システムエンジニアの仕事はやりがいがある?
ITエンジニアには様々な種類がありますが、知名度が高く人気のエンジニアといえば、システムエンジニア(SE)を思い浮かべる人が多いでしょう。2020年の男子高校生のなりたい職業ランキングでは2位にランクインするなど、若い世代の間でも注目度の高い職業です。
一方で、SNSなどではシステムエンジニアの仕事は「やりがいがある」という肯定的な意見もあれば、「きつい」「苦労が多い」といった否定的な意見もあり、システムエンジニア志望の方は悩むところだと思います。
システムエンジニア人気は一過性のものだと考える人もいますが、IT人材の不足が深刻化している日本では、システムエンジニアの将来性は依然として高いと考えられます。
この記事では、需要の高いシステムエンジニアだがその仕事にはやりがいがあるのか、あるとすればどういった部分でやりがいを感じられるのか、といったことについて解説していきます。
【参考】:高校生のなりたい職業、女子・男子別の1位は?|マイナビニュース
システムエンジニアはきつくてもやりがいが大きい
一般的に「やりがい」とは充足感や達成感によって感じとることができます。それは、自分自身が十分に能力を発揮できたり、苦労が報われたりした時に得られます。
システムエンジニアは決して楽な仕事ではありません。システムの開発には乗り越えるべき幾つもの壁があり、納期や予算といったプレッシャーもあります。そのため、思うように仕事が進まない時には大きなストレスを感じ、「きつい」「つらい」と感じることがあります。
しかし、そうした逆風があるからこそ、乗り越えたときの充足感や達成感が大きなやりがいにつながるのだと考えられます。大変なことがある分、やりがいも強く感じられるのです。
システムエンジニアの主な仕事内容
システムエンジニアのやりがいや苦労を理解するには、まずその仕事内容について知る必要があります。
システムエンジニアは、システム開発に携わる職種の1つです。開発現場における役割は、クライアントのニーズや要望を汲み取り、クライアントの要求を満たせる最適なシステムを開発することで、主に要件定義から基本設計・詳細設計などの上流工程を担当します。
その他、開発プロジェクトやチームの予算・要員の管理・進捗管理なども行いますが、メインの業務である開発工程を中心にシステムエンジニアの仕事を詳しく見ていきましょう。
要件定義
ユーザ(クライアント)の要求を直接ヒアリング、要求分析して、開発システムに盛り込む機能を決定する工程です。この要件定義フェーズで漏れがあると、開発工程の後半から大きな手戻りが発生し、納期遅延を招く原因となりますので、細心の注意が求められます。
基本設計
要件定義にもとづいて、要件を機能レベルに落とし込み、何を実現させるのか、操作方法やアウトプットまでの基本仕様や構成を決めていきます。
詳細設計
基本設計フェーズで定義された基本仕様や動作に従って、システムの詳細を定義していきます。この工程で、プログラミングレベルの仕様書、指示書まで落とし込んでいきます。
プログラミング
プログラミングからが下流工程です。プログラム仕様書などの詳細設計書に従って、プログラミングを行います。プログラミングは主にプログラマーが行いますが、スケジュール遅延が起こりそうな場合には、システムエンジニアがプログラミングを行ったり、単体デバッグを行ったりすることがあります。
単体テスト
作成したプログラムが、設計書や指示書通りに動作をするかどうかについて確認テストを行います。基本的にはプログラマーが行いますが、システムエンジニア、あるいはテスターやデバッガと呼ばれるテスト要員が行う場合もあります。
結合テスト・総合テスト
