インフラエンジニアになって後悔しないために
数あるエンジニア職種の中で、インフラエンジニアほど評価が分かれるエンジニア職種はなかなか見当たりません。
「仕事がキツい」「オワコン」といったネガティブな評価や見方がある一方で、「仕事が楽すぎる」「マニュアルが整っている」「残業が少ない」「比較的年収が良い」といったポジティブな評価や見方もあります。どちらが正解というものではなく、個々人の受け止め方や職場環境によるものが大きいと考えられます。
この記事では、インフラエンジニアを目指す人・職種選択に迷っている人・インフラエンジニアへの転職を検討している人に向けて、インフラエンジニアの仕事内容・待遇・将来性・後悔しないためのコツなど、さまざまな観点から解説していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
インフラエンジニアになって後悔しないための方法
現在インフラエンジニアの方もこれから目指す方も、この職種を選んだことを後悔しないための方法があります。これから4つの方法について解説するので、ぜひ参考にしてください。
適性があるか判断する
これから挙げる適性に当てはまらない人がインフラエンジニアになると、挫折して後悔する可能性があるかも知れません。インフラエンジニアはスキルレベルが結果に現れやすく、誤魔化しが効かない仕事が多い職種です。
仕事柄、以下のような特性を持つ人がインフラエンジニアとしての適性があると考えられます。
・機械やメカが好きな人 ・論理的思考ができる人 ・細かいことに気が付く人 ・コミュニケーションスキルが高い人 ・沈着冷静な人
さらに、インフラエンジニアは常に新しい知識や技術を身に付けている必要があるため、勉強嫌いの人はついていけないと感じることがあります。インフラエンジニアとしての適性に当てはまらないと必ずしも後悔する訳ではありませんが、「しんどい」と感じることが多くなるかも知れません。
中には、将来スペシャリストやITコンサルタントを目指す方が、ステップアップを踏むためにインフラエンジニアを選択している場合もあります。このような方は、インフラエンジニアの適性を重視するよりも、将来的な希望職種の適性に着目し、スキルや実績を積みましょう。
これからインフラエンジニアを目指す場合、まずは適性の有無を判断してからインフラエンジニアになるか判断することも大切です。無料で適性検査がチェックできるサイトなどもあるので、参考程度に1度試してみましょう。
インフラエンジニアに役立つ資格を取得する
インフラエンジニアとして活躍するには、次のような資格を取得しておくとよいでしょう。それぞれレベルがあるので、自身のレベルにあった試験を受験しましょう。
・LPI認定資格、LinuC技術者認定資格 「LPI認定資格」と「LinuC技術者認定資格」は、どちらもLinuxを中心にサーバーエンジニアとして必要な知識やスキルを認定する資格です。国際的に通用するのはLPIC、日本国内ならLinuCを取得するとよいでしょう。
【参考】:LPI認定資格 【参考】:LinuC技術者認定資格
・シスコ技術者認定 大手ネットワーク関連メーカーのシスコが認定する「シスコ技術者認定」も、ネットワーク技術者向けの世界的な認定資格です。ネットワークエンジニアを目指すなら、ぜひ取得しておきたい資格です。
【参考】:シスコ技術者認定
・AWS認定 AWSはAmazonが提供するクラウドサービスで、「AWS認定」ではクラウドエンジニアに必要な知識やスキルを身に付けられます。
【参考】:AWS認定
ブラック企業かどうか見極める
インフラエンジニアになって後悔している人の中には、過酷な労働環境に置かれた方が少なくありません。深夜残業を強いられた・サービス残業を求められた・上司のパワハラにあったという経験などから、インフラエンジニアそのものが嫌になった人もいます。
こうした環境はブラック企業にありがちなため、ブラック企業を避け、比較的ホワイト企業の割合が高い大手企業に入社できれば、そうした思いをすることは少ないでしょう。大手はコンプライアンスに厳しく、残業コントロールや有休休暇の取得にも熱心です。
就職を決める前に、ネットの情報からもブラック企業の見分けはある程度できますので、まずは積極的に企業研究を行いましょう。それでも見極めが難しい場合は、転職エージェントの利用がおすすめです。
