
応用情報技術者試験とは?

応用情報技術者試験は高度IT人材を目指すための国家資格であり、情報処理技術者試験の1区分です。プログラマーやシステムエンジニア、インフラエンジニアなど、多くのITエンジニアが受験しており、IT資格の中でも代表的と言えるでしょう。
応用情報技術者試験は午前と午後に試験が分かれており、それぞれ時間は150分です。午前は選択式、午後は記述式です。
応用情報技術者試験は基本情報技術者試験と似ていますが、基本情報技術者試験はエンジニアとしてキャリアをスタートさせる人やエンジニアを目指す学生などが多く受験するのに対して、応用情報技術者試験は現役エンジニアも多く受験するのが特徴です。
応用情報技術者試験では、エンジニア職が基礎知識として持っておきたい知識・スキルに関する幅広い問題が出題されます。プログラミングやアルゴリズム、ハードウェアなどのITスキルはもちろん、マネジメントやストラテジー関連の知識も求められます。
【参考】:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:応用情報技術者試験

応用情報技術者試験の難易度について

応用情報技術者試験の難易度について合格率を踏まえて解説します。また、応用情報技術者試験に合格するために必要な勉強時間の目安も紹介します。
応用情報技術者試験の合格率
応用情報技術者試験の合格率はIPA公式サイトで公開されています。各年度の合格率についてまとめました。
- 令和元年度秋期:23.0%
- 令和2年度10月:23.5%
- 令和3年度春期:24.0%
- 令和3年度秋期:23.0%
- 令和4年度春期:24.3%
合格率は年度によってそこまで差はなく、20〜25%程度で推移していることが分かります。応用情報技術者試験は情報技術者試験の中でも現役エンジニア向けという位置づけのため、基本情報技術者試験などに比べて受験者のレベルも高いことが推測されます。
にも関わらず4人に1人程度しか合格しないということは、難易度はそれなりに高いと言えるでしょう。特にエンジニアとしての経験が浅い場合、合格するには長時間の学習が必要です。
【参考】:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 推移表
他の試験と応用情報技術者試験の合格率比較
令和4年度春期における、他の試験と応用情報技術者試験の合格率をIPA公式の資料から比較しました。
- 情報セキュリティマネジメント:61.2%
- 基本情報技術者:39.6%
- 応用情報技術者:24.3%
- ITストラテジスト:14.8%
- システムアーキテクト:15.0%
- ネットワーク:17.4%
- 支援士(情報セキュリティスペシャリスト):19.2%
- ITサービスマネージャ:14.8%
ITエンジニアの登竜門と呼ばれる基本情報技術者試験よりも、応用情報技術者試験はやはり合格率が低いです。それ以外の高度な知識技能が必要な試験と比べると合格率は高いことが分かります。情報処理技術者試験の中でも、応用情報技術者試験は中間程度の難易度と言えるでしょう。
【参考】:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 推移表

応用情報技術者試験に合格するための勉強時間目安
一般的には、応用情報技術者試験に合格するための勉強時間の目安は200〜500時間程度とされています。エンジニアとしての経験をどの程度積んできたかによって、必要な勉強時間は多くかかります。エンジニア経験が全くない方の場合、500時間以上の勉強時間を有する可能性もあるかもしれません。
勉強時間が長くなりすぎてしまうことが想定される場合、応用情報技術者試験よりも易しい試験から挑戦するのも選択肢の1つです。
応用情報技術者試験の難易度が高めな理由

応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験など代表的なIT資格に比べて難易度が高めです。応用情報技術者試験の難易度が高い理由は、次の3つに分けられます。難易度が高い理由を知ることで、試験対策も立てやすくなるでしょう。
対象者が高度IT人材を目指す人になるため
公式サイトの対象者像の欄には「高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能を持ち、高度IT人材としての方向性を確立した者」と記載されており、応用情報技術者試験は現役エンジニア向けの試験であることが分かります。
そのため、エンジニア未経験者や転職したばかりの方が応用情報技術者試験に挑んでも合格が難しい可能性があります。
出題範囲が広い
応用情報技術者試験は出題範囲が広いのが特徴であり、受験者はまんべんなく知識を備えなくてはいけません。プログラミング・アルゴリズム・マネジメント・システム戦略・システム企画など、幅広い問題が出題されます。
特にネジメントやストラテジ分野の問題は、エンジニアとして長く働いている人でも苦戦する可能性が高いと言えます。これらの分野は1から勉強しないといけない方が多いでしょう。
興味のある分野や現在の仕事に関わる分野のみ勉強しても合格が難しいのが、応用情報技術者試験の厳しいところです。とはいえ、幅広い分野を勉強することはエンジニアとしての視野を広げることに繋がるため、出題範囲が広いのは決してデメリットではありません。
記述式問題がある
応用情報技術者試験の午後は記述式問題です。選択式問題の場合知識があやふやな状態でも正解できることがありますが、記述式は正確に記憶していないと解答は難しいでしょう。少しでも覚えた内容に誤りがあると不正解になってしまいます。
また、応用情報技術者試験は記述式問題の出題数も多く、解答時間が足りなくなる可能性もあります。問題文を早めに読み解く訓練がある程度必要な場合もあるでしょう。

