SQLでできることとは?
SQLとは、データベースのデータを操作するための言語のことです。データベースの中には数百万件ものデータが格納されている場合もあり、SQLを使えばデータベースの膨大なデータも素早く操作可能です。
今回は、SQLでできることをまとめました。データベースに対して、どのような処理ができるのか、詳しく解説しています。「SQLがどんなものか分からない」という方は、まずはこちらから読み進めましょう。
データベース、テーブルの作成
SQLでは、データベース自体の作成や、各データベースに格納するテーブルを作成できます。また、テーブルのカラム数やカラムの型を指定したり、インデックスを追加したりすることも可能です。さらに、データベースやテーブルを削除することもできます。
データの検索
SQLでは、データベースに格納されたデータを検索することも可能です。データベースは、数百万件ものデータがある場合もあり、通常データの検索にはかなり時間がかかります。しかしSQLを使うことで、データの検索が素早く行えます。
また、データの検索条件も細かく指定することが可能です。例えば、特定の数より数値が大きいものを抽出したり、特定の文字列が入ったデータのみ抽出したりなどの柔軟な検索が可能です。さらに、抽出したデータの並び替えや、抽出件数を指定することもできます。
データの操作
SQLでは、データベースに格納されたデータを変更することも可能です。変更するレコードとカラムを指定し、特定の値に変更したり、削除したりすることができます。ただし、1度変更してしまうと、元に戻すことができません。
そのため重大なデータを変更する場合、データベースのバックアップを取っておく必要があるでしょう。
テーブルの結合
SQLでは異なるテーブルを結合させ、1つのテーブルを作ることができます。例えば、「商品ごとの個数が書かれたテーブル」と「商品ごとの値段が書かれたテーブル」を結合させ、「商品ごとの個数と値段が書かれたテーブル」を作ることが可能です。
1つのテーブルに結合させることで、各データが見やすくなったり、プログラムにテーブルを効率的に読み込ませたりできます。
トランザクション制御
トランザクション制御とは、SQLに備わっている補助機能です。先ほど解説した通り、データベースのデータを変更すると、もう元には戻せません。細かい修正でバックアップをいちいち取るのも面倒です。
そこで活躍するのが、トランザクション制御です。トランザクション制御によって、SQLの実行結果を確認することができます。実行結果を確認した後、結果を採用するか決めることができるため、この機能を使うことで安全にSQLを使うことができるでしょう。
データを扱う仕事に就く場合はSQLのスキルは欠かせません。習得することで、転職する際にも有利に働くでしょう。
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SQLの種類
SQLは3つの種類に分かれており、DML・DDL・DCLがあります。この3つの意味について知らない人も多いため、SQLの種類について詳しく解説します。
DML
DMLは「Data Manipulation Language」の略です。DMLとは、データを操作するためのSQLのことです。SQLのうち、データの取得・登録・更新・削除といった操作が、DMLに分類されます。データの取得はSELECT文、登録はINSERT文、更新はUPDATE文、削除はDELETE文が使われます。
これらの文法を使いこなすことで、データの操作が行えます。DMLはSQLの基本なため、SQLの初学者の多くはDMLから覚えていきます。
DDL
DDLは「Data Definition Language」の略です。DDLとは、データを定義するためのSQLのことです。SQLのうち、データベースやテーブルを作成したり削除したりする操作が、DDLに分類されます。データベースの作成はCREATE文、削除はDROP文、変更はALTER文が使われています。
これらの文法を使いこなすことで、データベースそのものの設定が行えます。これらの操作は重大なため、担当者以外はできないよう権限がかけられる場合も多いです。
DCL
DCLは「Data Control Language」の略です。DCLとは、その他のデータベースの操作を行う場合に使うSQLのことです。例えば、GRANT文を使うことで、データベース操作の権限を他者に与えることが可能です。逆にREVOKE文を使うと、権限を奪うことができます。
