GUIとは?
ITエンジニアを目指す皆さんは、頻繁に「GUI」という言葉を耳にしていることと思います。他にも「GUI」と似た言葉に、「UI」、「CUI」などがありますが、それらの違いを説明できますか?
これらの違いを正しく理解しておかないと、今後恥をかくことになるかもしれません。この記事では、「GUIとは」をテーマに、「UI」や「CUI」との違い、「GUI」のメリット・デメリットなどエンジニアに役立つ知識についてやさしく紹介します。
UIとは
UIは(User Interface)の略語で「ユーアイ」と発音します。Interfaceの意味は本来「接点、接触面」です。コンピューターの世界でUIは、人(ユーザー)とコンピューター(PCやスマホなど)間のやり取りを行う、さまざまな機器や入力装置を指します。コンピューターのUIには、マウスやタッチパッド、キーボード以外に、マイクやスピーカーなどの音声装置、モニターなどの画面表示装置があります。
またUIは装置(デバイス)だけにとどまらず、製品の外観、WebサービスにおけるWebページやアプリのデザイン、フォント、背景など、ユーザーが目にするもの、触れるものすべてがUIに含まれます。洗練され、優れたUIは、人とコンピューター間のやり取りをスムーズにしてくれ、快適な操作を約束します。
そもそもGUIとは
GUIは「Graphical User Interface」の略で、読み方は(ジーユーアイ)、略して(グイ)です。GUIはユーザー視点による見やすさ、使いやすさに重きを置き、アイコンやボタンなどで、より直感的に分かりやすくしたUI(ユーザーインターフェース)のことです。
GUIが登場するまで、コンピューターの画面表示はテキストのみ、入力装置はキーボードのみというCUI中心の世界でした。
そこにはグラフィカルな要素はなく、素人には直感的に操作ができない、難しいという問題がありました。それを克服するための画期的な発明が、マウスなどによる「カーソル操作」です。カーソル操作ができるようになり全く新しいUIが誕生しました。
今でこそ当たり前の、マウスによるファイルの選択や操作がGUIによって可能となったのです。
GUIの要素
GUIにはさまざまな要素があり、それらの組み合わせによって成り立っています。GUIの要素としては、デスクトップ、ウィンドウ、メニュー、アイコン、ボタンなどがあります。ユーザーはマウスやポインティングデバイスを用いて、それらGUIの要素を操作し、コンピューターを動かします。
GUIのメリットとデメリット
GUIはユーザーの視認性や操作性を重視したインターフェースであり、ユーザーにとってメリットがある反面、デメリットもあります。ここでは、GUIのメリットとデメリットについて確認しておきましょう。
■ GUIのメリット
▪コンピューターに指示を与える「コマンド」を知らなくとも、アイコンなどからコンピューターの操作が可能です。
▪ウィンドウを切り替えることで、複数のアプリケーションを同時に動かすことができます。
■ GUIのデメリット
▪コンピューターのリソース(メモリーやストレージなど)の消費量が大きくなります。
▪コマンドを利用しないと利用が難しい機能が一部あります。
GUIが果たした役割
UIは「マン・マシン・インターフェース」とも言い、人がマシンがやり取りをする手段ですが、GUIが登場するまでのUIは無機質で、かつ専門的であり、コンピューターを扱える人は一部に限定されていました。しかしGUIの普及により、今では幼児でもパソコンを扱えるようになりました。
GUIはパソコンやスマホの普及に大きな役割を果たしたといっても過言ではありません。
GUIの歴史
その歴史は意外に古く、1963年に米国空軍の「SAGE」というシステムで初めてGUIが採用されています。またGUIの操作で重要な役割を果たす「マウス」は1968年に登場しました。
その後、1984年にApple社から、初めてGUIを搭載した初代「Macintosh(マッキントッシュ)」、通称Macがリリースされ、続いてMicrosoft社初のGUI採用OS、「Windows1.0」がリリースされています。
GUI登場前はCUIが主流
GUIが登場するまでの間、コンピューター上では、CUIが主流でした。CUIは「Character-based User Interface」の略語で、テキストデータで表現されているUIのことです。
GUIとCUI、どちらにもUIという文字が入っていますが、その根本的な違いは、使い勝手、操作感にあります。CUIでは、キーボードの文字や記号を入力して、コンピューターに指示を与えます。代表的な例はプロンプト画面です。
一方、GUIでは画面上のボタンやアイコンなどをマウスやポインティングデバイスを用いて操作し、コンピューターを動かします。コンピューター操作で、キーボード入力が必要なものをCUI、マウス操作で済むものがGUIと考えれば分かりやすいかと思います。
つまり、操作をするのにキーボード入力が必要なものがCUI、マウスだけで操作できるものがGUIです。CUIはコンピューターへの負荷が少なく、操作履歴を残しやすい点から、ITエンジニアが好んで使っています。ちなみに、Windowsでは「コマンドプロンプト」、Macは「ターミナル」を起動することで、CUIによる操作ができます。
UIとUX
