AWSを勉強する理由は?
近年、日本でもクラウドサービスの利用が増えています。従来のオンプレミスからクラウドに移行することは企業にとって大きなメリットがあり、クラウド化が進んでいます。
ITエンジニアはクラウドの知識を求められる場面が今後増えていくでしょう。特にサーバーエンジニアなどのインフラエンジニアには、クラウドの知識とスキルが求められます。
そして、クラウドサービスの中でも人気が高いのがAWSです。国内外で多くの企業が利用しているため、AWSを扱うスキルを身に付ければ、ITエンジニアとして需要と将来性を高めることができます。
AWSを勉強する方法はさまざまですが、この記事ではAWS初心者におすすめの方法を紹介していきます。これからAWSの勉強を始められる方は、ぜひ参考にしてください。
AWSの基礎知識
まずはAWSの基礎知識について解説します。そもそもクラウドサービスとは何かという点から説明を始めます。クラウドサービスやAWSについてあまり詳しくない方、エンジニア経験の浅い方は、こちらから読み進めてください。
【参考】:Amazon AWS
そもそもクラウドサービスとは?
クラウドサービスとは、ネットワーク経由でITリソースが提供されるサービスのことを指します。顧客はサーバやデータベース、ソフトウェア、管理システムなどをインターネットを通じて利用することができます。
「クラウド(Cloud)」は日本語で「雲」という意味です。なぜ雲なのかは明らかになっていませんが、サーバといった物理的な機器を意識せずに使え、サービスが雲の中に隠れているようなイメージであることから名付けられたという説があります。
クラウドサービスの種類
クラウドサービスには大きく分けてSaaS、PaaS、IaaSの3種類があります。どのようなITリソースを提供しているかによって種類が分けられます。
・SaaS アプリケーションのみを提供する、一般的なクラウドサービスのことです。メールソフトやストレージサービスなどが該当します。
・PaaS アプリケーションを構築できる環境を提供するサービスです。主にシステム開発者が利用します。
・IaaS サーバなどのITインフラを全て提供するサービスです。Google Compute EngineやAmazon Elastic Compute Cloudが該当します。
クラウドサービスが普及した理由
クラウドサービスが普及した主な理由は、主にコストが削減できることです。クラウドサービスが普及する前は自社でサーバを導入して管理していましたが、サーバの購入費がかかることに加え、設置するスペースの確保も必要でした。何より毎月かかる維持費が高く、負担となります。
一方クラウドサービスを使う場合は、自社でサーバを用意する必要はありません。インターネットに接続する環境さえあれば、サーバといった必要なサービスを簡単に利用することができます。
AWSとは?
AWSとは「Amazon Web Services」の略であり、Amazonが提供するクラウドサービスnのことを指します。2006年に販売が開始され、現在もっとも知名度のあるクラウドサービスです。
AWSは200種類以上のサービスをネットワーク経由で提供しており、仮想サーバやストレージ、データベースがその代表的なサービスです。
AWSが人気の理由は、導入コストを抑えられる点にあります。AWSは利用量によって料金が変わる従量課金制のシステムを取っており、利用量が少ない場合は低価格で利用できます。そのため、個人での開発にも多く活用されています。
AWSのメリット・デメリット
AWSはクラウドサービスを代表するサービスですが、メリットばかりではありません。ここでは、AWSのメリットとデメリットについて説明します。
■メリット 前述したように、AWSを含めたクラウドサービス全体に共通するメリットとして、従来のオンプレミスのシステムと比べてコストを安く抑えられることが挙げられます。
オンプレミスでは社内に物理的なサーバを置いて管理するため、専用のスペースや継続的なメンテナンスが必要です。しかし、AWSならクラウド上でシステムを構築できるため、社内にサーバ用スペースを確保したり、メンテナンスをしたりする必要がありません。
そして、何よりAWSの最大の魅力はそのサービス数の多さです。提供されているサービス数は200以上あり、企業それぞれの目的に合ったサービスを見つけることができます。
