SQLは初心者でも習得できる?
SQLとは、データベースを操作する言語(データベース操作言語)です。
データベース操作言語はデータの操作や定義を行う言語を指します。データベースはいくつかの種類があり、SQLはリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)で使用するデータベース操作言語です。
SQLを用いることで、紙ベースで時間当たり数十件から数百件程度のデータ処理しかできなかったものが、コンピュータに蓄積されている数百万件以上のデータを効率的に抽出することが可能になりました。
データベース、データベース管理システムとは
そもそもデータベース(DB)とは、情報を蓄積・検索する機能を有するデータの集まり(集計データ)を指します。簡単に言うと、データベースとは従来の台帳や帳簿をシステム化し検索を容易にしたイメージです。
データベース管理システム(DBMS)は、データベースをコンピュータに蓄積する際に処理を行ってくれるミドルウェアシステム(管理システム)のことです。データベース管理システムは、データベースの構築・管理・運用を行います。
ここで言う構築とは、データベースの初期設定や必要なシステム資源を割り当てることです。管理はデータベースの論理設計に基づいてデータの作成・更新・削除・検索を行うこと、運用はシステム資源・データベース領域のモニター、バックアップ・リカバリー、保守・保全等を行うことです。
リレーショナルデータベースの基本概念
リレーショナルデータベース(RDB)はデータを表形式で表します。表計算ソフトをイメージしてみてください。この表をテーブルと言います。また、表には行(横軸の項目)と列(縦軸の項目)があります。リレーショナルデータベースでは、行をレコードまたはロー(Row)と言い、列をカラム(Column)と言います。
この表形式のデータがいくつも格納されているのが「RDB」と覚えておきましょう。
SQLの基本概念
SQLはリレーショナルデータベースに対する操作を指定します。SQLはデータベース操作の言語であり、プログラムを作成するためにプログラム言語を使うように、データベースを利用するためにはデータベース操作言語を使います。
データベース操作の方法は対話型でコマンドを入力する方法と、プログラムAPIを使ってプログラム言語から利用する方法があります。
SQLを利用する場合のコマンドには、追加はINSERT・抽出はSELECT・更新はUPDATE・削除はDELETEがあります。ほとんどこれで処理は足りるため、慣れてしまえば難しくありません。
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SQLを学ぶメリット
ここでは、SQLを学ぶ上でのメリットについて3つ紹介します。どういったメリットがあるのかを確認していきましょう。
ISO(国際標準化機構)で規格が標準化されている
SQLはISO(国際標準化機構)によって規格が標準化されており、異なるデータベース管理システムであっても基本的な言語仕様が統一されています。命令文への定義が明確だったり、命令実行の方法が定められていたり、汎用性が高く、運用もしやすいメリットがあります。
また、規格が標準化されていることで非エンジニア職の人でもSQLを扱えるため、データを扱うことが増えた昨今、SQLを扱える人材は重宝されるでしょう。
業務効率化を図れる
ITエンジニアであってもベンチャー企業で働く非エンジニアであっても、日頃の業務を効率化させることがいかに重要であるかは共通しています。
これまで手動で行なっていた作業が、必要情報をデータ抽出することで手動によるコピペ工数を削減できることがあります。SQLによってどのようなデータがどういった形式で保存されているかの可視化が可能です。
また、ExcelやGoogleスプレッドシートと連携できるため、あらゆる業務の効率化を図れるでしょう。
データベースエンジニアのスキルに活かせる
ITエンジニアがSQLを習得することは、データ分析に関わるキャリアを目指せる可能性を意味します。具体的にはデータベースエンジニアやデータサイエンティストなどが挙げられます。
昨今需要が高くなってきている職種へキャリアアップすることができれば、エンジニアとしての市場価値を高めたり年収アップにつなげたり、様々なメリットが期待できるでしょう。
以下では、参考年収としてデータベースエンジニアの年収を紹介します。
「マイナビITエージェント 職種図鑑」でのデータベースエンジニアの平均年収は424万円(※2024年3月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」からエンジニア/プログラマを参考にすると、平均年収592万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、データベースエンジニアは調査媒体によってバラつきがありますが、平均年収を上回ることが可能です。
【参考】:マイナビITエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
SQLの基本構文
SQLはRDBで用いられており、大きく以下の分類に大別されます。それぞれには基本構文が定義されています。
・データ定義言語(DDL) データ自体を準備するための言語
・データ操作言語(DML) 抽出や更新を行うための言語
・データ制御言語(DCL) データアクセス権を付与するための言語
