プロジェクトマネージャーとは
プロジェクトマネージャーは、プロジェクト全体を統括する管理者・責任者として定義されており、プロジェクトの計画段階から完了まですべての工程を管理し、人員を指揮します。プロジェクトの成果の良し悪しは、プロジェクトマネージャーの手にかかっていると言っても過言ではありません。
必要な予算や工数、進捗状況の把握や問題への対処、メンバーのマネジメントなどその業務内容は幅広く、クライアントなどチームメンバー以外とも良好な関係を築いて協力を図っていかなければなりません。そのため、求められるスキルも多岐に渡ります。
以下では、プロジェクトマネージャーの役割や近い職種との違い、必要なスキルや向いている人の特徴、おすすめの資格まで、1つ1つ丁寧に解説していきます。プロジェクトマネージャーを目指す方は、ぜひ参考にしてください。
プロジェクトマネージャーの役割6つ
プロジェクトマネージャーにはどんな役割があるのでしょうか。まず初めにプロジェクトマネージャーの役割を6つ紹介します。1つのプロジェクトにおいて、プロジェクトマネージャーは以下の6つの役割を担当することが多いです。6つの役割を全てこなすには、幅広いスキルが必要です。以降で、1つ1つの役割について詳しく解説します。
クライアントとのやり取り
プロジェクトマネージャーはクライアントとやり取りする必要があります。クライアントの要望をヒアリングし、開発すべきシステムを検討したり、開発スケジュールを共有したりします。
クライアントによっては、システム開発に対して具体的なイメージがない方もいます。そのため、プロジェクトマネージャーは相手の要求をうまく聞き出すことが大切です。
スケジュールの設定
プロジェクトが決まったら、まずやるべきことがスケジュールの設定です。システムの設計・開発・テスト、それぞれにかかる時間を算出します。また、システム開発にかかる費用も計算します。これらの情報を元に、クライアントと交渉します。
スケジュールを正確に導き出すには、システム開発の経験が役に立ちます。プロジェクトマネージャーはこれまでの経験などから、どの程度の開発期間が必要かを考えます。
チームメンバーの編成
プロジェクトメンバーの編成を行うのも大事な仕事です。システム開発の種類によって、必要な人員の規模は異なります。更に、エンジニア個人によって開発の得意分野も違います。
プロジェクトマネージャーはそれらを把握し、適切にメンバーを配置する必要があります。プロジェクトが成功するかを決めるのは、プロジェクトマネージャーの編成がポイントとなるでしょう。
チームメンバーへの指示出し
チームメンバーへ作業内容を共有するのもプロジェクトマネージャーの役割です。どの仕事をいつまでにやるべきか、具体的に説明する必要があります。指示の出し方が悪いと、メンバーが仕事内容を正しく把握できず、開発が円滑に進まない可能性もあります。
指示を出した後、メンバーの作業進捗を確認するのも大切です。進捗を確認し、遅れているようなら仕事の進め方についてアドバイスしたり、人員を増やしたりして対処します。スケジュール通りにプロジェクトが進むよう気を配る必要があるでしょう。
トラブル時の対処
システム開発は予定通り行くとは限りません。例えば、クライアントが追加注文を出してきたり、開発を進めていく上で実現不可能だと分かったりする場合があります。こういった場合は、予定を柔軟に変更することも大切です。
予定を変更する場合はクライアントと話し合い、上手く折衷案を出す必要があるでしょう。
チームメンバーに対する評価
プロジェクトが終わったら、メンバーに対する評価も行います。適切な評価を行うために、メンバーの作業状況を把握する必要があります。評価が適切でないとメンバーの不満につながるため、評価は慎重に行うことが重要です。評価まで行ってはじめてプロジェクトマネージャーの仕事が完了します。
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プロジェクトマネージャーと他の職種の役割の違い
ここでは、プロジェクトマネージャーと他の職種についての違いを説明します。似ている職種であるプロジェクトリーダー、コンサルタントの役割には、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれの職種の役割を理解し、キャリアアップや転職の参考にしてください。
プロジェクトリーダーとの違い
