なぜインフラエンジニアにはAWSスキルが必要なのか
近年、サーバやネットワークの構築を担うインフラエンジニアにとって、AWSは重要な役割を果たしていると言われます。なぜ、インフラエンジニアにAWSスキルが必要なのかを解説する前に、まずはAWSとは何かを説明します。
そもそもAWSとは
AWS(Amazon Web Services)は、アメリカに本拠地を置く企業「Amazon」が提供するクラウドプラットフォームです。Microsoft AzureやGoogle Cloudなど、さまざまなクラウドプラットフォームがある中、AWSは世界中で高い人気を誇っています。
AWSを利用すれば、企業は物理的なインフラを持たずに、ネット上でストレージやデータベース、機械学習などさまざまなITリソースを利用することができます。
また、利用した分だけ料金が加算される「従量課金制」が導入されているため、必要なサービスだけを選択することでコストを抑えた利用も可能です。
AWSでできること
AWSでは2024年5月時点で200以上のサービスが提供されています。特にニーズの高い使い方としては、「仮想サーバの作成と管理」「ビッグデータの蓄積と分析」「基幹システムの構築」「データのバックアップ」「機械学習モデルの構築」などが挙げられます。
AWSは、普段私たちが何気なく使用している決済アプリやスマホゲームなど、既に多くのシーンで活用されています。
インフラエンジニアにAWSスキルが求められる理由
世界中で利用者が増え続けているAWSですが、なぜインフラエンジニアがそのスキルを求められるのでしょうか。ここでは、インフラエンジニアにとってAWSスキルが必要な主な理由を3つ紹介します。
オンプレミス型からクラウド型へインフラ環境が変化しているから
近年のインフラ環境は、コスト削減の必要性や保守管理の容易さ、利用場所の多様化などを理由に、オンプレミス型からクラウド型へ大きく変化しています。
総務省が実施した「令和4年通信利用動向調査」でも、クラウドサービスを利用している企業は7割を超えています。そんな中、利用者の多いAWSは特に注目されるサービスであり、インフラエンジニアにはそのスキルが求められているのです。
【参考】:総務省|令和4年通信利用動向調査の結果
ビッグデータを活用する機会が増えているから
デジタル化が進む現代社会では、スマートフォンや各種センサー、IoTデバイスなどから膨大な量のデータが日々生成されています。これらのビッグデータを活用することで、感覚や経験に頼らない、客観的かつ合理的な判断ができるようになりました。
ただし、ビッグデータを効率的に収集、保存、処理するためには、クラウドコンピューティングが欠かせません。このことから、サーバの構築を担うインフラエンジニアにもAWSのスキルが求められます。
AWSはクラウド業界で高いシェアを誇っているから
数あるクラウドサービスの中でも、AWSは高いシェア率を誇っています。Synergy Research Groupが公開している2022年のデータによると、AWSはMicrosoftやGoogleのクラウドサービスを抑えて1位となっています。
AWSはサービスの多さや使い勝手の良さなどから、多くの企業に選ばれていることがわかります。AWSを導入している企業が多いことから、そこで働くエンジニアにもそのスキルを習得することが求められると考えられます。
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インフラエンジニアがAWSスキルを習得する3つのメリット
インフラエンジニアはAWSスキルを習得することで、さまざまなメリットが得られます。ここでは、主なメリットを3つ紹介します。
クラウドの知識が深まり仕事の幅が広がる
AWSスキルを学ぶことで、当然ながらクラウドの知識をより深められます。クライアントへの提案時も、自信を持ってオンプレミスとクラウドの違いを説明できるでしょう。
また、AWSには200以上ものサービスがあり、仮想サーバやネットワークの作成、アプリケーションのデプロイ、機械学習モデル構築などを同じプラットフォームで実装可能です。
このように、多くのソリューションに触れることで、インフラエンジニアとしての知見が広がり、市場価値を高められる可能性があります。
年収アップが期待できる
インフラエンジニアの1つであるネットワークエンジニア年収を見てみると、「マイナビエージェント職種図鑑」での平均年収は380万円(※2024年5月執筆時点)でした。
一方、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種の「IT技術スペシャリスト(特定技術(DB・NW・セキュリティ等))」を参考にすると、平均年収758万円という結果が出ています。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、インフラエンジニアは携わる業務やスキルによって、年収にばらつきがあることがわかります。
つまり、高い評価を得るためには、需要の多いスキルを身につけることが大切です。先述したように、AWSを扱えるインフラエンジニアはクラウドに関する深い知識があると認められるため、AWSスキルを身につければさらなる年収アップが期待できるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
働き方の選択肢が増える
AWSは世界で利用されているクラウドサービスであり、スキルを身につければ世界中どこでも働くことができます。クラウドを扱えるインフラエンジニアの需要は高まっており、英語力があれば海外で活躍することも夢ではありません。
また、物理的なITインフラの構築を担うインフラエンジニアは、これまでリモートワークが困難であると言われていました。しかし、AWSを活用することで、在宅でも仕事をこなせる可能性があります。
AWSを利用するインフラエンジニアに求められる知識とは
AWSを利用する上で、インフラエンジニアにはどのような知識が必要になるのでしょうか。ここからは、AWSを扱うインフラエンジニアに求められる知識を解説します。
クラウドサービスに関する基礎知識
当然ながら、まずはクラウドサービスに関する基本的な知識を身につけなければなりません。クラウドサービスのメリットやデメリット、オンプレミスとの違いといった基本概念を理解することは、AWSを適切に利用するためにも必要です。
AWSに関する基礎知識