SQLの規格は標準SQL規格が制定されています。しかしながら各社それぞれ独自拡張、つまり方言のような違いがあります。具体的には、SQLの基本構文やストアドプロシージャに各RDBMS製品の違いが見られます。
データ定義言語とは
データ定義言語(DDL)とは、データ自体を準備するための言語です。データベース化するデータを定義するための言語要素を指します。
代表的なコマンドは以下の通りです。
・CREATE データベース、テーブル(表)、インデックス(索引)、ストアドプロシージャ等の作成を行います。
・DROP データベース、テーブル(表)、インデックス(索引)、ストアドプロシージャ等の削除を行います。
・ALTER 存在するオブジェクト属性の変更を行います。
・TRUNCATE テーブル(表)からデータを削除を行います。
データ操作言語とは
データ操作言語(DML)とは抽出や更新を行うための言語です。データベースに対するデータの登録・更新・削除・検索を行うための言語要素を指します。
代表的なコマンドは以下の通りです。
・SELECT データの検索・抽出を行います。
・INSERT 行の追加・挿入を行います。
・UPDATE データの更新を行います。
・DELETE レコード(行)の削除を行います。
データ制御言語とは
データ制御言語(DCL)とはデータアクセス権を付与するための言語です。データベースに対するデータアクセス制御を行うための言語要素を指します。
代表的なコマンドは以下の通りです。
・GRANT 権限の付与を行います。
・REVOKE 権限の取り消しを行います。
SQLの使い方
これまでに、SQLはデータ定義言語(DDL)・データ操作言語(DML)・データ制御言語(DCL)から構成されていることを解説しました。SQLを用いてデータを扱う場合はデータ操作言語(DML)が分かれば簡単な操作で利用できます。
ここでは、データ操作言語(DML)の言語要素であるSELECT文・INSERT文・UPDATE文・DELETE文を説明します。
SELECT文の使い方
SELECT文はデータの検索・抽出を行います。
基本構文: SELECT [ALL | DISTINCT] 列名 FROM “テーブル(表)名” [WHERE 条件式] [GROUP BY “カラム(列)名” [HAVING 条件式]] [ORDER BY “カラム(列)名”];
使用例:会員テーブルから会員ID3500番以降の会員情報を住所コードでソートし全件表示する例 SELECT * FROM 会員テーブル WHERE 会員ID >= 3500 ORDER BY 住所コード;
INSERT文の使い方
INSERT文は行の追加・挿入を行います。
基本構文: INSERT INTO “テーブル(表)名” VALUES (値[,,]);
使用例:会員テーブルの氏名、会員ID、住所コードに対して’Bar’、7101、’C055’を追加する例 INSERT INTO 会員テーブル(氏名, 会員ID, 住所コード) VALUES (‘Bar’, 7101, ’C055’)
UPDATE文の使い方
UPDATE文はデータの更新を行います。
基本構文: UPDATE “テーブル(表)名” SET “カラム(列)名” = 値 [WHERE 条件式];
使用例:会員テーブルの会員ID 7101の住所コードを’B011’に更新する例 UPDATE 会員テーブル SET 住所コード = ‘B011’ WHERE 会員ID = 7101;
DELETE文の使い方
DELETE文はレコード(行)の削除を行います。
基本構文:会員テーブルから会員IDが7101のレコード(行)を削除する例 DELETE FROM “テーブル(表)名” [WHERE 条件式];
使用例: DELETE FROM 会員テーブル WHERE 会員ID = 7101;
SQLの構文チェック方法
SQLはRDBMS製品によりそれぞれ違いがあるため、プログラミング入門として各製品に応じたSQL構文を確認しましょう。
通常、SQLの正しい構文チェックには時間を要するため、できるだけシンプルな構文を作成することが重要です。プログラミング入門の作法と同じで、シンプルな構文が正常動作したらそれを応用して追記したり、別の処理に活用したりします。とりわけ、命令の区切りとなる”;”(セミコロン)の記載漏れがないか確認しましょう。
なお、統合開発環境(IDE)のEclipseやNetBeansでは、PHPやJavaのアプリケーション開発でSQLの構文チェックをしてくれます。中でもPHPはデータベースアクセスを得意としますので、プリペアステートメント等のSQLテンプレート機能が用意されており、効率的に開発が可能です。
その他、sqlcheckがGitHubで提供されています。sqlcheckは、MySQL・Oracle Database・PostgreSQL・Microsoft SQL Server・SQLite等の構文チェックが可能なツールです。
さらに、MySQLではオンライン構文チェッカーを提供しているサイトがいくつかありますので活用してみましょう。
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SQL初心者のおすすめ本
RDBMSに関する情報、並びに標準SQLに関する情報については一般書籍が多数出版されています。練習問題も多数掲載されているため、初心者の方におすすめです。
以下に、おすすめ本を4冊を紹介します。
SQL1年生 データベースのしくみ SQLiteで体験してわかる!会話でまなべる!