UIにはGUIとCUIがあることは理解できたかと思います。他にUIと混同しやすい言葉にUXがあります。
UIはUXと密接な関係があり、この関係を知る事がGUIの理解に繋がります。ここでは、UIとUXの違い、UXのより詳しい内容について解説をします。
UIとUXの違い
UXは「User Experience」の略語で、「ユーザー体験」と訳します。UXは製品やサービスなどを利用して、ユーザーが得られる体験のことです。良いUXは満足につながり、満足はリピートにつながります。ある商品を購入して、使い勝手や使い心地がよければ、また同じ商品を購入したいと考えます。
例えば、あるアプリを購入したとしましょう。そのアプリを実際に操作して結果、
① 起動が早い
② メニューが分かりやすくマニュアルを見なくとも直感的に操作ができる
③ 画面のデザインがよく、背景が綺麗
④ サクサクと動いて操作にストレスを感じない
という印象を持ったとします。これがUXです。
このなかで、UIに関係するのは②と③です。
以上から、良いUXを実現するための重要な要素の1つが「優れたUI」と言えます。
優れたUIとは
優れたUIは、良いUXを実現するための1つの鍵であることが理解できました。では、優れたUIはどうすれば作れるのでしょうか?優れたUIとは、ユーザーに考えさせない、直感的に分かるデザインです。
例えば、iPhoneは直感的に操作できるUIによりストレスなく、優れたUIであることも人気の秘訣です。
優れたUIデザインを実現するには
より良いUXを実現するには、優れたUIのデザインが有効です。エンジニアがユーザーの要求に応え、利用満足度の高いシステムやサービスを開発する上で、優れたUIデザインに留意する必要があります。
ここでは、良いUXを実現するためのUIデザインについて、そのポイントを解説していきます。UIデザインは、プログラミングと違って「これが絶対」というものはありませんが、以下のポイントを意識して行ってください。
ユーザーを意識してデザインする
ユーザーにとって快適なUXを提供するには、優れたUIの構築が必要です。UIに問題や欠陥があると、ユーザーはリピートしなくなります。せっかく苦労して作ったWebページでも、ユーザーに利用してもらえなくなれば、良いUXは望めません。
優れたUIにはユーザー目線が必要です。ユーザー視点で、ユーザーの行動を思い浮かべ、自分がユーザーなら、どのような画面、どのような配置にすれば、ユーザーが無駄なく効果的に目的とする情報やサービス、商品に到達できるかを常に意識することです。ユーザー目線、ユーザー視点でUIデザインを行うことが、より良いUXに繋がるということを常に意識しましょう。
情報過多とならないよう留意する
Webページやアプリのデザインでは、1つの画面に多くの情報を盛り込みがちです。しかし、一度に多くの情報を提示しても、逆にユーザーは必要な情報を見つけるのが難しくなります。
ユーザーに提示する情報量が多過ぎると、ユーザーは必要な情報に辿り着くまで時間が掛かり、途中で諦めてしまうこともあるでしょう。その結果、情報が豊富なはずのページや画面が、むしろ価値のないものになりかねません。
このような状態に陥らないようするには、提示する情報の優先度を決めておくことが求められます。重要度の低い情報は他のページにまとめるなどの工夫によって、ページや画面がシンプルになり、アクセスしたい情報にすぐに到達できるため、リピート率も上がります。
UIはデバイスやターゲットごとに考える
情報端末は多様化し、パソコン、タブレット、スマホなどに分散する傾向があります。パソコン向けに作成したWebページを自動的にスマホ用に変換するツールなどもありますが、変換するとどうしても使い勝手は変わってしまい、UXの悪化となることもあります。ユーザーは主に、どの端末を利用してWebページにアクセスしているのかを認識した上でUIデザインを行うことが求められます。
例えば、メインターゲットが20代から40代の場合はスマートフォンからインターネットにアクセスしている割合が最も高く、逆に60代以上はパソコンからインターネットにアクセスしている人の割合が高くなっています※。
メインターゲットが30代であれば、パソコンを意識したUIよりも、スマホを意識したUIデザインが求められることになります。パソコンでは横スクロールが行えますが、スマホでは横よりも縦スクロールが中心です。このように端末の種類やメインターゲット層によってUIデザインを使い分ける必要があります。
【参考】:※図表4-2-1-2 インターネット接続端末|インターネット利用の広がり|平成30年版情報通信白書|総務省
GUIを理解して良いUXを提供できるエンジニアを目指しましょう
GUIとは何か、CUIとの違いや、UIとUXなど、GUIに深く関わる事柄について紹介をしました。GUIをうまく活用することで、ユーザーに快適なコンピューターやスマホの操作や、より満足度の高いUXを提供できることが分かったことと思います。また一方、特にシステム開発などはコマンド中心のCUIが適していることも分かりました。
この記事を最後までお読みいただいた皆さんは、GUIに関するスキルを磨き、より良いUXを提供できるエンジニアを目指してみませんか。
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