プロジェクトリーダーの役割は?
プロジェクトリーダーはチームリーダーと呼ばれることもありますが、その役割にはどんなものがあるのでしょうか。以下で詳しく紹介します。
チームを取りまとめる
プロジェクトは自分1人ではなく、チームで仕事をします。そのためプロジェクトリーダーは各チームメンバーを統率して、目標を達成する必要があります。場合によっては、チーム内で業務の割り振りを行うのも重要な任務です。
プロジェクト内で各要員が適材適所に最高のパフォーマンスを発揮できるように、細かく気を遣いながら調整する必要があります。
スケジュールを管理する
プロジェクトは長期に渡ることが多く、納期を守ることが重要なテーマです。プロジェクトリーダーは、各ステップにおける納期を明確にして、進捗管理を行う必要があります。
問題が発生することなく計画通り進めることが求められます。スケジュールから遅れている場合は、資源配分の見直しなどによって挽回することも重要です。
スケジュールの舵取り役として、プロジェクトリーダーの手腕が問われます。場合によっては、自らがプレイヤーとなって仕事をするケースもあります。
問題に対処する
プロジェクト活動において、予期せぬ問題が発生することもあります。特に品質問題はプロジェクトの進行だけでなく、クライアントに与える影響も大きいです。そのため、是正するだけでなく予防することも重要です。
発生した問題に対処し、被害を最小限に抑えるようにプロジェクトリーダーが率先して活動します。大きな流れとしては、まず問題が発生した要因を明らかにして応急措置を取ります。その後、問題発生原因を分析して是正処置を取ります。
このように、被害を最小限に抑え、再発しないように努めることが重要です。また、問題が発生したことによって計画が遅延した場合は、リカバリー策を講じてスケジュールの遅れを取り戻しましょう。
責任を持つ
プロジェクト全体の責任は、プロジェクトマネージャーの大きな役割の1つです。しかし、プロジェクトリーダーに責任がないわけではありません。プロジェクトリーダーはプロジェクトに関わる要因に対しての責任を負います。開発者が原因でプロジェクトが遅延したとしても、責任を持って対応しなければなりません。
チームの成長を促す
プロジェクトリーダーは、プロジェクトの成功のみを求められているわけではありません。プロジェクトを通じて社員の成長を促すことも重要な任務です。常に成長しなければ組織は生き残ることができません。
例えば、現在はエンジニア担当者でも、やがて経験を積んでプロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーのポジションを担えるほど成長できるようにサポートします。
プロジェクトリーダーがいつまでも先頭に立ってすべてを引っ張るのではなく、ボトムアップでプロジェクト力を高めることも重要です。エンジニアなどに責任と権限を与えて、次世代のプロジェクトリーダーを育成することも大切です。
チームメンバーの労働環境を整備する
プロジェクトメンバーが最高のパフォーマンスを発揮するには、労働環境の整備も重要です。昨今の働き方改革によって、労働時間の管理がより重要視されている事実もあります。
メンバー間での偏りがないように、バランスを考えて仕事を分担します。業務が多すぎるだけでなく、少なすぎて手空きになることを防止することも重要な任務です。
関連部署と連携をとる
プロジェクトリーダーは自分の担当するチームだけでなく、関連部署・関連チームとも連携を取ります。プロジェクトを成功させるためには、多数の部署・チームが1つの目標に向かって業務を遂行することが重要です。
具体的には、進捗状況を共有する・トラブル発生時は互いに応援メンバーを出すといった方法で協力関係を築きます。自分のチームだけでなく、ほかのチームの状況を把握してプロジェクトを進めることが大切です。
ぜひ『マイナビIT エージェント』をご活用ください!
