データ分析手法とは
データ分析は、ビジネスなどの目的に必要と考えられる収集したデータを分類・整理・取捨選択し、ビジネスにとって有意義な情報を解釈することです。このデータ分析には、分野や目的、データ分析ツールごとに様々な種類や手法があります。
ITエンジニアとしてデータ分析の仕事に携わるには、まず代表的なデータ分析の手法を知り、的確なデータ分析を行えるスキルが必要です。
この記事では、データエンジニアへの転職を目指す方に押さえておきたいデータ分析手法と、データ分析に役立つ資格を紹介していきます。ぜひ記事を参考にしてデータエンジニアとしての転職を成功させてみませんか?
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データ分析手法は何に役立つ?
データ分析を行うことで、客観的かつ定量的な評価を得ることができます。これまで主観的な判断に頼ってきたものが、客観的で定量的な評価によって、より合理的・効率的な判断ができるため、経営計画や事業計画の精度が上がります。
また、これまで見落としがちだったものが浮き彫りになり、新たなビジネスチャンスに結び付くことがあります。このように、ビジネスの世界ではデータ分析の重要性がさらに高まっています。
データ分析に関わる仕事の年収
データ分析手法を身に付け、データ分析に関わる仕事に就くと、どの程度の年収が期待できるのでしょうか。データ分析を行う職種としてはデータアナリストやITコンサルタントがあります。ここではITコンサルタントの年収について見ていきましょう。
「マイナビエージェント 職種図鑑」でのITコンサルタントの平均年収は512万円(※2023年2月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近しい職種のコンサルタントの平均年収928万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円ですので、ITコンサルタントは一般の平均年収よりも、やや高めであることが分かります。
データ分析には統計学以外に様々なスキルが求められるとともに、データ分析が企業や事業の方向性を左右する責任ある仕事であることから、高年収が期待される職種であると言えます。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
データ分析で押さえておきたいデータ分析手法8選
データ分析手法は何十種類もあり、一覧形式で紹介しているケースもありますが、ここでは主にビジネスで用いられる代表的なデータ分析手法を8つ紹介します。
1.バスケット分析
バスケット分析は小売業においてよく使われる手法で、商品同士の関係性を明らかにして品揃えなどに活かします。例えば、A商品を購入した顧客は、同時にB商品を買う傾向が強い、といったことが分かります。これにより購買促進を図り、売上増に結び付けることができます。
2.ABC分析
ABC分析は重点分析とも呼ばれ、売上高・コスト・在庫量などの指標でA・B・Cの3段階でランクを付けて、各商品の優先度を決めて管理する方法です。この重点管理を行うことで、より効率的な商品を増やし、効率の悪い商品を減らすことができ、売上増大や利益率のアップにつなげることができます。
3.クロス集計分析
アンケートのデータを集計する時に、「はい」や「いいえ」のような、2つ以上の観点でまとめる統計手法のことです。 クロス集計では回答者の属性ごとの反応を見ることができます。たとえば商品Aがどの年代やどちらの性別の人が興味が高いのか、といった分析が行え、マーケティングではよく用いられます。
4.アソシエーション分析
アソシエーション分析は、「もしこうだったら、こうなるであろう」という関連性を見出す手法で、ビッグデータのデータマイニング手法として用いられます。バスケット分析と似ていますが、バスケット分析はアソシエーション分析の一種で、主に小売りにおける商品の併売について分析する手法です。
一方、アソシエーション分析は小売以外の場面でも使用されています。
5.クラスター分析
クラスター分析とは、集められたデータの中から似ているデータをグルーピングする分析手法です。このグルーピングされたデータの集まりをクラスター(集団)と呼びます。クラスターの数には特に制限はなく、必要に応じて任意の数のクラスターにグルーピングできます。
このクラスター分析によって、自店の主な客層はどんなグループなのか、どのような商品を買っているのか、客単価はどの程度なのかといったことが分かっていきます。
6.度数分析
度数分析は集められたデータの分布を可視化して、ある集団の特性をつかむために行われる分析手法です。度数分析では度数分布表が用いられますが、度数分布表はデータを階級ごとに分けて、その分布を表します。
この階級はたとえば、テストの点の幅であったり年収であったり、分析したいデータによって変わります。この度数分布表を棒グラフにしたものがヒストグラムと呼ばれます。
7.主成分分析
主成分分析は、ビッグデータなど多くの変数を持つデータを集約し、主成分に要約するデータ解析手法です。
たとえば、変数として「接客の質」「品質」「価格」などを利用して主成分分析を行うと、店舗の顧客満足度の総合力が主成分となります。このように、自社の各店舗の顧客満足度を分析したり、商品の総合力を分析したりする場合に利用されるのが主成分分析です。
8.因子分析
因子分析の「因子」とは、何らかの結果を引き起こした原因のことです。因子分析とは、多くの結果(変数)の裏にある要因を明らかにする手法です。
マーケティングでは、アンケート調査の結果を分析して、回答者に共通する「潜在意識」を見出す目的で利用されます。これによって、売上が予想以上に落ちた店舗や商品などについて、その原因を探り、対策を講じることで売上の回復や向上を図ります。
データ分析に使えるツール
Excel(エクセル)の分析ツール
ここまでビジネスで使える主要なデータ分析手法を紹介しましたが、実はExcelにも分析ツールが用意されています。この分析ツールには相関分析、統計的検定や回帰分析までの機能が備わっており、分析手法の基本的なところは「分析ツール」によってカバーできます。
