PHPとはどういう言語?
PHPとは、サーバ側で動的にWebページを作り出すことができる言語です。仕様や文法が比較的覚えやすく、HTMLやJavaなど他のプログラミング言語と比べても難易度はそれほど高くないため、初心者にも人気があります。基本知識の習得にはそれほど時間はかからないと言われています。
また、他のプログラミング言語と組み合わせやすいのも特徴です。さらに、昨今ビッグデータを取り扱うデータベースが増えていますが、PHPはそうしたデータベースとの連携も容易にできるため、活用されるケースは多いです。
PHPの基本知識
ここから、PHPには具体的にどのような特性があるのかについて詳しく解説していきます。
HTMLに比べて柔軟な対応ができる
昔から活用されているHTMLは、1度作成すると表示される情報は変化しません。一方、PHPのプログラムはユーザーや閲覧のタイミングによって表示される内容を変えるなど、柔軟な対応ができます。そのため、情報の更新が多い場合やブラウザ上で計算などを行いたい場合にはPHPが向いています。
また、HTMLで作成したWebページの中でPHPを利用することも可能です。HTMLファイル内にPHPのコードを埋め込むことで、部分的にPHPによるプログラムを機能させられます。PHPとHTMLを併用すれば、よりクオリティの高いWebページに仕上げられます。
PHPの処理はサーバ側で行われる
PHPはサーバ側とクライアント側で挙動が異なります。Javaがクライアント側のブラウザで処理を行うのに対し、PHPはサーバ側でリクエストを受け取る処理を行います。クライアント側は処理された情報を受け取るだけです。
Webページ上でボタンなどのオブジェクトをユーザーがクリックすると、サーバ側がリクエストを受け取ります。そして、リクエストに対してレスポンスを行うことでユーザーが望む処理を返していきます。
構築する際には、リクエストされた内容通りにPHPが動作するようにコーディングしなければなりません。
PHPのコーディングはHTMLに近い
PHPによるコーディングはHTMLと同じように基本的な書き方があり、「<?php」から書き始めていきます。様々な処理内容を書き込んでいきますが、行の最後は「;」で終了します。ファイルは「.php」の拡張子を使って保存すると、コーディングの内容が反映されます。
また、他のプログラミング言語と同じように、書き込み途中にコメントを入れることも可能です。先頭部分に「//」や「#」などを入れると、読み手のコメントとして処理されます。さらに、ifやwhileなどの変数や、printやechoなどの文字列を出力するコードにも対応しています。
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PHPでできること
実際、PHPはどういった場面で使用されているのでしょうか。ここではPHPでできる主なことを紹介します。
ECサイトの作成
動的なWebページを作り出せるPHPは、インターネット上で制作される様々なページで活用されています。中でも多く活用されているのは、掲示板や企業の問い合わせ用フォーム、ネットショッピングで活用するショッピングカートなどです。
動的なWebページに表示される内容は、アプリケーション内におけるサーバ側もしくはクライアント側の動作によって変わります。例えばショッピングカートでは、購入した商品・サービスの種類や数、料金などが自動計算され、確認画面でわかりやすく表示されます。
ブログやWebサイトのカスタマイズ
また、数多くのユーザーがレンタルサーバで構築するWordPressでも、PHPが活用されています。作成したWebページへユーザーがアクセスすると、PHPによってHTMLが生成されてブラウザに表示されます。
記事を投稿した時に最新情報として表示するのもPHPの役割の1つです。変更処理などもPHPが自動的に行います。PHPのおかげで、テンプレートの選択など簡単な操作で自分のWebページを自由にカスタマイズできるのです。
データベースとの連携
大量のデータを効率的に管理するため、「MySQL」「PostgreSQL」といったデータベースシステムがあります。PHPはこういった主要なデータベースと容易に連携することができます。
PHPからさまざまなデータベースが扱えれば、Webサイトやアプリケーションのデータ管理がさらに効率的に行えるようになります。
PHPのデメリット
動的なWebページを作り出すことができる便利なPHPですが、いくつかのデメリットも存在します。PHPそのものの特性によるものの他に、今後PHPを仕事として活用していこうとする際に発生し得るキャリアプランへの影響もあるので注意が必要です。
実行速度が遅い
インタプリタ言語となるPHPは、読み取る際にファイルの上から順に1行ずつ処理していきます。一括で処理を行うわけではなく、その都度内容を判断しながら機械語に変換していきます。
このことによって、他のプログラミング言語よりも処理時間がかかってしまい、実際に搭載した時に遅いと感じることもあります。
例えば、Javaはコンパイラ言語といわれており、一括でコード変換を行い処理スピードを速めています。他のプログラミング言語よりも処理スピードが劣ることがPHPを使用する際のデメリットとなります。
自由度が高くコーディングで悩まされる
学習しやすい上に、コンテンツを作成する際も効率的にコーディングができるPHPは、活用範囲が非常に幅広いです。自由度が高いため、個人でプログラミングを行う場合はやりやすさや好みに合わせてある程度自由にコーディングをすることでしょう。