プロジェクトマネージャーとの役割の違い
プロジェクトリーダーと似た存在として、プロジェクトマネージャーがいます。一見すると似たような仕事と思われがちですが、管理する範囲や権限などが異なります。以下で詳しく説明します。
マネジメントの対象範囲
大きな違いは指揮するのがプロジェクト全体か、現場のどちらかという点で、実は与えられている責任や権限も異なります。
プロジェクトマネージャーはプロジェクト全体を管理するのが仕事で、主にスケジュール管理・リソース管理・品質管理などプロジェクトの全体的な統括を担当します。
一方のプロジェクトリーダーは、プロジェクトが計画通り進行しているかをチェックし、問題が発生している場合は各種調整を行います。つまり、現場の指揮はプロジェクトリーダーが担当します。
位置づけとしては現場監督的な役割を果たすのがプロジェクトリーダーで、より上位でプロジェクトを管理するのがプロジェクトマネージャーの役割といえます。
関係者との関わり方
プロジェクトリーダーは、人員の管理・予算・納期・品質管理のほか、リスクを把握しチームをまとめることが重要な任務です。プロジェクトリーダーは基本的にプロジェクト内の管理だけを担当することが多いです。
一方プロジェクトマネージャーは、チームだけでなくステークホルダーに対しての対応も必要です。プロジェクトリーダーはプロジェクトマネージャーよりも狭い範囲で大きな責任と権限が与えられており、プロジェクトリーダーの裁量がプロジェクトの結果に影響を与えることもあります。
エンジニアリーダーとは?
プロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーのほかに、チーム内の技術面のリーダーであるエンジニアリーダーというものもあります。具体的な役割は、コードの品質を保つための方針の策定や、テスト計画といった資料のレビューなどです。
肩書きはエンジニアですが、チームリーダーとしてほかのメンバーを管理するマネジメント業務も担うことがあります。
プロジェクトリーダーに必要なスキルは?
プロジェクトリーダーはチームをまとめたり、トラブルに対処したりすることが求められます。ここでは、プロジェクトリーダーとして必要なスキルについて紹介します。
リーダーシップ力
リーダーとして、率先してチームを引っ張ることや諸問題に対して責任を持って対応できることが重要です。強いリーダーシップを発揮している場合は、プロジェクトが円滑に進むことが多いでしょう。
また、プロジェクトの各セッションを担当する者にとっても、リーダーシップがあるリーダーがいると心強く感じます。
人心掌握力
プロジェクトメンバーをリードする上で、 人心掌握力も必要なスキルです。「この人についていきたい」と思わせるような人望の厚さを持ち合わせていないと、プロジェクトリーダーとしてチームをまとめることが難しい場合があります。
規模が大きなプロジェクトであるほど、自分一人の力だけでなくチーム全員のパフォーマンスを一定以上発揮することで、プロジェクトを円滑に進められるでしょう。人間性の高さもプロジェクトリーダーとして必要です。
問題解決力
問題に対して、すぐに原因を特定して問題に対処できるスキルも必要です。真の原因を明らかにして是正することで、問題が再発するのを防ぐこともできます。
また、問題をただ解決するだけでなく、どれだけ早く対応できるかも重要です。対応スピードの早さには決断力やある程度の経験も重視されます。
マネジメント力
プロジェクトリーダーには、管理や運営に関するスキルも必要です。特に、大きなプロジェクトになればなるほどマネジメント力が問われる傾向にあります。
プロジェクトに必要な予算の取り決めは設計者と営業が相談をして見積りを出しますが、両者のコミュニケーションが不足している場合は適切な見積もりが出せません。
プロジェクトをスムーズに遂行させるために、円滑にコミュニケーションを取れるようなサポート力が必要です。
コミュニケーション力
プロジェクトを成功に導くには、チーム全体の状況を把握することや、正しい情報を共有することが重要です。適切なコミュニケーションがとれていない場合、進捗に遅れが生じていることに気付かない、間違った情報で業務を進めてしまうといった問題が発生します。
困っているメンバーはいないかどうか・プロジェクトに必要な情報は誰が持っているかなどを把握しましょう。常に周りの状況を見て、誰とでもコミュニケーションをとることができる力が必要です。
プロジェクトリーダーになるためには?