■デメリット AWSのデメリットは、従量課金制のため利用量によってはランニングコストが高額になる点と、機密情報を扱う企業にとってはクラウドサービス自体が不安材料となる点です。
AWSの従量課金制は人気の理由の1つでもありますが、運用方法によってはかえってコストが高くなる場合もあるため、あらかじめ料金をシミュレーションしましょう。
また、AWS自体のセキュリティレベルは非常に高く安全と言われていますが、クラウド上に機密情報を保存する場合は十分に注意する必要があります。
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AWSを勉強する前に身につけるべき知識
AWSを勉強する前に身につけたい知識について解説します。これらの知識がないと、AWS関連の本を読んでも理解が難しく挫折しやすいため、まずは前提となる基礎知識を押さえることが肝心です。
クラウドサービスについて
AWSについて勉強する前に、クラウドサービス全般についての知識が必要です。クラウドサービスとは何か、クラウドサービスの活用事例などを調べて基礎知識を身につけましょう。
クラウドサービスとは、ローカルの環境で利用していたデータ・ソフトウェア・システムなどをネットワーク上で利用できるようにしたものです。インターネットに接続できる環境さえあれば、ユーザーはいつでもどこでも多くのサービスを利用できます。
クラウドサービスについて深く理解することで、そもそもAWSを使うべきかどうかを判断できるようになります。クラウドサービスにはAWSの他にもAzureやGCPなどがあり、活用内容によってはAWS以外のサービスの方が向いている場合があります。まずはクラウドサービスについて書籍などを使用して勉強しましょう。
インフラ周りの基礎知識
インフラ周りの基礎知識について知っておくと、AWSを勉強する上で理解がスムーズになります。
ITにおけるインフラとは、システムやサービスを利用するための基盤となるPC・サーバなどのハードウェアや、ネットワークの土台となるインターネット・LAN・データベース・OSなどのソフトウェアのことです。
特に、ネットワークの設計・構築方法や、サーバ・ミドルウェアに関する知識を備えておくと良いでしょう。これらの知識は、AWSを活用したアプリケーション開発においても役立ちます。
初心者におすすめのAWSの勉強方法
初心者におすすめのAWSの勉強方法をまとめました。AWSの学習コンテンツやトレーニング方法を紹介します。この中から自分に適した方法を探し、AWSの勉強を始めましょう。いくつかの方法を組み合わせて勉強すれば、より理解が深まります。
本で学ぶ
AWSは人気の高いサービスのため、関連書籍が多く販売されています。AWSについての参考書では、AWSやサーバに関する基礎知識についてまんべんなく解説されていることが多いです。まずはAWS関連の本を1冊購入するのがおすすめです。
オンライン学習サイトを利用する
オンライン学習サイトには、AWSについて解説しているものが多数あります。動画でわかりやすく説明しているサイトや無料で利用できるサイトもあります。
オンライン学習サイトならスマホでも閲覧できるため、通勤時などの隙間時間に勉強できます。本を開くのが面倒という方は、まずは無料のオンライン学習サイトを使ってみるのも良いでしょう。
勉強会に参加する
AWSの勉強会に参加するのもおすすめです。勉強会は主に東京や大阪で実施されており、自由に参加できるものが多いです。また、勉強会の中にはAmazonが主催しているものもあり、より正確な情報を得ることが可能です。
さらに、Amazonの勉強会では個別相談会も実施されています。AWSの活用方法について個人的に相談したい場合は、個別相談会も利用しましょう。
【参考】:AWS イベントスケジュール
AWS公式のハンズオンを受ける
ハンズオンとは、AWSの各種サービスの利用方法が学べるAWS公式講座のことです。ハンズオンでは実際にサービスを立ち上げて操作できるため、手を動かしながら学ぶことができます。
初心者向けのハンズオンも多数用意されており、AWSアカウントの作成方法といった導入部分も丁寧に解説されています。
