IT未経験者に応用情報技術者試験は難しすぎる?
国家試験として名高い応用情報技術者試験は、独立行政法人情報処理推進機構(以下IPA)が主催しており、経済産業大臣によって認定されています。略称は「AP」で、英語名称は「Applied Information Technology Engineer Examination」です。
応用情報技術者試験はITに関する応用的な知識やスキルを問う試験であり、合格することでそれらの知識やスキルの証明となります。IT分野でのキャリアを積みたい場合は、必ず取得しておきたい資格の1つですが、決して易しい試験ではありません。
しかし、資格を取得することでIT分野への道が大きく広がり、実際にIT分野の実務経験なしでも合格している人はいます。難しいと諦めず、ぜひ取得を目指しましょう。
本記事では、IT未経験者の方が応用情報技術者試験に合格に近づく方法として、勉強方法を中心に紹介します。受験を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
【参考】:応用情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
応用情報技術者試験は試験対策が合格できる
結論を言えば、IT未経験者でも応用情報技術者試験の合格は可能です。応用情報技術者試験は数学の知識が特に求められないため、理系出身者の人が有利とは限りません。
また資格保有者の多くが目指すシステムエンジニアは、むしろ文系の人が得意とする分野である高いコミュニケーション能力や経営学、さらには業務知識が求められることから、IT未経験者でも活躍の余地は大いにあります。
また、応用情報技術者試験はしっかりした対策が合格する上で重要であり、入念な準備を行うことが合格する上で有効です。本記事では後ほど、応用情報技術者の有効な勉強方法についても触れるので、ぜひ参考にしてください。
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応用情報技術者試験の概要
ここでは応用情報技術者試験の基本情報や試験概要、試験形式や出題範囲などについて確認します。
応用情報技術者試験の基本情報
応用情報技術者試験はIPAが管理するITスキル標準(ITSS)で、難易度は7段階の内レベル3相当に位置しています。ちなみにレベル4の最難関試験にはITストラテジスト試験、プロジェクトマネージャ試験などがあります。レベル3についてまとめると以下の通りです。
▪評価: 高度IT人材としてのスキルを有していると評価されるレベルである
▪特徴: 1.要求された作業を全て独力で遂行できる 2.スキルの専門分野を確立し、プロフェッショナルとして必要な応用的知識・技能を有する 3.スキル開発においても自らのスキルの研鑽を継続することが求められる
具体的には、幅広いIT関連の知識に加え、経営や法律に関する知識、セキュリティや監査などの知識が求められます。
【参考】:ITスキル標準(ITSS) | デジタル人材の育成 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
応用情報技術者試験の概要
以下、試験の実施方式、受験対象者像、業務と役割、期待する技術水準などについてまとめてみました。
▪略号: AP「Applied Information Technology Engineer Examination」
▪実施方式: 実施時期は筆記試験で春期(4月)と秋期(10月)の年2回実施予定
▪対象者像: ITを活用したサービス、製品、システムを作る人材に必要な応用的知識・技能を持ち、高度IT人材としての方向性を確立した者
▪業務と役割: 組織や社会の課題に対する戦略の立案、システムの企画・要件定義 システムの設計・開発、利用者にとって価値の高いシステムを構築 サービスの安定的な運用を実現
▪期待する技術水準:
経営戦略・IT戦略の策定から評価までシステムの企画・要件定義、アーキテクチャの設計、運用管理、プロジェクトマネジメント、技術的問題解決
応用情報技術者試験の形式や出題範囲
応用情報技術者試験の実施形式や出題範囲を見ていきます。今後、内容が更新されることもありますので、常に公式サイトで最新の情報を確認するようにしましょう。
■出題数:午前は選択式で80問、午後は記述形式で解答が必須のセキュリティ問題を含む、計11問中内4問を選択
■合格基準:午前試験(150分)、午後試験(150分)ともに100点満点で60点以上
■出題範囲:
▪午前:テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系
▪午後:経営戦略、情報戦略、戦略立案・コンサルティングの技法、システムアーキテクチャ、ITサービスマネジメント、プロジェクトマネジメント、ネットワーク、データベース、組込みシステム開発、情報システム開発、プログラミング、情報セキュリティ、システム監査
■受験料:7,500円(税込み)
【参考】:応用情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
応用情報技術者資格を活かせる職種と年収
応用情報技術者試験に合格した場合、その資格はどのような職種に活かせるのかを見てみましょう。
資格を活かせる職種
応用情報技術者試験の資格を活かせる職種としては、プログラマー、システムエンジニア、データベースエンジニア、ネットワークエンジニアなどがあります。それぞれの役割と仕事の内容を以下に解説します。
■ プログラマー: システム設計書に基づいてシステムを開発します。具体的にはプログラミング言語を用いてコードを記述し、システムの動作確認やバグ修正を行います。
■ システムエンジニア : システムの設計・開発、運用管理、プロジェクトマネジメントなどを行い、システムの要件定義から導入・運用まで幅広い業務を担当します。
■ データベースエンジニア: データベースの設計・構築、最適化、運用管理を行い、データベースのパフォーマンスチューニングやセキュリティ対策を担当します。
