【関連記事】【Pythonのライブラリ管理ツール】pipインストールを徹底解説!Windowsでも簡単?
Pythonの機械学習ライブラリとは
Python言語を用いた機械学習(深層学習を含む)モデルの構築で外せないのが、機械学習に関するライブラリです。Pythonには機械学習ライブラリが豊富にあり、このライブラリを活用することで、Pythonによる開発は飛躍的に効率化できます。
従って、Pythonエンジニアや機械学習エンジニアを目指す人は、この機械学習ライブラリについて知っておく必要があります。この記事では、機械学習モデルの構築に役立つ、おすすめの機械学習ライブラリを紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
PyPIからインストールするならpipを活用
機械学習ライブラリなどのPythonパッケージを管理するサービスとして、PyPI(パイピーアイ:Python Package Index)があります。このPyPIに登録されているPythonの各ソフトウェアやライブラリは、pipを用いてインストールすることができます。
そもそもpipとは標準パッケージ管理システムであり、パッケージの検索やインストール、アップグレード、アンインストールなどの処理を行います。
【参考】:PyPI · The Python Package Index
使い方は簡単で、以下のようにパッケージ名を指定するだけで完了です。
“$ python -m pip install パッケージ名”
【参考】:Python モジュールのインストール — Python 3.12.2 ドキュメント
モジュールとライブラリ
ライブラリについては分かりましたが、モジュールとライブラリは何が違うのでしょうか?
関数やクラスをまとめたものがモジュールで、Pythonでは拡張子が「.py」のファイルを指します。
ライブラリは他のプログラムから呼び出されるものの総称で、関数やクラス、モジュール、パッケージなどを含んだものです。
ライブラリとフレームワーク
システムやアプリケーション開発で、ライブラリやフレームワークの利用は必須とも言えますが、ライブラリとフレームワークは何が違うのか、確認しておきましょう。
フレームワークは構造や枠組みを意味しますが、アプリケーション開発ではテンプレートのようなものです。フレームワークでは一定のルールが設けられており、そのルールに従ってコードを書いていきます。
一方、ライブラリはある機能を簡単に利用できるコードの集まりであり、プログラムのパーツとも言えます。どちらもアプリケーション開発の効率化に役立つため、時には混同したり、同一視されたりしているケースもあります。
機械学習と深層学習
AI開発では機械学習が必ずと言っていいほど利用されますが、他に深層学習(ディープラーニング)も利用されます。そこで、機械学習と深層学習を別物だと考えてしまいがちですが、深層学習は機械学習の1種なのです。
AIがうまく機能するためにはAIに学習させる必要があります。そのための方法の1つとして機械学習があります。その機械学習の中に、ニューラルワークという学習手法があり、これを深層学習(ディープラーニング)と呼んでいます。
それらの関係を図式化すると、『AI > 機械学習 > 深層学習』という関係になります。深層学習は、ニューラルネットワークと呼ばれる人間の脳の仕組みを模倣した手法で、機械学習の進化形です。
これから、おすすめの機械学習ライブラリ5つと、機械学習の中でも深層学習(ディープラーニング)のライブラリ5つ、併せて10選を紹介していきます。それぞれ得意分野や用途などが異なりますので、比較しながら目的に合致するライブラリを選択しましょう。
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機械学習ライブラリ5選
機械学習に適したライブラリは大変多くの種類があり、どれを利用すればいいのか迷います。ここでは機械学習で良く利用されるライブラリ、おすすめの機械学習ライブラリを5つ紹介していきます。
NumPy
NumPy(ナンパイ)は、Python専用の数値計算に特化したライブラリです。NumPy自体はC言語などのコンパイル型言語で実装され、処理速度が速いのが特徴です。
またNumPyは機械学習だけではなく、配列処理に長けており、音声処理や画像処理にも利用できることから、汎用性の高いライブラリです。また、SciPyライブラリを追加することで、より高度な計算処理が行えるようになります。
【参考】:NumPy
Pandas
