初心者におすすめなプログラミング言語とは?

近年、日本ではIT化に伴うIT人材不足が叫ばれています。小学校でもプログラミング学習が始まるなど、社会におけるプログラミング技術の重要度や需要の高さが浮き彫りになりました。
子どものみならず大学生や社会人の方々でも、最近になってプログラミングを学んでみようと思うようになった人は多いのではないでしょうか。この記事では、これからプログラミングを学ぶ方々に向けて、初心者におすすめのプログラミング言語やその特徴を紹介します。
初めに、そもそもプログラミング言語の役割や仕組みについて解説し、TIOBEによる言語ランキングについても紹介します。
そもそもプログラミング言語とは
プログラミング言語とは、コンピューターに命令するための言語のことです。コンピューターは基本的に0と1で構成された機械語しか読み取れず、日本語や英語などの自然言語を読み取ることができません。
しかし、機械語は人間にとっては分かりにくいため、機械語を使うとコンピューターに命令する際に多くの時間がかかってしまいます。
そこで、技術者たちはプログラミング言語を作り、さらにプログラミング言語を機械語に翻訳する機械を開発しました。プログラミング言語は人間にも分かりやすいようにできており、簡単にコンピューターに命令を行うことができます。


プログラミング言語によって開発できるものは異なる
プログラミング言語を選択するうえで知っておくべきことは、言語によって開発できるものが異なることです。例えば、Webアプリ開発ではPHPなどが多く使われていますが、PHPはスマホアプリ開発や機械学習などにはほとんど使われていません。
このように、言語ごとに得意分野・苦手分野が存在するため、言語を選択する際は自分が関わりたい分野に合わせた言語を選択することが重要です。


TIOBEプログラミング言語ランキングについて
プログラミング言語は200種類以上あるといわれており、それぞれ文法が異なっています。しかし、実際に業務で使われているプログラミング言語はそこまで多くありません。
また、プログラミング言語の中には、需要や将来性の高いもの・そうでないものがあります。そのため、なるべく需要や将来性の高い言語を勉強した方が、多くの企業で将来にわたってプログラマーとして活躍できる可能性が高まります。
プログラミング言語の需要や将来性を知るうえで参考になるのが、 TIOBEが毎年発表しているプログラミング言語の検索数ランキングです。TIOBEは各言語の検索数を集計してランキングをまとめています。TIOBEが2024年に発表しているランキングは次の通りです。
- 1位:Python
- 2位:C++
- 3位:Java
- 4位:C
- 5位:C#
- 6位:JavaScript
- 7位:Go
- 8位:SQL
- 9位:Visual Basic
- 10位:Fortran
【参考】:TIOBE Index - TIOBE
上記ランキングはあくまで各言語の検索数を元にした情報ですが、その言語の注目度を知ることができます。注目度が高い言語は、その分需要や将来性もあると考えられます。
ただし、ランキング上位の言語の中には難易度が高いものも含まれています。特に初心者の方は人気の言語であっても、入門に向いているかを調べてから学習することをおすすめします。
本記事ではこのランキング結果も踏まえつつ、初心者でも勉強しやすい言語を紹介していきます。
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プログラミング言語の選び方

前述の通りプログラミング言語は200種類ほど存在し、派生した言語を含めるとその数は1,000を超えるとされています。そのため、プログラミング言語の選択は目的や開発したいものとマッチさせる必要があります。そこで、ここではプログラミング言語の選び方のポイントについて解説します。
目的とマッチしている
ホームページを作成したり、スマホアプリを開発したり、あるいはAI技術を開発するなど、目的によって使用する言語は異なります。例えば、ホームページ作成にはHTMLやCSS、JavaScriptなどが主に使用されます。
このように、開発するものによっては複数の言語を組み合わせることがあります。プログラミング言語を選択する際は、目的とマッチしている言語を選びましょう。
習得しやすい
文法が複雑だったり、学習のための情報が不足していたりする難易度の高いプログラミング言語は、初心者には不向きと言えます。例えば、C++は複雑なメモリ管理が必要で、Rustは所有権モデルが初心者には難解であるなど、いきなり習得難易度が高い言語を学習すると挫折しやすくなります。
初心者でも習得しやすい言語としては、PythonやJavaScript、Ruby、PHPなどが挙げられます。これらの言語は習得しやすいだけでなく、あらゆる範囲で広く活用されているため、習得して損はないと言えるでしょう。
将来性が高い
学習したプログラミング言語が数年のうちに廃れてしまうのは、できれば避けたいものです。プログラミング言語を選択する際は、将来性が高く、習得する価値が高い言語がおすすめです。
今後も需要が高い言語としては、データサイエンスや人工知能、機械学習などで支持されているPythonが挙げられます。その他にも、フロントエンドからバックエンドまで幅広く対応できるJavaScript、アプリ開発に最適なSwiftやKotlinなども将来性が高いと言えるでしょう。

