基本情報技術者試験とは?
基本情報技術者試験とは、情報処理推進機構(IPA)によって実施される情報処理技術者試験の区分の1つです。「Fundamental Information Technology Engineer Examination」、略して「FE」とも言います。
情報処理技術者試験制度で定義されているスキルレベル1から4の範囲で、基本情報技術者試験はスキルレベル2に相当します。
基本情報技術者試験とITパスポート試験との違い
情報処理技術者試験制度の区分は大きく一般利用者(ITを利活用する者)向けの資格と、ITプロフェッショナル(情報処理技術者)向けに大別されます。ITパスポート試験は一般利用者向けの資格となり、スキルレベル1に相当します。
一方、基本情報技術者試験はITプロフェッショナル向けの資格となり、スキルレベル2に相当します。したがって、出題内容もITパスポート試験は一般利用者向けの初歩的な出題内容に留まるのに対し、基本情報技術者試験はITプロフェッショナル向けの出題内容となっています。
【参考】:ITパスポート試験
基本情報技術者試験の資格名の変遷
従来は「第二種情報処理技術者試験」として実施していましたが、試験制度改正により2000年から「基本情報技術者試験」と改称し、出題範囲と形式が変更されています。
同様に2009年より初級システムアドミニストレータ試験の一部を吸収し、出題範囲と形式が変更となりましたが、試験区分名はそのまま維持されています。
【参考】:旧制度の試験区分一覧 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
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基本情報技術者試験は意味ない?
基本情報技術者試験は「取得しても意味ない」と言われてしまうことがありますが、その理由はどういったところにあるのでしょうか。ここでは、「意味ない」と言われる理由について、深掘りします。
また、試験に合格することでどういった職種で資格を活かせるのか、資格取得による年収への影響についても解説します。
年齢や経験を問わない試験
基本情報技術者試験が「意味ない」と言われる理由として考えられるのが、受験に関する条件が挙げられます。基本情報技術者試験は年齢や経験を問わず、誰でもチャレンジできる試験であるため、高校生や大学生でも受験可能です。そのため、「敷居が低い試験に合格しても意味ないのでは」などの意見があるようです。
しかし、学生であっても社会人であっても、試験勉強の過程で得た知識は、就職や業務に活かすことができます。意味がないどころか、メリットも多くあります。
資格を活かせる職種
基本情報技術者試験は基礎的なIT知識を証明する資格であるため、資格を活かせるエンジニア職としてはプログラマーやシステムエンジニア、インフラエンジニア、アプリケーションエンジニアなど多くの職種が挙げられます。
また、ITエンジニアではありませんが、WebデザイナーもIT基礎の知識が求められるためおすすめです。現在のキャリアよりもさらに上位職を目指すなら、基本情報技術者試験にチャレンジして損はありません。
資格取得者の年収
基本情報技術者試験を取得することで、キャリアアップや年収アップにつながりやすくなります。ここでは、資格取得者の年収例として、システムエンジニアを参考に紹介します。
システムエンジニアの年収は「マイナビエージェント 職種図鑑」では431万円(※2024年3月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種の「エンジニア/プログラマ」を参考にすると、平均年収592万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、システムエンジニアは平均年収と同等、もしくはやや高いことが分かりました。
ただし、システムエンジニアは、勤める企業によって年収に大きな幅が出やすい職種です。より良い待遇を求めるなら、転職が有効な手段の1つです。その際、スキルを客観的に証明できる資格があれば、転職活動を優位に進めることができます。
今後さらに年収アップを目指すなら、上位試験である応用技術者試験にチャレンジしたり、マネジメント業務に進んでみたりするのもおすすめです。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
基本情報技術者試験合格のメリット
IPAでは、基本情報技術者試験の対象者を「ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者」と定めています。
そのため、合格によりITプロフェッショナルとして業務を実践するための基礎能力が基準をクリアしている証明となります。また、本試験は経済産業省が定めた国家試験となりますので、信頼性も高いです。取得すればその後の活躍の場が広がるでしょう。
IT業界を目指す学生のメリット
IPAの統計によると本試験における学生の受験者は約30%です。基本情報技術者試験は各種IT系学校でも取得が推進されており、教育カリキュラムの理解度・達成度が証明できます。同時に就職活動時においても、社会人になってから必要とされるITスキルについてプロフェッショナルレベルの能力があることをアピールできるでしょう。
