Pythonとは?
Pythonは、今もっとも注目を集める人気のプログラミング言語の一つであり、読み方は「パイソン」です。文法が平易で、プログラミング初心者でも比較的習得しやすいことや、今話題のAI関連の開発で利用されていることが注目を集める理由です。AIはDX推進には欠かせない技術です。
この記事は、Pythonに興味を持った方、これからPythonを学んでみようというエンジニアに向けた入門編となっています。Pythonの人気の秘密を探りながら、Pythonについてエンジニアとして知っておきたいことを中心に解説していきます。
Pythonは人気のプログラミング言語
ソフトウェアの品質評価や追跡を行うオランダの「TIOBE Software」が発表している通称「TIOBEインデックス2024年1月版」によれば、プログラミング言語の検索数ランキングではPythonが1位に位置しています。
【参考】:TIOBE Index for January 2024
Pythonの歴史と名前の由来
Pythonの歴史は意外に古く、1990年にオランダのグイド・ヴァン・ロッサム氏によって創り出され、1991年にリリースされました。
グイド・ヴァン・ロッサム氏は、自身が参加していた分散システムプロジェクトで既存プログラミング言語を用いた開発がうまく進まなかったため、シンプルで使いやすい言語としてPythonを自ら作り出しました。
Pythonはカタカナ表記では「パイソン」で、開発者のグイド氏が好んで観ていた英国のコメディ番組『空飛ぶモンティ・パイソン(Monty Python's Flying Circus)』がその由来です。
Pythonでできること
実際、Pythonで何ができるのでしょうか。ここではPythonで作れるものや、できることの代表的な具体例を3つ紹介します。
アプリケーション開発
Pythonは、Webアプリケーション開発でよく活用されています。例えば、皆さんが日常的に利用しているYouTube・Instagram・DropBoxなどは主にPythonによって作られています。
最新のWebアプリ開発でPythonが多く利用される理由としては、読み書きがしやすいこと、少ないコードの記述で開発できる効率の良さ、さらにはC言語との相性が良い点などが挙げられます。他にも、ゲームアプリやデスクトップアプリの開発などでも活用されています。
機械学習や深層学習
AI開発分野における機械学習や深層学習(ディープラーニング)でも使用されています。機械学習とは、コンピューターに大量データを読み込ませてデータを分析させたあと、コンピューターに新しいデータの分析や予測を行わせる技術です。
また、ディープラーニングは人間の指示を待たずにコンピューター自らが学習し、その性能を高めていく手法を指します。多くのライブラリが用意され、機械学習や深層学習のモデルを簡単に作成できるPythonがよく使用されています。
データ解析処理
統計処理・数値計算などを得意とするPythonは、データ処理系の豊富なライブラリを持っており、データ解析処理にもよく利用されています。
例えば、顧客の潜在ニーズや市場分析に活用されるテキストマイニング技術や、パソコン・スマホに搭載されている画像認識技術などがその一例です。
趣味での活用
Pythonは上記のような業務だけでなく、身近な趣味でも活用できます。写真が趣味の人であれば自動編集のライブラリを使い、撮り貯めた画像を圧縮したりトリミングしたりして簡単に整理できます。
また、SNSや動画サイトに自作の音楽や動画を投稿する際も、サビだけを抽出したり音楽に合わせて絵を動かしたりと、Pythonを活用することでよりクオリティを高められます。
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Pythonの特徴
Pythonの人気の秘密に迫る前に、Pythonの特徴について確認しておきましょう。
Pythonは高級言語の1つ
コンピューターは基本的に「0」と「1」しか認識しません。コンピューターに何かを指示する時には、この「0」と「1」の組み合わせによる命令を与えます。これをマシン語と呼び、初期のコンピューターではこのマシン語を使って動作命令を行っていました。
しかし、マシン語を人が習得するのは大変な困難を伴うため、人がより簡単に理解することができるプログラミング言語が編み出されました。このプログラミング言語を「高級言語」と呼びます。
Pythonはインタープリター言語
ただ、高級言語でコンピューターに指示を与えてもコンピューターは理解できません。これをコンピュータが理解できるマシン語に翻訳する必要があります。この翻訳のことを「コンパイル」と呼びます。
