プログラミング検定とは
プログラミング検定とは、プログラミング能力を評価する検定です。プログラミング検定にはレベルや使用する言語別に、さまざまな種類が設けられています。従来はITに関わる方たちのスキルレベルを評価する目的で利用されていましたが、この数年は小中学生の受験者も増えています。
ここでは、プログラミング検定が多くの世代に広がりを見せている理由を、簡単に解説します。
プログラミングは教育現場の必修科目に
2019年に情報教育加速のための教育情報化推進法が制定され、小学校では2020年度からプログラミング教育が必修化されました。中学校では2021年度より、技術・家庭科(技術分野)にプログラミングが組み入れられ、高等学校においても2022年度から「情報Ⅰ」が必修の科目に設定されました。
また、今後大学受験においても2024年度の大学入試共通テストから「情報」の必修化が予定されています。
プログラミングを学ぶ教育上のメリットは、論理的思考力の向上です。論理的思考力が高まると、物事の判断が合理的になり、問題解決能力が身につきます。複雑なプログラム作成は、チームで実施することがあります。その際チームワークを高めて活動するため、コミュニケーションと表現力が育成されます。
情報教育の成果として、学習意欲の向上や豊かな人間性を養うことが可能です。さらに、将来的にデジタル化社会を担う人材としても期待できるでしょう。
プログラミング検定が広がっている理由
プログラミング検定が広がりを見せている理由としては、上述したとおり情報化社会におけるICT教育の重要性が高まったことが挙げられます。プログラミングを学んでいる学生たちの学習理解度を測るため、検定を用いる機会が増加しています。
また、近年スマホをはじめとするIT機器は生活に欠かせないものになっており、IoT技術より入手できるデータの有効活用も求められています。必然的に、これらの分野に携わる人材も増加しており、自身のスキルを証明するためプログラミング検定は利用されています。
これまでIT分野で働いたことがなくても、プログラミング検定を目標に据えながら独学で勉強することで、ITエンジニアとして活躍できる可能性は十分にあります。未経験からITエンジニアを目指すなら、自分のスキルにあった企業を探してくれる転職エージェントの活用をおすすめします。
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主なプログラミング検定
プログラミング検定は、種類も豊富で難易度も多岐にわたります。ここでは、小中高校生、大学生・社会人と年代別に概要を解説していきます。
小中学生向け
小中学生は、ビジュアルプログラミングが主体です。Scratchを用いてアルゴリズムやロジックの考え方を学んでいきます。
主な検定試験はプログラミング能力検定(プロ検)のビジュアル言語版や、サーティファイのジュニア・プログラミング検定、日商プログラミング検定(ENTRY)などがあります。
【参考】:Scratch 【参考】:プログラミング能力検定(プロ検) 【参考】:ジュニア・プログラミング検定 【参考】:日商プログラミング検定
中高校生向け
中学生から高校生にかけて、実際のプログラミング言語を用いて徐々にコード作成を学びます。具体的には、JavaScriptやPythonを中心に学習していきます。主な検定試験はプログラミング能力検定(プロ検)のテキスト言語版や、日商プログラミング検定(STANDARD)などがあります。
【参考】:プログラミング能力検定(プロ検) 【参考】:日商プログラミング検定
大学生・社会人向け
大学生や社会人は、より多岐に渡ったアルゴリズム実装やプログラミングを学びます。具体的には、サーティファイが実施するC言語プログラミング能力認定試験、Java™プログラミング能力認定、実践プログラミング技術者試験などの個別プログラミング言語の検定が挙げられます。
また、将来的なシステムエンジニアやシステムアーキテクトなどへのステップアップを見据えて、情報処理推進機構(IPA)が実施する、情報処理技術者試験の基本情報技術者試験などを目指す方も多いです。
【参考】:C言語プログラミング能力認定試験 【参考】:Java™プログラミング能力認定 【参考】:実践プログラミング技術者試験 【参考】:情報処理技術者試験 基本情報技術者試験
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プログラミング検定のおすすめ一覧
プログラミング検定は、小学生向けから実務経験者向けまで多岐に渡ります。ここでは、主に活用される検定試験とその特徴を解説していきます。
プログラミング能力検定(プロ検)
プログラミング能力検定は、プログラミング総合研究所が実施する検定で、略して「プロ検」と言います。小学生・中学生・高校生を対象とします。主に小学生向けのビジュアルプログラミング言語と、中高生向けのテキストプログラミング言語に対応します。
プログラミング能力検定は、2022年度より高校で必修化された「情報Ⅰ」のプログラミングに対応しています。また、2024年度の大学入試共通テストから必修を予定する、「情報」科目のプログラミングの対策試験としても利用可能です。