また、COMMIT文を使うとトランザクションを確定でき、ROLLBACK文を使うとトランザクションを破棄できます。このように、DCLはSQLにおける、その他の処理を行う場合に使用します。使用頻度は高くないものの、いざという場合に役立つものも多く、やり方を覚えておく必要があるでしょう。
SQLを使う仕事
SQLを習得することで、どういった仕事に就けるのか気になる方は多いでしょう。続いて、SQLを使う仕事についてまとめました。それぞれの仕事内容や、どういった箇所でSQLの知識が役立つのか、詳しくみていきましょう。
バックエンドエンジニア
バックエンドエンジニアとは、Webアプリケーションの裏側の開発を行う仕事です。Webサイトに表示するデータを作成するプログラムの開発を行います。表示するデータを作成する際は、SQLを活用することも多いです。
SQLから情報を習得し、それらの情報を元に表示するデータを作成するため、バックエンドエンジニアはSQLの理解が必須と言えるでしょう。
バックエンドエンジニアはPHPやPythonといったスクリプト言語を使用し、SQLはスクリプト言語内で呼び出して使うことが多いです。SQLでデータを抽出し、スクリプト言語でデータを整形してWebサイトに表示します。
データベースエンジニア
データベースエンジニアは、データベースの設計・運用に特化したエンジニアのことです。バックエンドエンジニアはバックエンドの全てを担当しますが、データベースエンジニアはデータベースのみ担当します。
昨今、Webアプリケーションが複雑化してきており、データベースを高いレベルで扱えるエンジニアが求められてきています。そのため、こういった専門職が誕生しました。データベースエンジニアは単に設計を行うだけでなく、データベースの最適化・セキュリティー面・バックアップ方式の検討もします。
データサイエンティスト
データサイエンティストとは、データを分析し、企業にとって有益な情報を導き出す仕事です。ビッグデータと呼ばれる膨大なデータを分析します。例えば、SNSの書き込みなどです。
SNSの書き込みには、企業の商品に関する意見など有益な情報が多く眠っているため、データサイエンティストがそれらのデータを分析します。データを取得する際は、SQLの知識が必要です。
SQLを扱うエンジニアの年収
ここでは、前述したSQLを扱うエンジニアの1種であるデータベースエンジニアの年収を参考に、SQLエンジニアの年収を紹介します。
「マイナビエージェント 職種図鑑」でデータベースエンジニアの平均年収は424万円(2024年4月現在)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のIT技術スペシャリスト(特定技術(DB・NW・セキュリティ等))を参考にすると、平均年収758万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、データベースエンジニアは一般平均年収よりも、平均的あるいはやや高めであることが分かります。
このように、SQLを扱うデータベースエンジニアはスキルや実績を積むことで高収入を目指せる職種です。より高収入を目指すには、「OSS-DB技術者認定試験」などのSQLの資格を取得することもおすすめです。
【参考】:マイナビエージェント職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁 【参考】:OSS-DB技術者認定試験
SQLの活用例
ここでは、SQLの活用例について解説します。SQLがどういう風にどこで使うのかをまとめました。SQLを習得すると何ができるのか、気になる方はぜひチェックしましょう。
Excelと連携させる
SQLはExcelと連携させることが可能です。例えば、複雑な計算処理をSQLで作成しておけば、エクセルデータを自動的に計算させることができます。エクセルの面倒な操作が不要になり、業務が効率化されるでしょう。
SQLによって様々なデータを計算させれば、そのデータをマーケティングに活かすこともできます。このように、SQLはExcelを連携させることで力を発揮します。
Webアプリケーションの開発
SQLはWebアプリケーション開発にも使えます。ECサイトやSNSなどのWebアプリケーションでは、膨大なデータを保管しておく必要があります。例えばSNSなら、ユーザごとの情報を保管し、いつでも変更できるようにしておかなくてはいけません。