【参考】:マイナビIT エージェント
キャリアプランを描く
どの職種にも共通することですが、仕事に就いて後悔しないためには明確なキャリアプランを描くことが重要です。5年先・10年先に自分はどんな職種やポジションを目指すのか、そのために自身のスキルアップをどう図っていくのか、しっかりしたプランを描きましょう。
希望の職種に就いた人・希望のポジションを得られた人・希望の年収に到達した人の多くは、明確な将来目標を描き、日々精進し続けた人です。インフラエンジニアは職種が豊富で、ポジションもさまざまあります。まずは自分の適性やこれから先どのようなキャリアパスを歩みたいのかを明確にするところから始めましょう。
インフラエンジニアの職種と仕事
インフラエンジニアの職種と仕事について知っておきましょう。インフラエンジニアはインフラに関わるエンジニアの総称であり、ITインフラの設計・構築・運用・保守などその業務範囲は広く、職種や仕事が多岐に渡っているのが特徴です。
ここでは、インフラエンジニアの具体的な仕事内容についてまとめました。また、仕事の難易度についてもレベルで示しています。
インフラエンジニアの職種
一言でインフラエンジニアと称しても、実際には多くの職種があります。具体的には以下の通りです。
▪サーバーエンジニア サーバ・インフラ全般を担当するエンジニア
▪ネットワークエンジニア ネットワークインフラ全般を担当するエンジニア
▪データベースエンジニア データベースの設計・構築・管理・運用などを担当するエンジニア
▪セキュリティエンジニア ウイルスや不正アクセスからコンピューターやネットワークなどを守る仕事を担当するエンジニア
▪カスタマーエンジニア 顧客向けにハードウェア機器の選定や設置、保守・問い合わせ対応などを担当するエンジニア
▪クラウドエンジニア クラウド技術やクラウドサービスの設計、構築、運用などを担当するエンジニア
以上がインフラエンジニアの主な職種です。続いてインフラエンジニアの仕事内容について確認しましょう。
設計(上級者)
サーバやネットワークなどのあらゆるITインフラ環境の設計に関わる仕事で、顧客への提案・ユーザーの要件定義・設計書の作成などを行います。コンサルタントの領域とも被っていきます。
構築(上級者)
ITシステムを稼働させる環境(ITインフラ)を構築する仕事です。クラウドセンターに関わるエンジニアであれば、IaaSやPaaなどのクラウドサービスを構築します。
運用・保守(中級者)
サーバ・デバイス・ネットワーク機器・ファイアウォール・ロードバランサーなどの、ITインフラ・ソフトウェア・データを正常な状態に保つ仕事です。監視業務とも一部被り、小さな組織では兼務する場合もあります。
監視(中級者)
監視業務は、主にサーバやネットワークなどのITインフラが正常に動いているか否かをチェックする仕事です。主にデータセンター、クラウドセンターなどにある監視センターで働きます。障害を検知すると、その復旧に当たります。
何も障害が起きなければ暇な時間もありますが、一旦障害が発生すると昼夜を問わず忙しくなり、仕事に波があります。
ヘルプデスク(入門者)
ヘルプデスクは、電話・メール・LINEなどで顧客やユーザーの状況、要望などをヒアリングし、担当者につなぐ仕事です。主にコールセンターやヘルプデスクで働きます。
インフラエンジニアに求められる知識やスキル
インフラエンジニアには多くの知識やスキルが求められます。大別すると、「技術スキル」と「ヒューマンスキル」がありますので、それぞれ詳しく解説していきます。
技術系の知識やスキル
▪サーバ系の知識やスキル サーバにはWindowsやLinuxなどのOSを搭載したサーバがあり、ハードとOSやツールに関する知識、スキルが求められます。
▪ネットワーク知識とスキル ネットワーク全般の概念や知識に加え、Ciscoなどのネットワーク製品に関するスキルが必要です。
【参考】:Cisco
▪プログラミングスキル サーバーエンジニアは、サーバ系のプログラム構築を行うことがあります。また、障害対応などでプログラミング知識を求められるケースもあるため、インフラエンジニアはプログラミングの経験があると仕事の幅が広がります。
▪セキュリティ関係の知識やスキル ネットワーク機器・ストレード・ファイアウォール・サーバなどのネットワークに繋がるインフラは、すべてセキュリティ対策が必要です。サイバー攻撃への対策、対処もインフラエンジニアの重要な仕事になりますので、セキュリティ関係の知識やスキルが欠かせません。