初心者向けのプログラミング言語の特徴

初心者向けのプログラミング言語には2つの特徴があります。これら2つの特徴を理解しておくことで、なぜこれらの言語を勉強すべきか分かり納得感を持って学習できます。
文法が易しい
初心者向けのプログラミング言語は文法が易しめです。プログラミングを学ぶには言語の文法をまず覚える必要があるのですが、中には文法が複雑だったりソースコードが読みにくかったりする言語もあります。
また、C言語などコンピューターのCPUやメモリなどの仕組みを理解していないと、文法を完全理解することが難しいものもあります。
PHPやPythonなどは、どのような処理を行う場合でもシンプルに書きやすいうえに、コンピューターのハードウェア面の理解もそこまで必要ありません。
日本語の参考書や学習サイトが豊富
後ほど紹介するプログラミング言語は、日本語の情報が豊富です。参考書や学習サイトも多くあるため、勉強がしやすいのがメリットです。プログラミング言語の中には参考書や学習サイトが少なかったり、検索して調べても英語の情報しか見つからなかったりするものもあります。
おすすめのプログラミング言語10選

初心者向けのおすすめプログラミング言語を、目的別に10個まとめました。Webアプリ開発向け、スマホアプリ開発向けなど各ジャンルのなかで多く使われている言語を紹介しています。
PHP:Webアプリ開発
Webアプリ開発がしたいならPHPがおすすめです。PHPは文法が平易なうえに覚えることが少ないため、初心者に向いているとされています。また、HTMLに埋め込んで手軽に書ける点も特徴です。
さらに、PHPはアップデートされ続けており、最新版では処理速度なども改善されてきています。今後もWebアプリ開発分野では使われ続けることが予想されます。
【参考】:PHP: Hypertext Preprocessor
Python:AI・機械学習
機械学習がしたいならPythonがおすすめです。Pythonはソースコードの可読性が高く、他の人が書いたコードを読みやすいのが特徴です。また、機械学習ライブラリが多くあり、ライブラリを活用することで初心者でも簡単に人工知能プログラムやデータ分析が可能となります。
昨今盛んであるAI分野においてPythonは欠かせない言語であり、AIチャットボットであるChatGPTの開発にも活用されています。Pythonは自然言語処理(NLP)や機械学習の分野で広く利用されており、これらの技術を活かしたAIチャットボット開発に最適です。
【参考】:プログラミング言語 Python 総合情報サイト - python.jp
Ruby:サーバーサイド開発
サーバーサイド開発がしたいならRubyがおすすめです。Rubyはソースコードを1行ずつ機械語に翻訳して実行する「インタプリタ型言語」に分類され、コンパイルの手間がかかりません。また、プログラムの修正がしやすく、同じようなシステムを作りやすいオブジェクト指向型言語でもあります。
Rubyの有名なフレームワークである「Ruby on Rails」は、Webアプリ開発やECサイトの構築などのサーバーサイド開発に活用されています。Rubyを学習する際は、Ruby on Railsもセットで習得しましょう。
【参考】:オブジェクト指向スクリプト言語 Ruby
JavaScript:フロントエンド開発
Webアプリ開発の中でもユーザーが目にする部分を担当するフロントエンドの開発を行いたいなら、JavaScriptがおすすめです。フロントエンド開発では、JavaScript以外の言語は現状ほとんど使われていないためです。
JavaScriptを使うことでWebページのHTMLを変更し、Webページに動きをつけることができます。JavaScriptは難易度もそれほど高くないとされており、開発環境を用意しなくてもブラウザさえあれば動かせるため、初心者にもおすすめです。
【参考】:JavaScript|MDN
TypeScript:大規模開発