汎用機でよく使われる「COBOL」などは、必ずコンパイルを通じてプログラムを動かしています。Java・C#・C++なども同じく、コンパイルを通してから利用するため、コンパイル言語と呼ばれています。
一方、Python・JavaScript・PHP・Ruby・Perlなどのプログラミング言語は、あらかじめコンパイルを行うのではなく、その場でコンパイルしながら動作する方式を採用しています。このような言語を「インタープリター言語」と呼びます。
スクリプト言語
Pythonの特徴の1つとして「シンプルさ」が挙げられます。プログラミング言語には特定の意味でしか使うことのできない「予約語」が定められていますが、Pythonにはこの予約語が35しかないため、非常に覚えやすいです。
例えば、比較的シンプルな言語だと言われるPHPでも予約語は80もあります。他の言語と比較すると、Pythonのシンプルさがよく分かります。
このように、シンプルさに重点を置いて作られた言語をスクリプト言語と称します。Pythonはスクリプト言語の代表と言っても過言ではないでしょう。
オブジェクト指向言語
オブジェクト指向言語としてはJavaが有名ですが、Pythonもオブジェクト指向言語です。オブジェクト指向では、プログラムを「モノ」として捉えます。扱うモノの属性や動作をあらかじめ定義しておき、それを操作するという考え方でプログラミングを行います。
プログラムそのものが「モノ」として分類されているので、複数人で同時にプログラムを開発する場合でも作業効率が良く、ソースコードの再利用や、機能追加・修正も容易に行える点が強みです。
Pythonのデメリット
人気の高いPythonも万能ではありません。ここではPythonのデメリットを解説していきます。これらのデメリットを踏まえて、Pythonが不向きな分野もあるという点を理解しておきましょう。
実行スピードにやや難がある
Pythonの難点としては、実行スピードがやや遅いことが挙げられます。Pythonはインタープリター型言語のため、どうしてもJavaなどのコンパイラ型言語よりは実行スピードが遅くなります。スピードを要求されるゲーム開発や、企業の基幹システムのような大規模システムの開発には不向きです。
インデントが必要
Pythonでコードを記述する際は、行頭に空白を入れて字下げを行うインデントが必要です。Pythonは同じ数の空白でインデントされたコードを、一つのまとまりとして認識しています。
見た目にも階層構造が明確になり、わかりやすいという利点はあるものの、インデントがずれるとエラーが起こってしまうため注意が必要です。
Pythonのメリット
いくつかのデメリットがあるPythonですが、それ以上に多くのメリットがあります。Pythonの人気の秘密である、Pythonのメリット(強み)について見ていきましょう。
言語がシンプルで初心者でも覚えやすい
Pythonには文法が必要最低限しか設けられておらず、予約語もJavaの半分以下の35と、シンプルな言語であることが特徴です。そのシンプルさは、覚えやすい言語の筆頭に挙げられるほどです。
読み書きがしやすく、ライブラリが豊富
Pythonはシンプルで読み書きがしやすい上に、ライブラリなどが豊富にありますエンジニアにとっては、そのコーディングのしやすさが魅力です。また、誰でも他人の書いたコードをすぐに解読できるため、修正やバグ対応がしやすい点も強みです。
汎用性が高く活用範囲が広い
機械学習分野、データ解析の分野などで注目を集めているPythonは、実は汎用性が高く、あらゆる分野で利用されています。
AI技術を用いたIoTの開発・ロボット制御・Webアプリ・デスクトップアプリ・ゲームアプリなど、私たちに身近なものにまでPythonが浸透しています。転職の際の企業選びでも、選択肢は多いと考えられます。自分に合った環境を見つけるには転職エージェントの活用がおすすめです。
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プラットフォームが整っている
PythonはさまざまなOSをサポートしており、主要なOSすべてのプラットフォームで利用できます。また、クラウド環境ではブラウザ上でPythonを記述し実行できるサービスとして「Google Colaboratory」もあり、プラットフォームの豊富さはPythonの大きな強みです。
Pythonエンジニアの需要と年収
