C#とは?
まずはC#とはどういったプログラミング言語なのかまとめました。初心者が混同しがちなC#とC++の違いについても詳しく解説しています。
C#はマイクロソフトが開発した言語
C#はマイクロソフトが開発したプログラミング言語であり、読み方は「シーシャープ」です。C#はWindows向けのアプリの開発にもっとも多く使われている他、スマホアプリやWeb開発でも一部活用されることがあります。
C#とC++の違い
C#とC++はどちらもCから派生した言語ですが、言語としての特性はそれぞれ異なります。C++はCにオブジェクト指向の要素を取り入れて作られた言語で、主にゲーム開発や業務システムの開発に使われています。
対してC#は、マイクロソフトがC++とJavaを組み合わせて開発した言語です。C#はCよりもどちらかというとJavaに近くなっており、Javaを習得済みの方なら容易に習得できます。
C#とC++のどちらを学ぶべきか迷っている方も多いかもしれませんが、初心者にはC#の方がおすすめです。C++はポインタなど難しい概念を学ぶ必要があり、初心者にはやや難易度が高いと言えます。
C#で作れるもの
ここでは、C#で作ることができるものについてまとめました。これらのアプリやシステムの開発に興味があるならC#を学習するのはおすすめです。
Windowsアプリ
C#で作れるものの代表が、Windowsアプリです。元々C#はWindowsアプリ開発に特化した言語としてマイクロソフトによって作成されました。マイクロソフトのExcel・Word・PowerPointなどもC#によって構築されていることから、Windowsストア内にある多くのアプリの開発にもC#が使われているでしょう。
C#でWindowsアプリを開発する場合、Visual Studioという統合開発環境を使うことがほとんどです。Visual Studioにはシステム開発で必要な、エディタ・コンパイラ・デバッガなどの機能が一通り揃っており、Visual Studioをインストールするだけで簡単に開発環境を構築することができます。
【参考】:Visual Studio
Webアプリ開発
C#は、SNS・掲示板・ECサイト・動画配信サイトなどのWebアプリの開発にも利用できます。Webアプリ開発の場合においてもやはりVisual Studioが活躍します。Visual StudioにはASP.NETを始めとした数多くのフレームワークが備わっています。
フレームワークを使うことでWebアプリの開発を簡単に行うことが可能です。
ゲーム開発
C#はゲーム開発ができる言語としても知られています。ゲーム開発ではUnityという開発環境を使うことが多いのですが、Unityで扱うことのできる言語はC#のみであるため、ゲーム開発分野ではC#が高いシェアを誇っており、今後も安定して需要が続くと推測されます。
NintendoSwitchやPS4といった有名な家庭用ゲーム機も、C#とUnityによって開発されています。
スマホアプリ
C#はスマホアプリ開発にも多く使われています。Xamarinという開発環境を使うことで、Android用・iOS用の両方をC#だけで開発できる点が特徴です。
AndroidアプリではKotlinやJava、iOSアプリではSwiftといった言語が使われることが多いですが、両方のスマホ向けアプリを1つの言語で開発できる点に関してはC#の方が優れています。
C#のメリット
続いて、C#のメリットについて解説します。C#は現在も開発現場で多く使われており実用的なプログラミング言語と言えます。なぜC#は人気が高いのかその理由についてみていきましょう。
汎用性が高い
C#はWindowsアプリを始め、スマホアプリ・ゲーム・Webアプリなど様々な分野で活躍できます。C#を習得することで応募できる求人が増えるため、キャリアの選択肢を増やすという意味でもC#はおすすめです。
CやC++に比べて簡単
C#はCやC++に比べて習得が容易なのもメリットです。C#はCから派生した言語ではあるものの、CよりもJavaの影響が強いこともあり、Cのポインタのような難しい概念がありません。また、文法も比較的平易でありかつ覚えることも少ないため、プログラミング未経験が最初に習得する言語としておすすめできます。
加えて、C#はVisual Studioをインストールするだけで開発環境が整います。他の言語は開発環境の構築が難しい場合も多く、初心者はこの段階で挫折してしまうことも多いため、初心者に易しいのが特徴です。
オブジェクト指向で書ける
C#はオブジェクト指向で記述することができます。オブジェクト指向とは、各データや処理内容などを「オブジェクト」という単位にまとめてソースコード全体を構築する考え方のことです。
オブジェクト指向で記述することによって、ソースコードのどこに何が書かれているのか分かりやすくなり、大規模なシステムの開発をスムーズに行えるメリットがあります。
ライブラリが豊富
C#はライブラリが豊富なのもメリットです。ライブラリとは、よく使うプログラムが予めひとまとめになったもののことです。ライブラリを使うことで自分でプログラムを書く手間が省けるため、開発効率が上がります。
C#には「Json.NET」というJSONを扱えるものや、ログ情報を管理できる「NLog」、高度な数学計算が行える「Math.NET」など数多くのライブラリがあります。このような便利なライブラリが扱えるのもC#の特徴と言えるでしょう。
C#のデメリット
続いて、C#のデメリットについて解説します。C#は良い面も多くありますが万能という訳ではなく、場面によっては他のプログラミング言語を使った方が良いこともあります。メリットだけでなく、デメリットも知った上で学ぶべきプログラミング言語を考えましょう。
開発環境の容量が多い
C#で開発する場合はVisual Studioを使う場合がほとんどですが、Visual Studioは容量が多いため、ストレージが足りなくなる可能性もあります。低スペックなパソコンの場合、Visual StudioがインストールできずC#での開発ができないこともあるため、C#を学ぶ場合まずはそれなりのスペックのパソコンを購入する必要があります。
AI開発には不向き
C#は機械学習やディープラーニングなどのAI開発には向いていません。C#でもできないことはありませんが、PythonやRなどAI開発分野で優れた言語が他にあるため、C#が実際の現場で使われることは少ないです。