中〜大規模開発がしたいならTypeScriptがおすすめです。マイクロソフト社によって、動的型付けのJavaScriptを拡張して実装されたオープンソースのプログラミング言語であり、静的型付けをサポートしています。
JavaScriptとの互換性はもちろん、処理速度の速さやクラスベースのオブジェクト指向のサポートなど、さまざまな機能が大規模開発において有用です。
【参考】:TypeScript: JavaScript With Syntax For Types
Kotlin:Androidアプリ開発
Androidアプリ開発がしたいならKotlinがおすすめです。Androidアプリ開発ではKotlinとJavaが多く使われていますが、Kotlinの方が文法がシンプルなうえに、バグが出にくい仕様になっているためおすすめです。
ただ、Javaの方が汎用性は広く業務システム開発などにも使えるため、スマホアプリ開発以外も行いたいならJavaを選んだ方が良いでしょう。
【参考】:Kotlin Programming Language
Swift:iPhoneアプリ開発
iPhoneアプリ開発がしたいならSwiftがおすすめです。従来はiPhoneアプリ開発ではObjective-Cが人気でしたが、最近ではSwiftの方が人気が高いです。SwiftもKotlin同様に文法が平易であり、初心者でも短時間で習得しやすい言語です。
ただし、iPhoneアプリ開発ではMacパソコンが必須であるなど、Androidアプリ開発に比べて開発環境構築の敷居が若干高い点は注意が必要です。
【参考】:Swift - Apple(日本)
C#:ゲーム開発
ゲーム開発がしたいならC#がおすすめです。C#はマイクロソフトが開発したプログラミング言語であり、名前は似ていますがC言語とはまったく別のものです。C#はC言語と比べて難易度が低く、初心者でも手軽にゲーム開発が行えます。
【参考】:C# 関連のドキュメント | Microsoft Docs
Java:業務系アプリ開発
業務系アプリを開発したいならJavaがおすすめです。Javaはオブジェクト指向のプログラミング言語であり、企業向けのアプリやモバイルアプリ、組み込みシステムなどの開発に向いています。
また、Javaで作成したプログラムは異なるOS間で実行することもできます。初心者向けの言語として習得しやすく、関連書籍や情報が豊富なのも大きなメリットです。
【参考】:Java | Oracle
Go:Webサービス開発
Webサービス開発がしたいならGoがおすすめです。Go(golang)は2009年にGoogle社によって開発された非常に汎用性の高いプログラミング言語であり、アプリ開発やWebサービス開発などで活躍します。
文法がシンプルで分かりやすく、JavaやCと構文が似ているため、初心者にも理解しやすい言語の1つです。また、平行処理が可能で処理スピードが速く、シンプルな言語仕様はコーディングミスが少ないのも特徴です。
【参考】:The Go Programming Language

その他に初心者が習得しておきたいスキル

ここでは、先ほど紹介した10言語以外に習得したいスキルについて解説します。スマホアプリやWebアプリを開発する場合は、次の2つが必要になることが多いです。この2つの学習コストはそれほど高くないため、並行して習得するのが良いでしょう。
SQL
SQLはデータベースに格納されたデータを管理するための言語です。ECサイトやSNSなどのWebサービスのほとんどにはデータベースが使われているため、SQLも習得した方が良いでしょう。SQLを使うことでデータの検索や追加・削除・更新を行うことが可能です。
HTML・CSS
HTML・CSSはWebページを作成する際に使われるマークアップ言語です。厳密にはプログラミング言語ではありませんが、Webアプリやスマホアプリを開発する際は基本的に使われるため、併せて習得すると良いでしょう。
特にJavaScriptを使ってのフロントエンド開発に携わりたい方は、JavaScriptよりも先にHTML・CSSを習得した方が学習がスムーズになります。
プログラミング学習は何から始めるのが良い?

