Pythonと機械学習について
今人気のプログラミング言語といえば、Pythonを思い浮かべる人が少なくないでしょう。また、人気の機械学習ではPythonがよく使用されています。そんなことからPythonを習得して、機械学習エンジニアを目指すエンジニアの方も増えています。
ここでは、Pythonと機械学習の関係について理解を深めていきましょう。
Pythonとは
Pythonは今、もっとも注目される人気のプログラミング言語で、平易な文法でプログラミング初心者でも習得しやすいこと、およびAI関連の開発でも利用されている点が特徴です。
Pythonはインタプリタ型言語に属し、実行時には機械語に変換されるため、コンパイル(機械語への翻訳)が不要です。手間はかからないものの、同時翻訳を行うことから処理速度がやや遅くなるのは弱点です。インタプリタ言語には他にも、Ruby・Perl・PHP・JavaScriptなどがあります。
機械学習とは
機械学習を一言で述べると、人間の学習能力と同様の能力をコンピュータに与えるための技術です。
具体的にはコンピュータに大量データを読み込ませ、アルゴリズムを元にデータを分析させます(モデル化)。その結果、コンピュータがそこに潜んでいる特徴やパターンに基づき、新しいデータの分析や予測を行うのです。
機械学習には、あらかじめラベルが付いたデータを読み込ませる「教師あり学習」と、ラベルの付かないデータを与えて、特徴や傾向を学習させる「教師なし学習」、さらには教師あり学習の中でも、出力結果に点数を付けて精度を高める「強化学習」の3パターンがあります。
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機械学習とAI・ディープラーニングの違いは?
機械学習とよく似た言葉に、AIやディープラーニング(深層学習)があります。ここでは、それぞれの違いについて解説します。
機械学習とAIの違い
機械学習はAIの一部で、学習方法を設定しコントロールすることであり、コンピュータに学習させるプログラムの技法を指します。
一方、AI(人工知能)とは人間の知的ふるまいの一部について、ソフトウエアを用いて再現する技術の総称です。AIが目指すのは人と同様、もしくはそれ以上の知能を有するコンピュータの実現です。つまり両者は、「AI > 機械学習」の関係にあると言えます。
機械学習とディープラーニングの違い
機械学習と対比する形で、ディープラーニング(深層学習)という言葉をよく耳にします。どちらもコンピュータの学習機能ですが、機械学習は学習プログラムと人によるコントロールで学習が進められます。
一方、ディープラーニングは人間の指示を待たずにコンピュータ自らが学習し、その性能を高めていく手法です。
Pythonが機械学習によく利用される理由
AIブームが追い風となって、機械学習の人気が高まっています。この機械学習にはPythonがR言語やC言語を抑えてよく利用されていますが、それには次のような理由があると考えられます。
実績が豊富で信頼性が高い
Pythonは扱いやすく、高い生産性を生み出す言語です。実は、PythonはWebアプリケーション開発分野でも広く利用されています。例えば、皆さんよくご存じのYouTube・Dropbox・Instagramなどの一部機能はPythonによって開発されています。
もちろん、大手企業以外のベンチャー系でも活用されており、このように利用実績や利用ユーザが多いことも、機械学習分野でよく利用される理由の1つです。
文法がシンプルで分かりやすい
Pythonはコード数が少なく、文法がシンプルで覚えやすい言語のため、教育でも利用されています。また、他の人が記述したコードも分かりやすいので、メンテナンス性が高く、共同開発に適していることも機械学習分野で利用される理由に挙げられます。
初心者でも比較的習得しやすいPythonは、これからITエンジニアを目指す方にもおすすめの言語です。もしも、未経験からITエンジニアを目指すなら、自分のスキルにあった企業を探してくれる転職エージェントの活用をおすすめします。
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ライブラリやフレームワークが豊富
Pythonはライブラリが多く、フレームワークが充実している点も特徴として挙げられます。
ライブラリやフレームワークを活用すると開発効率を上げられます。こうしたことから、言語としての利便性が高く汎用性があり、使いやすさがさらに増します。
特に、Pythonは機械学習に必要な関数のライブラリが豊富で、さまざまな関数を自ら実装する手間がかかりません。初心者でも機械学習のコードを書くことができる点が、Pythonを採用する理由になっています。
Pythonコミュニティが活発
