リモートワークが広がり働く場所が自由になったことで、PCや周辺機器、デジタルガジェットを持ち運ぶビジネスパーソンをよく見かけるようになりました。特に昨今はオフィスカジュアルも普及し、より機能的でスタイリッシュなビジネスバッグを求めるエンジニアの方が増えているようにも思います。
そこで今回はエンジニアにおすすめのビジネスバックをご紹介します。話を聞いたのは、これまで数々のPCバックを開発・販売してきたエレコム株式会社でサプライチームのリーダーを務める児野 健亮氏と、同チームの大嘉 真伍氏。二人が厳選するおすすめのビジネスバックとは?
エレコム株式会社
取締役社長:柴田 幸生 設立: 1986年5月 従業員数:676名(2022年3月31日現在) HP:https://www.elecom.co.jp/
エンジニアに最適なビジネスバッグの選び方
ビジネスバッグのデザイントレンド
まず、最近のビジネスバッグのトレンドについて教えていただけますか。
外見では表側にポケットやファスナーが見えないような、シンプルなデザインが人気になっていますね。素材は、ツルッとしたポリエステル系の生地よりも、カジュアル系の生地を使ったバッグが選ばれる傾向にあります。
カジュアル系の生地というのは、どのような素材なのでしょうか。
「ファブリック系の生地」と私たちは呼んでいますが、いわゆる杢調(※)と呼ばれるような布地です。黒いバッグであってもベッタリとした黒一色ではなく、黒と少し薄いグレーが混ざっているような、やや軽やかな印象の素材です。
なるほど。カジュアルな雰囲気のビジネスバッグが選ばれるようになったということですね。このあたりは、やはりオフィスカジュアルの浸透が大きく影響しているように思われます。
ビジネスバッグを選ぶときのポイント
ビジネスバッグを選ぶポイントも教えていただきたいと思います。大前提としてPCをしっかり守れる機能性が重要ですが、その他にどんなことがありますか。
ビジネスバッグ内にはパソコンの他にデジタルガジェットや書類なども入れることが多いので、それらをきちんと分けて収納できることが重要です。バッグ内が一つの空間だと、バッグの中で荷物が動いて下に溜まってしまうんですね。
バッグ内の空間を「気室」といいますが、上下で気室が分かれていると上下に収納できます。また、別の小さいポケットが付いていれば、モバイルバッテリーや充電ケーブルを仕舞えるので、すぐに取り出すことができます。
荷物へのアクセスは重要なポイントです。細かいポイントですが、バッグの背面にキャリーバッグに固定できるベルトが付いているのも便利です。
出張のときなどに便利ですね。ビジネスバッグの開発でこだわっているのはどんなことですか?
当社でモバイルバッテリーや充電器なども取り扱っていることもあり、周辺機器も持ち歩けるようにバッグ作りをしています。他社製品に比べて、周辺機器を収納できるポケットやスペースを完備していることが、エレコムのバッグの特徴だと思います。また、基本的に全てのビジネスバッグにPC収納スペースを完備しており、撥水加工を施しています。
ビジネスバッグの買い換え時期
ビジネスバッグの買い替えの時期についても教えてください。
使用頻度によりますが、ボロボロになるまで使い込むことはあまりないと思います。そのため、買い換えのタイミングはバッグに入れる荷物が変わったときがいいのではないかと。例えば、コロナ前は自宅にPCを持ち帰ることがなかったとしても、最近はPCに加えて充電器などの周辺機器まで一緒に持ち帰るケースが増えています。
他にも部署異動や配置替えなどで、通勤方法が変わるタイミングでもバッグは変えた方がいいかなと思います。例えば、自転車に乗って通勤するようになると、ブリーフケースよりも両手が空くバックパックの方が便利です。
なるほど。使用環境の変化に合わせて買い換えを検討すると良いわけですね。
エンジニアにおすすめのバックパック3選
おすすめのバックパックについて教えてください。バックパックが人気の理由として、両手が自由に使えることがあげられますが、それ以外にもメリットはありますか?