これからプログラミング学習を始めようと思っているプログラミング初心者の方は、まず何から始めたら良いのかわからないということも多いでしょう。プログラミング学習の始め方や学習方法について簡単に解説します。
これからプログラミング学習を始めようと思っているプログラミング初心者の方は、まず何から始めたら良いのかわからないということも多いでしょう。プログラミング学習の始め方や学習方法について簡単に解説します。
プログラミング学習を始める基本の手順
プログラミング学習を始める基本手順は以下の通りです。
1.プログラミングを学ぶ目的を決める 2.学ぶプログラミング言語を決める 3.学習方法を決め、学習計画を立てる 4.開発環境を整える
まずは「プログラミング技術を使って何を作りたいのか」を明確にします。前述したように、目的が決まれば自ずと選択すべきプログラミング言語も見えてきます。選ぶ言語によって必要となる環境も異なります。
目的の設定と言語選択の次は、学習方法の決定です。プログラミングスクールに通う・書籍や学習サイトなどを使って独学で習得するなどの方法があります。特に独学の場合は、学習計画をしっかりと立てる必要があります。
書籍や学習サイトを活用する
プログラミング学習には、学習内容に合う書籍の活用がおすすめです。プログラミング言語や学びたい内容別に書籍を選びましょう。ここでは、おすすめの書籍を紹介します。
「プログラミング〈新〉作法 これからプログラムを書く人のために」
本書は、C言語やPython、JavaScriptなどの基本的な言語の解説の他、関数やプログラムが動く仕組みなどについても論理的に学習できます。プログラミング入門者が読んでおきたい1冊です。
▪著者:荒木 雅弘 ▪ページ数:320ページ ▪出版社:講談社サイエンティフィク ▪発売日:2024/9/26 【参考】:プログラミング〈新〉作法 これからプログラムを書く人のために
また、書籍の他には学習サイトも併用することでさらに効果的・効率的に知識を学べます。代表的な学習サイトとしては、「Progate」や「ドットインストール」などが挙げられます。これらは無料で利用できるサービスなので、ぜひ活用しましょう。
【参考】:Progate | プログラミングの入門なら基礎から学べるProgate[プロゲート] 【参考】:ドットインストール - 3分動画でマスターできるプログラミング学習サービス
入社後にプログラミングを学べる企業もある
プログラマーを始めとしたIT人材の育成を積極的に行っている企業では、経験がなくても教育制度を利用して入社後に1からプログラミングを学べる場合もあります。
こういった教育制度を利用すれば働きながら学べるうえ、元から環境が整っていてサポート体制もあります。プログラミングスクールや独学などに比べてお金や労力がかからない点がメリットです。
企業によって募集要項などが異なりますので、自分の学びたい分野で募集できる企業があるか探してみましょう。転職エージェントでは企業の情報も豊富にあるので、活用することをおすすめします。
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プログラマーの年収

プログラミング言語を用いてプログラミングを行うのが「プログラマー」です。プログラミングスキルを身に付けてプログラマーとして働くことを目指している方に向けて、最後にその年収情報を紹介します。
プログラマーの年収は「マイナビエージェント 職種図鑑」での平均年収は344万円(※2025年1月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のSE・プログラマ(顧客向けシステムの開発・実装)を参考にすると、平均年収593万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、プログラマーの年収は調査媒体によってバラつきがあることが分かります。
IT業界ではスキルが重視される傾向があるため、スキルアップによる転職やキャリアアップで年収が大きく増加する特徴があります。プログラマーはITエンジニアの登竜門とも言われている職種でもあるため、企業によっては年収が高くないことがあります。
しかし、裏を返せば伸びしろが多い職種とも言えます。IT人材はこれからますます需要が高まると予想されるので、スキルアップに応じて年収も上げていくことができるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
自分の今後のキャリアを踏まえてプログラミング言語を選択しよう

本記事では、初心者におすすめのプログラミング言語について解説しました。プログラミング言語は種類によって開発できるものが異なるため、開発したいジャンルに合わせた言語選択が大切です。
言語が決まれば、いよいよ実践に移しましょう。初心者でも挑戦できる企業を探す場合、またプログラミングスキルを身に付けて即戦力として入社を目指す場合も、今後のキャリアプランを踏まえて自分に合った企業を選ぶことが大切です。
企業年数や携わる分野、制度や働き方など、同じIT系企業でもその特徴は大きく異なります。数ある企業の中から、自分のスキルや希望する環境とマッチする企業を選ぶ必要があります。
そこで利用を推奨するのがマイナビIT エージェントです。
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