AWSではどういったサービスを利用できるかを把握しておくことも重要です。200以上あるサービスを全て把握するのは難しいものの、インフラエンジニアとして活用頻度の高い以下のようなサービスに関しては、内容をしっかり理解しておきましょう。
・Amazon EC2:仮想サーバの作成と管理 ・Amazon S3:ストレージサービス ・Amazon RDS:マネージドデータベース ・Amazon VPC:仮想ネットワークの設定 ・Amazon Lambda:サーバ自動化ツール
【参考】:Amazon EC2(安全でスケーラブルなクラウド上の仮想サーバー)| AWS 【参考】:Amazon S3(拡張性と耐久性を兼ね揃えたクラウドストレージ)|AWS 【参考】:Amazon RDS(マネージドリレーショナルデータベース)| AWS 【参考】:Amazon VPCとは(仮想ネットワーク内での AWS リソースの起動)| AWS 【参考】:AWS Lambda(イベント発生時にコードを実行)| AWS
AWSを使用したサーバ設計・構築・保守の知識
サーバ設計・構築・保守の知識は、インフラエンジニアに必ずと言っていいほど求められる知識です。AWSを利用するインフラエンジニアは、Amazon EC2やAmazon RDS、Amazon S3などを組み合わせて、要件に応じたインフラを構築しなければなりません。
また、サーバのスペック変更や冗長化への対応、運用コストの削減といった知識も必要になるため、実務を通して身につけていくことが大切です。
オンプレミスからクラウドへ移行するための知識
既存のオンプレミスからAWSを用いたクラウドに移行する場合は、オンプレミス環境で構築していたシステムの設定や情報を、崩したり漏洩したりすることなく、確実にクラウド環境に移行しなくてはなりません。
こうした移行作業はインフラエンジニアが行うことも多いため、オンプレミスとクラウドの特徴をしっかり理解して、不備なく実施する必要があります。
インフラエンジニアがAWSスキルを習得する方法
インフラエンジニアがAWSスキルを習得するには、具体的にどういった方法があるのでしょうか。独学で学ぶ、スクールに通う、会社のサポートを利用するといった3つの方法を紹介します。
市販の書籍や公式サイトを利用する
最も手軽で始めやすいのが、市販の書籍や公式サイトを利用する方法です。AWSに関する書籍は数多く販売されており、自分が習得したいスキルをピンポイントで学ぶことができます。
また、AWSの公式サイトでは、無料で利用できる学習コンテンツも用意されています。自分のペースで少しずつスキルを身につけたい方は、こういったツールを利用してコツコツ学ぶのがいいでしょう。
スクールに通う
効率的かつ確実にスキルを身につけたいという方は、スクールに通うのも1つの選択肢です。AWSを学べるスクールでは、わからないことをすぐに確認できたり、短期間でスキルを習得できたりといったメリットがあります。
一定の費用がかかるのはデメリットですが、独学ではなかなか学習が捗らない方にはおすすめの方法です。
スキル習得に向けたサポートがある企業に勤める
企業によっては、社員のスキル習得をサポートしてくれるケースもあります。例えば、「資格試験の受験料を補助してくれる」「資格取得者に対して資格手当が支給される」といった内容です。このようなサポートがあれば、スキル習得に向けた学習も進めやすくなります。
スキル習得のサポートが充実している企業を探すなら、転職エージェントの活用をおすすめします。転職エージェントを利用することで、より効率的に理想の転職先を見つけられるでしょう。
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インフラエンジニアにおすすめのAWS資格
AWSには、AWSに関する知識とスキルを認定する資格が12種類用意されています。その中で、インフラエンジニアにおすすめな中級レベルの「ASSOCIATE(アソシエイト)」に属する認定資格を3つ紹介します。
AWS認定 ソリューションアーキテクト-アソシエイト
主に、AWSのアーキテクチャの設計に関する知識が求められる認定試験です。認定を受けるには、AWSテクノロジーに関する知識や、オンプレミスとクラウドのマッピングに関する理解が必要です。
認定取得に向けた学習を進めることで、ネットワーク、ストレージ、データベースなどAWSの基本的なサービスに加えて、ITインフラの構築における実践的なスキルを獲得できます。
【参考】AWS Certified Solutions Architect - Associate
AWS認定 デベロッパー-アソシエイト
AWS上でのアプリケーション開発に、必要なスキルと知識を持っていることを証明できる資格です。少なくとも1つの高度なプログラミング言語の知識を持ち、他のクラウドサービスでの業務経験がある方などを受験対象としています。
学習を進めることで、AWSのコアサービスや使用方法、AWSアーキテクチャのベストプラクティスに関する知識と理解を深められます。
【参考】:AWS Certified Developer - Associate
AWS認定 SysOpsアドミニストレータ-アソシエイト
AWSクラウド環境の運用と管理に必要な、スキルと知識を持っていることを証明できます。認定を受けるには、Amazon EC2インスタンスのデプロイや設定管理、セキュリティコントロールとコンプライアンス要件の実装などの理解が必要です。
なお、2023年3月28日以降、実技試験である試験ラボが一時的になくなっており、2024年5月時点でも再開されるといった発表はありません。
【参考】:AWS Certified SysOps Administrator - Associate
AWSを習得してキャリアアップを目指そう
拡張性や安全性に加えて、コスト削減、リモートワーク推進などを理由に、インフラ環境をオンプレミスからクラウドに移行する企業が増えています。そのため、インフラエンジニアにもクラウドに関する深い知識が求められるようになりました。
中でも、全世界で高いシェア率を誇るAWSには多くの企業が注目しており、AWSスキルの習得に対して、手厚いサポートを行っているケースもあります。AWSスキルの習得を目指すなら、そのような企業を見つけるのが最善の方法と言えます。
とはいえ、一般の求人情報では細かいサポートまで確認することは難しく、なかなか理想の企業に出会えないという方も多いのではないでしょうか。
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