▪インフラ設計スキル インフラエンジニアの中でも特にインフラの設計工程を担当するエンジニアには、インフラ設計スキルが必須です。インフラと稼働するシステムとの間にミスマッチやギャップが生じると、システムが期待されたパフォーマンスを得る事ができなくなるため、高い設計スキルが求められます。
▪クラウド関係の知識とスキル 近年、クラウドサービスの利用が急激に増えています。オンプレミスのサーバに関する知識やスキルに加え、AWSやAzureといったクラウドサービスに対する知識やスキルが求められるようになっています。
【参考】:AWS 【参考】:Microsoft Azure
ヒューマンスキル
▪コミュニケーションスキル インフラエンジニアはさまざまなエンジニア、あるいは顧客・取引先と連携しながら仕事を進めなくてはならないため、高いコミュニケーション能力が求められます。
▪マネジメントスキル インフラエンジニアは顧客やユーザーとインフラとの橋渡しを行います。また、中級以上のインフラエンジニアはチーム単位で仕事を行うことになります。さらに上級者になると、プロジェクトマネジメントスキルが求められます。マネジメントスキルは一朝一夕で身に付くスキルではないため、地道な積み重ねが求められます。
インフラエンジニアのデメリット
働き方改革やコンプライアンスによって、ITエンジニアの就労環境はかなり改善していますが、現実にはインフラエンジニアならではの苦労もあります。これから、インフラエンジニアの後悔の一因ともなっている、インフラエンジニアのデメリットについて見ていきましょう。
職種によっては夜勤や休日出勤がある
ITインフラの監視や保守・運用、問合せ対応の仕事では、夜勤や休日出勤が多いケースがあります。サーバやネットワーク障害などでは、迅速な障害対応が求められるため、突発的な出動を余儀なくされるケースもあります。
こうした面が強調されることで、「インフラエンジニアの仕事はキツい」と評価されてしまいます。ただし、監視業務や保守業務も自動化が進み、また故障に瞬時に対応できる冗長化、仮想化技術の進展によって、こうした問題が改善されているという事実も否定できません。
トラブル対応がある
これはインフラエンジニアに限ったことではありませんが、ITエンジニアの多くはトラブル対応による予期せぬ出勤、出動が宿命です。特にインフラエンジニアは障害が発生した場合に、まずその原因がハードにあるのか、ソフトにあるのかについて切り分けを行わねばならず、初動対応が求められます。
単調で地味な作業が多い
インフラエンジニアの仕事の中でも、特に監視や運用・保守の業務はトラブルが発生しない限り単調で地味な作業の繰り返しとなることが多いです。目立たない仕事でもありますし、そのような単純作業がつまらないと感じる人もいるようです。
マニュアル通りに進める作業も多く、中にはそのようなインフラエンジニアの仕事をネット上で「楽すぎる」という人もいます。楽しいと感じるかつまらないと感じるかは、個人の性格なども影響していると考えられます。
そのした状況では自身の成長や達成感を感じづらく、モチベーションの維持も難しくなって後悔につながるケースがあります。常に新しいことに挑戦し、クリエイティブな仕事がしたいという人には向いていないのかもしれません。
フリーランスになりにくい
プログラマーやシステムエンジニアは、ある程度実力や実績を積むとフリーランスとして活躍することができます。昨今フリーランスになって自由な働き方を選択するITエンジニアが増えていますが、インフラエンジニアはフリーランスになりにくいとされる職種です。
理由として、精密機器を取り扱うことが多いため、リモートワーク・在宅勤務のエンジニアには依頼しにくい傾向があります。もちろんフリーランスとして活躍しているインフラエンジニアもいますが、割合としてはプログラマーやシステムエンジニアの方が断然多いでしょう。
インフラエンジニアとしてフリーランスになるよりも、ITコンサルタントなどにキャリアアップをしてからフリーランスになった方が道が開きやすくなるかも知れません。
インフラエンジニアのメリット