単体テストを通過したプログラム同士を連結させ、一連の流れを通すテストが結合テストです。結合テストでバグや不具合が発見された場合にはプログラム修正を行い、その後、総合テストでシステム全体を通して本番と同じ環境でテストを行います。
運用移行
総合テストを終えてシステムが完成したら、本番稼働に向けてシステム運用担当者に引継ぎを行います。運用に必要なドキュメント類が企業ごとに決まっているため、それぞれの定型フォームでドキュメント類は作成しておきます。
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システムエンジニアがやりがいを感じられる理由
システムエンジニアはその仕事の性質から、納期厳守など大変なことが多かったり、場合によっては残業や休日出勤の必要性が生じたりと、苦労する面がある一方、やりがいを感じる人の声も少なからずあります。
では、システムエンジニアの仕事にやりがい感じる理由はどこにあるのでしょうか?主なものを挙げていきます。
努力に見合った報酬が得られる
システムエンジニアの平均年収は民間給与の平均と比較すると高い傾向にあり、苦労や努力に見合うだけの報酬が得られます。
システムエンジニアの平均年収は、「マイナビエージェント職種図鑑」によれば431万円(※2024年8月執筆時点)です。経済産業省が2017年に発表した「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(SE・プログラマ[ソフトウェア製品の開発・実装])によれば平均年収は約569万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円ですので、システムエンジニアは一般平均年収とほぼ同程度かそれ以上であることが分かります。
マイナビエージェントの調査では、20代の平均年収は410万円となっていますが、30代の平均年収472万円は民間企業平均年収433万円を上回っています。
システムエンジニアは未経験からなる人が多いため、最初は他のIT職種と比べてやや低めの年収からスタートすることもありますが、経験やスキルによって年収アップを期待できます。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7)「SE・プログラマ[ソフトウェア製品の開発・実装]」 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
ものを作り上げる楽しさがある
システムエンジニアの仕事はシステムを作り上げることです。時には大きなプロジェクトを任され、企業に大きなインパクトを与えるような大規模システムの開発に携わることがあります。
自分の能力・アイデア・努力によってシステムを作り上げていく楽しさは、システムエンジニアの大きなやりがいの1つです。
様々な業務や技術に関われる
システムエンジニアは様々な開発案件に携わります。勘定系のシステム開発に携わったかと思えば、情報分析系システムの開発に関わることもあります。対象業務は異なり、また用いる技術も異なります。様々な業務に接し、様々な技術を知ることで自身の成長にもつながります。
達成感を得られる
システム開発は納期に追われ、予算に縛られ、様々な制約の中で大変な努力が求められます。これらがプレッシャーやストレスの原因ですが、それらを乗り越えてシステムが完成した時には、プロジェクトメンバー全員で達成感を味わえます。この達成感がやりがいの理由の1つです。
クライアントに感謝される
人から感謝される仕事には、大きなやりがいがあります。システム開発では、クライアントの望むシステムを開発し、クライアントから高い評価を得たり、感謝されたりすることがあります。この評価や感謝の言葉に、システムエンジニアをやっていて良かったというやりがいを感じます。
未経験からシステムエンジニアになれる?