SQLを使うことで、データの保管が楽に行えます。データはファイルで保管することも可能ですが、それだとデータの更新に時間がかかり、Webサイトが重くなってしまいます。SQLなら素早くデータを更新でき、Webサイトの使いやすさを維持できます。
Webアプリケーション開発に携わりたいなら、SQLの習得は必須でしょう。SQLのスキルを獲得・証明するには、前述したSQLの資格を取得することがおすすめです。資格の取得はスキルアップだけでなく、転職の際にも有利に働きます。
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SQLの将来性
結論から言うと、SQLの将来性は高いと言えます。その理由としては、RDBMSを活用するには必然的にSQLを使う必要があるからです。例えば、従来のレガシーシステムから最新のシステムに移行する際にもSQLは役立つため、新旧に限らずに対応できるのは大きな強みでしょう。
また、クラウドサービスの活用例として、AWSでは標準としてMySQLが採用されています。さらに、AI・IoTなどにもデータ分析の技術が欠かせません。今後もデータベースを活用したテクノロジーが増えると予想されるため、それと並行してデータベースエンジニアの需要も高まると考えられます。
SQLは非エンジニア職の人でも比較的入門しやすい言語であるため、現状SQL自体の需要がなくなることは考えにくいでしょう。このような観点から見ても、SQLは将来性が高いと言えます。
SQLの学習方法
ここでは、SQLを学習するための方法として、参考書と学習サイトの活用方法を紹介します。それぞれおすすめの書籍や学習サイトを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
参考書を活用する
SQLの学習には、参考書を片手に勉強を進めると身につきやすいでしょう。参考書はなるべく最新のものを選択し、尚且つ練習問題などがある書籍がおすすめです。以下におすすめの書籍を2冊紹介します。
「スッキリわかるSQL入門 第4版 ドリル256問付き!」 本書は、プログラミング学習書籍として人気のシリーズ本であり、初めてSQLに触れる人や難しい箇所について丁寧に解説しています。インストール不要ですぐに使用できる「dokoQL」という仮想環境を提供しているため、気軽にSQLを扱うことができます。
▪著者:中山 清喬、飯田 理恵子、株式会社フレアリンク(監修) ▪ページ数:528ページ ▪出版社:インプレス ▪発売日:2024/02/05 【参考】:スッキリわかるSQL入門 第4版 ドリル256問付き!
「データ分析力を高める ビジネスパーソンのためのSQL入門」 本書は、エンジニアでない人でもデータ分析ができるようになるためのメソッドが紹介されている書籍です。データ分析に必要なSQLの構文が理解でき、他人や自分が書いたSQLを参考にしてデータを抽出できるようになります。
▪著者:高橋 光 ▪ページ数:240ページ ▪出版社:技術評論社 ▪発売日:2023/03/16 【参考】:データ分析力を高める ビジネスパーソンのためのSQL入門
学習サイトを活用する
SQLをより理解できるようなり、実務レベルに近づけるためには、参考書だけでなく学習サイトも併用するのがおすすめです。
SQLを含むプログラミング学習におすすめなのは、「Progate」「ドットインストール」「paiza」です。これらの学習サイトは無料で利用でき、短い動画で気軽に学習できたり、さまざまな分野のレッスンが豊富にあったりするなど、使い勝手も良く、独学において心強いでしょう。
【参考】:Progate 【参考】:ドットインストール 【参考】:paiza
SQLを学ぶメリットは多い!習得して業務に活かそう
本記事では、SQLでできることについて解説しました。SQLを習得すると、どのような業務に携われるのかが分かりました。SQLはデータベースを更新するための言語であり、Webアプリケーションを作るだけでなく、Excelと連携させてデータ分析を行ったり、業務改善に活用できたりなどの汎用性があります。
また、SQLは将来性の高い言語であり、習得すれば職に困りにくく、難易度もそこまで高くないため比較的習得しやすいでしょう。
業務改善に役立つスキルは歓迎されやすいため、SQL習得後はスキルを活かして転職してみるのもおすすめです。その際に、転職のサポートをしてもらえる転職エージェントを活用してみましょう。
そこでぜひご活用いただきたいのがマイナビIT エージェントです。
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