
データサイエンスとは

昨今データサイエンスによって、さまざまな分野で革新的な成果が上がっています。ここでは、そもそもデータサイエンスとはどういったものを指すのか、できることや統計学との違い、身近な活用例を紹介します。
データサイエンスの定義
データサイエンスとは、統計学などの数学知識を駆使してデータを分析し有意義な結果を導き出す研究分野を指します。コンピュータが発達する前からある研究分野です。最近になって注目度が上がり、大学でもデータサイエンスの学部が設置されはじめました。

データサイエンスでできること
データサイエンスはさまざまなデータ分析を経て有益な情報を引き出し、意思決定や未来の予測に役立てる技術ですが、具体的には何ができるのでしょうか。
データサイエンスでできることは、売上予測や株価予測などの予測分析、サイバー攻撃や不正アクセスの兆候を検出する異常検知、データをグラフやチャートなどの視覚的な形式に変換するデータの可視化など、多岐に渡ります。


統計学との違い
データサイエンスと統計学は関連する学問ですが、両者にはそれぞれ違いがあります。データサイエンスはさまざまな手法を用いてデータを分析し、関連性や法則性を見出す学問です。一方、統計学はデータ解析手法の1つであり、データサイエンスにおける重要な手段の1つと言えます。
統計学以外の手段としては、機械学習や深層学習、データマイニングなどのさまざまなアプローチ方法が存在します。

身近な活用例
データサイエンスでできることに予測分析や異常検知、データの可視化などがありますが、これらは具体的にどういった形で活用されているのでしょうか。
▪SNSのターゲティング広告 SNSにおいて、ユーザーの過去の行動や興味に基づいて最適な広告を表示します。
▪ECサイトの顧客データ分析 ECサイトでの購入履歴の分析やリピーター分析などを基に、ターゲットごとのマーケティングや在庫管理などを最適化します。
▪交通情報 ETCやカーナビ搭載のGPSを活用して、交通情報を把握します。交通渋滞の回避ルートや最短ルートの案内などを提案します。
▪医療データの分析 患者の治療記録などを基に、病気の診断や治療法の改善に役立てられています。

データサイエンスを活用する職種

データサイエンスを行うには専門知識やスキルが必要であり、それらに長けた専門職の人材が必要です。ここでは、データサイエンスを活用する職種と年収を紹介します。
データサイエンティスト
データサイエンティストとは、データサイエンスのスキルを使いビジネス課題をクリアする専門家のことです。データサイエンスの普及に伴い、データサイエンティストのポジションを設ける企業がIT業界を中心に増えています。
最近では人工知能の発達により、機械学習やディープラーニングを利用したデータ分析を行うように仕事内容が変化しているため、データサイエンティストは今後さらに需要が高まると予想されます。



データアナリスト
データサイエンティストと類似した職種に、データアナリストがあります。データアナリストはデータの収集・分析を専門に行う仕事です。データサイエンティストとデータアナリストは、どちらもデータから価値を創出する役割を担う専門職ですが、両者の役割はそれぞれ異なります。
データサイエンティストが、データの収集・分析だけでなく、ビジネス課題の分析・解決まで責任を負うのに対し、データアナリストはビジネスにおける課題の整理や分析結果の活用に重きを置いています。担当箇所はデータサイエンティストの方が広めです。
データアナリストとしてキャリアを数年積み、上位職のデータサイエンティストにキャリアアップする人も多いです。


データサイエンスを活用する職種の年収
データサイエンスを活用する職種として、データサイエンティストとデータアナリストを挙げました。ここでは、これらの職種がどの程度年収を得られるのかを紹介します。
「マイナビエージェント職業別年収ランキング」におけるアナリスト・エコノミストの平均年収は824万円(※2025年2月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のIT技術スペシャリスト(特定技術(DB・NW・セキュリティ等))を参考にすると、平均年収758万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、データサイエンティストやデータアナリストは高収入を得やすい職種であると言えます。
これらの職種は高い専門知識を必要とし、企業の課題解決に重要な役割を果たすため、年収が高いことが多いです。さらなる年収アップを図るには、データ分析系の資格取得がおすすめです。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2019年12月~2020年5月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
データサイエンスが注目されている理由

データサイエンスは昨今注目されています。なぜ注目されるようになったのか理由は大きく2つあります。
データ分析が簡単になった
SNSや個人情報カードの普及に伴ってビッグデータがネット上に蓄積されるようになり、以前に比べてデータ分析が容易になりました。データサイエンスでは多くのデータを用いた方が、精密な分析結果を得やすくなります。そのため、扱えるデータ量が増えたのは大きな影響です。
また、データ分析を行う環境も強化されており、サーバーやクラウド技術の進歩によって、大量データを高速で処理しやすくなりました。
その他、分析ツールの発達や、Pythonなどの習得が容易なプログラミング言語の登場なども、影響が大きいでしょう。以前に比べて、少ないコストでデータ分析ができるようになりました。



利益につなげられるようになった
以前はデータを分析しても、その結果を活用しにくい状況でしたが、現代では分析結果を活用して企業の利益向上につなげられるようになりました。
たとえば、最近ではSNSの普及によって毎日多くの書き込みが投稿されています。SNSの投稿から商品の口コミを抽出して分類すれば、商品の改善に役立てることが可能です。このように、データサイエンスが役立つ場面が増えたのも、注目されている理由と言えるでしょう。
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データサイエンスに必要な基礎スキル