Pandas(パンダ、パンダス)は、数表や時系列データなどのテーブル型データを扱えるようにするライブラリです。機械学習では大量のデータを取り扱いますが、学習精度を高めるために不要なデータを排除し、必要なデータに絞る必要があります。
Pandasはその前処理で、データセット処理を効率的に行う際に必要となるライブラリです。PandasはNumPyと同様に、Pythonパッケージとして知られた「Anaconda」に含まれています。
【参考】:pandas - Python データ分析ライブラリ
SciPy
SciPy(サイパイ)はNumPyと同じく、配列や行列演算も行えますが、さらに科学計算用のライブラリで信号処理や統計などを得意としています。SciPyは具体的には積分、統計、線形代数、遺伝的アルゴリズム、フーリエ変換、ODEソルバなどの高度な科学計算処理が可能です。
【参考】:SciPy
scikit-learn
scikit-learn(サイキット・ラーン)は機械学習ライブラリの定番と言われ、機械学習で使用する様々なアルゴリズムが実装されています。
scikit-learnの主な機能としては、分類、回帰、クラスタリング、次元削減、データの前処理、モデル評価と選択があり、またサンプルのデータセットやサンプルコード、丁寧な公式ガイドも用意され、機械学習の実装を手軽に試せる点も人気の理由です。
【参考】:scikit-learn: machine learning in Python — scikit-learn 1.4.1 documentation
Matplotlib
Matplotlib(マットプロットリブ)はデータ解析用の言語の「MATLAB」を模倣して作成された、データ可視化を行うライブラリです。データから簡単に散布図やヒストグラムといったグラフを表示したり、画像データで描画したりすることができます。
Pandasを利用してもデータの可視化はできますが、Matplotlibはより表現力が求められるグラフ処理が可能です。このMatplotlibも「Anaconda」に標準搭載されています。
【参考】:Matplotlib — Python による視覚化
深層学習ライブラリ5選
ここでは深層学習(Deep Learning:ディープラーニング)で利用できる、おすすめのライブラリやフレームワークを見ていきましょう。こちらも同様に厳選した5つのライブラリを紹介します。
TensorFlow
TensorFlow(テンソルフロー)は、Googleが開発しているオープンソースのニューラルネットワークの最新ライブラリです。ニューラルネットワークは人の脳の神経回路構造を数学的に表現できる手法で、このライブラリを利用することでニューラルネットワークを構築できます。
顔認識システムや自動運転システムでもTensorFlowは利用されており、今後の広がりが期待されています。
【参考】:TensorFlow
PyTorch
PyTorch(パイトーチ)はFacebookが開発したディープラーニング用のフレームワークです。NumPyと操作方法が類似しており、NumPyを扱っているエンジニアであれば、すぐに扱えるでしょう。
また、ニューラルネットワーク構築で必要となる計算グラフが動的に構築されるため、柔軟にモデルの構築が行え、容易に複雑なニューラルネットワークを実装できる点が特徴です。
【参考】:PyTorch
Keras
Keras(ケラス)はPythonで書かれたニューラルネットワークのライブラリです。KerasはTensorFlowなど他のディープラーニングのライブラリの上で動く作りとなっており、また分かりやすい設計のため、初心者でも簡単に深層学習ネットワークの構築が可能です。
また、Kerasは日本語ドキュメントがあり、日本人が扱いやすいライブラリの1つです。
【参考】:ホーム - Keras ドキュメント
Chainer
Chainer(チェイナー)は、Preferred Networks(国内企業)によって開発され、オープンソースとして公開されたディープラーニングのフレームワークです。日本企業開発のフレームワークであり、日本語ユーザーグループもあるため、特に日本では安心して利用できる深層学習フレームワークとして人気があります。
【参考】:Chainer: ニューラル ネットワーク用の柔軟なフレームワーク
Caffe
Caffe(カフェ)は画像認識処理を得意とする深層学習ライブラリです。オープンソースのライブラリで、開発コミュニティの活動が活発で、世界中で開発が進められています。CaffeはC++で実装されており、高速処理が可能です。
そのためCaffeは物体認識や画像処理を得意としていますので、画像データを用いて深層学習を行いたい際には使用をおすすめします。