C#の使い方
ここでは、実際にC#の使い方について簡単に解説します。インストールの方法からプログラムを実行する手順をまとめました。
開発環境を作る
C#の環境構築には「Visual Studio」が使用されることが多いため、ここではVisual Studioで開発環境を作ってみます。
①インストール・ダウンロード まずは最新のVisual Studioをインストール・ダウンロードしましょう。Windwos・MacOS・Linuxなど、開発を行いたい環境に合わせてダウンロードします。
【参考】:Visual Studio
この際、「Community」「Professional」「Enterprise」の3種類から選べますが、個人で開発を行ったり学習目的で行ったりする場合は「Community」を選択しましょう。また、インストーラーには目的別の様々なワークロードが表示されますが、今回は「.NETデスクトップ開発」を選んでください。
②初期設定画面 インストールが完了した後は初期設定画面が表示されますので、開発設定を「全般」もしくは「Visual C#」を選択します。配色テーマは好みのものを選択でき、後ほど変更もできます。
③新しいプロジェクトを作成する 初期設定が完了したら、Visual Studioのスタート画面が表示されます。「新しいプロジェクトの作成(N)」をクリックするとテンプレートが表示されますので、今回は「Windowsフォームアプリケーション」を選びましょう。これでアプリ作成ができるようになります。
プログラムを実行してみる
では実際に、C#を活用してプログラムを実行してみましょう。まずはソースファイルを開き、「Hello, World!」と表示できるように以下のコードを書いて実行してみます。
using System;
class Hello
{
static void Main()
{
Console.WriteLine("Hello, World!");
}
}
無事「Hello, World!」と表示されたら成功です。
C#の将来性
C#は現在需要は高いものの、今後も需要が続いていくのか不安な方も多いでしょう。結論から言うと、C#は将来性が高い言語と言えます。
まず、C#は多くの業務用システム開発で活用されています。業務で使うシステムは1度稼働させると停止させることが難しいため、大規模な改修を行うことができず、C#から他の言語に変更しにくいです。そのため、C#での業務用システム開発の案件は今後も継続的にあると推測されます。
また、C#はゲーム開発の分野でも期待が持てます。Unityは高いシェアを獲得しているため、Unityを唯一扱えるC#は今後も継続して需要が続くと推測されます。このように他の言語に置き換えられない分野では、C#は活躍し続けるでしょう。
一方、Webアプリやスマホアプリの分野では、他にも人気の高い言語が多くあります。たとえば、WebアプリではPythonやPHP、スマホアプリではSwiftやKotlinといった言語の人気が高いです。そのため、C#がこれらの分野でシェアを独占することは難しく案件数が増えていかない可能性もあります。
C#の勉強方法
C#を1から学ぶ場合は、オンラインで学習できるサイトを活用するのがおすすめです。学習サイトは月額1,000円程度で利用できますし、スマホでも閲覧できるため休み時間や通勤時などの空き時間でも勉強が可能です。
また、書籍を使って学習するのも良いでしょう。以下にC#が学べるおすすめの書籍を紹介していますので参考にしてください。
作って覚えるVisual C# 2022 デスクトップアプリ超入門
本書は、プログラミング経験が全くない方でも「Visual studio 2022」を使用して実際にアプリを作成しながら学習することが可能です。丁寧なコード解説とロードマップがあるため、初心者の方でもプログラミングの考え方や書き方ができるようになります。
特典として、サンプルプログラムのダウンロード特典が付いています。
▪著者:荻原 裕之、宮崎 昭世 ▪ページ数:456ページ ▪出版社:秀和システム ▪発売日:2022/11/26
【参考】:作って覚えるVisual C# 2022 デスクトップアプリ超入門
現場ですぐに使える! Visual C#2022逆引き大全 500の極意
本書は、基礎から応用編まで、実際の現場で使えるC#の便利な技を紹介しています。952ページに及ぶ開発環境で考えられるあらゆる「今やりたいこと」「知りたいこと」を調べられる仕様が特徴です。Visual C#における辞書のような本です。
また、そのまま流用できるサンプルコードが500もまとめられており、かなり実用性が高いため、初心者〜中級者の方におすすめの本です。
▪著者:増田智明 ▪ページ数:952ページ ▪出版社:秀和システム ▪発売日:2022/06/29
【参考】:現場ですぐに使える! Visual C# 2022逆引き大全 500の極意
独習C# 第5版
C#のプログラミングにおいて、必要な知識・概念・機能などを体系的に学ぶことができる参考書です。様々なプログラミングの入門書において定評のある著者である山田 祥寛氏の待望となるC#の改訂版です。解説・例題・理解度チェック、といった3段階による学習ができるため、理解の取りこぼしが起きにくいのが特徴です。
プログラミング初心者の方におすすめの本です。
▪著者:山田 祥寛 ▪ページ数:680ページ ▪出版社:翔泳社 ▪発売日:2022/07/21
【参考】:独習C# 第5版
C#を学んでWindowsアプリの開発をしてみよう
本記事ではC#とは何かについて解説しました。C#でできることやメリット・デメリット、将来性などがお分かりいただけたかと思います。
C#は様々な用途で使うことができますが、元々はWindowsアプリ用に作られた言語のため、やはりWindowsアプリ開発での需要が高いです。ExcelやWordなどWindows上で使える便利なソフトの開発に興味がある場合、C#を学んでみるのが良いでしょう。また、C#はゲーム開発分野においても需要が高いため、Unityを通じたゲーム開発に興味がある方にもおすすめです。
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