ここでは、プロジェクトリーダーになるための方法やプロジェクトリーダーに向いている人、プロジェクトリーダーの年収などについて紹介します。
現場を担当する技術者からステップアップする
システム開発などでは、プログラマーからシステムエンジニアを経て、プロジェクトリーダーに任命されることが多いです。これは、プロジェクトリーダーには実際の作業の知識が必要になるためです。
業務内容を理解していることで、業務の難易度を把握しやすいです。また、問題が発生した場合はリカバリーにどの程度かかるかを見積もることも可能です。さらに、人的資源が足りない場合は自らがプレイヤーとなってリカバリーすることもできます。
プロジェクトリーダーに向いている人
プロジェクトリーダーに向いている人物像としては、物事を推し進めることができる実行力があること、洞察力に優れていることなどが挙げられます。また、責任感が強く最後まで投げ出さずに遂行できる資質を持った人物でなければなりません。
プロジェクトリーダーは役職ではなく役割
プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーは、肩書きのような役職として認識されがちですが、あくまでこれらは業務上に振り分けられた役割であり役職ではありません。
プロジェクトリーダーの役割はプロジェクトの実行責任者、プロジェクトマネージャーの役割はプロジェクト責任者です。しかし、企業によっては体裁的にこれらを役職として任命する場合もあります。
プロジェクトリーダーの平均年齢
プロジェクトリーダーは30代〜40代前半が多いとされています。開発現場での知識や経験がある程度必要となるため、10年前後の経験がある人が務めることが多いです。
ただし、プロジェクトの規模や企業の特性によって、プロジェクトリーダーの年齢層も変わってくると考えられます。
比較的小規模なプロジェクトやベンチャー企業などでは若手社員が任命されることもあるでしょうし、大きなプロジェクトでは経験豊富なベテランが務めることも多いでしょう。
プロジェクトリーダーの年収
プロジェクトリーダーは開発現場のチームをまとめ、スケジュール管理やトラブル対応などといった責任のある仕事をします。仕事の責任が大きい分、プロジェクトリーダーの年収が低いのか高いのかが気になる方もいるでしょう。
プロジェクトリーダーの年収は「マイナビエージェント 職種図鑑」での平均年収は526万円(※2023年2月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のプロジェクトマネージャを参考にすると、平均年収891万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、プロジェクトリーダーは一般平均年収よりも、やや高めであることが分かります。
プロジェクトリーダーは開発現場のチームのリーダーとして、プロジェクトを円滑に進める責任があります。責任は重大ですが、仕事の内容が年収の高さに反映されていると言えます。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑
※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方
【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7)
【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
プロジェクトリーダーをやりたくないエンジニアもいる
エンジニアの中には、プロジェクトリーダーをやりたくないと感じる人もいます。その理由は、「失敗したくない」「叱責されたくない」「人前で話すのが苦手」「チームをまとめられるか不安」などが挙げられます。
特に技術志向の人は、プロジェクトを管理するよりも開発現場で実際に手を動かしたい人もいます。また、初めてプロジェクトリーダーに任命される場合は、責任の重大さなどから職務を全うできるかどうか不安に感じることもあるでしょう。
しかし、プロジェクトリーダーに任命されることは、これからの自身のスキルアップ・ステップアップに繋がります。将来自分のやりたいことや視野を広げるためにも、ぜひチャレンジしましょう。
プロジェクトリーダーにはやりがいがある
これまでの説明でもわかるように、プロジェクトリーダーの業務範囲は広く、技術力のみならずヒューマンスキルも必要とされる職種です。さらに、進化の著しいIT業界でリーダーの役割を果たすには、更新され続ける技術や情報もキャッチアップしていかなければなりません。
多方面に気を配らなければならず、時にはトラブルなどで思うようにプロジェクトが進まないこともあるため、「しんどい」と感じることもあるでしょう。しかし、それらを乗り越え、チーム一丸となって目標を達成できた時には、大きな喜びがあるでしょう。
チームメンバーの成長が見られることや、ITに関する技術力以外にもコミュニケーションスキルや対応力などさまざまなビジネススキルが身に付くことも魅力です。また、リーダーとして開発工程全体を見渡せるため、自分が興味・関心を持つ分野であれば開発の様子を楽しんで見ることができます。
新しい環境でプロジェクトリーダーを目指す人は、転職エージェントで魅力的な企業を探してみましょう。
エンジニア転職のご相談はぜひ
『マイナビIT エージェント』へ!