システムエンジニアは特に資格が必要な職業ではないため、未経験からでもハードルはそれほど高くはありません。ただし、システムエンジニアに適性があり、必要なスキルを有していることが重要です。
システムエンジニアに向いている人の特徴
システムエンジニアは魅力的な仕事ですが、向き不向きはあります。やりがいを感じ、楽しんで業務に取り組むには、システムエンジニアとして適性があることも重要です。特に、以下のような人はシステムエンジニアに向いていると言えます。
■好奇心旺盛で学習意欲が高い システムエンジニアは様々な業界のクライアントと関わることになるため、未知の領域に関しても興味を持って学習する姿勢がなければニーズを的確に把握できません。
■変化やトラブルに柔軟に対応できる IT業界は技術進歩が速く、そこで活躍するには新しい技術や環境に柔軟に対応する必要があります。また、開発中に起こるトラブルにも臨機応変に対応することが求められます。
■チームでの協力して仕事ができる システム開発は基本的にチームで行うため、チームメンバーとの協働が必要です。1人で黙々と作業をしているより、チームで働いている方が楽しいという人に向いています。
システムエンジニアに必要な知識やスキル
システムエンジニアに求められる知識やスキルには以下のようなものがあります。IT人材の不足から即戦力を求めている企業も多く、特に基本的なIT知識やプログラミングスキルがあると採用されやすいです。
■ マネジメントスキル 開発プロジェクトの工程管理や要員、予算の管理を行うためにマネジメントスキルが求められます。
■ 論理的思考力 システムエンジニアの主な業務である要件定義や設計では、システムの構造や開発フローを検討するために特に論理的思考力が求められます。
■ コミュニケーション能力 システムエンジニアはクライアントからプロジェクトメンバー・関係エンジニア・ITベンダーなど、多くの人と常にコミュニケーションを取り合う必要があります。
■ IT知識やプログラミングスキル システム開発をする上でITに関する知識は欠かせません。また、プログラミングスキルがあるとシステムエンジニアの仕事がしやすくなります。
出身学部は気にする必要はない
システムエンジニアは理系出身者の方が有利だと考える傾向がありますが、文系・理系は意識する必要はありません。システムエンジニアはコミュニケーション能力や文系の知識が求められるケースがありますので、文系出身者が得意な分野を活かせる場面も多いです。
もちろん情報系の学部などでスキルが身に付いていれば有利ですが、システムエンジニアの求人で文系・理系が問われることは少なく、未経験OKの求人も数多くあります。転職エージェントではより詳しい募集内容がわかりますので、不安がある方は利用してみると良いでしょう。
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システムエンジニアを目指すための学習ロードマップ
システムエンジニアになるために必要な知識をスキルを習得するには、できるだけ明確な学習ロードマップを描いておくことをおすすめします。ここでは、基本的な学習ロードマップを紹介します。
ITの基礎知識を習得
システムエンジニアとしてシステム開発に携わるには、システム開発全般の概要やその流れ、そして基本的なコンピューターサイエンスの知識、OS・データベース・ネットワークなどのシステム構成要素に関する知識が必要です。
システム開発の全体像がわかっていないとシステムエンジニアを務めることはできないので、まずはどの開発案件でも共通して必要となる基礎知識から身に付けましょう。
プログラミングスキルを習得
システムエンジニアは主に上流工程を担当するためプログラミングスキルがなくてもシステムエンジニアになる人はいますが、システムの設計や開発の進捗管理はプログラミングの知識があった方がスムーズに行えます。
例えば、プログラムにバグと呼ばれる不具合が潜んでいる場合、プログラミングスキルを有するシステムエンジニアはバグの発見を早くできます。また、プログラミング経験があるシステムエンジニアは、プログラマー目線でプログラマーが理解しやすい仕様書の作成が行えます。
初めてプログラミングの勉強をする方には、データベース言語の「SQL」、もっともよく利用されている汎用言語の「Java」、シンプルな構文で覚えやすい「Python」などがおすすめです。また、Web系を目指すなら、HTML・CSS・JavaScriptの3点セットは必須です。
IT知識やプログラミングスキルに関しては、参考書などを用いて独学する方法と、プログラミングスクールや通信講座で勉強する方法があります。自分が目指す分野でよく使われる言語からはじめ、複数の言語を習得しておくと良いでしょう。
