応用情報技術者試験について

応用情報技術者試験は、IPA(情報処理推進機構)が運営する資格試験であり、現役エンジニアや、IT業務に携わる方が数多く受験している試験です。
本記事では、そんな応用情報技術者試験の試験概要から出題範囲、合格するために必要な勉強法などを紹介します。エンジニアへの転職や、スキルアップのために受験を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
どういった職種の人が受験するのか
応用情報技術者試験はスキルレベル3に設定されている試験であるため、ITの基本的な知識・スキルを問う「基本情報技術者試験」の上位資格として位置付けられています。そのため、受験する層としては、IT未経験者よりも現役エンジニアなどが多い傾向にあります。
職種としては、システムエンジニアやネットワークエンジニア、ゲームプログラマーなどが挙げられます。また、マネジメント職であるプロジェクトマネージャーなどにもおすすめの資格です。
合格することで年収は変わる?
応用情報技術者試験に合格することで、今のキャリアにどういった影響があるのでしょうか。資格取得における影響の1つとして、年収アップの可能性が挙げられます。資格手当をもらえたり、キャリアアップの材料になったり、メリットは多いでしょう。
ここでは、一般的なシステムエンジニアの年収がどの程度なのかをさまざまなデータから算出してみます。
「マイナビエージェント 職種図鑑」での平均年収は431万円(※2024年11月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種の「SE・プログラマ(ソフトウェア製品の開発・実装)」を参考にすると、平均年収568万円でした。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、システムエンジニアは平均年収と同等、もしくはそれ以上が期待できます。
年収アップやキャリア構成においては資格取得が有利に働きます。難易度が高めの資格を保有することは、客観的に能力を証明でき、自身の市場価値を高められるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
応用情報技術者試験の概要

応用情報技術者試験は、ITの高度な専門性と技術力を保有することを証明する国家資格です。この試験は、プロジェクトマネージャーやシステム開発に関わる人材を想定した試験のため、システムの企画・開発・運用・保守に関する能力が重視されています。
試験内容は、ネットワーク・データベース・プログラミング・セキュリティなど、IT分野の多岐にわたる知識が問われます。
応用情報技術者試験は決して簡単な資格ではありませんが、取得すればエンジニアとしての専門知識と技術力を評価してもらいやすくなり、キャリアアップや転職で役に立つ可能性があります。
ここでは、応用情報技術者試験の試験概要について解説します。
【参考】:IPA 応用情報技術者試験について
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対象者
公式サイトによると、応用情報技術者試験の対象者は「ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者」と定められています。
ちなみに、受験資格は特になく、ITの業務に従事している方以外でも受験可能です。しかし応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験の上位試験であるため、より専門的な内容を問われます。受験する際は、しっかり勉強してから挑みましょう。
【参考】:IPA 応用情報技術者試験について


合格者が期待される技術水準
IPAによれば、応用情報技術者試験の資格取得者は以下のような技術を持っていることが期待されます。内容の通り、資格取得者はプログラミングなどの技術領域に加え、経営やプロジェクトの管理に関する知識も求められます。
- 経営戦略・IT戦略の策定に際して、経営者の方針を理解し、経営を取り巻く外部環境を正確に捉え、動向や事例を収集できる
- 経営戦略・IT戦略の評価に際して、定められたモニタリング指標に基づき、差異分析などを行える
- システム又はサービスの提案活動に際して、提案討議に参加し、提案書の一部を作成できる
- システムの企画・要件定義、アーキテクチャの設計において、システムに対する要求を整理し適用できる技術の調査が行える
- 運用管理チーム、オペレーションチーム、サービスデスクチームなどのメンバーとして、担当分野におけるサービス提供と安定稼働の確保が行える
- プロジェクトメンバーとして、プロジェクトマネージャ(リーダー)の下でスコープ、予算、工程、品質などの管理ができる
- 情報システム、ネットワーク、データベース、組込みシステムなどの設計・開発・運用・保守において、上位者の方針を理解し、自ら技術的問題を解決できる
上記の通り、経営戦略からビジネスの課題提案、システム設計、運用保守など幅広い業務について問われます。
【参考】:IPA 応用情報技術者試験について


試験日程
応用情報技術者試験の試験日程は年2回あり、例年は春期と秋期に試験を実施しています。また、受験の申し込み期間は、試験の2〜3ヶ月ほど前であるため、試験日直前での申し込みはできない可能性が高いため注意しましょう。
【参考】:応用情報技術者試験 試験情報
申し込み方法
応用情報技術者試験の申し込みは基本的にインターネットで行います。各試験の申し込み可能時期になると、試験の運営元であるIPA(情報処理推進機構)の公式サイトに案内が公開されます。
申し込み時には、CBTSというサイトにてアカウント登録が求められますので、アカウントを作成後、申し込み手続きを行いましょう。
【参考】:IPA 試験の申し込みについて 【参考】:CBTS公式