しかし、数多くのエンジニアがコンテンツに関わってくると、人によってやり方が異なることでPHPをカスタマイズする際には無数にパターンが出てくることがあります。このように自由度が高すぎるが故に、徐々に収集がつかなくなってしまうというデメリットが生まれます。
そもそもPHPはコーディングにおいて厳しい規制がなく、その分自由に書き込むことができます。作り出したいものが同じでも、方法が多数存在するケースもあります。
どれが理想的か悩むこともあり、事前にしっかりと設計しなければバグが発生します。その点で時間を多く使うこともあり、コーディング作業に影響するので注意しなければなりません。
セキュリティが弱い
PHPはセキュリティ面での脆弱性が問題に挙げられることがあります。脆弱性につけ込まれて悪用されるリスクがあるので注意が必要です。個人でPHPを構築する際にも、セキュリティ対策をしっかりと行わないと被害を被りやすい状態になります。
PHPは何度もバージョンアップを行っており、セキュリティについても強度が上がってきてはいるものの、セキュリティが脆弱な点は今も危惧されています。個人情報を扱うECサイトなどのビジネスでPHPを活用するためには、セキュリティ面の知識もしっかりと身に付けなければいけません。
特に、顧客情報を扱うビジネスでPHPを使用する際には強力なセキュリティ対策が必須となります。セキュリティに関する高度な知識や技術を持っていることは、就職・転職の際にもアピールポイントとなり、採用にも有利に働くかもしれません。
Web以外の分野では活用しにくい
PHPは勉強することでビジネスに活用することができ、資格を取得やスキルアップをすることでWebサービスに対する仕事を任されたりすることもあります。しかし、PHPはWeb関連では重宝されるものの、他の分野では活用しにくいというデメリットがあります。
経験が多くなれば、取り扱うプロジェクトの内容も徐々にレベルアップしていくことでしょう。しかし、PHPでWeb関連のスキルは積むことができるものの、他の分野の業務を担当すると潰しが効かなくなってしまいます。
そのため、キャリアプランでPHPを検討する時には、他のプログラミング言語も学んでおくのがおすすめです。比較的覚えやすいPHPからスタートして他の言語にも挑戦していくと、活躍の幅が広がるでしょう。
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PHPのメリット
ここからはPHPのメリットについて見ていきます。PHPは利用者が多く、Webページ作成に活用しやすいスクリプト言語として人気を集めています。活用のしやすさと情報量の多さから、様々なPHPの構文も実践を交えながら習得していく人も多いです。
無料で使用できる
PHPは無料で使用できるオープンソースの汎用スクリプト言語です。言語のインストールはもちろん、公式マニュアルも無料で閲覧できるため、費用をかけずに学習が始められます。
プログラミング言語の習得はややハードルが高いと感じる初心者の方でも、気軽に挑戦できるのがPHPのメリットです。
【参考】PHP マニュアル
フレームワークが充実している
必要な機能がすでに設定されているフレームワークも充実しています。フレームワークを活用することで、プログラミングがより効率的になります。その種類は、大規模なサイトやWebアプリに適したものから、個人ブログに最適な軽量なもの、保守性や安定性を重視したものまで実にさまざまです。
こういったフレームワークはインターネットで探すことができ、そこから新たなPHPの知識を身に付けて仕事に活かすことも可能です。
比較的習得しやすい
PHPは情報量も多く比較的簡単に知識を習得できます。初心者でもスピード感を持って学習を進めることができるでしょう。仕様や文法がシンプルで覚えやすいPHPであれば、プログラミングにおいて難しいと言われる変数の型も、さほど苦戦せずに覚えられるかもしれません。
また、PHPは配列の定義も自由度が高いので、自分が使いやすく扱えるように設計・構築することが可能です。
情報が多いので調べやすい
インターネットや参考書など、PHPの理解度を深めることができる情報は豊富にあり入手もしやすいので、多くのエンジニアが活用しています。問題点をインターネットで検索すると簡単に多くの情報が出てくるので、PHPを利用してコンテンツを作りたい時に役立ちます。
情報が多いことで、PHPを実際に動かしながら学習することができます。PHPで構築できるコンテンツは様々ありますが、それらに関する情報も豊富にあるため、PHPをこれから始める初心者からベテランまで、それぞれの技術レベルや状況に合わせて情報を選び取ることができます。
サンプルも豊富で、すぐにコンテンツに活用できるソースも簡単に見つけられます。手詰まりになった際に検索すると、活用できる情報を簡単に探せるかもしれません。
ビジネス面で重宝される
Webページを構築する企業は年々増えてきていますが、そうしたWebページで問い合わせフォームを作る際にはPHPが活用されることが多いです。他にも、掲示板やECショップを構築していく時には、PHPを導入しなければ円滑に進まないこともあります。
ビジネスで展開される数多くのWebサイトにPHPが使われています。専門的な知識も必要なので、求人情報などでは常にPHPを扱えるエンジニアが募集されています。ビジネスにおけるPHPエンジニアの需要は高く、PHP習得は収入に直結すると考えることができます。
将来性がある
ビジネスなど活用するシチュエーションが多いことから、PHPは将来性もあると言えます。今後もWebサイトでPHPを使う需要は減らないと想定されており、Web開発を仕事にしたい人にとっては学び甲斐があることでしょう。
