AIエンジニアとは
SF映画の世界だったAI(人工知能)は、今ではスマホの音声アシスタントやお掃除ロボット、あるいは配膳ロボットなど、さまざまな分野でAIは実用化され、私たちにとって身近な存在になっています。それらの開発やビッグデータの解析などに携わっているのが、AIエンジニアです。
また、DX推進でもAI技術の活用が進み、AIに対する注目は大きく高まっています。そうしたことから、ITエンジニアの中からAIエンジニアに転身する人も増えています。そこで、この記事ではAIエンジニアへのキャリアチェンジを目指す方のために、AIの仕事内容や必要なスキル、資格や将来性について解説します。
AIエンジニアの3つの職種
AIエンジニアとは、AIの知識や技術を用いてAIプログラムの開発を行ったり、AIを用いたデータ解析を行ったりするエンジニアの総称です。また、役割ごとに名称が異なりますが、今回はAIエンジニアの中から、機械学習エンジニア・データサイエンティスト・データアナリストについて紹介します。
■ 機械学習エンジニア
機械学習(Machine Learning)はAIを支える技術の1つです。コンピューターにデータを読み込ませ、反復学習をさせることでデータからパターンや特徴を引き出し、その特徴やパターンから答えを導き出します。
ここではアルゴリズムを駆使したプログラムが用いられます。機械学習の中でも、人間の脳の思考パターンに近付けたものが深層学習(ディープラーニング)と呼ばれるものです。
■ データサイエンティスト
データサイエンティストは大量のデータ(ビッグデータ)から必要な情報を抜き出し、ビジネスやプロジェクトの課題改善のために、施策の立案や提案を行う役割を担うことから、アナリティクス分野におけるAIエンジニアとも言えます。
AIに関する知識やスキル以外に、プログラミング能力、統計解析を行うための数学的知識、課題解決のためのコンサルティングスキルも求められます。データサイエンティストは先ほどの機械学習エンジニアの能力に加えて、この後紹介するデータアナリストの能力の両方を兼ね備えた職種です。
■ データアナリスト
データサイエンティストと同じく、アナリティクス分野に属するAIエンジニアです。データサイエンティストよりもデータ分析や解析に特化した職種で、AI技術を用いてデータから仮説を立て、問題解決の手段や方法を導き出します。データアナリストはデータサイエンティストよりはビジネス寄りの職種と言えます。
AIエンジニアの主な仕事内容
AIエンジニアの役割や職種については理解できたでしょうか。ここからは、AIエンジニアの仕事内容について紹介します。
■ リサーチ
AI分野はまだ発展途上であり、日々進化しています。そのため、最新の情報を得る必要があり、AIの研究文献やネット上の最新情報などを入手して、自らが持つ知識や情報を更新します。
■ AI開発
AI開発においては、アルゴリズムと学習モデルの開発を行います。機械学習ではあらかじめ学習モデルの構築が欠かせません。この学習モデルの構築はアルゴリズムによって自動化を行い、より解析や分析が行いやすくなるようにしていきます。
■ データ分析
データ分析、解析とAIシステムの開発を行います。統計学などの数学とプログラミングスキルが求められます。
AIエンジニアの年収
転職において、AIエンジニアになることでどの程度の年収が得られるのか気になるところでしょう。AIエンジニアは研究者からコンサルタント、プログラマーまで実に仕事の幅が広い職種です。
年収の平均値を求めてもあまり意味がありませんので、レンジで見てみましょう。マイナビAGENTの求人検索でキーワードを「AIエンジニア」で検索した結果、年収幅は350万円〜800万円でした。スキル次第では、これ以上の高年収も望めるでしょう。
【参考】: SE・システムエンジニア(IT/通信/インターネット) 求人一覧| マイナビAGENT
AIエンジニアにはネガティブな意見も?
今を時めく花形エンジニアのAIエンジニアですが、意外にも「やめとけ」といった声も聞かれます。それは、AIエンジニアが相対的に難易度が高いエンジニアであることが関係しているようです。なぜネガティブな意見があるのか、その原因について1つずつ確認してみましょう。
数学知識が必要
AIエンジニアは統計解析などのスキルが求められることもあり、理系出身者が多いイメージがあります。そのため、文系大学出身者にはハードルが高いと受け止められがちです。
しかし、文系出身でも「機械学習の勉強をした」「ライブラリに頼らず自分でアルゴリズムを構築した」「Python言語が使える」といった方は活躍できる可能性があります。理系にこだわる必要はありません。
スキルアップが大変
AIエンジニアは最先端技術を扱うため、求められるスキルレベルは高く、また常にスキルアップをしなくては付いていけません。
好奇心や向学心が強い人でなければ、日々スキルアップに努めるのは辛いかもしれません。逆に言えば、研究者のような仕事をしながら給料をもらえるのですから、人によっては恵まれた環境に感じられるでしょう。
未経験者には難しい
エンジニア未経験の人がいきなりAIエンジニアを目指すのは難しいでしょう。統計解析が得意、Pythonのプログラミングが得意、アルコリズムが得意といったバックボーンがないと、未経験からの転職は非常に厳しいかも知れません。
IT業界未経験から転職を目指すのであれば、AIについて体系的に学べる専門学校などもありますので、しっかりAIの基礎を学んでから転職を目指した方が良いでしょう。
AIエンジニア職をおすすめする理由
AIエンジニアは高度な専門知識が求められるため、敬遠しがちですが、次の理由からAIエンジニアをおすすめします。難しいからと簡単に諦めず、可能性がある限りはぜひチャレンジしてみましょう。