プロジェクトリーダーは現場の責任者という役割があります。プロジェクトマネージャーよりも現場に近い位置で働き、開発担当者に直接指示を出す立場です。IT企業ではプロジェクトマネージャーの補佐役というポジションであることが多いでしょう。
プロジェクトマネージャーと一緒に企画に参加したり、トラブル解決に取り組んだりもします。
ITコンサルタントとの違い
ITコンサルタントは顧客の企業課題を聞き、それが解決ができるシステムを提案する役割があります。プロジェクトマネージャーも顧客とやり取りは行いますが、コンサルタントの場合はゼロから開発内容を考えます。
コンサルタントは顧客のどこに問題があるのか、導き出す能力が必要です。顧客の業界知識や経営に関する知識がより求められます。
ただし、プロジェクトマネージャーと親和性が高い職種でもあるため、プロジェクトマネージャーからコンサルタントへキャリアチェンジする人もいます。
【参考】:プロジェクトマネージャーの求人|求人・転職エージェントはマイナビエージェント
プロジェクトマネージャーとITコンサルタントの年収
ここでは、似た仕事内容であるプロジェクトマネージャーとITコンサルタントの年収を紹介します。
プロジェクトマネージャーとITコンサルタントの年収は、「マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑」での平均年収はそれぞれ670万円と512万円(※2023年2月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」ではそれぞれ891万円と928万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、プロジェクトマネージャーとITコンサルタントは両方とも一般平均年収よりやや高いことが分かります。
高い年収を目指すなら、プロジェクトマネージャーで実績や経験を積み、スキルを高めることが大切と言えるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント 職業別年収ランキング-プロジェクトマネージャー ※【平均年収 調査対象者】2019年12月から2020年5月末の間でマイナビエージェントに登録いただいた方 【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑-ITコンサルタント ※【平均年収 調査対象者】2020年1月から2020年12月の間でマイナビエージェントに登録いただいた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
プロジェクトマネージャーに必要なスキル4つ
プロジェクトマネージャーに必要なスキルを紹介します。必要なスキルをまんべんなく習得することで、プロジェクトマネージャーとしての役割がこなせるようになります。プロジェクトマネージャーを目指す方は、これらのスキルを身に付けると良いでしょう。
コミュニケーション能力
プロジェクトマネージャーはコミュニケーション能力が必要です。コミュニケーション能力がないと、メンバーやクライアントとスムーズにやり取りするのが難しいでしょう。
顧客の要望を正しく聞く力やメンバーへ指示を上手く出す力は、プロジェクトマネージャーにとって重要です。
システム開発の経験
プロジェクトマネージャーは、システム開発の経験があるとより良いでしょう。実際にシステム開発を行う訳ではないですが、システム開発の予定を立てたり開発担当者に指示を出したりするには、経験があった方がスムーズに進みます。
IT企業に転職したら、まずはプログラマーとして下流工程を経験し、SEとして上流工程を務めるとシステム開発全体の流れを把握しやすいです。システム開発の下流工程と上流工程を両方経験することで、プロジェクトマネージャーの仕事の役に立つでしょう。
スケジュール管理力
プロジェクトマネージャーはスケジュール管理力も大切です。クライアントとの信頼関係を築くためには、契約時に決めた納期を厳守することが重要です。
プロジェクトマネージャーは常にメンバーの進捗を把握し、予定通り進んでいない場合は、何らかの対処をする必要があります。
柔軟性
予定外の事態に遭遇した場合も、慌てず対処できる能力が求められます。例えば、システム障害が発生した場合、どういった手順で動けば被害を最小限に抑えられるか、論理的に考える必要があります。
また、開発がどうしても納期に間に合わない場合は、クライアントとスケジュール変更の交渉を行うこともあります。スケジュールを守ることも大切ですが、予想外の事態に遭遇したときにスケジュールを柔軟に変更することも必要です。
