フルスタックエンジニアとは?必要な条件・年収・将来性を解説
フルスタックエンジニア
フルスタックエンジニアとは?必要な条件・年収・将来性を解説
アンドエンジニア編集部
2021.06.28
この記事でわかること
フルスタックエンジニアとは、複数の分野における技術や知識を身につけたエンジニアのこと
フルスタックエンジニアは市場の期待やニーズが高まっているエンジニア職種である
フルスタックエンジニアは将来性が高い職種であり、AIに置き換わることはない

フルスタックエンジニアとは

背景

皆さんは「フルスタックエンジニア」という言葉を聞いたことがあるかと思います。では、「フルスタックエンジニア」とはどんなエンジニアを指すのでしょうか。

フルスタックのスペルは、""full-stack""です。Stackは「積み重ね」を意味する英語で、フルスタックエンジニアとは、複数の分野における技術や知識を身につけたエンジニアのことです

例えばWeb系エンジニアでは、Webサーバやソフトウェア環境に関わるインフラの知識を持ちながら、コーディングやデータベース設計、さらにはWebデザインなどにも精通し、1人でほぼ全ての業務を担えるようなエンジニアを「フルスタックエンジニア」と称します。

ただ、「フルスタックエンジニア」という明確な定義はなく、その資格要件もありません。「フルスタックエンジニア」はまったく新しいエンジニアの概念で、そのイメージ像が固まっていくには少し時間が掛かりそうです。ここでは、このフルスタックエンジニアがなぜ注目されているのか・将来性はあるのか・目指すにはどんな資格を取れば良いのか、などについて解説していきましょう。

フルスタックエンジニアが今注目されている理由

「フルスタックエンジニア」は元々アメリカで生まれた言葉ですが、最近になって日本でも使われるようになりました。今や、注目のエンジニアとしてIT業界では注目されつつあるのには理由があります。

従来のIT開発や運用では、分業が当たり前でした。設計フェイズはSE(システムエンジニア)が行い、コーディングはプログラマーが行い、データーベース設計はデータベースエンジニアの領域でした。しかし、この分業によってIT開発の要員確保やコスト面が足かせとなり、市場のニーズに対応できなくなってきたのです。

DX時代を迎え、IT開発に対する市場からは「少人数・ローコスト・短納期」のニーズが高まっています。一方で、クラウドの普及により、インフラに関わる工数やインフラ人材の必要性が低下し、クラウド環境での多様なフレームワーク活用によって、開発工数が短縮されてきたこともあり、従来は複数のエンジニアで分業していたものが、1人のエンジニアでも対応できる環境が整ってきたこともフルスタックエンジニアが登場した要因になっています。

複数の工程を1人のエンジニアが対応できれば、タスク間の調整やマネジメントが不要になり、生産性向上やコスト低減も可能です。フルスタックエンジニアを擁するIT企業は、その分だけ競争優位に立つことができます。

これが今、まさにフルスタックエンジニアが注目されている大きな理由です。

フルスタックエンジニアを目指すには

この記事で初めて「フルスタックエンジニア」に興味を持たれた方もいるでしょう。フルスタックエンジニアになるためには、ITに関わる広い技術や知識が不可欠です。また、より多くの領域での経験があればなおさら有利です。しかし、経験とは単に待っていれば訪れるものではありません。

自ら経験を積むという強い意志と、あらゆる機会を逃さないという積極性が求められます。また、フルスタックエンジニアには高い判断力・顧客(ユーザー)のニーズをくみ取る能力・コミュニケーション力・企画力・プレゼンテーション能力・マネジメント力など、多様な能力も求められます。これらを念頭に置いて頂き、フルスタックエンジニアを目指す上で知っておくべきことなどをこれから解説します。

