インフラエンジニアには種類がある
一言で「インフラエンジニア」と言っても、インフラエンジニアには種類があります。インフラエンジニアを目指す方は、どの種類のエンジニアを目指すのか、目標を明確にする必要があります。目指す分野によって、求められる知識や技術は異なってきます。まずは、自身の興味や適性などを見定め、どの種類・職種を目指したいのかを明確にしましょう。
一方でネット掲示板やSNSなどでは、インフラエンジニアに対して「きつい」「やめとけ」といったネガティブな見方があり、不安を抱く方もいるでしょう。こうしたネガティブな意見は主にブラック企業の従業員から発せられているケースがあり、転職においては企業選びも重要な要素となります。
この記事では、インフラエンジニアの種類と目指す上で知っておきたい事、企業選択の方法などについて解説をしていきますので、インフラエンジニアを目指す方はぜひ参考にしてください。
インフラエンジニアの仕事と種類
インフラエンジニアを目指しているものの、自分がどんな仕事をするのかイメージが湧いてこないという方もいらっしゃるかもしれません。インフラエンジニアの仕事の種類は大きく分けると、ネットワーク、サーバー、保守・運用の3種類に分かれます。
「 自分はどの分野に興味や適性があり、どの職種を目指したいのか」を明確にしておきましょう。
インフラエンジニアの仕事
インフラエンジニアのインフラとはインフラストラクチャー(Infrastructure)を略した言葉で、「基盤」を意味しています。インフラエンジニアはITにおけるサーバーやネットワークなどのインフラの設計と構築、運用や保守にかかわる役割を担っているエンジニアの総称です。
インフラエンジニアの種類
インフラエンジニアの種類には大別して、「ネットワークエンジニア」、「サーバーエンジニア」、「保守・運用エンジニア」の3種類があり、それぞれの仕事内容や担当範囲は異なっています。以下、それぞれの種類について、簡単に解説をしていきます。
■ ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアとは、ITインフラの中でもネットワーク分野に特化し、コンピュータネットワークシステムの設計・構築、運用と保守、或いはネットワークプログラミングなどに関わるエンジニアです。快適な通信環境の構築とその維持を図ることがネットワークエンジニアの役割です。
■ サーバーエンジニア
サーバーエンジニアとは、Webサーバー、メールサーバー、アプリケーションサーバーなどのサーバー構築、導入と運用・保守に関わるエンジニアです。
多様化するデバイスへの対応、アクセス速度の向上、サーバーセキュリティの強化、データ量の増大といった課題の解決に向けて、最適なサーバー環境を構築・維持することがサーバーエンジニアの役割です。
■ 保守・運用エンジニア
保守・運用エンジニアは「システムの最適化」を担当するとともに、障害を発生させないように監視し、障害発生時には障害対応や復旧業務を担当します。保守と運用には明確な線引きがなく、保守と運用の両方を担当するケースと、それぞれが分かれるケースがあります。
インフラエンジニアに向いている人
インフラエンジニアになるには適性も重要です。以下の項目の中で該当する項目が多い人は、ぜひインフラエンジニアを目指してみましょう。該当しない項目は、積極的にその克服に努めてみると良いでしょう。
▪クイズやパズルを解くのが好き ▪機会などに触るのが好き ▪細かい部分によく気が付く ▪コミュニケーションスキルが高い方だ ▪事が起きてもあまり動じない(沈着冷静) ▪探求心や好奇心が強い ▪工夫をしたり、改善を考えたりするのが好き
インフラエンジニアの年収
先に述べた通り、インフラエンジニアは大きく3つの職種に分かれるため、ここではそれぞれの年収について見ていきます。「マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑」からそれぞれの年収をピックアップしてみると次のようになりました。
▪サーバーエンジニア:429万円(20代 387万円、30代 509万円) ▪ネットワークエンジニア:380万円(平均年齢20代) ▪運用保守システムエンジニア・障害対応:371万円(20代 341万円、30代 440万円)