【参考】:情報処理技術者試験(基本情報技術者試験) 統計資料
IT業界に従事する社会人のメリット
IT業界に従事される社会人にとってのメリットは、ITプロフェッショナルとしての基礎能力の高さが証明されることで、より上位の職務へチャレンジできる機会が得られやすいことです。また、転職活動をする際にも採用会社の目に留まりやすくなります。
もちろん非IT企業に勤務している方でも資格取得によりIT企業で働く能力が証明できますので、基本情報技術者試験合格の価値は高いでしょう。転職エージェントを活用すれば、資格を有しているという強みを最大限活かして転職活動を行うことができます。
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基本情報技術者試験の難易度
IPAによると、令和5年度2月における基本情報技術者試験の合格率は44.8%です。IT利用者向けのITパスポート試験での同月の合格率は50.6%ですので、難易度はやはり基本情報技術者試験の方が高いと言えるでしょう。
また、上位のITプロフェッショナル向けの資格である応用情報技術者試験は合格率27.2%(令和5年度春期)であり、難易度はさらに上がります。このことから、基本情報技術者試験はITプロフェッショナル向けの資格の中では比較的易しい試験だと考えられます。
【参考】:情報処理技術者試験(基本情報技術者試験) 統計資料 【参考】:ITパスポート試験 試験結果 【参考】:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 推移表(平成21年度春期以降)
基本情報技術者試験の出題範囲
IPAによると、基本情報技術者試験を含む試験区分について「受験者の能力が期待する技術水準に達しているかを、科目A試験では知識を問うことによって、科目B試験では技能を問うことによって評価する」としています。
出題範囲については以下の通りです。
・テクノロジ系(情報技術領域) - 基礎理論、コンピュータシステム、技術要素、開発技術 ・マネジメント系(経営管理) - プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント ・ストラテジ系(経営戦略) - システム戦略、経営戦略、企業と法務
【参考】:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要綱
試験実施方法と出題形式・出題数
基本情報技術者試験は、科目A(旧:午前試験)と科目B(旧:午後試験)に分けられ、それぞれ出題形式が異なります。
科目Aは出題範囲の知識を網羅する問題が出題され、科目Bではプログラミング全般やアルゴリズムに関すること、情報セキュリティの保護に関することなど、エンジニアとしてのIT技術を問われます。
試験時間や出題数については以下の通りです。
【科目A】 ・試験実施時間:90分 ・出題形式:多肢選択式(四肢択一) ・出題数:60問 ・解答数:60問
【科目B】 ・試験実施時間:100分 ・出題形式:多肢選択式 ・出題数:20問 ・解答数:20問
【参考】:基本情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
令和2年実施分より試験実施方法がCBT(Computer Based Testing)に変更されています。試験は随時開催されており、自身の都合に合わせて試験日を選べます。CBT実施会場は株式会社シー・ビー・ティ・ソリューションズの会場実施となりますので、申し込み方法など詳しくは以下の参考情報をご覧ください。
【参考】:情報処理推進機構 基本情報技術者試験(CBT方式) 【参考】:基本情報技術者試験(FE) | CBT-Solutions CBT/PBT試験 受験者ポータルサイト
基本情報技術者試験の学習方法
基本情報技術者試験はITプロフェッショナル向けの資格の最初のステップとなります。問題は多肢選択式ですので正しい回答に絞り込んでいくプロセスを学びましょう。そのためには正しい情報を学び(インプット)、実際に回答して(アウトプット)理解を深めていくのが良いでしょう。
独学でおすすめの学習方法
基本情報技術者試験の出題はスキルレベル2です。スキルレベル2では、「基本的知識・スキルを有し、一定程度の難易度又は要求された作業についての一部を独力で遂行できる」ことが目的となっています。そのためスキル領域は、急激に受験年度により更新されるものではありません。
したがって、直近5年程度の過去問を反復演習するのがおすすめです。問題と解答は情報処理推進機構(IPA)の公式サイトに掲載されています。
【参考】:過去問題 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
同様に、過去問を学習サイトや学習アプリを使って復習するのもおすすめです。繰り返し学習することにより、苦手な設問が特定されてきますので学習効率が向上します。特に科目Aの設問は反復演習が効果的ですので実践してみましょう。
より上位の資格を目指すには?