合格率
合格率は例年それほど高くなく、大体20%台を推移しています。令和6年度の春期試験では23.6%という数値が公表されています。合格率の低さから推測すると、難易度は高めの試験であると言えます。
【参考】:応用情報技術者試験 統計情報



出題形式
出題形式や出題数は、午前試験と午後試験でそれぞれ異なります。ここでは、午前と午後の出題形式・出題数について解説します。
午前の試験時間は9:30~12:00(150分)、出題形式は多肢選択式(四肢択一)です。また、出題数は80問です。
一方で午後の試験時間は13:00~15:30(150分)、出題形式は記述式です。出題数は11問です。
まとめると以下のようになります。
【午前】 試験時間:9:30~12:00(150分) 出題形式:多肢選択式(四肢択一) 出題数:80問 解答数:80問
【午後】 試験時間:13:00~15:30(150分) 出題形式:記述式 出題数:11問 解答数:5問
【参考】:IPA 応用情報技術者試験について



出題範囲
出題範囲は幅広く、公式サイトの試験要綱によると13の分野から問題が出題されます。13の分野は以下の通りです。
- 経営戦略に関すること
- 情報戦略に関すること
- 戦略立案・コンサルティングの技法に関すること
- システムアーキテクチャに関すること
- サービスマネジメントに関すること
- プロジェクトマネジメントに関すること
- ネットワークに関すること
- データベースに関すること
- 組込みシステム開発に関すること
- 情報システム開発に関すること
- プログラミングに関すること
- 情報セキュリティに関すること
- システム監査に関すること
各分野の詳細な出題内容については、シラバスにも掲載されています。試験を受験する方は、これらの資料を参考にしながら、学習計画を立てましょう。
【参考】:応用情報技術者試験 試験要綱 【参考】:応用情報技術者試験 シラバス

応用情報技術者試験に合格するために必要なこと

応用情報技術者試験は幅広い領域から問題が出題されるため、網羅的に知識をインプットすることや、問題の形式に慣れることが重要です。
ここでは、応用情報技術者試験に合格するために必要な勉強方法について紹介します。


書籍などで基礎知識を身につける
まずは、応用情報技術者試験に関する基本的な知識を身につけましょう。この試験は、出題範囲が広いため、試験対策用の書籍を活用して効率よく学習を進めることをおすすめします。
また、年度によっては試験の区分や出題範囲が変更される可能性もあるため、なるべく最新の情報が掲載されている本を選びましょう。
さらに書籍の中には、練習問題がついているものもあります。学習時間に余裕のある方は、練習問題がついた本を選ぶと、アウトプットも一緒に行えます。


過去問を解く
応用情報技術者試験を運営するIPAの公式サイトでは、応用情報技術者試験の過去問を公開しています。また、過去問のページでは問題と解答に加え、採点講評も公開されています。
採点講評では問題に関する補足事項や正答率についてなど、受験者にとって参考になるコメントが書かれています。その年度の過去問を解いた後は、採点講評も確認することをおすすめします。
【参考】:IPA 過去問題
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よくある質問

ここからは、応用情報技術者試験に関するよくある質問をまとめました。受験に関して不明点がある方はぜひ参考にしてください。
午前免除などの特例はあるか
基本情報技術者試験では午前免除の制度があるため、応用情報技術者試験も午前試験の免除ができると考える方もいるでしょう。しかし、残念ながら、応用情報技術者試験ではそのような制度はありません。
午前・午後ともに合格ラインを越えなければ資格を取得できませんので注意が必要です。
【参考】:午前Ⅰ試験免除 情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
試験結果はすぐに分かるのか
応用情報技術者試験は即日結果が分かる試験ではありません。あらかじめ決められた合格発表日になると、公式サイトで合格者の受験者番号が公表されます。
ちなみに、合格者には登録した住所宛に簡易書留で合格証書が送られます。受験後に転居する可能性のある方は、郵便局に転居届を出しておく必要がありますので、この点にも注意しましょう。
【参考】:合格発表・合格証明書等 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構



応用情報技術者試験に合格してスキルアップを目指そう

応用情報技術者試験は自分のスキルを証明できるだけでなく、勉強を通してITに関する知識を深める良い機会になります。応用情報技術者試験を受けるか迷っている方は、ぜひこの機会に挑戦してみましょう。
ただし、応用情報技術者試験は決して合格率が高い試験ではありません。受験のチャンスも年2回のみのため、学習計画を立てる必要があります。
また、資格を取得できたらそれを活かしてキャリアアップを目指しましょう。転職においても資格の有無は重要な要素の1つとなります。その際、転職エージェントに相談することで理想の企業に出会いやすくなるでしょう。
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