CCNPとは
CCNP「Cisco Certified Network Professional」は、ネットワーク機器大手CISCO社の認定資格で、ネットワークエンジニアのプロフェッショナルレベルの資格です。
CCNPはネットワーク技術者の間では、ネットワークスペシャリスト、LinuCなどと並ぶ人気資格で、取得によって大規模ネットワークの構築・導入、運用、保守などの技術を有する証明になります。
ネットワーク技術者の第一線で活躍するには、CCNP資格の取得は必須要件と言っても過言ではありません。
CCNPの位置づけ
CISCO技術者認定資格には、エントリー・アソシエイト・スペシャリスト・プロフェッショナル・エキスパートという5つの種類があり、CCNPはプロフェッショナルに属します。
なお、スペシャリストはプロフェッショナルやエキスパートレベルの認定試験に1つでも合格すると取得できる認定で、特定の専門知識やスキルを証明するためのものです。
・エントリー(CCT) ・アソシエイト(CCNA、DevNet Associate、CyberOps Associate) ・スペシャリスト(Cisco Certified Specialist、Cisco Certified DevNet Specialist) ・プロフェッショナル(CCNP、DevNet Professional、CyberOps Professional) ・エキスパート(CCDE、CCIE)
【参考】:シスコ認定 【参考】:シスコ認定キャリアパス 【参考】:シスコスペシャリスト認定
新Professional資格(CCNPなど)の変更点
シスコ技術者認定試験は2020年2月24日より新体系に移行しており、プロフェッショナル資格に関しては以下3点の変更がありました。要点だけを以下にまとめました。
1.カテゴリの変更:Professional(CCNP)資格は、2020年2月24日より次の5種類に変更 2.前提資格の廃止:CCNA未取得者でもCCNP試験に合格すればCCNPとして認定 3.対応試験の変更:CCNP資格は、2種類の試験に合格すれば取得できる (従来は3種類)
【参考】:cisco:現在実施されている試験
新Professional資格の種類
プロフェッショナルレベルに属する資格は以下の7種類です。なお、多くの方が受験するのは、ベーシックなCCNP Enterpriseです。
▪CCNP Enterprise:ルーティング・スイッチング、ワイヤレス、設計 ▪CCNP Data Center ▪CCNP Security ▪CCNP Service Provider ▪CCNP Collaboration ▪Cisco Certified DevNet Professional ▪Cisco Certified CyberOps Professional
【参考】:プロフェッショナル認定
3年間で失効する(再認定ポリシー)
シスコ技術者認定資格はすべてのレベルにおいて、3年間の再認定要件が設けられています。再認定を受ける条件は以下の通りです。
▪継続教育プログラムのアクティビティ完了 ▪試験に合格する ▪あるいはその両方を組み合わせる
CCNP更新のためには、3年以内に上記のいずれかを行う必要があります。つまり、3年間何もアクションをしなければ、認定資格は自動的に失効するということです。
【参考】:再認定ポリシー
CCNPの5つの試験
前述の通り、プロフェッショナルレベルに属する7種類の資格のうち5つがCCNPコースです。また、いずれのコースも2科目の合格が必要です。ここでは、それぞれの試験コースについて詳細を見ていきましょう。
CCNP Enterprise
5つの試験コースの内、最も多く選択されるのがベーシックな「CCNP Enterprise」です。エンタープライズ ネットワーキング ソリューションのスキルを証明する資格で、コア試験ではコアエンタープライズ技術が出題範囲となっています。
また、選択式のコンセントレーション試験では、ネットワークデザイン、SD-WAN、自動化など、最新かつ業界固有のテーマが主に出題されます。
【参考】:CCNP Enterprise 認定とトレーニングプログラム
CCNP Data Center
データセンターソリューションのスキルを証明する資格です。データセンターの業務を円滑に進めるにあたっては、ネットワークやストレージの知識に加えて、データセンター関連の技術や知識も必要です。
コンセントレーション試験は、自らが必要とする技術分野に合わせて選択できるので、しっかり内容を確認しておきましょう。
【参考】:CCNP Data Center 認定とトレーニングプログラム
CCNP Security
セキュリティソリューションのスキルを証明する資格です。ITの高度化により、膨大な重要データを管理する企業も増えており、セキュリティの重要性はますます高まっていくと考えられます。
セキュリティソリューションの分野でさらに活躍したいという方は、CCNP Securityがおすすめです。受験資格は特にありませんが、およそ3~5年ほどのセキュリティソリューションの実装経験が推奨されています。
【参考】:CCNP Security 認定とトレーニングプログラム
CCNP Collaboration
コラボレーションソリューションのスキルを証明する資格です。コストの削減や生産性の向上を図るため、電話、メール、テレビ会議といったコミュニケーションツールを統合し、活用することが求められています。
試験ではコラボレーションインフラストラクチャの知識に加えて、プロトコル、コーデック、コラボレーションアプリケーションについても問われます。
