AzureとAWSの比較
AzureとAWSは代表的なクラウドサービスです。一般的にクラウドサービスに移行すると総所有コスト(TCO)が削減されると言われており、利用が拡大しています。実際に利用する際はどのような基準で選択するのが良いのでしょうか。ここではAzureとAWSを比較し、違いを説明していきます。
サービス拡大のためにクラウドサービス事業者自体もサービス・事業の公開をしています。特にMicrosoft社は自社Azureと競合するAWSを比較し積極的にユーザ獲得を進めており、サービス内容から料金比較にいたるまで比較情報を公開しています。 参考:Microsoft ドキュメント AWS サービスと Azure サービスの比較 参考:Azure Azure vs. AWS のコスト比較 参考:Azure の価格 参考:AWS 料金
クラウドサービスとは?
クラウドサービスとは、クラウドコンピューティングのリソースをサービス提供するものです。概ねコンピュータ・ストレージ・ネットワークの各リソース、データベース・解析・アプリケーション等、コンピュータ上で動作するサービス・管理機能、アプリケーションのデプロイ等に分類できます。
従来の調達方式である所有モデルは、初期コストに多くの費用が発生していました。クラウドサービスは利用型の従量課金モデルなため、初期コストが低減でき、運用サービス費用を利用料として支払います。これにより、事業成長に合わせたリソース確保と支払いができることで利用者が急増しています。
Azureの特徴
AzureはMicrosoft社が運営・提供するクラウドサービスです。
Azureは140の国と地域でサービス提供されています。185以上のPOP(Point of Presence)を用いてアクセスされ、60以上のリージョンで管理されています。今後すべてのリージョンでアベイラビリティゾーンを提供する予定です。また、主要国をカバーしており、Microsoft製品とソリューションのAzureとの親和性の高さが強みです。 参考:Azure グローバル インフラストラクチャ
AWSの特徴
AWSとは、Amazon Web Serviceの略で、クラウドサービスでのトップシェアを誇ります。
AWSは245の国と地域でサービス提供されており、310以上のPOP(Point of Presence)を用いてアクセスされ、26のリージョンと84のアベイラビリティゾーンで管理されています。AWSの強みはサービス提供地域が広いことが挙げられます。今後も24のアベイラビリティーゾーンと8つのリージョン開設を予定しています。 参考:AWS グローバルインフラストラクチャ
3大クラウドサービスの比較
クラウドサービスではサービス提供されるリソースの割当を行い、従量課金として請求します。そのためクラウド運用上の考え方は概ね共通しています。
ここでは、Azure・AWS・GCPの違いを比較表にしてみました。
・クラウドサービス概要 - Azure:Microsoft社が運営、シェア2位 - AWS:Amazonの子会社であるAWS社が運営、トップシェア - GCP:Google社が運営、シェア3位
・想定顧客
- 共通:個人利用、小規模スタートアップから大企業までカバー
- Azure:7の業界向けに組織課題へのソリューションを提供
- AWS:16の業界向けに包括的なサービスやソリューションを提供
- GCP:新型コロナウイルス感染症への業界別ソリューションも用意
・強み - Azure:Microsoft社製の製品・サービスと親和性が高い、オンプレミス連携可能 - AWS:実績多数であり、国内での利用実績も多いため日本語の情報が手に入りやすい - GCP:Google社製のサービス連携が可能、データ分析の実績が多数
・弱み - Azure:コンピュータ(仮想マシン)の起動に時間を要する、コミュニティの情報量が不足 - AWS:保守の選択に制限がある、豊富なサービスが十分活用できない - GCP:提供地域・リージョンが少ない、日本語の情報が少ない
・料金体系 - Azure:従量課金制、無料枠と現在200USドル分のクレジット付与あり - AWS:従量課金制、無料枠あり、定期的に値下げ実施の実績あり - GCP:従量課金制、無料枠あり
・認定資格 - Azure:ロールベースでアーキテクト系・デベロッパ系等多数 - AWS:ロールベースでアーキテクト系・デベロッパ系等多数 - GCP:ロールベースでアーキテクト系・デベロッパ系等多数
・利用効果が期待できるユーザ - Azure:Windows環境とOfficeソフトウェアを利用しているユーザ - AWS:実績を重視しているユーザ - GCP:Google製サービスを活用したデータ分析・AI分析を行うユーザ