たくさんの荷物を割と楽々持ち運べるというのが、バックパックの大きなメリットです。収納力が高く、その重さをバッグ全体に分散させられるので、体への負担は少ないかなと思います。
エンジニアはPC以外にもいろいろな荷物を持ち歩くので、バックパックは王道ですね。
ええ。エレコムのバックパックも、PCを入れるコンパートメントが体に近い背中側に付いており、全体の重さを分散させています。バッグ自体の重心を体に近づけられるので、体幹がぶれにくくなり体全体への負担を軽減できるのです。
“off toco(オフトコ)” 3WAY PCバックパック
それではそれぞれのバッグについてこだわりのポイントやPRポイントを伺っていきたいと思います。まずは『“off toco”3WAY PCバックパック』ですね。
この「off toco」というシリーズの最大の特徴は、メインの気室を上下で分かれる2気室にした状態が基本なのですが、それを中のファスナー式仕切りを外すことで一気通貫にして1気室にするコンバーチブル構造になっています。収納物の量やサイズに応じて、メイン気室を最大限活用できるんです。
上下2気室にすることで、「荷物が下に溜まってしまう」というバックパックのデメリットを防ぎ、空間を最大限に活用できるというのが大きな特徴ですね。
上下2気室にした場合でも横から荷物を取り出せる構造になっているので、収納したものを素早く取り出せるんです。また、ドリンクや折りたたみ傘など水気のあるものを特別に収納できる「撥水収納口」も設けているので、パソコン、ガジェット、日用品を上手に整理して収納可能です。
なるほど。ビジネスシーンだけではなく、休日のお出かけのお供にも使い勝手が良さそうですね。
ええ、先ほどご説明した杢調の生地でカジュアルな雰囲気なので、オフィスカジュアルが多い方におすすめしたいです。
4気室PCバックパック“Ruminant(ルミナント)”
次に紹介するのは『4気室PCバックパック“Ruminant”』です。こちらは4気室構造になっていまして、仕分けしながらたっぷり収納できるというのが大きな特徴です。
4気室はすごいですね。ちなみに、商品名の「Ruminant」はどんな意味ですか?
「Ruminant」というのは、牛や羊などに代表される「反芻(はんすう)動物」という意味なのですが、胃を4つ持っている反芻動物を4つの気室に例えて命名しています。4つの気室で十分な収納力・整理力を備え、それぞれに最適なものを収納することが可能です。
こちらのバッグパックはどんな方におすすめですか?
かなり細かく整理して収納できるので、バッグ内をきちんと整理整頓したいという方に使っていただきたいと思います。
PCバックパック(高機能タイプ)
こちらのバックパックは、「Ruminant」と同じようにいろいろな種類の荷物を、それぞれ専用の気室に収納できる3気室構造となっています。しっかりした素材で箱のような気質を三つ組み合わせたような設計になっているのが特徴です。いろいろな荷物を放り込んでも型崩れせず、きれいな形状で持ち運べる設計にしてます。
ガシガシ物を入れても型崩れせず、使いやすそうですね。こちらのバックは、どのような方におすすめしたいですか?
紹介した3つの商品の中でも一番大きなモデルになるので、荷物が多い方にはかなり便利に使っていただけるのではないかと思います。
エンジニアにおすすめのビジネス・ブリーフバッグ3選
次に、ブリーフバッグ型について教えてください。
バックパックとの比較として、バックパックは両肩に背負っているので収納物を取り出そうとするときに、どうしても一度下ろす必要があります。一方でブリーフバッグは、手に持っていたり肩掛けだったりするので、すぐに収納物にアクセスできるメリットがあります。
また、以前よりは減っているものの取引先やお客様のオフィスを訪問するときなど、TPOに合わせてフォーマルなバッグを持たなければいけないケースもあります。そのようなケースでは、ブリーフバッグのニーズが高いですね。
営業用ビジネスバッグ“BIZGEAR SERIES”
こちらのブリーフバッグの最大の特徴は、書類とガジェットをしっかりと分けられる点です。ガジェットをしっかり整理して収納できるポケットを内側に完備。大きく開く書類専用のコンパートメントも備えているため、小型のキャビネットのように使うことができます。
なるほど、書類などが多く収納力を優先したい方に最適なブリーフバッグですね。
ビジネスバッグ“ORGULLO”(オルガロ)
こちらは外観にこだわったアイテムになっています。当社の他のブリーフバッグは高機能な収納力・整理力を備えたものが多いのですが、このORGULLOは薄マチでかなりスリムな設計です。スタイリッシュさを演出できるデザインということもあり、当社のブリーフバッグの中でも長くご愛顧いただいているロングセラーモデルとなっています。
スリムなデザインなのに、15.6インチのパソコンまで対応できるのは頼もしいですね。
メイン気室は3つに分かれていますし、前面にも小物を収納して簡単に取り出せるようなポケットを備えています。スタイリッシュさを重視しながらも、必要な収納力は兼ね備えているので、商談などのフォーマルなビジネスシーンで活躍すると思います。
スタンダードキャリングバッグ“UB”
こちらはビジネスカジュアルが流行り始めたタイミングで開発した製品です。機能についてはその他の製品と同様、しっかりとした収納力を持ちつつ、外観をかなりシンプルにしています。かなりフラットな外観で、スタイリッシュかつカジュアルに仕上げており、機能と外観の両立が大きなポイントになります。
こちらのブリーフバッグはどんな方におすすめですか?
