ブロックチェーンの開発言語
ブロックチェーンは、データを安全に分散保存するための仕組みです。ブロックチェーンのシステム開発は、通常のプログラミングと同様にプログラミング言語を用いて開発を行います。ここでは、ブロックチェーンに関連する、用途やそれに適するプログラミング言語について解説していきます。
ブロックチェーンとは
ブロックチェーンというと、ビットコインを思い出す方も多いでしょう。ブロックチェーンは、サトシ・ナカモトを名乗る人物により、ビットコインの公開取引台帳の仕組みとして開発されました。ブロックチェーンは二重取引を防止する技術や、記録したデータの書き換えを防止する技術として用いられています。
ブロックチェーンの仕組み
ブロックチェーンでは、情報のやり取りを中央一元管理ではなく、分散化した管理手法を取り入れて行います。接続方式は、ピアツーピア方式というノード間接続による分散接続形式をとります。改ざん防止の仕組みを取り入れており、分散配置により低コストシステムの実現と安全性の確保を両立させることができます。
具体的な実装方法ですが、ブロックチェーンはデータをブロックとして管理し、チェーンとしてブロック同士を連結していきます。ブロックの連結にはハッシュ値を使用するため、データ改ざんによるハッシュ値との食い違いやブロックの付け替えが現実的には難しいことで、安全性が確保されています。
ベースとなる実装技術
ブロックチェーンは、ピアツーピア接続でノード間を分散接続し、安全性を高める暗号化を行います。そのため、実装で用いる通信技術と暗号化技術がプログラミング言語に関わらず必要です。
具体的には、暗号化に使用する電子署名、データ構造に用いられるハッシュとハッシュポインタの管理などがあります。これらの手法は、どのプログラミング言語を用いる場合においても、事前に理解しておくのが良いしょう。
ブロックチェーンの活用事例
ブロックチェーンでは、低コストでシステムを構築することが可能で、かつ改ざん防止などの安全性が確保された情報伝達が可能です。そのため、売買のマッチングサービスや本人確認などの信用情報の保存や入手に最適です。
この技術を用いて不動産取引やデジタルコンテンツの資産化など、トランザクションと真贋が保証された資産売買が可能です。デジタル資産は、ブロックチェーンを基本とするNFT(非代替性トークン)を用いて、所有や転売行為などを改ざんされることなく行うことができます。
ブロックチェーンの用途別の開発言語
ブロックチェーンの開発言語は、使用用途に応じてそれぞれ用いられるプログラミング言語があります。ここでは、使用用途別におすすめの開発言語を解説していきます。
ブロックチェーン自体を開発するならC・C++
ブロックチェーン自体を開発するには、CやC++を用います。特にC++は、ビットコインの開発で用いられており、仮想通貨関連のシステムとして標準的な役割を持っています。そのため、ブロックチェーン自体を開発するには、おすすめのプログラミング言語です。
【参考】:Bitcoin Core 【参考】:Bitcoin Core integration/staging
Webページにブロックチェーンを実装するならJavaScript
Webページにブロックチェーンを実装するには、JavaScriptを用います。JavaScriptは、ブラウザベースのアプリケーション開発に強みがあり、簡単にWebページにブロックチェーンを実装することができます。ブロックチェーン向けのライブラリやサンプルコードが多数あります。
【参考】:イーサリアム JAVASCRIPT APIライブラリ
イーサリアムのシステム開発にはGo
イーサリアムのシステム開発には、Goがおすすめです。Goは、Googleが独自に開発したプログラミング言語で、高速処理に強い特長があります。
イーサリアムのクライアントソフトウェアである「GoEthereum」は、Goで記述されています。そのため、イーサリアムのシステム開発や、GoEthereumを使用する際には、Goのスキルが求められることが多くなります。OpenEthereumというRustで開発されたクライアントを用いる場合もあります。
【参考】:GoEthereum 【参考】:OpenEthereum
スマートコントラクトのシステム開発にはSolidity
スマートコントラクトとは、特定の条件が満たされた場合に、決められた処理が自動的に実行される契約履行の自動化システムを指します。このスマートコントラクトでは、Solidityが用いられることが多いです。
特に、イーサリアムのスマートコントラクトのシステム開発に際にはSolidityが必要です。
【参考】:Solidity
初心者の学習用ならPython
初心者の学習用には、Pythonがおすすめです。Pythonは初心者でも理解しやすいので、ブロックチェーンの仕組みや動作を学ぶ際に簡単に始めることができます。ブロックチェーンの基本が理解できたら、用途別に最適なプログラミング言語を使用して実務で利用できるように進めると良いでしょう。
【参考】:Python 【参考】:Python ドキュメント
ブロックチェーンの開発フレームワーク
ブロックチェーンの開発フレームワークも、いくつかあります。開発フレームワークというよりも、構築プラットフォームとして稼働環境を簡単に構築できるように、個人向けから企業向けまで多く提供されています。
個人向けは「Bitcoin Core」、企業向けは「Ripple」「Corda」「Quorum」「Hyperledger Fabric」などが有名です。
【参考】:Bitcoin Core 【参考】:ripple 【参考】:r3 Corda 【参考】:Quorum 【参考】:Hyperledger Fabric
それぞれの開発言語の特徴
ブロックチェーン向けにリリースされたプログラミング言語が、Solidityです。JavaScriptに似ており、イーサリアムなどのブロックチェーンプラットフォームで動作します。ブロックチェーンエンジニアであれば、専用のプログラミング言語と考えて学習するのが良いでしょう。
【参考】:Solidity
Solidity以外のプログラミング言語は、汎用の言語が多いです。あらためて説明する必要もないかもしれませんが、念のため簡単におさらいしておきます。
・C++ C++は、C言語から派生したオブジェクト指向プログラミング言語です。C言語が分かるとC++も理解が進みます。高水準言語としても、低水準言語としても使用することができます。
・JavaScript Webブラウザ向けオブジェクト指向スクリプト言語です。ECMAScriptとして標準化されており、ブラウザの違いを吸収し、PCからスマホまで対応アプリケーションを整備することができます。
・Go C言語を参考に、コンパイラ言語として登場しました。マルチプラットフォーム化が順次進められており、汎用プログラミング言語としても利用可能です。
・Rust OSのシステムプログラミング言語を目指して、登場しました。C言語とそん色ない実行性能が発揮できます。
・Python インタープリタ型であり、デバッグが簡単に行えます。科学技術計算のライブラリが多数用意されています。そのため、最初にハッシュ関数の仕組みなどを理解するには、選択肢の1つとなります。
【参考】:ISO/IEC the C standard 【参考】:C++ 【参考】:MSDN JavaScript 【参考】:Go 【参考】:Rust 【参考】:Python
まずは仕組みの理解から
ブロックチェーンは安全性が高く、固定資産やデジタル資産の売買などに活用したり、金融システムのトランザクション保証や台帳管理などに使われています。ブロックチェーンのシステム開発には、いくつかのプログラミング言語を用います。
その前提となるブロックチェーンの仕組みについては、プログラミング言語に依存しない共通の考え方(アルゴリズム)の理解が必要です。まずは仕組みの理解から始め、徐々にシステム開発の専門性を高めることが有効です。
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