インフラエンジニアにはどのようなキャリアパスがある?
インフラエンジニアはコンピュータネットワークやサーバの管理を行い、IT化社会の基盤を支える重要な役割を担うITエンジニアです。
インターネットの普及、IoTや5G技術の発展などでインフラエンジニアの活躍の場が広がる中、これからのインフラエンジニアにはどのようなキャリアパスがあるのでしょうか。
この記事では、インフラエンジニアがこれからのキャリアパスを考えることの重要性と、具体的なキャリアパスや役に立つ資格について解説していきます。
インフラエンジニアがキャリアパスを考えるべき理由とは?
インフラエンジニアの業務を始めて、およそ5年後には業務の幅が広がっていきます。できることが増えるとともに、さらに学ぶべきことも見えてきて、その先どうするか悩む人も多いです。
ある程度の経験年数を重ねたら、より高いスキルを磨いて活躍の場をさらに広げるために、将来のキャリアパスを思い描くことが重要です。
監視・運用・保守業務からステップアップするため
未経験からインフラエンジニアになった場合、特に、SES(システムエンジニアリングサービス)企業に所属して客先常駐するエンジニアは、監視・運用・保守を担当することが多いです。
これらの業務は手順書に従ってミスなく作業することを求められる業務内容が多く、スキルアップに繋がりにくい面があるため、エンジニアとしてこのままでいいのかと悩むこともあるでしょう。
そういった場合には、監視・運用・保守からステップアップを目指すために、インフラの設計・構築・プロジェクト管理などについても積極的に学び、インフラエンジニアからステップアップするためのキャリアパスを考えることが重要です。
クラウド化など時代の変化に対応するため
クラウド化やリモートワーク化が進み、従来型のオンプレミス環境は今後減少すると考えられます。そのため、これからのインフラエンジニアには、従来とは違う環境や新しい技術への対応が求められることは間違いないでしょう。
これからの時代に活躍できるインフラエンジニアになるために、将来を見据えたキャリアパスを考えることが必要です。
インフラエンジニアとして求められる人材になるため
長くインフラエンジニアとして働くことを考えると、女性であれば出産、男性も育休などで休暇の調整が必要になる場合もあるでしょう。しかし、インフラエンジニアでも下流工程で経験が浅いうちに現場を離れると、復帰後に希望する仕事に戻れない可能性も考えられます。
こういった状況での復帰をしやすくするためには、早いうちにキャリアパスを考え、他の人にはないスキルや経験を積んで長期的に企業や現場に求められる人材を目指すことが大切です。
インフラエンジニアの年収
代表的なインフラエンジニアであるネットワークエンジニアの年収は、「マイナビエージェント 職種図鑑」での平均年収は380万円、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のIT保守(顧客向け情報システムの保守・サポート)を参考にすると、平均年収592万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、インフラエンジニアは一般平均年収よりもやや低めから高めであることが分かります。
インフラエンジニアが将来的に希望する年収を実現するためには、キャリアパスを考えることが重要です。インフラエンジニアからのキャリアパスは様々で、より幅広い知識や経験を求められる職種や、組織やチームを牽引する役割を担う職種になると、年収アップが見込めます。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方
【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
スペシャリスト系を目指すキャリアパス
ここからはインフラエンジニアのキャリアパスを描くうえで、まずは特定の分野に特化したスペシャリスト系のキャリアパスについて解説します。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、運用・保守などの下流工程からスタートし、ネットワークの設計や構築といった上流工程へスキルアップするのが一般的です。
ネットワークエンジニアの中でもスペシャリストとなると、顧客の要求を満たす設計や構築をするだけではありません。最新の技術を駆使して他のエンジニアにはできない高いレベルのネットワーク構築や、より最適なネットワーク環境の提案を行って、顧客に大きな利益をもたらすことに貢献できるでしょう。
クラウドエンジニア
サーバやネットワーク機器などを自社で用意するオンプレミスに対し、インターネットを通してインフラ・プラットフォーム・ソフトウェアなどの必要なサービスを必要な時に利用できるのがクラウドサービスです。
よく知られるクラウドサービスにはAmazonのAWSやMicrosoftのAzureなどがあり、すでに多くの企業が導入を進めています。
クラウドエンジニアはクラウド上でシステムを設計・構築・運用するスペシャリストです。従来のサーバ・ネットワーク・ミドルウェアなどの知識に加え、AWSやAzureなどのスキルも要求されます。今後もクラウド化の普及が進み、クラウドエンジニアは一層需要が高まると考えられます。
セキュリティエンジニア
近年、企業が持つ機密情報や顧客の個人情報の取り扱いへの注目が集まっており、ネットワークセキュリティへのニーズが高まっています。
セキュリティエンジニアは、企業や団体のネットワークからその財産である情報資産をサイバー攻撃から守るスペシャリストです。顧客のセキュリティ状況を診断し、外部からの攻撃への対策を立案・構築します。
セキュリティエンジニアはサーバやネットワーク、OSの知識だけでなく、未知の脅威にも有効な対策を講じるための高いスキルや見識が求められ、社会的にも貴重な情報資産を守る重い責任を担う、ハイレベルなエンジニアと言えます。
