
Pythonでできること・できないこととは?

Pythonは人気の高いプログラミング言語の1つです。1990年代初頭に公開されて以来、初心者でも読みやすく、わかりやすい言語として認知されています。また、実用性や拡張性の面でも大変優れており、利用度調査でも高い位置を占めている言語です。
そんなPythonには、作れるものやできることはさまざまあります。一方で、苦手とする分野があるのも事実です。本記事では、Pythonがどういう言語なのかを詳しく解説するとともに、できること・苦手なことについてまとめました。
【参考】:PythonJapan:プログラミング言語 Pythonの紹介

Pythonにはどんな特徴がある?

そもそもPythonはプログラミング言語としてどのような特徴を持っているのでしょうか。まずは入門編として、Pythonの特徴を分かりやすく解説していきます。
習得が容易
Pythonといえば、習得が容易であることが特徴の1つです。Pythonはスクリプト言語と呼ばれ、PHP・Ruby・Perl同様に学習コストが低くなるように作られています。
また、Pythonは他言語よりもソースの規約が厳しく、誰が書いても同じようなコードになります。そのため、他人の書いたソースコードが読みやすく、チームでの開発をスムーズに行えます。こういった特徴が多くの企業でPythonが導入されている所以です。



処理速度が遅め
Pythonは、ソースを1行ずつ機械語に翻訳して実行するインタプリタ型言語であるため、処理速度が遅めな言語です。反対にC言語やC++はコンパイラ言語と呼ばれており、ソースをまとめて翻訳するので処理速度が速くなります。
Pythonはリアルタイム処理や素早い処理を要求される場面で使いにくいですが、コンパイルが不要な面では確認や修正が容易に行えるメリットがあります。
数学ライブラリが豊富
Pythonは数学ライブラリが豊富なのも魅力です。「numpy」というライブラリを使えば、高度な計算も楽に行えるため、統計解析や機械学習分野で活躍します。他にも、データ処理・分析ができる「pandas」や、機械学習に関する様々な機能を保有する「scikit-learn」が便利です。
機械学習は複雑な計算が必要であるため、「処理速度が遅いPythonは向いていないのでは?」と思われがちですが、これらのライブラリは処理速度が速いため、その弱点を気にする必要はありません。


優秀なフレームワークがある
Pythonには、優秀なフレームワークがあるのも特徴です。フレームワークとは、Webアプリを作る際に使う部品のようなもので、Webアプリに必要な機能が予め備わっているため、それらを使えば開発コストを抑えることができます。たとえば、Django・Flask・BottleなどがPythonの代表的なフレームワークです。
Webアプリ開発では完成品を顧客に見せた後、「ここはもっとこうして欲しい」と注文を受けることがあります。そのため、できる限りスピーディーに開発し、納期に遅れないようにしないといけません。フレームワークはそのための助けとなります。



OSに依存しない
Windows・Linux・Macなどの主要なOSであれば、Pythonを用いて記述したソースコードはそのまま使用することができます。このように、記述したソースコードの書き換えが不要で他の環境でも使用できるのは、エンジニアにとってPythonを活用する大きなメリットの1つといえます。
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Pythonでできること

ここでは、Pythonでできることや自動化できることを紹介します。現在流行している言語の1つに数えられるPythonの中で、特に使用頻度の高いジャンルをまとめました。面白い使い方もあるので、ぜひチェックしてください。これらの開発に携わりたい場合は、Pythonを学んでみても良いかもしれません。
機械学習
Pythonでできることの代表例が、機械学習です。未来を変える技術として、昨今人工知能分野は注目を集めています。Pythonは機械学習用のライブラリが豊富であるため、機械学習に向いている言語の1つです。機械学習で必要な複雑な計算も、Pythonなら容易に行うことができます。
現在世の中には、数々のPythonで作られた機械学習アプリケーションがリリースされています。

統計解析
統計解析分野においても、Pythonはよく使われています。統計解析とは大規模なデータを分析し、何らかの有意義な結論を導き出すことです。たとえば、Twitterの書き込みを分析し、商品の良い口コミ・悪い口コミを集計して、商品改善に役立てるといったことが可能です。
Pythonは数学ライブラリや統計解析ライブラリも豊富なため、統計解析も楽に行えます。統計解析を学ぶことで、データサイエンティストなどの仕事に就くことができます。

Webアプリケーション開発
Webアプリケーション開発でも、Pythonは使われています。たとえば、動画配信プラットフォームのYoutubeはPythonで作られています。
PHPやRubyもWebアプリ分野では活躍していますが、その中でもPythonはソースコードが綺麗で読みやすいというメリットから、利用するWeb開発企業が増えています。Webアプリ開発は需要が大きいため、Pythonを扱えるエンジニアの求人数は豊富にあります。
【参考】:マイナビAGENT|Python

スクレイピング
スクレイピングでもPythonがよく使われています。スクレイピングとは、Webサイトからデータを取得し、エクセルなどに自動でまとめることです。スクレイピングを行うことで、自分が欲しい情報を取得できます。
スクレイピングはプログラミング初心者でも実装できるため、Pythonを勉強中の方は試しに作ってみることで便利さを実感できるでしょう。Pythonは文字列を整形したり分割したりする関数も豊富であり、スクレイピングに向いている言語です。