なお、勉強用アカウントで使うサービスは一定期間無料で利用できますが、期限が過ぎると料金がかかる場合があります。期限内での利用を検討している場合には、サービスの停止・削除を忘れないようにしましょう。
【参考】:ハンズオン資料 | AWS クラウドサービス活用資料集
AWS公式のAWSサービス別資料を読む
AWSの多数のサービスついての違いや特徴を理解するには、「AWSサービス別資料」がおすすめです。AWSサービス別資料の内容はAWSで開催しているウェブセミナーのアーカイブとなっており、AWS公式の勉強会資料のようなものです。
各サービスの要点がまとめられており、複雑なサービスについても理解しやすい内容となっています。専門用語もわかりやすく記載されているため、初心者の方でも読みやすいでしょう。
【参考】:サービス別資料 | AWS クラウドサービス活用資料集
資格取得を目指す
「AWS認定資格」というAmazonの公式認定資格があるので、資格の取得を目指すのも良い勉強方法です。資格勉強をすることで体系的に知識を習得でき、試験に合格すれば自身のスキルを客観的に証明することができます。
資格試験ではAWSの最新スキルに関する問題も出題されます。AWSの基礎知識をすでに持っている方も、資格勉強を通じて知識をアップデートできるのでおすすめです。
【参考】AWS認定– AWS クラウドコンピューティング認定プログラム | AWS | 利用可能な AWS 認定
AWS認定資格は年収UPにも効果的
AWS認定資格の取得は年収UPにも効果的です。資格を取得すると、AWSの知識を持っていることをアピールできるので、キャリアアップや転職に役立ちます。
AWS認定資格の種類
AWS認定資格には、全部で12の種類があります。「基礎レベル」「アソシエイト」「プロフェッショナル」のレベルに応じた6つの資格と、「専門知識」に分類される6つの資格があります。自分のレベルや担当する専門分野に応じて、受験する認定試験を選びましょう。
【参考】:AWS 認定 – AWS クラウドコンピューティング認定プログラム | AWS | 利用可能な AWS 認定
サーバーエンジニアの平均年収は429万円
AWS認定資格を取得するエンジニア職としては、クラウドエンジニア、インフラエンジニアが多いですが、ここでは、インフラエンジニアの1種であるサーバーエンジニアの平均年収を参考に見ていきます。
サーバーエンジニアの年収は「マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑」での平均年収は429万円(※2023年4月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のIT運用・管理(顧客情報向け情報システムの運用)を参考にすると、平均年収608万円と分かりました。
国税庁2020年発表の民間給与実態統計調査における民間企業平均年収は433万円なので、サーバーエンジニアは一般平均年収よりも、やや低めであることが分かります。
しかし、AWS認定資格の取得に伴う技術力の向上とスキルの証明によって、年収を上げることができる可能性は高いです。資格を取得すれば、平均以上の年収を望むことができるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
資格取得者の需要は高い
企業によっては資格手当や資格取得の奨励金制度がある場合があります。従業員をスキル向上を目指す手段の1つとして、資格取得が重要視されていることがわかります。
仕事で成果を上げる他に、業務に関する資格を取得することもキャリアアップの足掛かりとなり、給与を上げることができます。
また、転職もITエンジニアの年収アップに有効な方法です。AWSを利用している企業は多く、AWSに関するスキルや知識があれば労働条件の良い企業に転職できる可能性が高まります。
その知識やスキルを証明するのがAWS認定資格です。転職エージェントを利用して、資格取得によって培ったスキルを活かせる企業を探しましょう。
エンジニア転職のご相談はぜひ
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初心者のAWS学習におすすめの本
最後に、AWS学習におすすめの本を4つ紹介します。以下で紹介する3つの本は初心者向けに分かりやすく解説されており、読者からの評価も高いです。AWSの本選びに迷っている方はこの中から選ぶことをおすすめします。