AzureとAWSのサービス比較
AzureとAWSのサービスはクラウドサービスなため、名称は異なるものの同等のサービスが提供されています。以下に代表的な提供サービス分類と名称を徹底比較しました。
コンピュートサービスの代表的なサービスは以下の通りです。 ・仮想サーバー 「コンピュートサービス」 - Azure:Virtual Machines - AWS:Elastic Compute Cloud (EC2) インスタンス 「バッチサービス」 - Azure:Batch - AWS:Batch 「インスタンススケーリング」 - Azure:Virtual Machine Scale Sets - AWS:Auto Scaling 「VMWareワークロード」 - Azure:Azure VMware Solution - AWS:VMware Cloud on AWS 「コンピューティングクラスター」 - Azure:CycleCloud - AWS:Parallel Cluster
・コンテナとコンテナオーケストレーター 「コンテナサービス」 - Azure:Container Instance - AWS:Elastic Container Service (ECS)、Fargate 「コンテナ格納・デプロイ」 - Azure:Container Registry - AWS:Elastic Container Registry 「Kubernetesデプロイ」 - Azure:Kubernetes Service (AKS) - AWS:Elastic Kubernetes Service (EKS) 「マイクロサービスデプロイ」 - Azure:Service Fabric Mesh - AWS:App Mesh
・サーバーレス - Azure:関数 - AWS:Lambda
ストレージサービスの代表的なサービスは以下の通りです。 ・オブジェクト ストレージ - Azure:Blob Storage - AWS:Simple Storage Services (S3)
・仮想サーバー ディスク - Azure:マネージド ディスク - AWS:Elastic Block Store (EBS)
・共有ファイル - Azure:ファイル - AWS:Elastic File System
・アーカイブとバックアップ 「低コストストレージ」 - Azure:Storage クール層 - AWS:S3 Infrequent Access (IA) 「アーカイブストレージ」 - Azure:Storage アーカイブ アクセス層 - AWS:S3 Glacier、Deep Archive 「バックアップ」 - Azure:Backup - AWS:Backup
・ハイブリッド ストレージ 「オンプレミス接続」 - Azure:StorSimple - AWS:Storage Gateway 「ファイル共有」 - Azure:File Sync - AWS:DataSync
・一括データ転送 「データ転送」 - Azure:Import/Export - AWS:Import/Export Disk 「大量データ転送」 - Azure:Data Box - AWS:Import/Export Snowball、Snowball Edge、Snowmobile
上記の他、主要サービス・機能はクラウドサービスで求めるサービス水準を満たしており、同等のサービス・機能が提供されています。具体的には以下の要素の基本サービスは同等となります。
クラウドサービス: ・マルチクラウドソリューション ・マーケットプレース
データ処理・分析サービス: ・データベース ・DevOps およびアプリケーションの監視 ・IoT ・AIと機械学習 ・ビッグ データと分析
管理機能とサービス: ・管理とガバナンス ・メッセージングとイベント ・モバイルサービス ・ネットワーク ・セキュリティ、ID、アクセス管理 ・Web アプリケーション ・エンドユーザーコンピューティング
AzureとAWSの強みを理解して最適なサービスを選択しましょう
AzureとAWSは3大クラウドサービスの代表的なサービス事業者ですので、用途に応じて必要とされるサービスが選択できます。それぞれの特徴を理解しながら選択することでクラウドサービスを最大限活用することができます。
必要とされる技術者認定もそれぞれで実施しているため、目的や将来の目標に応じて必要な準備を進めましょう。
編集部オススメコンテンツ
アンドエンジニアへの取材依頼、情報提供などはこちらから