ブロックチェーン技術開発
Pythonは、今流行りのブロックチェーン開発にも使われています。データの処理と管理に強い言語であるため、多くのエンジニアがPythonを活用しています。ブロックチェーン技術は仮想通貨などに使われており、「世の中を改革する技術」とまで言われています。

ExcelやWordの操作を自動化
Pythonを使って、ExcelやWordなどMicrosoft製品の操作の自動化も可能です。Python単体ではこれらのアプリを扱うことはできませんが、Excelを操作する場合は「OpenPyXL」というライブラリをインストールすることで、表の作成やテンプレートを使ったデータ作成といったことを自動化できます。
また、「Python-docx」というライブラリを使うことで、Wordにおいて文章を新規作成・内容変更・画像の貼り付けが可能です。さらに2つのライブラリを組み合わせることによって、Excelの文章をWordに書き起こすなどアプリを跨いだ操作も行えます。

あらゆる業務を自動化できる
ブラウザ操作・メール関連・ファイル操作・PDF操作・画像編集といったことも、Pythonのライブラリを活用することで簡単に自動化できます。以下に、ライブラリについてまとめたので参考にしてください。
・ブラウザ操作 「Selenium」というライブラリを使用することでWebサイトへログインしたり、フォームへ入力したりといった面倒な作業を自動化できます。
・メール関連 「smtplib」や「imaplib」といったライブラリを使用することで、SMTPやIMAPのサーバに接続できるため、メールを作成して送信するところまで自動化可能です。
・ファイル操作 Pythonには「OS」というライブラリが標準で用意されており、ファイルの作成や削除などの作業を自動化できます。
・PDF操作 「ReportLab」「PyPDF2」「pdfminer」といった複数のライブラリを用いることで、PDFファイルの作成や、ファイルから必要な部分のみ抜き出すことが可能です。難易度はやや高めです。
・画像編集 「Pillow(PIL)」というライブラリを活用することで、画像のサイズ・色の変更・画像の容量を圧縮するなどの作業を自動化できます。
Pythonではあまりやらないこと

ここまでPythonでできることを紹介しました。一方で、Pythonが苦手とする分野もあります。ここでは、Pythonではあまりやらないことを紹介します。あくまで事例が少ないだけで、これらの開発にPythonが使えない訳ではありません。
モバイルアプリ開発
スマホで使えるアプリやゲームの開発には、Pythonはそこまで使われていません。Pythonがモバイルアプリに向いていないというより、もっと向いている言語が他に多数あるためです。例えば、AndroidアプリならKotlin、iOSアプリやSwiftなどの言語が適しています。
KotlinやSwiftは学習コストも少なく、バグを生み出しにくい構成になっており、人気が高いです。モバイルアプリ開発に携わるなら、こういった言語を習得しましょう。


デスクトップアプリ開発
WordやExcelのようなデスクトップアプリの開発にも、Pythonはあまり使われません。「tkinter」というPythonライブラリを使用すればデスクトップアプリを開発できますが、JavaやC#の方がより向いているとされています。これらの言語も人気が根強く、なかなかPythonがシェアを獲得できていません。

ゲーム開発
Nintendo Switchのような家庭用ゲーム機の開発にも、Pythonはそこまで適しているとは言えません。なぜならPythonは処理速度が遅く、特に3Dゲームを作るのが困難だからです。ゲーム開発ならC++などの言語が向いています。C++はPythonより処理速度が早く、処理数が多いゲームも開発可能です。

Pythonを活用できる職種

ここまで説明してきたように、Pythonは苦手な分野もあるものの、様々な用途で使われています。従って、Pythonを扱えるエンジニアが活躍する分野も様々です。ここでは、Pythonを活用できる代表的な職種を3つに絞ってご紹介します。
人工知能(AI)エンジニア
「Pythonでできること」でも紹介したように、Pythonは機械学習に向いています。人工知能(AI)は、今最も注目と期待を集める成長分野の1つであり、人工知能が使われた製品やサービスは年々増え、私たちの生活に身近なものも次々と登場しています。
発展途上の分野だからこそ、今まで誰もやったことのないことに取り組むチャンスもあるでしょう。また、成長分野なだけあって将来性もあり、収入アップが期待できるかもしれません。
Pythonを習得してAIエンジニアを目指すなら、自分のスキルにあった企業を探してくれる転職エージェントの活用をおすすめします。

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データサイエンティスト
データサイエンティストの仕事は、必要なデータを収集し、それらを分析することによって課題を解決に導くことです。
こういった技術はマーケティングの分野においても活用されており、データサイエンティストはマーケティング活動においても重要な役割を果たすことができます。マーケティング戦略に必要なユーザー行動解析やアクセス解析などの情報解析は、Pythonが得意とするものです。
また、Excelを自動化することによるデータ分類作業の効率化やスクレイピングによる競合他社サイトの分析など、Pythonの様々な機能を活用することができます。
ビッグデータを用いたマーケティングも近年注目を集めており、統計解析技術の需要は今後さらに高まっていくことでしょう。

Webアプリケーションエンジニア
Pythonは、先述したYouTubeのほかFacebookやInstagramといった世界的に利用されているアプリケーションに使われています。
シンプルでわかりやすいソースコードのため汎用性が高く、様々なコンテンツやアプリケーションを開発することができます。このようなメリットは国内外で重宝されており、PythonによるWebアプリ開発は今後も需要があると言えるでしょう。

Pythonを習得すれば年収はアップする?

