データサイエンティストの年収はいくら?
データサイエンティストはデータ分析のプロであるため、専門的な知識が必要とされる分、年収も高いのではという印象があります。AI・IoTの広がりにより、昨今データ分析の分野の需要が増え続けており、それに伴ってデータサイエンティストやデータアナリストの求人を多く見かけるようになりました。
そこで、この記事ではデータサイエンティストの年収事情や、仕事内容・将来性・必要な資格などについても解説します。データサイエンティストを目指す方はぜひ読み進めてください。
まずは、気になるデータサイエンティストの年収について見ていきましょう。
データサイエンティストの年収
ここでは、データサイエンティストに近いデータアナリストの年収例を参考に紹介します。
「マイナビエージェント職業別年収ランキング」での平均年収は824万円、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のIT技術スペシャリスト(特定技術(DB・NW・セキュリティ等))を参考にすると、平均年収758万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、アナリストは一般平均年収よりも、やや高めであることが分かります。
このように、アナリストやデータサイエンティストは、専門的な知識・スキル・実績によって、比較的高収入のエンジニア職と言えます。データ分析に興味がある、今よりも高収入を目指したいエンジニアにはおすすめの職種です。
【参考】:マイナビエージェント職業別年収ランキング ※【平均年収 調査対象者】2019年12月~2020年5月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
そもそもデータサイエンティストとは
そもそもデータサイエンティストとは、データサイエンスのために収集したデータを分析する統計の専門家を指します。データサイエンスとは、数学や統計学を用いた数学的手法・計算機科学・情報工学を用いたコンピュータ技法・機械学習・パターン認識等の人工知能技術を用いて実施するデータ分析手法を指します。
現在ビッグデータにより収集したデータを活用し、ビジネス課題を解決することが求められており、データサイエンティストがその役割を担います。
データサイエンティストとデータアナリストの違い
データサイエンティストは、以下の一連のデータ分析に必要とされるビジネスサイクルをカバーします。
(1) ビジネス課題の抽出 (2) データ収集の準備・収集 (3) データ分析 (4) ビジネス課題の解決
一方データアナリストは、データ分析に特化した専門家です。そのため、データ分析手法を学術的に研究し実践することに強みがあり、複雑な分析を高度な技法を活用して分析します。
データサイエンティストと機械学習エンジニアの違い
ここでは、データサイエンティストと関係の深い人工知能について触れていきます。人工知能とは、人間が備えている知的な行為をコンピュータの手続き・アルゴリズムに基づき、所定のデータを与えることで機械的に実行することを研究する領域です。
データサイエンティストとは、パターン認識や機械学習アルゴリズム等により収集されたデータを活用するシステム利用者で、データ分析者・統計の専門家を指します。
一方機械学習エンジニアは、機械学習アルゴリズムを設計・実装する技術者のことで、ITエンジニアの1種です。実際の業務では共同して実施することが多く、その役割の垣根は低くなってきているのが実状です。
機械学習エンジニアも昨今注目されているエンジニア職の1つです。機械学習エンジニアとデータサイエンティストのどちらを目指せばいいか迷った際は、求人にある募集要項などを確認してスキルや条件に合う方を選ぶ方法もおすすめです。
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データサイエンティストの仕事内容や将来性
データサイエンティストの役割は、大きく分けて以下の通り分類されます。
・サイエンス的な役割 データサイエンスの分析手法を研究し、利用すること ・エンジニアリング データの分析のための収集や仕組みを作ること ・ビジネス 分析結果から導き出される傾向からビジネスへ活用すること
上記の役割がどのように仕事に活かされるのか、以降で触れていきます。同様に、データサイエンティストの市場性についても解説します。
データサイエンティストの仕事内容
データサイエンティストは、サイエンス的・エンジニアリング的およびビジネス的な観点で仕事を進めていきます。分析結果は、多岐にわたる将来の変動予測からより確実性の高い事業戦略策定を行い、効果的なマーケティング活動に適用されていきます。
それでは、実際の活動を工程に分割して説明します。
最初にデータ分析に必要なビジネス上の課題をヒアリングし、データ分析項目の定義とゴールを設定します。次に、必要な項目を収集するための環境を整備し、実際の収集を行います。そして収集データを分析して問題の可視化を行い、最後にビジネス課題の解決に必要な情報を整理してビジネス改善を進めます。
上記のような過程を行うには、学術的な知識(サイエンススキル)と技術的な知識(エンジニアスキル)および業務的な知識(ビジネススキル)がそれぞれ求められます。
データサイエンティストの将来性
データサイエンティストは、人工知能(AI)の実践により脚光を浴びています。
すでに大量のデータを扱う金融システムや製薬・医療関係業界では、データ分析が必須となっており、今後も活躍の場が拡大していくでしょう。同様に、データサイエンティストはビジネス課題に踏み込んだデータ分析を行いますので、経営コンサルタントとしても活躍の場が拡大中です。
また、内閣府ならびに首相官邸により、イノベーション政策強化推進のための有識者会議「AI戦略」(AI戦略実行会議)が行われています。その中で議論されている主なAI適応領域として、各産業界、特に健康・医療・介護・福祉の分野が期待されています。そのAI適応領域は、データサイエンティストの注力する領域と合致するものです。
【参考】:内閣府 AI戦略 【参考】:首相官邸 AI戦略2019
データサイエンティストになるには?