【参考】:CCNP Collaboration 認定とトレーニングプログラム
CCNP Service Provider
サービスプロバイダー ソリューションのスキルを証明できる資格です。プロバイダなどの大規模インフラに関する知識を問われます。
必須のコア試験では コアアーキテクチャ、 サービス、ネットワーキングなどの分野から出題されます。選択式のコンセントレーション試験は、3つの分野から1つ選んで受験します。
【参考】:CCNP Service Provider 認定とトレーニングプログラム
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CCNPの新試験概要と難易度など
CCNP資格の概要が分かったところで、次にCCNPの新試験に関する概要や難易度などを見ていきましょう。
いくつかあるCCNP資格の内、最も人気が高いのは「CCNP Enterprise」です。ここでは「CCNP Enterprise」を例として解説をしていきます。
新CCNP出題範囲
新CCNP資格ではコア試験が設けられ、350-401 ENCORの受験が必須です。その他、コースごとに1科目を選択します。コア試験の出題範囲は以下の通りです。
▪デュアルスタック (IPv4 および IPv6)アーキテクチャ ▪仮想化 ▪インフラストラクチャ ▪ネットワークアシュアランス ▪セキュリティ ▪自動化
【参考】:Implementing Cisco Enterprise Network Core Technologies (350-401 ENCOR)
試験時間・受験方法・出題形式など
以下、CCNP試験の概要です。
▪試験時間:210分(コア試験120分+選択試験90分) ▪問題数:非公開 ▪受験方法:CBT方式(コンピュータテスト) ▪出題形式:選択問題(単一・複数選択)、解答入力、ドラッグアンドドロップ問題、長文シナリオ問題、ネットワーク機器操作(シミュレーター)※ ▪受験場所:会場受験とオンライン受験の選択可能 ▪合格点:非公開 ▪受験資格:特になし(但し13歳以上で、17歳までは保護者の同意が必要) ▪試験日:通年実施(ただし、試験会場によって受験不可の日もあり)
※出題形式はシスコ公式サイトの認定試験チュートリアルで確認できます。
【参考】:CCNP Enterprise 認定とトレーニングプログラム 【参考】:シスコ認定試験のチュートリアルビデオ 【参考】:試験、テスト、認定に関するポリシー 【参考】:シスコ技術者認定 【参考】:オンライン監督試験 Cisco Systems | シスコ技術者認定試験
CCNPの試験申込み方法
CCNP試験の受験申込みは、シスコ委託先の「ピアソンVUE」のサイトで行います。試験は、全国にあるピアソンVUE公認の試験会場か、自宅や職場などオンライン環境のあるところで受験が可能です。
自宅などでのオンライン受験では、Webカメラが備わっていることや、安定したインターネット環境が求められ、あらかじめ試験環境のチェックを受ける必要があります。
【参照】:「ピアソンVUE|シスコ技術者認定」
CCNP試験の受験料は低減
CCNPの受験料(2科目)は、コア試験400ドル(税別)+コンセントレーション(選択)試験300ドル(税別)です。CCNPの受験料は、ピアソンVUEの試験申込ページでクレジットカードや、事前に購入したバウチャー、プロモーションコードなどで支払います。
【参考】:シスコ認定試験
CCNPの難易度は高い?
シスコ自体は難易度や合格ラインなどの発表をしていないため、企業が支給する資格手当の面から見てみましょう。資格手当は求人サイトやIT系企業のホームページなどに掲載されていますが、CCNPの資格手当は概ね1~2万円(月)です。
また、求人情報では「CCNP資格取得者優遇」といった文言を見かけるケースもあり、CCNP資格取得者に対する企業側のニーズの高さからもその高い難易度が想像できます。
CCNP資格取得者の年収
CCNPは難易度の高い資格です。CCNP資格取得者を優遇する企業もありますが、実際に取得者の年収に違いは出てくるのでしょうか。ここでは、その他の資格と比較しながら、取得者の年収について解説します。
CCNPを取得すれば年収アップが期待できる
結論から言うと、CCNP資格の取得によって年収アップは十分期待できます。
シスコ社は独自にシスコ技術認定資格(CCNA・CCNP・CCIE)保有者の年収調査をしています。2013年とやや古いデータですが、調査結果ではCCNP資格保有者の年収は「496万円〜701万円」でした。
同調査のCCNA資格保有者の年収が404万円~578万円なため、92万円~123万円もCCNP資格保有者の方が年収が高いのが分かります。
資格名称 経験年数(平均) 年収(平均)
CCNA 2年以上 404万円〜578万円 CCNP 3年以上 496万円〜701万円 CCIE 4年以上 645万円〜900万円
【引用元】:2013 Demand and Compensation research in Japan :CCNA, CCNP, and CCIE
一般ネットワークエンジニアの年収と比較
一般的なネットワークエンジニアの年収は「マイナビエージェント 職種図鑑」での平均年収は380万円(※2023年6月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」からIT保守を参考にすると、平均年収592万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、ネットワークエンジニアの年収は、調査媒体によってバラつきがあることが分かります。
