ITアーキテクトに役立つ資格は何か?
経営やビジネスとITシステムの橋渡しを行うITアーキテクトは、ITエンジニアの上級職として知られています。システム全体の構造やグランドデザインを設計する同職種は、ITエンジニアの中でも上流工程に当たるため、ITアーキテクトになってみたいと考える方も少なくないでしょう。
本記事ではITアーキテクトに興味があり、なりたいと思っている方に対して、役立つおすすめの資格を紹介し、その資格の難易度を解説していきます。
システムアーキテクトやITストラテジストがおすすめ
結論から言えば、システムアーキテクト資格が最もおすすめできる資格と言えるでしょう。
ITシステム全体を一から設計するITアーキテクトでは、ソフトウェア、ネットワーク、データベース、セキュリティなど幅広いIT知識が求められます。加えて、上流工程で必要な設計技法やビジネス戦略などの知識も要求されるため、通常の資格で網羅するのは困難です。そこで出てくるのが、国家資格であり、情報処理技術者試験の一区分であるシステムアーキテクト試験です。
システムアーキテクト試験は情報処理技術者試験の中でもレベル4であり、難易度が最も高い試験に区分されています。しかし、その試験範囲の広さからITアーキテクトの要求スキルを網羅できている試験です。この資格がITアーキテクトの必要要件ではありませんが、職種に見合った難易度とスキル取得の一環にもなることから、最もおすすめできる資格と言えるでしょう。
また、次点としてはITストラテジストやプロジェクトマネージャ試験などがあり、こちらも本記事で簡単に紹介していきます。
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そもそもITアーキテクトとは
まずはITアーキテクトがどのような職種かをおさらいしていきましょう。就業するためのキャリアパスや年収についても紹介していきます。
ITアーキテクトの主な仕事内容
上級職として知られるITアーキテクトの仕事は、ITシステムの構造やグランドデザインを設計することだけでなく、システムエンジニアをはじめとした他のITエンジニアをまとめ上げて、開発を進める役割も持っています。ITアーキテクトの仕事は、担当するアーキテクチャによって3種類に分けられます。
- アプリケーション・アーキテクト
- インフラストラクチャ・アーキテクト
- インテグレーション・アーキテクト
上記3種類に共通していることですが、ビジネス視点に基づいた提案や技術動向の調査も必要です。したがって、通常のITエンジニアとは異なるタイプの職種であることがわかります。
ITアーキテクトへのキャリアパス
ITアーキテクトを目指す方にとって、どのようなキャリアパスを経て就業するのかは、最も気になるところでしょう。
一般的には、未経験からITアーキテクトになるのは現実的ではありませんし、プログラマーやシステムエンジニアに就いていただけでは不十分です。ITアーキテクトにはシステム設計や設計手法などの技術的な知識に加え、プロジェクトマネジメントの経験も要求されます。
したがって例として、システムエンジニアで経験を積み、リーダー経験やマネジメント業務を経験しながら同職種に必要な知識を身につけていくことが、キャリアパスの1つと考えられます。
ITアーキテクトの年収
ITアーキテクトに近いITコンサルタントの年収は「マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑」での平均年収は512万円、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種の高度SE・ITエンジニア(基盤設計担当・ITアーキテクト)を参考にすると、平均年収778万円と分かりました。
国税庁2020年発表の民間給与実態統計調査における民間企業平均年収は433万円なので、ITアーキテクトは一般平均年収よりも、やや高めであることが分かります。
ITアーキテクトは上流工程だけでなく、ITシステムの設計を統括するだけあって年収が高い職種となっています。本記事でおすすめするシステムアーキテクト試験を突破するなどし、他職種からの転職を目指せば、年収アップを狙えるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
システムアーキテクト試験
IT アーキテクトを目指すのに最もおすすめできる資格は何でしょうか。前述の通り、出題範囲と内容からシステムアーキテクト試験が適切と言えます。この試験についてその詳細を説明していきます。
試験の概要
システムアーキテクト試験は、情報処理推進機構が主催する情報技術者試験の区分の1つで国家資格であり、区分の中で最も難しいレベル4です。対象の人物像は、「情報システムの要件を定義し、アーキテクチャを設計、そしてその開発を主導するもの」と定められています。