また、他の言語とともにWebサイトを構築したり、ビジネスを通じてPHPの技術を磨いたりすることで自身のスキルアップにも繋げることができます。収入アップやより良い待遇に繋げることもできるかもしれません。
PHPエンジニアの年収
PHPはWeb開発によく使われる言語です。そのためPHPを扱うエンジニアはWebエンジニアであることが多いです。Webエンジニアの仕事は大きく「フロントエンジニア」と「バックエンドエンジニア」の2つに分かれます。
フロントエンジニアはユーザーから見えるブラウザ部分、つまりWebページのデザインや入力画面などユーザーが接触する部分を担当します。一方のバックエンドエンジニアはユーザーからは直接見えないサーバーやデータベースなどの開発を行います。
PHPはサーバー側でデータベースと連携して使われることも多いので、今回は「データベースエンジニア」の年収を参考にしていきます。
データベースエンジニアの年収は「マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑」での平均年収は424万円、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」からWebエンジニアに近い職種の「SE・プログラマ(顧客向けシステムの開発・実装)」を参考にすると、平均年収593万円と分かりました。
国税庁2020年発表の民間給与実態統計調査における民間企業平均年収は433万円なので、データベースエンジニアは一般平均年収よりも やや低め、SE・プログラマ(顧客向けシステムの開発・実装)は一般平均年収よりもやや高めであることが分かります。
Webエンジニアはスキルやキャリア、勤務先などによって年収は大きく変わります。スキルや経験がしっかりと付いて評価を得られれば、紹介した年収よりも高い年収やより良い待遇が望めるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月から2020年12月の間でマイナビエージェントに登録いただいた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁 【参考】:マイナビエージェントIT・エンジニアの職種図鑑/Webエンジニア
PHP学習におすすめの本
PHPを学ぶ方法としては、独学で学ぶ、スクールに通う、オンライン学習サイトを利用するといった方法があります。
既にプログラミングについてある程度の知識がある人は独学でスキルを身に付けていくことも十分可能でしょう。初心者で独学が厳しいと感じる人はスクールやサイトを活用した方がサポート体制が整っているので安心かもしれません。
いずれにしても、参考書を用いながら学習を進めるのがおすすめです。スクールやサイトを利用する場合でも書籍で知識を補強していくと確実に力がつきます。ここでは、PHPの学習におすすめの初心者に適した本を3冊紹介します。
プログラミングPHP 第4版
文字列処理や配列処理、オブジェクト指向プログラミングのサポートなど、PHPプログラマーにとっては欠かせない知識が丁寧に解説されたバイブル的解説書です。PHPの基本はもちろん、MySQLやOracleといったデータベースから付属する多くの拡張モジュールの使用法もしっかり身につけられます。
▪著者:Kevin Tatroe、 Peter MacIntyre 監修:永井 勝則 翻訳:中野 圭 ▪ページ数:456ページ ▪出版社:オライリー・ジャパン ▪発売日:2023年4月24日
【参考】:プログラミングPHP 第4版
1週間でPHPの基礎が学べる本
「PHPを始めてみたいけど、いまいち理解できない」といった方におすすめの1冊です。本書を読みながらサンプルプログラムを入力してみることで、プログラミングとPHPの基礎が理解でき、1週間で簡単なプログラムが書けるようになります。ゆるいペースでゆったり学習したい方にはぴったりの書籍です。
▪著者:亀田 健司 ▪ページ数:352ページ ▪出版社:インプレスブックス ▪発売日:2022年03月15日
【参考】:1週間でPHPの基礎が学べる本
確かな力が身につくPHP「超」入門
初心者にもやさしい説明で、PHPの基礎から実用的な知識まで学ぶことができます。ECサイト作成に必要な知識までしっかりと解説されています。サンプルファイルをダウンロードして体験できるのが特徴で、演習を行いながら実践的に学習を進めることができます。
▪著者:松浦 健一郎、司 ゆき ▪ページ数:360ページ ▪出版社:SBクリエイティブ ▪発売日:2022年9月22日
【参考】:確かな力が身につくPHP「超」入門 第2版 | SBクリエイティブ
PHPのポイントを押さえて活用しよう
PHPは誰もが活用しやすいスクリプト言語で、Webページを構築する上では必要不可欠です。特に動的なWebページを作るのであれば、しっかりとPHPの知識を身に付ける必要があります。
専門的な知識が必要ですが、幸いPHPに関する情報量は多いです。わからない部分が出てきたら、インターネットなどを活用することでスピーディーに悩みを解消できることでしょう。
スキルアップを重ね、ビジネスに活用していくことも可能です。自分が作りたいコンテンツが生み出せるように、PHPの知識と技術を着実に習得していきましょう。そして、自分の作りたいものや将来像も考慮しながらキャリアプランを立てていくことが大切です。
しかし、自分に合った良い条件で企業選びをするのは、なかなか難しいこともあります。特に未経験の場合は転職活動に難しさを感じやすいです。
そこで利用を推奨するのがマイナビIT エージェントです。
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