データサイエンティストは比較的高収入が期待でき、将来性も高い職種だと分かりましたが、では、データサイエンティストになるにはどうすればいいのでしょうか。ここでは、データサイエンティストに必要な知識やスキル、取得したい資格などについて紹介します。
また、巷で言われているデータサイエンティストは「つらい」「やめとけ」などの理由についても触れていきます。
必要な知識やスキル
データサイエンティストに必要な知識やスキルは、以下の通りです。
・ITスキル データの抽出・加工・分析もすべてコンピュータで行うため、エンジニアリング、IТスキルは必須です。統計解析に必要な「R言語」、AIでの統計処理(機械学習)に必要な「Python」などを習得しましょう。また、データベースの操作に必要な「SQL」もよく使用されます。
・統計学のスキル 統計学は、そのままでは意味をなさないデータから意味を正しく読み取る学問です。仮説を立ててデータから意味を検証するには、統計学の知識が欠かせません。統計学を学ぶには、確率論や行列などの数学的知識も必要です。
・マーケティング、ビジネスのスキル データサイエンティストの役割は、データをビジネスに活かし、企業がより利益を上げるための仕事をすることです。そのため、マーケティングや自社のビジネスについても理解する必要があります。また、社内の部署との協業が必要なため、コミュニケーション能力やプレゼン能力などのヒューマンスキルも必要です。
おすすめの資格3選
ここでは、データサイエンティストにおすすめの資格を3つ紹介します。
◼︎「統計検定」 データサイエンティストは学術的な知識と技術スキルをデータ分析に活用できるため、数学や統計の専門知識が求められます。統計自体の能力を証明するためには、統計質保証推進協会の統計検定がおすすめです。
◼︎「Python 3エンジニア認定データ分析試験」 Python 3エンジニア認定データ分析試験は、分析計アプリケーションのプログラミング能力を証明するための資格です。確率や統計の数学技術とライブラリーを用いた分析実践能力が証明されます。
◼︎「G検定」 人工知能全般の能力を証明するために、日本ディープラーニング協会のG検定がおすすめです。G検定はジェネラリスト向けの検定で、E資格はエンジニア向けです。E資格ではディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているエンジニアレベルにあるか検定します。
【参考】:一般社団法人 日本ディープラーニング協会のG検定、E資格
データサイエンティストはつらい職種?メリットとは
データサイエンティストは時折「つらい」「やめとけ」と言われてしまうことがありますが、その理由として挙げられるのが、上層部からの期待値の大きさや、データサイエンティスト不足が原因の複数のタスクを受け持つことによる多忙などがあります。スキルや能力の高さ故に、周囲からのプレッシャーを感じてしまう場合もあるようです。
しかし、データサイエンティストには商品開発や経営戦略などの改善という重要なミッションがあり、自分が出した改善策が企業に大きな影響を与えることもあります。そのような結果を残せた際には、大きなやりがいを感じられるでしょう。データサイエンティストになるメリットは、この仕事で得られる達成感や、年収の高さにあると言えます。
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データサイエンティストの企業採用動向
データサイエンティスト協会は、「データサイエンティスト国内企業採用動向調査結果」を公表しています。
【参考】:データサイエンティスト協会 データサイエンティスト国内企業採用動向調査結果
本調査結果は、データサイエンティストを抱える企業への調査を集計したものです。その内容から今後の企業採用の方向性を考えていきます。
データサイエンティストを増やした企業の増減は?
「データサイエンティスト国内企業採用動向調査結果」によると、2019年から2020年にかけてデータサイエンティストを1人以上増やした企業は49%です。その採用は中途採用・新卒採用が中心でした。2019年の調査では社内育成が中心であったため、今後人材の流動性が期待できます。
データサイエンティストの人材育成・研修制度
調査結果によると、データサイエンティストが在職している企業では、社外の研修制度や資格取得の推進によりスキル獲得を行っている結果が出ています。同様に、専門スキルを社内研修制度として展開することも多くなっています。
データ分析の仕組みを作るエンジニアの比率が向上
データサイエンティストは、データの分析スキルに専門性を持つタイプ・データ分析の仕組みを作るエンジニアタイプ・ビジネス課題を解決するタイプ、に分類することができます。
データサイエンティスト国内企業採用動向調査結果によると、データサイエンティストの仕事として比率が高まっているのがエンジニアタイプです。半数以上のデータサイエンティストは、プログラミング知識を活用したエンジニアとして活躍しています。
今後必要とされる人材
これまではビジネス課題を解決することが重視されていましたが、2020年の集計では複数の分野を俯瞰的にみて戦略を考える総合力が期待されています。
同様に、従来は中途採用は未経験採用も一定数ありましたが、2020年の集計では74%が経験者採用に限定して採用されています。そのため、転職希望者はデータサイエンティストとしての能力を事前に高める必要があります。
企業採用で求められる人材像
この調査結果から見えてくる人材像を整理しましょう。
◼︎ポイント1: 人材採用は今後も増加が続く データサイエンティストが所属する会社は、継続的に社外から人材を継続採用していることが分かります。
◼︎ポイント2: エンジニアスキルがより重視される データサイエンティストの活躍の場が増えることで、実際のシステム開発・実装の比率が高まり、エンジニアスキルがより求められていることがあります。
◼︎ポイント3: 即戦力として期待される 個別のデータ分析のみならず、全体を俯瞰して実践する行動力がより求められていることが挙げられます。
デジタルトランスフォーメーションにおいても、積極的にデジタル変革を支えるエンジニアのニーズが高まると考えられます。
エンジニアスキルの向上が一層求められます
この10年で蓄積データが増大し、ビッグデータとして各種データの分析が進んでいます。同様に、人工知能も実用化され、さらに分析すべきデータが拡大しています。そのデータをビジネスに活用する流れは今後もさらに続くでしょう。
データサイエンティストもよりエンジニアスキルが求められ、即戦力として期待されています。エンジニアスキルを高め、自身の可能性をより高めてください。また、より活躍できるエンジニアを目指すためには、スキルを活かせるような企業に転職しましょう。データサイエンティストが良い企業に出会うには、転職エージェントがおすすめです。
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