初心者の方からするとSQLは難しそうに思えてしまいます。本書では、そんなSQLについて、データベースの作成から基本的なデータの操作、データの様々な操作方法についてSQLiteを利用して解説しています。
対話形式で豊富なイラストを用いた解説がわかりやすく、またサンプルも記載されているので安心してデータベースの操作を体験できます。SQL基礎やデータベースのことを知らない方におすすめしたい1冊です。
▪著者:リブロワークス ▪ページ数:192ページ ▪出版社:翔泳社 ▪発売日:2023/10/16
【参考】:SQL1年生 データベースのしくみ SQLiteで体験してわかる!会話でまなべる!
スッキリわかるSQL入門 第4版 ドリル256問付き!
人気シリーズのSQL入門書であり、SQLでつまずきやすい箇所を丁寧に解説している書籍です。インストール不要ですぐに使える独自の仮想環境「dokoQL」を活用して、実際に体験しながらSQL学習が可能です。
また、256問の練習問題を掲載しているため、知識や書き方をしっかりと身につけることができます。
▪著者:中山 清喬、飯田 理恵子、株式会社フレアリンク(監修) ▪ページ数:528ページ ▪出版社:インプレスブックス ▪発売日:2024/02/05
【参考】:スッキリわかるSQL入門 第4版 ドリル256問付き!
データ分析力を高める ビジネスパーソンのためのSQL入門
昨今のDX化が進む社会において、ビジネスで欠かせないのがデータ分析です。本書ではSQLを活用したデータ分析の方法について、基本構文やデータの取得方法、関数、テーブルなど、SQLを実践的に活用できる知識を網羅している書籍です。
練習問題を解いていくことで体系的な学習が可能であり、データ分析力を身につけたビジネスパーソンを目指せます。
▪著者:高橋 光 ▪ページ数:240ページ ▪出版社:技術評論社 ▪発売日:2023/03/16
【参考】:データ分析力を高める ビジネスパーソンのためのSQL入門
モダンSQL: データ管理から分析へ
本書は、SQLによるデータ管理の基本機能やデータ分析の拡張機能などを解説している書籍です。モダンSQLと言われるSQLの新しい側面(機能や応用)を紹介しており、現代の情報システムに重要な役割を持つSQLの真の姿を解説しています。
SQLを活用したデータ処理・データ分析を学びたい学生やデータエンジニア、データサイエンティストにおすすめです。
▪著者:石川 博、土田 正士、 遠藤 雅樹、山本 幸生 ▪ページ数:496ページ ▪出版社:共立出版 ▪発売日:2023/11/29
【参考】:モダンSQL: データ管理から分析へ
SQLの初心者でもデータ分析はできる
SQLはRDBMSの操作言語です。DBの活用方法は多くの場合、大量のデータから求める情報の検索・抽出を高速に行えるため、SELECT文が分かればだれでもDBの利用者としてデータ活用が可能になります。
SELECT文が理解できたら、次はデータ分析に積極的に活用しましょう。
データ分析ができるようになると、データベースエンジニアやデータサイエンティストとしての活躍が期待できます。また、実績やスキルを積んでいくことでさらなるキャリアアップも目指せるでしょう。
このような場合における転職では、条件や企業の将来性をしっかりと検討する必要があります。しかし、駆け出しのデータベースエンジニアなどは、どういった企業が自分にとってベストなのか悩んでしまうかもしれません。
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