プロジェクトマネージャーに向いている人
最後に、プロジェクトマネージャーに向いている人を解説します。本記事で解説した、必要なスキルや役割を踏まえ、どういった性格や考え方を持った人に適性があるのかをまとめました。自分に何が向いているのか把握した上で、キャリアを考えることが重要です。
先頭に立って働ける人
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトのリーダーとして働きます。メンバーひとりひとりに指示を出し、ときにはメンバーを叱咤激励する場面もあるでしょう。全員の先頭に立てるだけのリーダーシップ、責任感が求められます。優秀なリーダーであれば、メンバーから信頼されるでしょう。
現場で手を動かすより経営に近い所で働きたい人
プロジェクトマネージャーは経営課題について考えることもあり、経営に近い所で働くことが可能です。現場で手を動かすよりゼネラリストとして幅広い仕事をこなしたい人は、プロジェクトマネージャーに向いているでしょう。
一方で現場で手を動かし続けたい方は、スペシャリストやフリーランスに適性があると言えます。
ヒューマンスキルが高い人
プロジェクトマネージャーには様々なヒューマンスキルが求められます。コミュニケーション力を始め、リーダーシップやスケジュール管理能力などを身につけ、ビジネスマンとして優秀であることが望まれます。
こういった能力を培うには、日頃から主体的にプロジェクトに取り組み、経営視点からも物事を考える癖をつけることが大切です。
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プロジェクトマネージャーにおすすめの資格
プロジェクトマネージャーになるために特別な資格は必要ありませんが、資格を取得していれば社内外に自身のスキルを証明できます。
また、資格取得に向けて学習を進める中で体系的な知識とスキルを身に付けることができ、大きなスキルアップに繋がります。
ここでは、プロジェクトマネージャーのスキルを修得することを目的とした2つの資格を紹介します。
プロジェクトマネージャ試験
IPA(情報処理推進機構)が主催する情報処理技術者試験の中に、「プロジェクトマネージャ試験」というものがあります。
システム開発プロジェクトにおいて、プロジェクトを取り巻く環境の変化やクライアントからの要求に柔軟に対応しながらチームを主導するための知識・実践能力を評価する国家資格試験です。
情報処理技術者試験の中では最高難易度であるレベル4に該当するため、取得すれば専門的で高度なスキルを持っていることを証明することができます。
【参考】:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:プロジェクトマネージャ試験
PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェショナル)
PMI(Project Management Institute)が認定しているプロジェクトマネジメントに関する国際資格です。プロジェクトマネジメントに関する経験や知識を図ることを目的とし、専門知識を有していることを証明します。ITや建設を始め多くの業界でグローバルに通用する資格です。
試験はPMBOKというPMIが発行するプロジェクトマネジメントのノウハウをまとめたガイドブックに沿った内容になっていて、PMBOKを用いて学習することで体系的なスキルが身に付きます。
受験資格として一定期間以上の実務経験が必要なので未経験者は受験できませんが、将来取得したい資格として考えておくと良いでしょう。
【参考】:PMI® 試験・資格について|一般社団法人 PMI日本支部
必要な役割を身に付けてプロジェクトマネージャーになるには
本記事では、プロジェクトマネージャーの役割を解説しました。プロジェクトマネージャーは仕事の幅が広いため、多くのスキルが求められます。プロジェクトマネージャーを目指すなら、普段の仕事からさまざまな経験や実績を積むことが大切です。
仕事において重要な役割を持つプロジェクトマネージャーは、さまざまな企業で求められています。しかし、IT業界未経験からであれば未経験者でも採用してくれる企業を見つけなければいけませんし、自分の希望や企業側が求める人材のすりあわせも必要となります。1人で就職活動をするのは困難が多いでしょう。
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