フルスタックエンジニア出現の背景

背景

なぜ最近になってフルスタックエンジニアが出現したのか、まずはその背景を探ってみましょう。背景を知ることでフルスタックエンジニアが注目されている理由も分かります。

アジャイル型開発の普及

フルスタックエンジニアが必要とされている要因として、「アジャイル型開発」手法の普及が挙げられます。ご承知の通り、「アジャイル型開発」は、従来型の要件定義・設計・プログラミングなどを順にこなしていく「ウォーターフォール型開発」とは逆で、機能単位で短期間に設計→開発→テストを繰り返していく開発方式です。

「アジャイル型開発」は全体として納期短縮という特徴をもっていますが、特にこの「アジャイル型開発」においては、設計から開発・テストまでを一貫して、1人で対応できる「フルスタックエンジニア」が向いていると考えられます。

クラウド技術の普及

フルスタックエンジニアの出現の背景としては、「クラウドサービス」の普及も見逃せません。それは、クラウドサービスを利用したシステム開発の増加がフルスタックエンジニアの出現を後押ししたからです。

クラウドサービスの普及により、サーバー環境やソフトウェア環境などのインフラの構築が不要となり、エンジニアがシステム開発に専念しやすい環境が整ったからです。

プログラミング技術の一般化

プログラミングに関する「フレームワーク」や「ライブラリ」の進化もフルスタックエンジニア出現の背景として挙げられます。すなわち、プログラミング技術の一般化によってプログラミングのハードルが下がり、システムエンジニアがプログラム領域に踏み込むことが可能になったことも影響しています。

また一方で、プログラミング技術の習得に時間とエネルギーを割く必要がなくなり、プログラマーからシステムエンジニアへのキャリアアップが容易になったことも関係しています。

DXの推進

もう1つ、外してはならない要因としては、DX時代の到来も考えられます。欧米や急成長を遂げているアセアン諸国から、日本のITは遅れていると指摘されています。IT先進国に太刀打ちできなければ、日本企業の発展はあり得ないというコンセンサスが官民で共有されつつある今、経産省主導の「DX推進」は各企業の存亡に関わる重大な課題となっているのです。

このDX推進を図るにはIT人材が欠かせませんが、相対的にIT人材の枯渇が進んでいます。しかも、2025年までにDX達成という期限が設けられている中では、「フルスタックエンジニア」の活躍が達成の鍵になっているのです。

フルスタックエンジニアの強み

強み

かくして、「フルスタックエンジニア」に対する期待とニーズが高まっているわけですが、客観的に捉えて「フルスタックエンジニア」の強みとは一体どこにあるのでしょうか?

高い生産性

ご承知の通り、システム開発では要件定義フェイズから設計・開発・運用と様々な工程があります。しかし、工程ごとに求められるスキルや経験値があるため、各工程ごとに専門のエンジニアが担当するという形が一般的でした。

この結果として、人件費の増大や全体効率の低下を招いてきたのです。さらには、工程間の連携や調整に大きなエネルギーを取られてしまい、なかなか生産性が向上しないというジレンマがありました。

一方、「フルスタックエンジニア」は複数の工程を1人で担当することが可能であるため、システム開発に余分なエネルギーを費やす必要がなくなり、結果として人件費は抑制され、生産性が向上します。この生産性の高さがフルスタックエンジニアの強みです

柔軟な対応力

フルスタックエンジニアは不足する要員のピンチヒッター役を担うことができます。チーム作業の遅れた工程部分を手伝う、メンバーの欠けたパーツを担当する、といった柔軟な対応が取れ、「作業停止」や「作業待ち」を招くことなく、プロジェクトの円滑な遂行を後押しすることができるのです。この臨機応変の柔軟な対応力が「フルスタックエンジニア」の強みの1つです

リーダーを掛け持つことが可能

「フルスタックエンジニア」には開発工程をまたがって担当できる幅広い知見があります。プロジェクト全体を俯瞰することができるので、プロジェクトリーダーとしての役割を担うことが可能です。ほかにも、各開発工程間の橋渡しをするPM(プロジェクトマネージャ)として活躍することも可能であり、PMの兼務をしながら、各工程を担当できるのも強みです

