャーから大手企業まで幅広く使われています。
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プログラミングの経験が浅い人
プログラミングの経験が浅い人も、PHPの学習がおすすめです。PHPは文法が簡単であり、習得に時間をあまり要しません。また、PHPを使っている企業は多いため、PHPに関する情報はネットに多く存在し、分からないところを調べやすいのも特徴です。
また、PHPをマスターすれば他の言語も理解しやすくなります。例えば、PHPを通じてオブジェクト指向の基礎を習得すれば、JavaやC++など難しい言語を理解する際の助けになります。プログラミングスキルに自信がない方は、まずはPHPから学んでみても良いかも知れません。
Webアプリケーション開発をしたいならPHPを学ぼう!
本記事では、PHPでできること・できないこと・資格・年収などについて解説しました。PHPはどのような分野において活躍しているのかが分かりました。
PHPはWebアプリケーション開発で特に力を発揮します。学習コストが少ない言語でもあるため、PHPを導入するWeb開発企業は多いです。今後もPHPのシェアが落ちる可能性は少ないでしょう。Webアプリケーション開発をしたいならPHPを学ぶのがおすすめです。
ただし、デスクトップアプリやスマホアプリ開発には、PHPを使うことができません。「何を開発したいか」を軸に、次に学ぶプログラミング言語を決めるのが良いでしょう。
PHPを習得したらスキルを証明する資格の取得を目指し、キャリアアップや転職に活かしてみましょう。その際、転職エージェントの力を借りることでスムーズな転職活動が可能です。
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