Pythonのコミュニティは数が多く、その活動も非常に活発です。Pythonコミュニティに参加するとプログラミングの仲間ができ、独学よりも効果的にPythonを学べます。
また、必要な時は仲間に助けを求めることもできます。このPythonコミュニティの豊富さ、活発な活動がPythonが広く利用される理由です。
Pythonによる機械学習でできること
ここまでPythonによる機械学習の基本について解説をしていきましたが、ここではPythonの機械学習を利用すると何が実現できるのかについて紹介します。
株価予想や競馬の勝ち馬予測
人間は何かを予測する際に、何らかのアルゴリズムに基づいて予測をしています。
例えば、上昇基調に入った株式銘柄は、引き続き上がる可能性がありますし、下降基調から底値に達した銘柄は上昇基調に入る可能性が高まります。人は株価チャートを見ながら、こうした株価予測を行います。
このパターンをコンピュータに教え込むと、数千もある銘柄から、株価が上がる可能性が高い銘柄を瞬時に見つけてくれます。
これは競馬予想でも同様です。競馬予想の専門家が持つアルゴリズムをコンピュータに与え、予測に必要なデータを投入するとコンピュータが予測をします。こうした予測は今やAIの得意分野となっています。
画像認識や画像解析
パソコンやスマホの世界でも顔認証が当たり前になってきましたが、この画像認識や画像解析も機械学習によって可能となっています。画像解析には、物体分類、シーン認識といった「分類」と、物体検出や領域検出といった「検出」の4つの領域があり、車の自動運転では、領域検出の技術が利用されています。
テキストマイニング技術
テキストマイニングとは、大量のテキストデータの中から有益な情報を取り出す分析手法のことで、言語解析や統計解析などの手法を用います。
例えば、集められた大量のアンケートは、X(旧:Twitter)などのSNSの分析に用いられ、顧客の潜在ニーズの分析や、今後ブームになるであろうワードの抽出や市場予測など、さまざまな目的で利用されています。
他にも、スパムメールの判別を行うスパムフィルターなどにもテキストマイニング技術が活用されています。
Pythonを機械学習に使うエンジニアとは
Pythonを使った機械学習を担当するITエンジニア、すなわち「機械学習エンジニア」について触れておきましょう。
機械学習エンジニアの特徴
機械学習エンジニアとは、主にAI(人口知能)関連の分野でシステム設計や構築に携わるITエンジニアのことです。中でも、機械学習エンジニアは主に機械学習システムの実装や開発を担当します。
機械学習の英語、Machine Learningの頭文字から「MLエンジニア」とも呼ばれます。
機械学習エンジニアに必要なスキル
機械学習エンジニアは、PythonやC系言語を中心としたプログラミング技術、学習アルゴリズムの設計に関する知識が求められます。アルゴリズムの設計には高等数学や統計理論などを用いますので、そうした分野の学歴や経験が必要になります。
その他、HadoopやSQLなどのデータベースに関する知見も重要です。さらには大量の蓄積データの活用においては、ビッグデータ解析の知識や経験も求められるでしょう。
また、システムインフラに関する一定の知見が必要になることもあります。具体的にはOSとハードウェアに関する知識です。以上、一口に機械学習エンジニアと言っても、かなり広範囲のスキルが求められますので、実務を通じてさまざまな経験を積む必要があります。
機械学習エンジニアの年収
次に、機械学習エンジニアの年収例を紹介します。ここでは「製品開発/研究開発」というカテゴリを例に挙げて見ていきます。
「マイナビエージェント 職種図鑑」での「製品開発/研究開発」の平均年収は477万円(※2024年1月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種の「IT技術スペシャリスト(特定技術(DB・NW・セキュリティ等))」を参考にすると、平均年収758万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、製品開発/研究開発は平均年収よりもやや高いことが分かります。
機械学習エンジニアやAIエンジニアは、スキルや実績によって年収が変動しやすい職種です。資格を取得するなどしてスキルを証明できれば、さらなる年収アップや上位職へのキャリアアップに繋げることができるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
データサイエンティストとの違いは
「機械学習エンジニア」と「データサイエンティスト」は大変似た職種のように思われがちですが、実はかなり違いがあります。
「機械学習エンジニア」は機械学習のアルゴリズムに関する設計や開発・実装を行う技術者で、ITエンジニア職種の1種です。