【参考】:Caffe | Deep Learning Framework
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PythonライブラリIを活用できる職種の年収
Pythonの機械学習ライブラリを活用できる職種はAIエンジニアですが、AIエンジニアが含まれるシステムエンジニアの年収を「マイナビエージェント職種図鑑」で見てみると、平均年収は431万円(※2024年3月執筆時点)です。
経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近しい職種のIT技術スペシャリスト(特定技術(DB・NW・セキュリティ等))を参考にすると、平均年収は758万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、AIエンジニアは一般平均年収と同程度から高めであることが分かります。
AIエンジニアは活躍分野が広く、画像処理や音声認識など求められる技術も様々です。AI技術の専門職として高度なスキルを有するAIエンジニアは、さらなる高収入を得られる可能性があります。
【参考】:マイナビエージェント職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
ライブラリのメリットとデメリット
ここまで機械学習で役立つライブラリを紹介しましたが、ライブラリを利用するメリットとデメリットがあります。それらを理解した上で利用するようにしましょう。
デメリット
ライブラリは大変便利ですが、利用するデメリットもありますので確認しておきましょう。
■ ライブラリが多過ぎて選ぶのが大変 Pythonのライブラリを管理している PyPI.orgでは、100万以上のライブラリが登録されています。似たようなライブラリも多くあり、使ってみないと分からないものがあります。特にチームでライブラリを利用する場合は、チームでコンセンサスを得てから利用しないと無駄が生じることもあります。
【参考】:Python PackageIndex
■ 他の言語では利用できない 開発環境によって利用できるライブラリは異なります。せっかく馴染んで、よく利用しているライブラリがあっても、異なる言語で同じライブラリを利用するのは難しいでしょう。
メリット
ライブラリを利用するメリットは多数ありますが、ここでは主なメリットについてまとめてみました。メリットをよく理解した上で、積極的にライブラリを利用することをおすすめします。
■ プログラムの質が向上する ライブラリは豊富にありますが、中でも人気のライブラリは非常に多くの人に利用されており、何度も改良が加えられてプログラムの精度や質が高まっています。そのため、ライブラリを利用することでプログラムの質が向上します。
■ プログラミング効率が向上する ライブラリを利用することで、複雑な機能を1から開発する必要がなくなり、プログラミングの効率がアップします。制作時間も短縮でき、限られた時間に多くのプログラムを作成することができます。
■ プログラマーとして早く成長できる ライブラリを活用することで、プログラミングの生産性が高まり、これまでよりも多くの開発に関われます。経験値が上がり、自ずとプログラミングスキルも向上します。
ライブラリに強いAIエンジニアとして転職を成功させよう
ここまで、AIエンジニアとして必要な機械学習で用いるライブラリ10選を紹介し、ライブラリ利用のメリット・デメリットを解説しました。ライブラリを活用することで、プログラミングスキルは向上し、またプログラミング効率がアップします。
このライブラリ活用メリットを活かし、AIエンジニアとしての活躍機会を増やす方法の1つに転職があります。転職する際には、自分の成長を促し、活躍機会を与えてくれる、相性の良い企業で仕事をしたいものです。
とはいっても、初めての転職は様々な不安が伴います。仕事を続けながらエンジニアとしてのスキルアップを図り、さらに膨大な求人の中から自分に合う案件を見つけ出し、転職試験や採用面談に備えるのは容易ではありません。
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・資格やプログラミングの勉強をしているけれど、企業が求めるレベルに達しているのかわからない ・スキルアップをして市場価値を上げていける企業の選び方を知りたい ・数多くあるITエンジニアの職種の中で、自分に向いている仕事は何か知りたい
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