AI人材が不足しているから
AI市場は急速に発展している一方で、IT人材の不足、とりわけAI人材の不足が深刻化しています。経済産業省の人材需給に関する調査(概要)※によると、AI市場が平均的な伸びを示した場合、2030年にはAI人材の需給ギャップが12.4万人に達すると予測しています。
世間から強く求められている職業に就くメリットが大きいことは容易に想像がつきます。
【参考】:人材需給に関する調査(概要)P7~P8|(3) AI 人材の需給について|経済産業省
AIに置き換えられない職業だから
多くの職業がAIに置き換わると言われています。例えば、銀行員・警備員・スーパーやコンビニ・レストランの店員・タクシー運転手などです。
逆にAIによって置き換えるのが難しい職業としては、データサイエンティストなどのAIエンジニア、コンサルタントなどです。同じエンジニアでも、プログラマーはAIによる自動プログラミングによって仕事そのものが変わるかもしれません。
キャリアアップをしやすいから
AIエンジニアは常に最先端のIT技術に関わる職種であり、常に知識のアップデートを求められます。この最新の知識や情報は大きな力となり、ステップアップを後押ししてくれます。
AIエンジニアのキャリアパスとしては、AIコンサルタントやデータサイエンティストとしてキャリアアップ、マネジメント職などが想定されます。
AIエンジニアに向いている人
AIエンジニアにはどのような人が向いているのか、素質面から見ていきましょう。AIエンジニアの仕事の性質上、以下の3つの資質が備わっている人が向いていると言えます。
ロジカルシンキングが得意な人
AIエンジニアは大量のデータをアルゴリズムを用いて解析し、答えを導き出します。アルゴリズムにはロジカルシンキング(論理的思考力)が必要です。論理的に考えず、主観や直感に頼りがちという人には向いていません。
好奇心が旺盛な人
AI分野はまだまだ発展途上です。AIに関する新しい知識や技術だけではなく、AIをどのような分野に活用できるかを考えるために、あらゆる新しい知識や情報、あるいは人々のニーズに敏感でなければなりません。そのためには、人一倍の好奇心と探求心が必要です。
問題意識の高い人
AIはあらゆる場所で、問題を解決するために活用されます。そのため、AIエンジニアは問題意識が高く、解決や改善が好きな人が向いています。労働力不足を解消したい、どこにいても診療を受けられるようにしたい…といった問題意識を常に持っている方はAIエンジニアに向いています。
AIエンジニアになるには
実際、AIエンジニアになるにはどういうプロセスを歩めばいいのでしょうか。ここでは、AIエンジニアになるための具体的な方法について紹介します。
専門のスクールで知識を身につける
AIエンジニアには、Python、R言語、C++、Juliaといったプログラミング言語に加えて、数学や統計学の深い知識が求められます。すでに、これらの基礎的な知識がある方は、市販の書籍や学習サイトで技術を磨くのもいいでしょう。
しかし、初心者の方が独学でAIエンジニアに必要なスキルを身につけるのはかなり困難です。そのため、AIに特化した学科が用意されている理系大学や専門学校で、データサイエンスや統計学を学ぶのがAIエンジニアになるための近道です。
開発エンジニアとして実績を積む
大学や専門学校で専門的な知識を身につけたら、まずは開発エンジニアとして実績を積むのもいいでしょう。いきなりAIエンジニアとして活躍するのは難しいかもしれませんが、AI開発を行っている企業で開発に携わり、業務内容を把握することができれば、自ずと知識と技術も身につけられます。
AIエンジニアは今後もますます求められる存在になると言われているため、実績を積むことでキャリアアップの道が開ける可能性が高まります。
資格を取得する
資格を取得するのもいい方法です。AIエンジニアに必須の資格はありませんが、就職や転職をする上で役立つ資格があります。また、資格取得という目標を持つことで、モチベーションを保ちながら学習を進められます。
資格を取得すれば、機械学習やデータサイエンスの知識を証明できるため、自信にも繋がるでしょう。おすすめの資格については、以下の項目で詳しく説明します。
AIエンジニアにおすすめの資格
ここでは、AIエンジニアを目指す方におすすめの資格を3つ紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
G(ジェネラリスト)検定
「ディープラーニング」(深層学習)について、事業で活用する際に必要な能力や知識を有している証明となる検定試験です。AIで「できること」を学ぶには適した試験ですが、どちらかといえばビジネス寄りの試験です。
AIエンジニアを目指す人がAI全般やディープラーニングに関する知識を体系的に学ぶ上では有効な資格です。
【参考】:G検定とは|日本ディープラーニング協会
E資格(エンジニア資格)
E資格はディープラーニングに関するエンジニア向け資格で、ディープラーニングについて理解し、それを実装するエンジニアとしての能力や知識を問う試験です。G検定と併せて取得するエンジニアが多くいます。
【参考】:E資格とは|日本ディープラーニング協会
Python3エンジニア認定基礎試験
Pythonは機械学習のプログラミングでは最もよく利用される言語です。Python3エンジニア認定基礎試験は、Pyhonに関する基本的な文法・データ構造・クラス・標準ライブラリなどに関する知識を問う試験です。他に、より実践的な「Python3エンジニア認定データ分析試験」もあります。
【参考】:Python 3 エンジニア認定基礎試験
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