フルスタックエンジニアの条件と年収

image

以上、「フルスタックエンジニア」について述べてきましたが、非常に期待の大きいエンジニアであることが分かりました。では、フルスタックエンジニアは正当な評価を受け、妥当な年収を得られているのかが気になるところです。このフルスタックエンジニアの年収について見ていきましょう

フルスタックエンジニアの条件

フルスタックエンジニアの一般的な概念としては「システム開発の複数以上の工程を担当できる」という、大変アバウトなものであり、明確な基準はありません。

ここで、システム開発の工程について改めて確認しておきましょう。開発工程は要件定義から始まり、設計・開発・運用の4つです。

フルスタックエンジニアはこの4つの工程に関して、一貫して一通り行えるだけのスキルと知識が求められるエンジニアと考えて良いでしょう。その内2つの工程に関しては、リーダーとして担えることが求められます。

また、それぞれの工程におけるスキルや知識以外に、インフラ・ソフトウェア開発・サービス運用・プロジェクトマネジメントの領域におけるスキルや知識も必要です。広範囲のスキルや知識が求められることから、フルスタックエンジニアはスーパーエンジニアとも称されます。

フルスタックエンジニアの年収

フルスタックエンジニアが注目されていることは理解できましたが、果たして年収はどのくらいなのか気になるところです。今現在では「フルスタックエンジニア」という職種の定義が完全に定まっておらず、年収に関する統計情報からは見つけることはできませんでした。そこで、募集ベースの情報から年収を求めてみました

求人ボックスによると、「フルスタックエンジニア」の募集ベース(東京)での平均年収は645万円です

ちなみに、システムエンジニアは575万円・プログラマー478万円・データベースエンジニア625万円と比較しても明らかに高くなっています。

フルスタックエンジニアの将来性

将来性

現在、フルスタックエンジニアに対する需要は急速に高まっています。実際にIT系の求人情報には、以前にはあまり見かけなかった「フルスタックエンジニア募集」の広告が頻繁に見られるようになりました。「フルスタックエンジニア」という職種が社会に広く認知されてきた証です。

では、フルスタックエンジニアに対する需要は今後も続くのでしょうか?将来性はあるのでしょうか?フルスタックエンジニアを目指すエンジニアの皆さんには大きな関心事なはず。これからそれを探っていきます。

フルスタックエンジニアの需要

DX推進・DXの実現が、日本企業にとっても日本経済にとっても最重要課題の1つとなっている今日、開発期間の短縮・開発生産性向上に強いとされるアジャイル型開発が脚光を浴びています。実は、フルスタックエンジニアはこのアジャイル型開発に最も適したエンジニアなのです。

スピード開発を売りにしているITベンチャー系企業、アジャイル型開発に強いITベンダーでは、特にフルスタックエンジニアに対する需要が高まっています。 フルスタックエンジニアに対する求人は右肩上がりで増加しており、今後も一層その需要が高まっていくことでしょう。

フルスタックエンジニアのキャリアパス

このように大きな脚光を浴びている「フルスタックエンジニア」ですが、単なる便利屋と見られ、使い捨てにされてしまうリスクはないのでしょうか?

客観的に見れば、フルスタックエンジニアは時代の申し子です。ITの環境変化や、社会の変化が「フルスタックエンジニア」を生み、市場が「フルスタックエンジニア」を必要としています。

現在、AIの発達によって消えていく職種がいくつか想定されています。プログラミングや運用などはAIが担う時代が来るかもしれません。しかし、マネジメントの領域はまさに人が最も得意な分野です。フルスタックエンジニアには無限の可能性があるので、将来を担うITエンジニアの皆さんはぜひこのフルスタックエンジニアに挑戦してみてください。

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