スタイリッシュさと収納力のバランスが良く活用シーンは広いと思いますが、特にオフィスカジュアルが多い方におすすめしたいです。
エンジニアにおすすめのガジェットポーチ3選
続いてガジェットポーチについても教えてください。
テレワークが増えていることもあり、デジタル機器をすっきり収納できてすぐに取り出せるガジェットポーチのニーズが高まっています。実は今回選んだ3つのガジェットポーチは、全てテレワークが世間的に始まったタイミングで企画し始めています。
なるほど。ガジェットポーチはどんなところにこだわって商品設計していますか?
ただ単に自分のガジェットを収納するだけではなく、収納した後の使い方まで考えて設計しています。自分が仕事で使うものを一括できちんと収納できて、どこに入っているのかひと目でわかる。そして、ガバッと大きく開き収納物に対してすぐにアクセスできる。「大容量のペンスタンド」のようなイメージで使えるよう工夫しています。
オーガナイズポーチ スタンドタイプ
おすすめのガジェットポーチとして、『オーガナイズポーチ スタンドタイプ』について教えてください。
一般的なガジェットポーチは袋を開くようなデザインが多いのですが、この商品は斜めのラインにファスナーが付いています。そのため、ポーチを開いたときに何がどこに入っているのかひと目でわかり、必要なものをすぐに取り出すことができます。
もう一つのポイントとしては、手前のメッシュのポケット空間ですね。このスペースに充電器を入れたり、ステーショナリー系をまとめたりして、ペンケースのように使うことができます。メッシュになっているのもポイントで、わざわざ開けなくても収納物が分かるので探す手間が省けます。
最近増えているフリーアドレスのオフィスでも便利に使えそうですね。
ええ、フリーアドレスのオフィスで自分の固定席がない場合に、自分の小物をどのように持ち運んでデスクの上で展開しようか悩むことが多いと思います。そういったとき手軽に持ち運んで、使いたい機器をすぐに取り出すことができます。
オーガナイズポーチ キャリングタイプ
こちらのポーチは、中の仕切りを組み替えられることが最大の特徴になります。収納するガジェットの大きさ、量に応じてこの仕切りを組み替えて最適な配置にできる。カスタマイズ性の高いガジェットポーチになっています。
周辺機器の大きさに合わせてカスタマイズできるのは便利ですね。しかも大容量で、タブレットまで収納できるのは驚きです。
オーガナイズポーチ ストレージタイプ
こちらはコンパクトなサイズながら、気室内にたくさんの仕切りを設けているのが特徴です。周辺機器をそれぞれの仕切りに収納でき、混ざりにくくなっています。しかも、開口部をガバッと広く開く設計にすることで、中身がひと目でわかり、アイテムを迷わず取り出すことができます。
先ほど紹介された『オーガナイズポーチ キャリングタイプ』との違いは?
収納物の量で使い分けていただくのが良いと思います。先ほどの「キャリングタイプ」は大容量なので周辺機器が多い方や、自宅で使用する方におすすめです。こちらの「ストレージタイプ」はコンパクトなサイズなので、必要最低限の機器を収納して持ち歩くときに便利です。
【番外編】“推しごと”におすすめのバックパック
ここまで3タイプのビジネスバッグをご紹介いただきましたが、その他におすすめの商品などありますか?
「推しごとバックパック」という、推し活、いわゆるオタクの活動に最適なバッグを展開しています。
一見、普通のバッグパックに見えますがこちらの商品の特徴は?
こちらの「推しごとバックパック」、通常の状態だと普通のバックパックにしか見えません。ところが、オタク活動としてライブ会場に行ったり、同人誌の即売会に行ったりしたときに、フロントのパネルを外すと中が透明になり、収納している「推しグッズ」を見せられます。つまり、通常のバックパックと“痛バッグ”と呼ばれるオタク用のバッグを切り替えるというわけです。
なるほど、オタ活に寄り添って作られた商品ということですね。
ええ、従来のいわゆる“痛バッグ”というのは、全部フルで見えてしまうものしか無かったんです。私も実はオタクなのですが、“痛バッグ”では周囲の目が気になりまして…。
そこで荷物の多いオタクの皆さんのために、弊社のガジェットバッグのノウハウを駆使して設計しました。豊富な収納力を備えつつ、「周囲の目が気になる時は隠したい」というニーズを押さえたアイテムになっています。
ビジネスバッグの商品開発における今後の展望
最後に今後の展望についても教えてください。
世の中ではカジュアルなバッグであっても、パソコンやガジェットを入れるということが当たり前になりつつあります。スポーツ系からアウトドア系まで、バッグにはさまざまなタイプがありますが、基本的にはどのようなバッグでもパソコンを収納することは可能です。今後はエレコムも「PCバッグ」という枠を越えて、もっといろいろな種類のバッグを展開し、新たなジャンルにも果敢に挑戦していきたいと思います。
※担当者の所属・肩書、商品の詳細は取材当時の内容です。
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