プロジェクトリーダーにおすすめの資格
プロジェクトリーダーになるのに特別な資格は必要ありませんが、資格を保有することでスキルアップやスキルの証明に役立ちます。ここでは、プロジェクトリーダーにおすすめの資格を紹介します。
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ試験は、情報処理技術者試験の1区分です。試験制度のスキルレベル4に相当しており、高度情報処理技術者試験に含まれています。
対象者像としてはシステム開発プロジェクトの責任者として、プロジェクト計画を立案して必要な要員・資材の確保や、計画した予算・納期・品質の達成について責任を持つ者です。プロジェクトリーダーとして必要なスキルを学べるため、ぜひ取得したい資格の1つです。
【参考】:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:プロジェクトマネージャ試験
応用情報処理技術者試験
基本情報技術試験の中でも上位に位置づけられているのが、応用情報処理技術者試験です。エンジニアとしてのレベルアップを図るには、応用情報技術者試験が特におすすめです。
技術から管理、経営まで、幅広い知識と応用力を身につけられ、システム開発、IT基盤構築などの局面において高いパフォーマンスを発揮することが可能です。
【参考】:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:応用情報技術者試験
PHP技術者認定上級試験
PHPの言語仕様から実用的なプログラミングテクニックまでの知識を問う試験が、PHP技術者認定上級試験です。
PHPの専門技術取得能力を正当に評価できる技術者認定試験の目的は、認定者の雇用機会や認定者が所属する会社のビジネスチャンス拡大を図ることです。プロジェクトリーダーとしても、能力を実証するのに最適な資格と言えます。
【参考】:試験概要 – PHP技術者認定機構
その他の高度情報処理技術者試験(ITストラテジスト試験・システムアーキテクト試験など)
高度情報処理技術者試験には、プロジェクトマネージャ試験以外にもさまざまなものがあります。高度情報処理技術者試験は基本情報技術者試験・応用情報技術者試験の上位ランクに位置しており、合格すると高度なIT知識と技能を有していることを証明できます。
具体的には、ITストラテジスト試験・システムアーキテクト試験・ネットワークスペシャリスト試験などがあります。高いIT知識と技能を持つことで、あらゆるプロジェクトを円滑に進めるスキルを養うことができるでしょう。
【参考】:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:試験制度:試験区分一覧
プロジェクトリーダーとして活躍しよう!
プロジェクトリーダーは、プロジェクトを成功に導くための重要な役割を持っています。重要な任務を担うため大変な仕事ではありますが、それ以上にやりがいを感じることができるポストです。
プロジェクトリーダーを目指すなら、まずは開発現場でプログラマーやシステムエンジニアとして経験を積むことが大切です。また、本記事で紹介したスキルや素質を身に付けていることも重要です。
しかし、プロジェクトリーダーに向いているかどうか、違う職種の方が良いのかどうかを自分で判断するのが難しいこともあるでしょう。
そこで利用を推奨するのがマイナビIT エージェントです。
マイナビIT エージェントは、IT・Webエンジニア向け、無料の転職⽀援サービスです。
IT・Webエンジニアの転職事情に詳しいキャリアアドバイザーが、あなたのご経験やスキルをお伺いし、転職活動のプランをご提案します。
アドバイザーは企業側と直接連携を取れるので、求人票に載っていない情報も確認することができます。こちらで、働き方などをしっかり確認の上、応募企業を選んでいくのが良いでしょう。
未経験からのキャリアチェンジは心身ともに本当に大変だと思います。少しでもご自身の負担を減らすべく、エージェントサービスを活用して、失敗のない転職活動に臨んでいただければ幸いです。
IT業界に精通した専任アドバイザーと豊富な求人で、
あなたの転職を丁寧にサポートします。
編集部オススメコンテンツ
アンドエンジニアへの取材依頼、情報提供などはこちらから