ネットワークエンジニアを含むITエンジニアの報酬は、実績とスキルが重要視される傾向があるため、年収を上げるには資格を取得するなどの方法が有効です。CCNPは知名度と難易度の高い人気資格のため、年収アップや上位職へのキャリアアップを目指す方にはピッタリです。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
CCNP資格取得のメリット
ここでは、CCNPの資格取得によるメリットについて見ていきましょう。資格試験の受験は、勉強のモチベーションアップとなり、かつ必要な知識を効率的・体系的に学べるメリットがありますので、ぜひCCNP資格の取得に向けてしっかり勉強しましょう。
ネットワークの実務に必要な技術を身に付けられる
CCNP試験では、スイッチング・ルーティングプロトコル・セキュリティなど幅広いネットワーク関連の技術が問われます。そのため、CCNPの試験勉強を通じて、ネットワーク技術者の業務遂行に必要なレベルのネットワーク知識や技術を体系的に身につけられます。
ネットワーク設計や構築に携わるエンジニアにとって、CCNP資格試験勉強は大変有益です。ぜひチャレンジしてみましょう。
キャリアアップにより、就職や転職が有利に
ネットワーク関連資格の中で、CCNPはメジャーかつ非常に知名度の高い資格です。CCNP資格は、ネットワークに関する実務能力を有する客観的な証明であり、就職や転職に有利です。履歴書に「CCNP取得」と書けるのは大きなアドバンテージになるでしょう。
もしも、CCNPを生かしたキャリアアップを考えているのであれば、転職のプロがいる転職エージェントの利用がおすすめです。転職エージェントであれば、履歴書を無料で添削してくれたり、市場には出回らない求人を紹介してくれたりするので、転職の成功率を上げたいのであればぜひ利用しましょう。
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CCNP資格手当を支給する企業が増えている
シスコの認定資格保有者に対して、報奨金や資格手当を支給する企業が多くあります。
各種企業の求人等からCCNP資格手当の平均は概ね月10,000円程度、取得報奨金は30,000円~50,000円程度とされています。この条件であれば、受験料やテキスト代は半年以内で回収できてしまう計算です。
CCNP試験に向けた勉強法
CCNP資格の取得には勉強が必須です。効率的に学習して短い期間でCCNP資格取得を実現するための、おすすめの勉強方法を解説します。学習法としては、シスコ公式の有料スクールなどの利用も想定されますが、受講費用が40万円前後と高額のためここでは推奨しません。
また、試験対策では過去問を解くのが早道と言われますが、新CCNPの過去問集は現在入手困難です。ここではできるだけ費用をかけず、時間にしばられない勉強方法として2つを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
参考書や試験対策書を利用する
これまで新CCNP対応のテキストは英語版しかありませんでしたが、ようやく日本語版が出版されました。以下、CCNP試験対策の日本語版おすすめの参考書を紹介します。
・「シスコ技術者認定教科書 CCNP Enterprise 完全合格テキスト&問題集」 効率よく基礎力を身に付けるのに適したテキストといえます。ダウンロード利用の模擬試験2回分が読者特典として付録し、余分な問題集やテキストが不要の充実した1冊としておすすめします。
▪対応試験:コンセントレーション試験「ENARSI」(300-410) ▪著者:林口 裕志、川島 拓郎 ▪監修:中道 賢 ▪出版社:翔泳社 ▪発売日:2021年8月30日 ▪ページ数:864ページ
【参考】:シスコ技術者認定教科書 CCNP Enterprise 完全合格テキスト&問題集
オンライン学習サイトを利用する
本格的な参考書や問題集の購入前に、CCNPの雰囲気や難易度を確かめてみたい方も多いでしょう。そうした方には、オンライン学習サイトの利用をおすすめします。ここではおすすめのサイトを2つ選んでみました。
1.CCNPイージス CCNPに特化した個人運営のWeb教科書サイトです。CCNP Enterpriseの『ENARSI』(300-410)と『ENCOR』(350-401)の試験範囲を無料で学べます。
【参考】:CCNPイージス
2.Ping-t 主にIT系資格の取得を目指す人向けのオンライン学習サイトです。有料サイトですが、登録すると詳細な合格体験記を読むことができます。また、「助け合いフォーラム」では分からないことを質問できるため、試験対策の心強い味方となるでしょう。
一部無料コンテンツもあり、またコンテンツに関わりなく月額課金制で、1ヶ月2,400円、3ヶ月3,800円、最長36ヶ月でも12,800円とリーズナブルです。
【参考】:Ping-t
ネットワークに強いエンジニアを目指して
IT関連のベンダー資格の中で、特に知名度やブランド力が高いシスコ技術者認定のCCNP資格について紹介しました。CCNPの試験対策についても解説しましたので、ネットワークエンジニアとしてさらなる活躍を目指すエンジニアの皆さんは、ぜひ記事の内容を参考にして、CCNP試験の一発合格を目指してください。
また、CCNPを目指すモチベーションとして、転職を目標に据えるのもおすすめです。CCNPを取得することで年収アップも目指せるので、CCNPをさらなるステップアップの足掛かりとしてもいいでしょう。
しかし、転職の際は働きながら活動しなければならず、1人で理想の職場を探せるのか不安になりますよね。
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