一方で、インフラエンジニアの仕事にはどのようなメリットがあるのでしょうか。インフラエンジニアの仕事に対する偏見や厳しい見方もありますが、実は「将来性が高い」「エンジニアの中でも年収が高い」「職種やキャリアプランが豊富」などのメリットがあります。
将来性が高い
ITの進展に伴い、ITインフラの重要性がますます高まっています。ITシステムが発展を続ける限り、ITインフラも発展を続けます。また、IoT(モノのインターネット化)がさらに広がりを見せ、インフラエンジニアの需要は高まる一方と考えられます。
インフラエンジニアの仕事がなくなることは考えにくく、社会貢献度も高い業務のため、他のITエンジニアの職種と比べても安定した仕事であるとも言えます。
年収アップを狙える
インフラエンジニアが得られる年収を、ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアを参考に見ていきましょう。
ネットワークエンジニアの年収は「マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑」での平均年収は380万円、サーバーエンジニアは429万円、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種の「SE・プログラマ(顧客向けシステムの開発・実装)」を参考にすると、平均年収593万円と分かりました。
国税庁2020年発表の民間給与実態統計調査における民間企業平均年収は433万円なので、マイナビの調査では一般平均年収よりもやや低め、経済産業省の調査ではやや高めであることが分かります。
IT産業の人材不足により未経験者のポテンシャル採用も多いこと、下請けや孫請けの企業では年収が低くなる傾向があることを考えると、インフラエンジニアの需要が高いとはいえ年収の高い人ばかりではありません。しかし、インフラエンジニアは実務経験やスキルの程度によって年収も大きく変わるため、この数字もあくまで参考に過ぎません。
キャリアが浅いうちはいきなり高収入を目指すのは難しいかもしれませんが、スキルアップして上流の工程を担う、あるいは転職をすることによって年収を上げることができます。中には年収1,000万円を超えるインフラエンジニアもいます。
インフラエンジニアは需要と将来性が高い分、転職などの際も選択肢が豊富にあることから、年収アップを狙いやすい職種だと言えるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
幅広い知識を身に付けられる
前述したように、インフラエンジニアには多くの知識やスキルが求められます。サーバやネットワーク、セキュリティ、インフラ設計のスキルなど、その範囲は幅広いですが、これらの知識やスキルはインフラエンジニア以外の職種やインフラ関係ではないプロジェクトにおいても役立ちます。
つまり、インフラエンジニアとして培った知識・技術は他のIT分野に関わることになったとしても決して無駄にはならないのです。資格を取得すればより高度なスキルが身に付きますし、設計なども担当するようになればマネジメントスキルなども身に付きます。
このことは次で説明するように、その後のキャリアアップにおける選択肢の豊富さにもつながります。インフラエンジニアとしてのスキルは、その先のキャリアにおいても長く役立てられるものなのです。
職種やキャリアプランが豊富
前述した通り、インフラエンジニアの職種は6種類と多く、さらに上位には「プロジェクトマネージャー」と「ITアーキテクト」の2つのポジションがあり、選択肢が非常に多いのが特徴です。
また、アプリケーションエンジニアの経験を積めば、オールマイティーなエンジニアであるフルスタック・エンジニアという道もあり、さまざまなキャリアプランを描けます。
インフラエンジニアは良い転職先を見つけるのが鍵
インフラエンジニアで後悔しないためには、まずは自分がインフラエンジニアとして適性があるのかをチェックし、その中でもネットワークエンジニア・サーバーエンジニア・セキュリティエンジニアなど、自分に合った職種選択が重要です。それに伴い、資格取得も有効でしょう。
これからインフラエンジニアへの転職を検討している方は、ブラック企業を避け、働きやすい環境を提供してくれる企業選びが大切です。しかし、優良企業を探すのは簡単なことではありません。
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