一方の「データサイエンティスト」は機械学習アルゴリズムを利用する側で、データ分析や統計に関する専門家です。
Pythonを使える機械学習エンジニアを目指すには
機械学習エンジニアは主にAI(人工知能)の分野で機械学習を担当するエンジニアであり、将来性が高い職種と考えられます。この機械学習エンジニアを目指す上で必要なスキル・機械学習エンジニアになる上で役立つ資格・機械学習エンジニアの将来性について考察していきましょう。
Python習得におすすめの本とサイト
ここでは、Python習得におすすめの本とサイトを紹介します。初心者でもわかりやすい入門的な内容なので、まずはこういった本やサイトを利用して理解を深めましょう。
・「スッキリわかるPython入門 第2版」 シリーズ累計90万部を突破した人気の書籍です。Pythonのコツやしくみだけでなく、ついつい間違えやすい落とし穴までしっかり抑えられています。イラストと文章でわかりやすく解説されており、初心者にはぴったりの内容です。
さらに、実践的なコーディング力を鍛える「ゲーム開発の総合演習」も掲載されています。
▪著者:国本 大悟 / 須藤 秋良 監修:株式会社フレアリンク ▪ページ数:416ページ ▪出版社:インプレスブックス ▪発売日:2023/11/6 【参考】:スッキリわかるPython入門 第2版
・「ゼロからのPython入門講座」 Pythonの公式HPでは、初心者向けの入門講座が提供されています。Webブラウザから面倒な環境設定なしに、プログラミングを体験できるため、試しにやってみたい、という方におすすめです。
このサイトでは、Pythonプログラミングに必要な最低限の操作方法と、基礎知識の習得が目指せます。先に紹介したPythonの入門書と共に学習へ取り込むと、より習得がスムーズになるでしょう。
【参考】:ゼロからのPython入門講座
機械学習エンジニアを目指す人におすすめの資格
次に、機械学習エンジニアとしての資格を紹介しましょう。
日本ディープラーニング協会の検定で、G検定は一般知識を問うジェネラリスト向けの検定です。E検定はプログラマーやエンジニア向けで専門知識を問う内容です。
【参考】:一般社団法人 日本ディープラーニング協会のG検定、E検定
統計に関するスキルを評価する統一試験としては、一般財団法人 統計質保証推進協会の「統計検定試験」があります。統計関係の知識や技能を証明できる資格ですので、取得しておいた方が良いでしょう。
また、Pythonについての資格を習得したい方は、以下2つの資格取得がおすすめです。一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会の認定資格ですが、それぞれのサイトには勉強法や模擬試験などのコーナーがありますので、ぜひ一度アクセスしてみてください。
【参考】:Python 3 エンジニア認定基礎試験 【参考】:Python 3 エンジニア認定データ分析試験
AI(人工知能)市場の将来性
AI(人工知能)市場は年々急速に拡大をしており、AIエンジニア、機械学習エンジニアの需要も大きく伸びています。独立行政法人IPAの「IT人材白書2020」によると、1,001名以上のユーザ企業において約98%がAI人材の質が不足していると回答しています(2019年調査)。
これはAI人材の一翼を担う機械学習エンジニアにも当てはまることであり、機械学習エンジニアを目指せば、目の前に大きな可能性が広がることを意味しています。このチャンスを逃さぬよう、機械学習エンジニアを目指す皆さんは、ぜひスキルアップを目指してみてください。
【参考】:IT人材白書2020
Pythonを機械学習で活用しよう
Pythonはシンプルでわかりやすく、実績の多いプログラミング言語のため、機械学習においてよく使用されています。そんなPythonを使用した機械学習は、画像認識やテキストマイニングなど現代に欠かせない技術です。
将来性のある分野でもあるので、スキルアップを望む方はぜひPythonを習得し、機械学習エンジニアを目指してみましょう。とはいえ、本当に習得した技術を活かせる企業が見つかるのかどうか、心配な方も多いかもしれません。
そこでぜひご活用いただきたいのがマイナビIT エージェントです。
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・資格やプログラミングの勉強をしているけれど、企業が求めるレベルに達しているのかわからない ・スキルアップをして市場価値を上げていける企業の選び方を知りたい ・数多くあるITエンジニアの職種の中で、自分に向いている仕事は何か知りたい
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