経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のIT保守(顧客向け情報システムの保守・サポート)を参考にすると、平均年収592万円と分かりました。
経済産業省の調査結果と乖離が大きいのは、調査対象者の年齢差にあると見られます。
国税庁2020年発表の民間給与実態統計調査における民間企業平均年収は433万円なので、30代の平均年収で比較するとインフラエンジニアは一般平均年収よりも、やや高いことが分かります。
【参考】:サーバーエンジニア|マイナビエージェント職業別年収ランキング 【参考】:ネットワークエンジニア|マイナビエージェント職業別年収ランキング 【参考】:運用保守システムエンジニア・障害対応|マイナビエージェント職業別年収ランキング
※【平均年収 調査対象者】2020年1月から2020年12月の間でマイナビエージェントにご登録をいただいた方
【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7)「SE・プログラマ[ソフトウェア製品の開発・実装]
【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
インフラエンジニアのデメリット
インフラエンジニアの仕事は派手さはなく、目立ちにくい職種です。職種によっては休日出勤、夜勤もあります。特にインフラエンジニアを雇用する企業の中でも中小企業の一部に、働き方改革やコンプライアンス面の整備が遅れている企業が残っています。
そうした企業で仕事をしているエンジニアから「きつい」「やめとけ」といった声が上がっていると考えられます。
休日出勤や夜勤がある
インフラエンジニアはメンテナンスやシステム障害の対応を行うため、休日出勤や夜勤を命じられることもあります。このような変則的な勤務体系が不満や不安の要因になっている可能性はあります。
一方では「平日に休める」「時間外や休日手当がもらえる」といったポジティブな声もあります。
まだ一部にブラック企業が残っている
インフラ関連の業務を請け負う企業には、下請けや孫請けで業務受注を行う企業が少なからずあります。こうした多重請負構造の中で、低マージンで業務を請け負う企業の中には、低賃金や過重労働の問題を抱える企業もあります。
近年ではこうした状況にメスを入れる動きがあり、問題は解消に向かっていますが、まだ一部にはブラック企業が残っている可能性は否定できません。そのため、転職する場合は健全な就労環境が整備された企業から選ぶべきでしょう。
そうした企業の内情はなかなか外から分かりにくい面もありますので、有力な転職エージェントに相談してみることをおすすめします。
【参考】:マイナビIT エージェント
インフラエンジニアのメリット
ここまでインフラエンジニアに対するネガティブな見方について確認をしましたが、ここでは、インフラエンジニアとして仕事をするメリットについて紹介をします。
キャリアパスが豊富にある職種
インフラエンジニアは仕事の対象がインフラ全般であることから、システムエンジニアと似て仕事の幅が広い職種である点が特徴の1つです。インフラエンジニアのキャリアパスとしては「プロジェクトマネージャー」や「ITスペシャリスト」、「ITコンサルタント」などが挙げられます。
ヒューマンスキルとしてインフラエンジニアには「コミュニケーションスキル」と「マネジメントスキル」、インフラ関係の幅広い知識に加え、要件定義や設計、開発スキルも求められることから、豊富なキャリアパスを想定できる職種といえます。
実力主義の職種
インフラエンジニアに学歴は関係なく、あくまでも実力がものを言う世界です。。
インフラエンジニアとして活躍する上で必要となるのは、インフラエンジニアとしての知識、キャリアなどの実力です。そのため、学歴や職歴ではなく、スキル証明となる資格を有することがアドバンテージになります。
またIT社会の進展につれて、ITインフラは企業の重要な資産であるという認識が高まっており、ITインフラの保全、セキュリティ向上に向けて正社員でインフラエンジニアを採用する企業が増えています。
AIに置き換わらない職種
昨今のAIの発展に伴い、AIに仕事が置き換わり、消滅する職種があると言われていますが、インフラエンジニアの仕事がAIに置き換わる可能性は低いとされています。