基本情報技術者試験の上位として、「応用情報技術者試験」が用意されています。「Applied Information Technology Engineer Examination」、略称は「AP」です。
IPAによると、「ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者」を対象者と位置づけています。
情報技術を活用した戦略立案や、システムの設計・開発・運用を主導することを想定していますから、合格すればITエンジニアとしてより需要のある人材となれるでしょう。
基本情報技術者試験におすすめの参考書
上述のように過去問を解く方法は試験の傾向や自分の得意・不得意を知るためにおすすめの独学方法ですが、ITエンジニアとしての実務経験がない方、まだ経験が浅い方はいきなり過去問を解くのは難しいと感じることもあるでしょう。
そういった場合は、まず参考書などを使って知識を身に付けることが先決です。基本情報技術者試験では、ITの専門知識・スキルがない場合、合格までに必要な勉強時間は一般的に200時間程度といわれていますが、以下で紹介する参考書であれば途中で挫折することなく最後まで勉強を続けられるでしょう。
【令和6年度】 いちばんやさしい 基本情報技術者 絶対合格の教科書+出る順問題集
本書は最も人気のある基本情報技術者試験対策本の1つで、毎年多くの受験者に選ばれています。特徴は、多くの図版を用いた丁寧な解説と、過去問を徹底研究して頻出の過去問を厳選している点です。
ITの知識がまったくない人でもつまずくことなく学習を進められるような、わかりやすい丁寧な解説で、暗記が苦手な人や集中力が続かない人でも効率よく学習できるように工夫されています。
▪著者:高橋 京介 ▪ページ数:768ページ ▪出版社:SBクリエイティブ ▪発売日:2023年12月15日
【参考】:【令和6年度】 いちばんやさしい 基本情報技術者 絶対合格の教科書+出る順問題集|SBクリエイティブ
令和06年 イメージ&クレバー方式でよくわかる かやのき先生の基本情報技術者教室
こちらもイラストや豊富な図解が特徴の参考書です。出題頻度の高い分野を中心に、理解しやすさ・記憶への残りやすさを重視して解説されており、関連の本試験問題をすぐ解くことで知識が定着し応用力もつく、というオールインワンタイプの問題集付き参考書です。
最新の令和06年版では、赤シートへの対応と科目B対策の増ページが実現されています。また、本文以外にもスマホで読める「厳選英略語100暗記カード」やカバー裏の「重要用語虎の巻」など、特典が充実しています。
▪著者:栢木厚 ▪ページ数:576ページ ▪出版社:技術評論社 ▪発売日:2023年11月27日
【参考】:令和06年 イメージ&クレバー方式でよくわかる かやのき先生の基本情報技術者教室
キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者 令和06年
同じく技術評論社から出版されている、こちらの参考書もおすすめです。すべての解説がイラストベースとなっており、練習問題と解説も掲載されています。
本書は、基本情報技術者試験に向けて勉強するうえでまず大切となる、「仕組みや内容を理解しながら、試験の用語や問題、計算に慣れること」ができるような設計になっています。
試験対策を始めたいけど勉強法がわからない、最初にどの参考書を読めばいいのかわからない、といった悩みを抱えている人にもおすすめです。
▪著者:きたみりゅうじ ▪ページ数:816ページ ▪出版社:技術評論社 ▪発売日:2023年12月2日
【参考】:キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者 令和06年
基本情報技術者試験に合格し、ITプロフェッショナルとしての選択肢を広げよう
基本情報技術者試験はITプロフェッショナルとしての登竜門となります。ITの専門家としての活躍の場を広げる最初のステップと位置づけられており、学生あるいは入社間もない社会人に人気です。
合格すれば、IT人材として欠かせない基礎的なITスキル・知識を有していることが客観的に証明でき、就職・転職の際にも役立ちます。
ただし、試験に合格して将来性の高いIT人材として活躍の場を広げるには、能力を正しく評価してくれる企業の存在が欠かせません。しかし、数多くある求人の中から優良企業を見つけるのは至難の業でしょう。
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