このようにITアーキテクトの業務と大きく関連した資格試験です。受験については、他の区分と同様に日程が決められていますが、年1回春期だけであるので注意が必要です。また、問題に記述式や論文試験が含まれるため、通常の筆記試験形式です。
【参考】:システムアーキテクト試験
難易度と合格率
試験の合格率を含めた難易度はどうなのでしょうか。システムアーキテクト試験は、最も難しいレベル4ということもあり、平均合格率はIPAの統計情報によれば、平成21年からの平均合格率は13.9%と非常に低い値であることが分かります。受験者自体が、応用情報技術者試験を突破できるレベルであることを考えても、その難易度の高さが分かります。
難易度を引き上げている理由は、午後問題の出題形式にあります。応用情報技術者試験のような筆記形式に加え、午後の第2部には論文試験が出題されます。この論文試験では3つの設問に対して、合計2200字以上を手書きで2時間以内に回答しなければならず、受験者の間では鬼門という扱いを受けています。この論文試験の対策ができるかがカギと言えるでしょう。
【参考】:情報技術者試験の統計情報 【参考】:統計資料(令和4年度)
効果的な勉強方法
論文試験も出題されるシステムアーキテクトは難易度が高い試験であり、効果的に勉強しなければ突破は困難です。
午前と午後の第1部については、レベル3である応用情報技術者試験を突破した方にとっては馴染みのある形式であり、過去問を中心に勉強を進めていけばよいでしょう。ただ、要求される知識は膨大であり、業務知識も求められるため、現業務や取得した資格の知識を上手く活用する必要があります。
鬼門である午後の第2部は、論文の手書き自体に慣れていない方がほとんどだと思いますので、まずは時間以内に規定文字数以上の文章を書く練習が必要です。その上で、試験の評価基準に沿った文書を書けるように意識して過去問を解いていくとよいでしょう。
【参考】:情報技術者試験のレベルについて
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他におすすめできる資格
最もおすすめできる資格としてシステムアーキテクト試験を紹介しましたが、ITアーキテクトを目指す上で役立つ資格は他にもあります。最後に代表的な2つを紹介していきます。
ITストラテジスト試験
1つ目はITストラテジスト試験です。本資格もシステムアーキテクト試験と同様に情報処理技術者試験の区分の1つであり、レベル4の高難易度な国家資格です。IPAの統計情報によれば、平成21年からの平均合格率は14.5%であり、論文試験も出題されるため、かなりの勉強量が必要となります。
システムアーキテクト試験とは異なり、ITシステムを構築する前のビジネス戦力に、重点が置かれた試験です。
その名の通り、職種としてもITストラテジストはITアーキテクトとは別のポジションであり、直接に関係があるわけではありません。しかしながら、関係の近い職種の資格を取得することは、業務において異なる職種のメンバーとも上手くコミュニケーションを取ることにもつながるため、結果的に有利に働くと考えられます。
【参考】:ITストラテジスト試験 【参考】:統計資料(令和4年度)
プロジェクトマネージャ試験
2つ目はプロジェクトマネージャ試験です。こちらも前者2つと同じ区分の高難易度な国家資格者です。もちろん論文試験もあり、IPAの統計情報によれば、平成21年からの平均合格率は13.4%と発表されています。
こちらはITシステムのアーキテクチャの決定後、どのようにその開発プロジェクトを運営していくかに重点が置かれています。プロジェクトマネージャーはITシステムを完成させるためには必要不可欠な人材であり、ITアーキテクトとの関わりも十分にあります。本資格を取得することで工程に関する知識を示すことができ、ITアーキテクトを目指す過程で有利に働くと考えられます。
【参考】:プロジェクトマネージャ試験 【参考】:統計資料(令和4年度)
ITアーキテクトを目指すためには資格取得から始めてみよう
本記事ではITアーキテクトを目指すにあたって、おすすめできる資格として、システムアーキテクト試験を紹介しました。論文形式の試験が出題されるなど難易度が非常に高い試験ではありますが、勉強の過程で身に付けた知識や文章力に加えて資格自体の価値も非常に高いため、ITアーキテクトへのキャリアパスに有利に働くと言えるでしょう。
資格を獲得した後のステップをどのように進めればよいでしょうか。実際にITアーキテクトの求人を探すことも考えられます。しかし、数ある求人サイトの中から自分に合った会社を探すことは非常に困難です。
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