AIはITインフラの上で成り立っています。インフラ監視などの仕事はAIに置き換わるかもしれませんが、サーバーやネットワークの構築などは、現状のAI技術では困難です。そのため、インフラエンジニアの仕事内容が変わることはあっても、職種全体がAIに置き換わることはなく、将来性のある安定職種と言えます。
インフラエンジニアを目指す人に役立つ資格
未経験者がインフラエンジニアを目指す上では、スキル証明となる資格を有することが、転職活動を有利に進め、目的とする職種に就くための近道です。
ここではインフラエンジニアの職種ごとに役立つ初級レベルの資格を厳選してご紹介します。運用保守エンジニアを目指す方は、IT全般のスキル証明となる資格と、ネットワーク系もしくはサーバー系の資格取得をおすすめします。
IT全般のスキル証明となる資格
■ 基本情報技術者試験(FE)
基本情報技術者試験は、IPA(情報処理推進機構)が主催する国家試験の1つです。ITエンジニアの登竜門的資格であり、基本情報技術者試験の取得によって、ITに関する基礎知識を有する証明となります。
基本情報技術者試験はITに関する幅広い知識を問うことから、出題範囲は広く、サーバー、ネットワーク、セキュリティ、プログラミングスキルなどから出題されます。
【参考】:基本情報処理技術者試験(FE)
ネットワークエンジニアのスキル証明となる資格
■ シスコ技術者認定資格(CCNA)
CCNAは「Cisco Certified Network Associate」の略称で、シスコシステムズ社主催の世界的に通用する民間資格試験の1つです。シスコシステムズ社はネットワーク関連機器などを販売する世界有数のネットワーク機器メーカーです。
CCNAの資格取得によって、ネットワークに関する基礎知識やスキルを有する証明となります。ネットワークエンジニアを目指す方には特におすすめしたい資格です。
【参考】:CCNA - Training & Certifications | Cisco
サーバーエンジニアのスキル証明となる資格
■ LinuCレベル1
LinuCは、LPI-JAPANが開発・運営をする民間資格です。サーバーエンジニアはLinuxサーバーを扱うことが多いため、サーバーエンジニアにLinuCの取得を推奨する企業が増えています。LinuCの資格取得によって、インフラエンジニアに必要とされるLinuxサーバーの操作と運用に関するスキル証明となりますので、取得をおすすめします。レベル1の初級から専門家といえるレベル3、システム開発の上流工程を任されるシステムアーキテクトまであります。
【参考】:LinuCレベル1 | Linux技術者認定試験 リナック | LPI-Japan
その他取得しておくと有利な資格
■ AWS認定資格
クラウドファーストの流れの中、インフラエンジニアがクラウドサービスに関わるケースが増えています。AWS認定は、世界最大のクラウドサービス事業者であるAWS(Amazon Web Services)が主催する民間認定資格です。
役割別認定資格としては、ベーシック・アソシエイト、プロの3レベルがあり、また専門知識認定ではビッグデータや高度ネットワーク、セキュリティなど5分野があります。
資格取得によって、AWSクラウドの利活用スキルを証明することができるため、クラウドに関わる方は取得しておくことをおすすめします。
【参考】:AWS 認定 – AWS クラウドコンピューティング認定プログラム | AWS
未経験からインフラエンジニアを目指すには
ここまで、インフラエンジニアへの転職を目指す方に向けて、インフラエンジニアの仕事や種類、年収、ネガティブに味方、メリット、取得すると役立つ資格などについて解説をしてきました。
インフラエンジニア募集記事には未経験者歓迎の文字が目立ちますが、インフラエンジニアとして活躍するためには、様々な壁を乗り越えなくてはなりません。
また、一部にはブラック企業の存在もあり、企業選びには細心の注意が求められます。ホワイト企業、優良企業の中から自分に合う企業を見つけ出すのは至難の業とも思えます。
そこで利用を推奨するのがマイナビIT エージェントです。
マイナビIT エージェントは、IT・Webエンジニア向けの無料の転職⽀援サービスです。
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