【参考】:分析ツールを使用して統計学的および工学的分析を行う - Microsoft サポート
Pythonのデータ分析ライブラリ
機械学習でお馴染みの人気言語、Pythonにはデータ分析の標準ライブラリとしてPandasがあります。他にNumpyやMatplotlibといったデータ分析ができるライブラリも用意されていますので、データエンジニアを目指す方にはぜひ使いこなして頂きたい言語がPythonです。
【参考】:プログラミング言語 Python 総合情報サイト - python.jp
ここまでデータ分析手法について紹介してきました。これらの手法を身につけることで、データ分析の仕事に就ける可能性は高まることでしょう。
データ分析の仕事に役立つ資格
未経験でもデータ分析の仕事に就けるのか、転職は可能なのか、不安を覚える方がいるかもしれません。データ分析を扱う仕事を目指すには、スキル証明となる資格の取得が役に立ちます。以下、キャリアチェンジに役に立つ資格を4つ紹介しますので、ぜひチャレンジしてみてください。
■ 基本情報技術者試験(FE) 情報処理推進機構(IPA)が主催する「基本情報技術者試験(FE)」は、「IT技術者の登竜門」といわれるベーシックな資格です。この資格を取得することで、ITエンジニアに必要とされる各技術の基本知識、プログラミングアルゴリズムなどを有する証明となるからです。
企業によっては、資格取得者に対して資格手当や報奨金を支給するところもあるため、おすすめです。
【参考】:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:基本情報技術者試験
■ OSS-DB技術者認定試験 特定非営利活動法人エルピーアイジャパン(LPI-Japan)が主催する「OSS-DB技術者認定試験」は、オープンソースのデータベースを運用する際に必要となる技術や知識を有していることを認定する試験です。
レベルによってシルバーとゴールドの区分があり、データベースシステムの設計・開発・導入・運用を行うことができる指標となります。ゴールドレベルを取得すると大規模DBに携わり、その改善やコンサルティングができるスキルとして認定されます。
■ 統計検定 一般社団法人日本統計学会が認定する「統計検定」は、一般財団法人の統計質保証推進協会が実施する、統計学に関する知識や活用力を評価、認定する検定試験です。レベルによって1級から準1級・2級・3級・4級までの5レベルがあります。
統計学を学び、応用力を身に付けることで、データ分析のどの分野においてもスキルを活かせます。キャリアチェンジを目指す方は2級以上を目標にするとよいでしょう。
【参考】:統計検定とは|統計検定:Japan Statistical Society Certificate
■ オラクルマスター 日本オラクルが運営する資格「オラクルマスター」は「Oracle Database」に関する技術の認定資格です。データベース製品には様々な製品がありますが、その中でも常に高いシェア率を維持しているのが「Oracle Database」です。
オラクルマスターは、ブロンズ・シルバー・ゴールド・プラチナの4つのグレードに分かれています。オラクルマスターは民間資格ですが、認知度は高く、世界に通じる資格として高い評価を得ています。
【参考】:IORACLE MASTER Portal - be an ORACLE MASTER - | オラクル認定資格制度 | Oracle University
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データ分析関連の仕事に就くためのポイント
データ分析の仕事に就く上で、押さえておきたいいくつかのポイントがあります。ここでは、そのポイントについて解説しますので、キャリアチェンジを目指す方はぜひ参考にしてみてください。
システムエンジニアからのキャリアチェンジを目指す
システムエンジニアなどのエンジニア職を目指している方は、データアナリストなどの仕事へキャリアアップ、キャリアチェンジが可能です。
システムエンジニア職として培った要件定義、システム設計、プログラミングスキル、データベース、サーバ・ネットワークなどの知識はデータ分析の仕事でも必要であり、スキルアップすることでそれらを活かすことができます。
ビジネススキルを身につける
データアナリストやコンサルタントなどを目指すには、統計学が得意、データ分析スキルが高いという以外に求められるスキルがあります。データアナリストやコンサルタントは経営者に対して、データ分析から導きだした経営戦略やビジネス戦略の提案を求められます。
そのためには、経営に関する知識、流通業や製造業などの実務知識や経験などのビジネススキルが必要です。こうした経験やスキルがあることで、転職を有利に進められます。
転職エージェントを活用する
以上、データ分析の仕事に就く上で役に立つ資格やビジネススキルの必要性について紹介しましたが、これらの資格やスキルを活かしてキャリアチェンジを目指すには、未経験者を積極的に採用し、育成に熱心な企業などへの転職をおすすめします。
データ分析関連職への転職を成功させよう
ここまで、データ分析の手法や、データ分析の仕事に役立つ資格、キャリアチェンジを目指すためのポイントなどについて紹介しました。
数学や統計学が得意分野だという方でも、IT業界の経験がない方、経験が浅い方にとって、データ分析の仕事に関わるのは簡単なことではありませんので、様々な不安を拭えないかもしれません。
では、データ分析の仕事に携わるという目標を実現し、活躍を支えてくれる企業と出会うには、どうすれば良いのでしょうか。
膨大な求人の中から、未経験者を採用し、育成に熱心な企業を自分で探し出すのは容易なことではありません。企業の研究、資格手当の有無や資格取得プログラムの有無などを公開していない企業も少なくありません。また面接対策も必要でしょう。
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