■ ネットワークエンジニア: ネットワークの設計・構築、運用管理、トラブルシューティングを行い、ネットワークのセキュリティ対策や最適化を担当します。
応用情報技術者資格取得者の年収
応用情報技術者確認試験の取得者合格者が目指す仕事の1つである、システムエンジニアの年収について見ていきましょう。
「マイナビエージェント 職種図鑑」によるとシステムエンジニアの平均年収は431万円(※2024年2月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のSE・プログラマ(顧客向けシステムの開発・実装)を参考にすると、平均年収593万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円であり、システムエンジニアの年収とほぼ同程度ですが、年齢を考慮するとシステムエンジニアの年収は民間企業平均年収よりは高めと考えられます。
応用情報技術者試験の合格者には報奨金や資格手当を支給する企業が少なくありません。また、システムエンジニアにはプロジェクトマネージャーやITコンサルタントなどのキャリアパスがあるためさらなる活躍と年収アップが期待できます。
【参考】:マイナビエージェント職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
応用情報技術者試験の学習方法
応用情報技術者試験は合格率が20%程度と難易度が高い試験ですが、公認会計士や税理士のような業務独占資格ではないため、資格取得は『意味ない』と考える人もいます。しかし、ITエンジニアを目指す方、スキルアップを図りたい方はぜひ取得しておきたい資格です。
応用情報技術者試験は一夜漬けの勉強では合格は難しいでしょう。システムエンジニアとして、システム開発やプログラミング以外に、広範な知識や応力が求められるため、ゼロからスタートするつもりで綿密な学習計画を立て、出題範囲をしっかり押さえておく必要があります。
ここでは応用情報技術者試験の試験対策と勉強法について解説しますので、勉強方法が分からない方は、ぜひ参考にしてください。
【参考】:応用情報技術者試験 出題範囲 P35
必要な勉強時間
IT未経験者の場合、応用情報技術者試験合格に必要な勉強時間は500時間前後と言われています。仮に1日4時間の勉強時間を確保しても半年ほどの期間が必要です。しっかりとした計画を立てて、着実に学習することが合格のための条件です。
基本情報技術者試験で基礎力を付ける
IT分野の経験がない方で、いきなり応用情報技術者試験に挑戦する方がいますが、基礎知識を身に付ける意味でも基本情報技術者試験から受験することをおすすめします。基礎知識が身に付くことで、より短い勉強時間で応用情報技術者試験に合格できる可能性が高まるからです。
【参考】:基本情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
過去問をしっかり解く
応用情報技術者試験の午前問題は過去問から半分近くが出題されますので、過去問の反復が効果的です。参考書で一通り学習したら、受験生の多くが利用している『応用情報技術者試験ドットコム』で、過去問題(5年間分)にチャレンジしましょう。
不正解となった箇所はメモに残し、参考書で重点的に学習します。
【参考】:応用情報技術者試験.com-応用情報技術者過去問道場
参考書で学ぶ
応用情報技術者試験は参考書が数多く出版されており、どの参考書を入手すればいいのか迷います。ここでは、おすすめの参考書を紹介します。独学で合格を目指す方はぜひ参考にしてください。
■ キタミ式イラストIT塾 応用情報技術者 令和06年
応用情報技術者試験対策に特化した参考書です。イラストベースの解説を特徴としており、広範な試験範囲をわかりやすくカバーしています。基礎理論からネットワーク、セキュリティ、システム開発まで、幅広いトピックを網羅しています。
▪著者:きたみりゅうじ ▪ページ数:944ページ ▪出版社:技術評論社 ▪発売日:2023/12/2
【参考】:キタミ式イラストIT塾 応用情報技術者 令和06年
オンライン学習講座を利用する
独学で学習することに不安がある方、参考書での学習に加えて、さらに実力を高めたい方にはオンライン学習講座の受講をおすすめします。以下、応用情報技術者試験の午前対策、午後対策の講座をそれぞれ紹介します。
■ Udemy「令和6年春版:参考書の著者直伝!【応用情報技術者試験 午前版】講座」 応用情報技術者試験の午前試験に4ヶ月で合格を目指す40時間のオンデマンドビデオ講座です。スマホやタブレットからも利用できるため、スキマ時間や移動中にも学習できます。午前問題で80点を取るために必要な知識を学べ、午後問題でも60点の取得を目指せる応用力が身に付きます。
【参考】:「令和6年春版:参考書の著者直伝!【応用情報技術者試験 午前版】講座」
■ Udemy「令和6年春版:参考書の著者直伝!【応用情報技術者試験 午後版】講座」 前記講座の午後版で、40時間のオンライン講座で、午後問題で80点を目指します。実例重視の講義内容で、公開鍵暗号方式やネットワークの動きなどを実際に試すことができます。また3ステップ学習方式で、講義、小問題、過去問解説の順に学習し、知識を定着させます。
全動画をダウンロードできますので、移動時間やスキマ時間にも学習できます。
【参考】:令和6年春版:参考書の著者直伝!【応用情報技術者試験 午後版】講座
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応用情報技術者資格を取得して有利に転職
ここまで、IT分野未経験の方が応用情報技術者試験に合格する方法について解説しました。また応用情報技術者試験の合格者が就く代表的な職種として、プログラマーやシステムエンジニア、データベースエンジニア、ネットワークエンジニアを紹介しました。
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