一般的なプログラマーの年収は「マイナビエージェント 職種図鑑」での平均年収は344万円(※2023年6月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」からエンジニア/プログラマを参考にすると、平均年収592万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、プログラマーの年収は、調査媒体によってバラつきがあることが分かります。
プログラマーを含むITエンジニアの報酬は実績が重要視される傾向があるため、さらに年収を上げるには、スキルアップを図る方法が効果的です。Pythonなど人気の言語を使いこなせれば、年収アップへの大きな足掛かりになります。
また、その他の言語をあわせて習得することで活躍の場が広がり、さらなるキャリアアップに繋がるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
Pythonを学ぶ方法

Pythonを効率的に学ぶには、プログラミングスクールに通う・書籍で学ぶ・学習サイトを活用する、といった3つの方法があります。ここでは、3つの学習方法について詳しくご紹介します。

プログラミングスクールに通う
最も確実な方法は、プログラミングスクールに通うことです。スクールでは先生が学習スケジュールを組み、学習を管理してくれます。独学では学べない面白いプログラムの作り方も、スクールでは教えてもらえます。
また、Pythonで分からないことがあればチャットやビデオ会議ですぐ質問でき、転職サポートまでしてくれるメリットがあります。Pythonを扱う企業の求人を紹介し、採用されるための面接練習や職務経歴書添削まで行ってくれます。
エンジニア経験が2〜3年ある人はスクールに通う必要性はあまりないかもしれませんが、初心者の場合はプログラミングスクールに通う方法が最も確実です。
書籍で学ぶ
Pythonの学習には書籍を活用することも重要です。Pythonはプログラミング言語の中でも比較的容易な方なので、独学はそこまで難しくありません。簡単なプログラムであれば、初心者でもすぐ作れるようになるでしょう。ただし、より知識や理解を深めるには書籍などの活用が重要です。
以下におすすめの書籍を3つご紹介します。
「きれいなPythonプログラミング クリーンなコードを書くための最適な方法」 本書は、綺麗なコードを書くためのコマンドライン・コード整形・型チェッカー・リンター・バージョン管理といったツールを分かりやすく解説しています。よくある注意点などもまとめられているため、コード記述に自信のない方におすすめしたい1冊です。
▪著者:岡田佑一 ▪ページ数:384ページ ▪出版社:マイナビ出版 ▪発売日:2022/02/15
【参考】:きれいなPythonプログラミング クリーンなコードを書くための最適な方法
「Excel、データ整理&分析、画像処理の自動化ワザを完全網羅! 超速Python仕事術大全」 シンプルなコードで、データ整理・Webリサーチ・売上予測などのさまざまな作業を自動化するためのコツが詳しく記載されている参考書です。全編解説動画付きなので、本を読むのが苦手な方でも読みやすく分かりやすくなっています。
▪著者:伊沢剛 ▪ページ数:304ページ ▪出版社:宝島社 ▪発売日:2022/01/07
【参考】:Excel、データ整理&分析、画像処理の自動化ワザを完全網羅! 超速Python仕事術大全
「Pythonでプログラミングして理解する 機械学習アルゴリズム」 Pythonを扱う上で重要なアルゴリズムを解説し、流れが理解できるような構成になっている本です。線形回帰・過剰適合・最尤推定法・カーネル法といった項目を徹底的に学習することで、機械学習を使いこなせるようになります。
▪著者:神野健哉 ▪ページ数:196ページ ▪出版社:近代科学社 ▪発売日:2022/02/25
【参考】:Pythonでプログラミングして理解する 機械学習アルゴリズム

学習サイトを活用する
昨今PythonをはじめITの学習において、学習サイトを活用する方法がスタンダードになりつつあります。参考書と合わせて活用することで、より理解が深まりやすくなり、効率的な学習に繋げることが可能です。費用としては月額1,000円程度で利用できる他、無料公開されている動画レッスンなどもあります。
まずは無料利用からスタートし、知識を深掘りしたくなったら有料プランに切り換えましょう。
Pythonは機械学習や統計解析分野で特に活躍

本記事では、Pythonでできること・できないことについて解説しました。どのような分野でPythonが使われているのか、お分かり頂けたかと思います。Pythonは処理速度が遅い反面、ライブラリが豊富だったりフレームワークが優秀だったりと、メリットが多い言語です。
特に、機械学習分野で多く使われており、今後需要がますます増えていくことが想定されます。これらに関わるエンジニアやデータサイエンティストの求人も豊富なので、今後キャリアアップのために転職を意識する方にも、Pythonはおすすめの言語です。
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