ここでは、データサイエンスに必要な基礎スキルをまとめました。これら5つのスキルを取得することで、データサイエンティストやデータアナリストとして活躍できる可能性があります。

プログラミングスキル
データの抽出および加工には、プログラミング言語を使うことが多いです。Python、Rといった言語はデータの加工に使えるライブラリが多くあるため、データ分析を行いたいなら優先的に勉強したい言語です。
特にRは難易度が高めですが、Pythonはそこまで難しくなく、文法も平易なうえに覚えることも少ないため、入門者でも勉強しやすいでしょう。


データベース
データサイエンスでは扱うデータをデータベースに格納することが多く、SQLというプログラミング言語の知識が必要です。SQLでデータの追加・削除・更新ができることはもちろん、データを効率的に扱うためのデータベース設計ができる必要があります。
たとえば、データにインデックスをつけることでパフォーマンスを上げることができます。データサイエンスでは大量にデータを処理するため、サーバーへ負担をかけないために効率的な設計を心がけることは大切です。


数学
統計学や線形代数、微分積分といった大学レベルの数学知識が必要です。データサイエンス関連の書籍には多くの数式が書かれているため、まず数学を習得しないと勉強を進めることが難しいでしょう。数学はデータサイエンスにおける共通の言語と言えます。

データ分析に関する知識
データ分析に関する知識ももちろん必要です。データ分析の手法にはさまざまなものがあり、データサイエンティストはどの手法がもっとも効率的かを考えなくてはいけません。分析手法を多く知っていることで、幅広い現場で活躍できるようになります。

ビジネススキル
データサイエンティストには、企業課題を分析するためのビジネススキルも必要です。過去の売上データやライバル企業の状況を分析し、自社に何が不足しているのかを検討します。そして、課題を解決するためにどのようにデータを使うべきか考え、実際にデータ分析を実行します。
データサイエンスに必要な基礎スキルを学ぶ方法

続いて、データサイエンスに必要な基礎スキルを学ぶ方法を解説します。学習方法にはさまざまなものがありますが、その中でも一般的なものを3つまとめましたので、データサイエンティストやデータアナリストを目指す方はぜひ参考にしてください。
情報系の大学に通う
1つ目は、情報系の大学に通うことです。情報系の大学では、データサイエンスに必要な統計学やプログラミング言語の基礎を一通り学ぶことができます。また、大学によってはデータサイエンス専門の学科が設けられている場合もあります。
プログラミングスクールに通う
2つ目は、プログラミングスクールに通うことです。プログラミングスクールは、プログラミングの基礎が学べる大人向け学習スクールのことです。講師の方が1から教えてくれるため、独学よりも挫折しにくいのがメリットです。
また、スクールによってはデータサイエンスの専門コースもあります。Pythonのライブラリの使い方やデータ分析の手法などを学ぶことが可能です。プログラミングスクールはお金はかかるものの、半年〜1年という短期間で効率的に学べるという点ではおすすめです。

オンラインで学べるサイトを使う
3つ目は、オンラインで学べるサイトで独学することです。プログラミングなどが学べる学習サイトが増えており、スマホを使ってスキマ時間で効率的に知識を得られる点がメリットです。
利用料金も比較的リーズナブルなことが多く、教材も初心者向けに分かりやすくまとめられているのでおすすめです。ただし、独学の場合途中で挫折してしまう可能性もあります。独学が難しそうなら、プログラミングスクールに通う方法に切り替えても良いでしょう。

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データサイエンスに関連する資格

最後に、データサイエンスに関連する資格を紹介します。これらの資格を獲得することでデータサイエンティストに転職しやすくなるため、ぜひ取得を目指しましょう。

データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験は、情報処理推進機構で行われている国家試験であり、データベースを扱える知識が問われます。
難易度はスキルレベル4に設定されており、スキルレベル3の応用情報技術者試験よりも難易度が高い試験です。その分、獲得すればデータベースの専門家として高く評価されるようになるでしょう。
【参考】:データベーススペシャリスト試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

統計検定
統計検定は統計学の知識が問われる資格です。統計学はデータサイエンスのコアスキルであるため、統計学の知識がない場合は、統計検定を通じて基礎を学ぶことをおすすめします。試験は1〜4級に分かれており、1級まで合格すると統計専門力があるとみなされやすくなります。
【参考】:統計検定:Japan Statistical Society Certificate


Python3 エンジニア認定基礎試験
Python3 エンジニア認定基礎試験は、Pythonの文法やライブラリの知識が問われる試験です。Pythonはデータ分析の際にもっとも使われる言語であるため、優先して勉強しておきたいです。
また、Pythonはデータ分析だけでなく、機械学習やWebアプリ開発にも使われる汎用性の高い言語のため、習得することでエンジニアとしての市場価値を高めることができます。
【参考】:基礎試験 | Python試験・資格、データ分析試験・資格を運営する一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会

データサイエンスは今後さらに注目が高まる研究分野

本記事では、データサイエンスについて、できることや活用例、統計学との違い、データサイエンスに必要なスキルなどを解説しました。
データサイエンスは今後さらに注目度が集まると予想されます。SNSの発達によってビッグデータが蓄積されるとともに、データ分析を高速で行えるインフラも整ってきているからです。
データサイエンスの知識を習得し、需要の高いデータサイエンティストやデータアナリストなどを目指しましょう。その際、転職エージェントを活用することで条件の良い企業と出会う確率が高くなります。
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