実務経験を積み重ねる
ITスキルは実践を重ねることで磨かれます。そのため、自ら手を動かして実務経験を積み重ねることが大切です。自分で環境を整えてプログラムを組んでみるのも可能ですし、未経験OKの求人などに応募して企業のプロジェクトに参加することもできます。
また、プログラマーはシステムエンジニアへの登竜門とも言われており、プログラマーからシステムエンジニアにキャリアアップする人も多いです。
プログラマーとして実務経験を重ねながらシステムエンジニアに必要なシステム設計やアーキテクチャといった知識を習得することで、専門的なスキルがしっかりと身に付きます。
IT関連資を取得しておくと就職・転職に有利
IT関係未経験の方がシステムエンジニアとして転職する場合は、ITスキルの証明となる資格の取得をおすすめします。特に資格手当制度を導入している企業、資格取得を昇格の条件にしている企業への転職では、取得した資格が入社に有利に働く可能性があります。
以下、認知度が高くスキル証明となる、IT未経験者におすすめの国家資格を3つ挙げます。
「ITパスポート」<「基本情報技術者試験」<「応用情報技術者試験」と難易度は上がっていきますので、段階を踏んで上位資格の取得に努めると良いでしょう。
■ ITパスポート試験(IP) 情報技術、情報処理の分野における基礎的な知識を問う試験です。資格取得者は一般企業においては、主にIT推進役としての活躍が期待されます。
【参考】:ITパスポート試験(IP)
■ 基本情報技術者試験(FE) 高度IT人材を目指す上で必要となるITに関する基本知識や技能を問う試験です。ITパスポートの上位視覚となる試験で、ITエンジニアとして主にシステム設計・開発・運用分野での活躍が期待されます。
【参考】:基本情報技術者試験(FE)
■ 応用情報技術者試験(AP) 高度IT人材としての方向性を確立した者を対象者像としている試験です。基本情報技術者試験の上位資格に当たる試験で、技術から管理、経営まで、幅広い知識と応用力が身に付き、システム開発、IT基盤構築などにおいて高いパフォーマンスの発揮を目指します。
【参考】:応用情報技術者試験(AP)
システムエンジニアはキャリアパスも豊富
システムエンジニアとして経験を積む中で身に付くスキルは、多くのIT職種で役立つ汎用性の高いものです。そのため、システムエンジニアがキャリアアップを目指す際の選択肢は豊富にあります。その一例を紹介します。
■プロジェクトリーダー・プロジェクトマネージャー プロジェクトの責任者としてプロジェクトの計画から実行、完了まで管理します。システムエンジニアとしてのマネジメント経験が活かせます。
■セキュリティエンジニア 情報セキュリティ専門のITエンジニアとして、企業や組織でセキュリティポリシーの策定、リスク分析、脆弱性の評価、セキュリティ対策の実装・監視などを行います。
■クラウドエンジニア インフラエンジニアの1種で、クラウドサービスなどを利用したクラウド環境を整備します。近年のクラウド化の波を受けて注目されています。
■AIエンジニア 機械学習モデルの開発やAIシステムの実装、AIを用いたデータ解析などを行います。クラウドと同様、AIも注目を集めている成長分野です。
■フルスタックエンジニア 複数の技術分野に精通し、システムの開発から運用まで幅広くカバーできるITエンジニアです。マルチに活躍できるため、人材不足が顕著なIT分野では需要が高いです。
■ITコンサルタント 企業や組織が抱えるITに関する課題に対し、IT技術を使った戦略で解決に導く支援をします。業界や企業ごとのニーズを的確に把握する能力が求められます。
キャリアプランを明確に描いておくことで、自身のスキルアップや年収アップの道筋も見えてきます。転職の際の面談では、志望動機とともに「あなたはどのようなキャリアプランを描いていますか」といった内容の質問を受けることもあります。
システムエンジニアを経験した後に、どのようなキャリアを歩むのかも考えておきましょう。
システムエンジニアへの転職を成功させよう
ここまで、システムエンジニアの仕事内容・年収・やりがい・必要な資格やスキルなどについて解説しました。システムエンジニアの仕事では大変なこともあり、「システムエンジニアはやめとけ」などと言われてしまうこともありますが、実はやりがいや魅力が多い職種です。
システムエンジニアは文系出身者や未経験でも目指せるため、IT業界に興味があればチャレンジしやすい職種でもあります。良い企業、相性の良い企業、すなわち自らのキャリアプランを実現させてくれる企業と出会うことが転職の成功の鍵です。
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