マネジメント系・ゼネラリスト系を目指すキャリアパス
インフラエンジニアのキャリアパスの中で、プロジェクト運営や経営方針に関わりITインフラを通した高度な課題解決を行うマネジメント系、特定のインフラに関する知識だけでなく幅広い知識や経験を備えたゼネラリスト系のキャリアパスについて解説します。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーは顧客の要望に沿った予算や仕様を実現するため、開発のスケジュールや品質の管理などの取りまとめを行う職種です。
専門家の集団であるインフラエンジニアのチームのまとめ役となるためには、顧客だけでなくチームメンバーであるエンジニアたちの信頼も得られる豊富な経験と知識が求められます。
インフラ構築・運用の現場で多くの人と関わりながら、リーダーシップを発揮して働いていきたいエンジニアにおすすめのキャリアパスです。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、顧客企業にIT技術を活用した経営戦略を提案したり、顧客企業が抱える問題をIT技術によって解決したりする職種です。インフラエンジニアからのキャリアアップであれば、サーバやネットワーク、セキュリティ、クラウド化などのITインフラの面からのアプローチが強みとなります。
案件によっては顧客企業の取締役や役員などの経営者層とも意見を交わし、企業がITインフラにかける費用や労力が、今後どれだけ企業の利益につながるかという提案をする必要もあるでしょう。
そのため、ITコンサルタントには最新IT技術のトレンドを把握し、顧客企業の業界や企業動向まで理解して提案できる高いスキルや専門性が要求されます。
フルスタックエンジニア
フルスタックエンジニアは、インフラエンジニア設計・構築・運用・保守のすべてを1人でこなせるオールラウンドなスキルを持つエンジニアです。
ITインフラでは工程ごとに専門のインフラエンジニアが担当して分業体制を取ることが一般的ですが、フルスタックエンジニアはすべての工程を1人で担当できるため、中小企業や規模の小さい案件で重宝されることが多いです。
キャリアパスを実現するための資格とは
ここでは、インフラエンジニアのキャリアパスを実現するために取得を検討したい資格について説明します。
ネットワークスペシャリスト試験(NW)
ネットワークスペシャリスト試験(NW)はIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催する、ネットワークに関する高度な知識を持つことを証明する国家資格です。
大規模ネットワークの設計や構築や、プロジェクト管理者としてのスキルも問われる難易度の高い資格試験のため、取得すると将来目指すキャリアパスに役立つでしょう。
【参考】:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:ネットワークスペシャリスト試験
AWS認定資格
Amazonが提供するAWS(Amazon Web Service)が主催する、AWS技術に関するスキルや知識を証明する認定資格試験です。AWSを有効に利用できることを目的とし、AWSの基礎的な内容から実践的な開発に役立つ内容まで、工程・レベル・専門分野に応じた試験が用意されています。
クラウドエンジニアとしてのキャリアパスを考える人にはおすすめの認定資格です。
【参考】:AWS 認定 – AWS クラウドコンピューティング認定プログラム | AWS
ORACLE MASTER(オラクルマスター)
ORACLE MASTERとは、日本オラクル社が主催する資格試験です。世界中で使われるOracle社のOracleデータベースの知識を中心に、データベースの高度なスキルを持っていることを証明します。
世界トップシェアを誇るデータベース製品を扱う技術があることを裏付ける資格であるため、インフラエンジニアとしての経験に加えて、データベースのスキルを身につけてゼネラリスト系のキャリアパスを目指したい人におすすめの資格です。
【参考】:ORACLE MASTER Portal - be an ORACLE MASTER - | オラクル認定資格制度 | Oracle University
プロジェクトマネージャ試験(PM)
プロジェクトマネージャー試験(PM)は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催する国家資格で、プロジェクトの責任者として高度なIT専門知識を用いて計画立案や品質管理を行う知識を問われます。
プロジェクトチームの資源や人員の確保、将来見込まれるリスクへの対応や、プロジェクトの目的を実現する計画の立案など、ITマネジメントに関する幅広くハイレベルなスキルを持つことを証明できるため、マネジメント系のキャリアパスを検討するのであれば取得を検討したい資格の1つです。
【参考】:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:プロジェクトマネージャ試験
インフラエンジニアからキャリアパスを広げてさらに活躍しよう
ここまでインフラエンジニアのキャリアパスの重要性や、キャリアパスの種類、役立つ資格などについて解説してきました。自らの経験や興味から、目指したいキャリアパスがイメージできたでしょうか。
しかし、キャリアパスを考えて必要なスキルを身につけても、実際に希望する職種に転職するとなると、1人では大変です。希望するキャリアパスを実現できる企業を探し、面接では自らのスキルや経験をまとめて上手くアピールする必要があります。
現在の仕事をこなしながら転職活動を進めるのは困難でしょう。
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