図解 Amazon Web Servicesの仕組みとサービスがたった1日でよくわかる
知識が全くない状態から始められるAWS入門書です。AWSに関する基礎知識を、ITシステムに馴染みがない方にも分かりやすく解説しています。
オールカラーの紙面に図や画面が豊富に掲載されており、直感的に分かりやすいよう工夫されています。そのため、初心者でもAWSの基本を素早く理解することが可能です。
▪著者:NRIネットコム株式会社、上野史瑛、小林恭平、尾澤公亮、高梨友之 ▪ページ数:260ページ ▪出版社:SB Creative ▪発売日:2022/02/02
【参考】:図解 Amazon Web Servicesの仕組みとサービスがたった1日でよくわかる
AWSエンジニア入門講座――学習ロードマップで体系的に学ぶ
AWS学習サイト運営YouTuberである監修者が、自身の経験を元に体系化した「AWS学習ロードマップ」に沿って、AWSのサービスとIT技術を分かりやすく解説している本です。
効率的に学ぶ方法も紹介されているため、AWSに関する知識だけでなく、学習の進め方も知りたいという方におすすめです。
▪著者:CloudTechロードマップ作成委員会(監修:くろかわこうへい) ▪ページ数:256ページ ▪出版社:技術評論社 ▪発売日:2022/01/14
【参考】:AWSエンジニア入門講座――学習ロードマップで体系的に学ぶ
AWSの基本・仕組み・重要用語が全部わかる教科書 (見るだけ図解)
AWSの仕組みについて分かりやすく図で解説されている1冊です。AWS関連の用語についても丁寧に解説されており、疑問点を解決しながら読み進めることができます。
入門編・基礎編・実践編の3部構成になっており、エンジニアでなくても理解できるレベルにまで噛み砕いて解説されています。
▪著者:川畑光平、菊地貴彰、真中俊輝 ▪ページ数:536ページ ▪出版社:SB Creative ▪発売日:2022/08/23
AWSの知識地図 〜現場必修の基礎から構築・セキュリティまで
必要な知識を素早く身につけるために、「情報のハブ」というコンセプトで書き下ろされたAWS入門書です。
AWSの根本にある考え方や基本的なAWSの構成、エンジニアとして現場で必須となるセキュリティなどの知識を身につけられるように作られています。
▪著者:菊池修治、深澤俊、谷山優依、洲崎義人、伊豫谷優希 ▪ページ数:288ページ ▪出版社:技術評論社 ▪発売日:2022/04/13
【参考】:AWSの知識地図〜現場必修の基礎から構築・セキュリティまで
AWSの勉強は自分に合った方法を選ぼう!
本記事ではAWSの勉強方法について解説しました。AWSとは何かや、AWS学習におすすめの勉強方法、AWSに役立つ本などについてお分かり頂けたかと思います。
自社サーバを導入する企業は昨今減ってきており、今後はクラウドサービスが主流になると言われています。ITエンジニアにとってクラウドのスキルは今後さらに価値が高まると言えるでしょう。
中でもAWSはクラウドサービスの中でも料金面・サービス面に優れており、支持者が多いです。エンジニアの方はぜひ自分に合った勉強方法を探し、AWSをマスターしてください。
特にAWS認定資格を取得するのはおすすめの方法です。認定資格を取得することで自身のスキルや知識を対外的に証明でき、キャリアアップや転職の成功に繋げることができます。転職の場合には、転職エージェントを利用するとさらに資格を活かせるでしょう。
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アドバイザーは企業側の人事担当者と直接連携を取れますので、求人票に載っていない企業情報も確認することができます。残業時間や給与面など、働き方などをしっかり確認の上で応募企業を選んでいくのが良いでしょう。
・資格やプログラミングの勉強をしているけれど、企業が求めるレベルに達しているのかわからない ・スキルアップをして市場価値を上げていける企業の選び方を知りたい ・数多くあるITエンジニアの職種の中で、自分に向いている仕事は何か知りたい
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