Pythonは人気のある言語であるため、Pythonエンジニアは需要が高いと推測されます。分野も多種多様であり、全国的に多くの場面でPythonが使われていることがわかります。年収はまちまちですが、これは分野が多岐に渡ることとスキルや経験を考慮して判断する企業が多いことが要因と考えられます。
年収の参考として、ここではPythonエンジニアを含む「プログラマー」の平均年収を紹介します。
プログラマーの年収は「マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑」での平均年収は344万円(※2024年1月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種の「エンジニア/プログラマ」を参考にすると、平均年収592万円と分かりました。
国税庁2020年発表の民間給与実態統計調査における民間企業平均年収は433万円なので、マイナビでの調査では一般平均年収よりもやや低め、経済産業省の調査ではやや高めであることが分かります。
プログラマーはスキルアップや経験を積むことによってシステムエンジニアやプロジェクト・リーダー、プロジェクト・マネージャーへとキャリアアップすることが可能です。また、ある分野のスペシャリストとして「エキスパート系プログラマー」を目指すこともできます。
未経験から始めても、このようなキャリアアップによって年収を上げていくことができるので、成長著しいIT分野では参考として挙げた額よりも高い年収を狙うこともできるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
Pythonの将来性
ここまで、Pythonの人気の秘密やPythonの優位性などについて解説してきました。では、Pythonには将来性はあるのでしょうか。
結論から述べると、Pythonの将来性は高いと言えるでしょう。ここでは、Pythonの将来性が高い理由と、Pythonの習得方法について解説していきます。
Pythonの将来性が高いと言われる理由
Pythonエンジニアを後押ししてくれるのは、Pythonエンジニアに対する需要の伸びの高さです。言語別求人数でPythonはJavaやPHPに次いでいますが、Pythonの求人は急速に増えています。求人数の増加は、将来性が高いことを意味します。なぜPythonの将来性が高いのか、その理由を以下に述べます。
1.Pythonは期待が高まっているAIや機械学習の開発分野において注目されている 2.Pythonは年々需要が増しているデータサイエンス分野に適したプログラミング言語である 3.PythonはC言語系との相性がよく、連携しやすい 4.Pythonは汎用性が高く、AIや機械学習以外に大企業のWebサービスやWeb開発にも適している
Pythonの習得法
Pythonは日本での歴史が浅く、まだまだ教育面や資格面での整備が進んでいませんが、ここではおすすめしたい2つの資格について紹介します。資格取得は、そのスキルを保有する証となりますので、Pythonを習得したい方は以下の2つの資格取得を目指してみましょう。
■Python 3 エンジニア認定基礎試験 ■Python 3 エンジニア認定データ分析試験
どちらも「一般社団法人 Pythonエンジニア育成推進協会」の認定資格です。それぞれのサイトには勉強法・模擬試験などのコーナーもありますので、是非アクセスしてみてください。
【参考】:Python 3 エンジニア認定基礎試験 【参考】:Python 3 エンジニア認定データ分析試験
Pythonエンジニアを目指して
Pythonは将来性が高く、しかもシンプルなスクリプト言語で習得しやすいということをお伝えしました。既にC言語系やJavaなどを習得した方にもおすすめです。
Javaの需要は旺盛ですが、CやJavaに加えて、Pythonが扱えるとなれば、エンジニアの皆さんの活躍の場はさらに広がるでしょう。期待や需要が大きいPythonエンジニアをぜひ目標の1つにしてみてください。
もちろん未経験からPythonエンジニアを目指すこともできます。Pythonは、これからプログラミングを学ぼうと考えているエンジニアの皆さんにぜひおすすめしたいプログラミング言語でもあります。
また、未経験者の方は特にPython習得後に新たな分野で就職・転職活動をされる方も多いと思います。Pythonは需要が高いとはいえ、新たな分野に挑戦するのは不安要素が多いですし、活動をしていく中でわからないことも出てくるでしょう。
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