応用情報技術者試験に合格するための独学ポイント

応用情報技術者試験に合格するための独学方法について解説します。応用情報技術者試験は難易度の高い資格のため、効率的な独学方法を選択することが大切です。他のIT資格においても通用する独学ポイントを解説するのでぜひ参考にしてください。

参考書の問題を繰り返し解く
たくさんの参考書を並行して使うよりも、1つの参考書の問題を繰り返し解く方が記憶に定着しやすく効果的と言われています。参考書には基本何も書き込まず何度も解けるようにしておきましょう。

過去問を時間を測って解いてみる
応用情報技術者試験は問題数が多いため時間配分が重要になります。そこで過去問を実際に時間を測って解いてみることをおすすめします。
IT資格の中には過去問が公開されていないものもありますが、応用情報技術者試験は公式サイトに全年度の過去問および回答例が公開されているため、対策は立てやすいと言えるでしょう。
難しいなら基本情報技術者試験から勉強する
応用情報技術者試験の難易度が高い場合、基本情報技術者試験やITパスポートから勉強するのもおすすめです。これらの試験も出題範囲は広めですが、基礎的な問題が多いうえにすべて選択式であるため、難易度は少し下がります。


応用情報技術者試験を受験するメリット

応用情報技術者試験は難易度は高めですが、だからといって受験を諦めてしまうのはもったいないです。それは応用情報技術者試験を受験することには多くのメリットがあるからです。代表的なメリットは次の4つです。
高度IT人材を目指すためのスキルを獲得できる
応用情報技術者試験を受験することで、システムエンジニアやプロジェクトマネージャーなど高度IT人材を目指すためのスキルを獲得することができます。
特にマネジメント職を目指すなら、プログラミング以外の知識を身に付けることは大切です。応用情報技術者試験は、マネジメントやストラテジ系の問題も多く出題されるため適しています。
資格獲得を目指さなくてもスキルを身につけることは可能ですが、資格という目標があった方がモチベーションを保ちやすいうえに、偏りなく各分野を勉強することができます。
他の高度試験の一部が免除になる
応用情報技術者試験に合格することで、中小企業診断士や弁理士などの高度試験の特定分野が免除になります。これらの試験は難易度が高いですが、特定分野だけでも免除になれば、他分野に勉強時間を割くことができ合格しやすくなります。
転職時にスキルを証明できる
応用情報技術者試験に合格することで、転職時にスキルがあることを証明できます。資格獲得だけで転職できるわけではないものの、基礎スキルや学習意欲があることを証明する手段として、応用情報技術者試験は有効と言えます。
面接では単に資格取得をアピールするだけでなく、資格を通じて得たスキルやそのスキルの活用例などを具体的に話すのがポイントです。
資格手当がもらえる可能性がある
応用情報技術者試験は国家資格の1つで、多くの企業に認知されているため、企業によっては資格手当制度が設けられていることがあります。資格手当は毎月の給料に上乗せされるものです。難易度が比較的高い資格のため、資格手当はそれなりにもらえることもあります。
応用情報技術者試験合格を目指してスキルアップしよう

本記事では応用情報技術者試験の難易度について解説しました。応用情報技術者試験の合格率や難易度が高い理由などがお分かりいただけたかと思います。応用情報技術者試験は他のIT試験と比べてそれなりに難易度が高く設定されているため、試験に合格するにはしっかり勉強しないといけません。
難易度が高い分、応用情報技術者試験に合格することで高度IT人材としてのスキルがあることを証明でき、転職や昇格の助けになることも多くあります。
エンジニア職は新しいスキルを習得していくことが、昇給・昇格を目指すうえで重要です。応用情報技術者試験のようなIT資格の合格を目指すことで、エンジニアに必要なスキルを効率的に身につけることができるので、興味がある方はぜひチャレンジしてみてください。
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