ビジュアル言語版とテキスト言語版の合格ラインは、共に得点率60%です。使用するプログラミング言語と設定レベルは以下の通りです。
・ビジュアル言語版 オリジナルのビジュアルプログラミング言語が用いられます。小学生向けの検定試験で、1〜4の全4レベルで構成されています。
・テキスト言語版 プログラミング言語はJavaScriptとPythonに対応します。中高生向けで、1〜6の6段階のレベルからなります。
【参考】:プログラミング能力検定(プロ検)
ジュニア・プログラミング検定
ジュニア・プログラミング検定はサーティファイが実施する検定で、正式には「ジュニア・プログラミング検定 Scratch部門」です。小学校やプログラミングスクールで利用されています。
Scratch2.0ならびにScratch3.0を使用し、4つのレベルに応じた範囲と難易度が設定されています。2016年から実施しており、実績が豊富です。合格基準は得点率60%以上です。
・Gold(1級) Scratchの複数の条件分岐や演算、入れ子構造のスクリプトなどを使って、様々なスプライトを連動させたプロジェクトを作成することが求められます。合格により、複数の条件や筋道を組み合わせた論理的思考ができることが証明されます。
・Silver(2級) Scratchの複数の条件分岐や入れ子構造のスクリプトなどを使って、少数のスプライトを連動させたプロジェクトを作成することが求められます。合格により、基本的な条件や筋道を用いた論理的思考ができることが証明されます。
・Bronze(3級) Scratchの条件分岐や繰り返しなどのスクリプトを使って、少数のスプライトを連動させたプロジェクトを作成することが求められます。合格により、単純な条件や筋道を用いた論理的思考ができることが証明されます。
・Entry(4級) Scratchの条件分岐や繰り返しなどのスクリプトを使って、1つまたは2つのスプライトを連動させたプロジェクトを作成することが求められます。合格により、入門レベルの特定の条件や筋道を用いた論理的思考ができることが証明されます。
令和5年入学からの中学入試の入試優遇にも利用されています。
【参考】:ジュニア・プログラミング検定 【参考】:ジュニア・プログラミング検定 入試優遇校一覧
日商プログラミング検定
日商プログラミング検定は、日本商工会議所が実施するプログラミングスキルを評価する検定です。以下の4段階のレベルが設定されており、いずれも70点以上で合格です。
・EXPERT プログラマとしての基本能力を評価し、仕様書に基づくソフトウェアの一部を作成できることが求められます。IT企業における技術者要件を満たす人材育成や、採用要件で活用されることを想定しています。プログラミング言語は、Java・C言語・VBA・Pythonの4言語でそれぞれ実施します。
・STANDARD 高校・大学・専門学校等でのプログラミング学習の習得度を評価します。IT利用企業を想定し、プログラミングの基本知識・スキルを言語別に検定します。プログラミング言語は、Java・C言語・VBA・Pythonの4言語でそれぞれ実施します。
・BASIC プログラミングに関するITの基本知識、簡単なアルゴリズムについて問われます。企業人の基本的な知識を想定し、言語によらない設問です。
・ENTRY 小中学生が学ぶ、ビジュアルプログラミング言語のScratch(Scratch3.0)を用います。簡単なプログラミングおよびプログラミング的思考を問い、プログラミングの「学び方」を理解しているか確認します。
【参考】:日商プログラミング検定
言語別プログラミング能力検定
ある程度基礎的なことが理解できたら、言語別検定に挑戦することもできます。例えば、サーティファイでは以下のような言語別、レベル別検定試験を提供しています。
検定試験は得点別に5段階にレベル分けされ、業務レベルのスキルが証明されます。Platinum(Level 5)は800点以上、Gold(Level 4)は600~799点、Silver(Level 3)は400~599点、Bronze(Level 2)は200~399点、Entry(Level 1)は0~199点が該当します。
・C言語プログラミング能力認定試験・Java™プログラミング能力認定 ともに1級〜3級の3段階のレベルが設定されており、1級はPCを使用した実務試験で、業務レベルのスキルが証明されます。合格基準は得点率60%以上です。
【参考】:C言語プログラミング能力認定試験 Java™プログラミング能力認定 【参考】:C言語プログラミング能力認定試験 試験概要 【参考】:Java™プログラミング能力認定 試験概要
・実践プログラミング技術者試験 「実践プログラミング技術者試験 Java™部門」「実践プログラミング技術者試験 C言語部門」「実践プログラミング技術者試験 Python部門」の3つの区分からなります。Java™、C言語、Python3がそれぞれに6題ずつ出題されます。
【参考】:実践プログラミング技術者試験
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、情報処理推進機構(IPA)が実施するIT技術者向け試験である情報処理技術者試験の1つです。情報処理技術者試験は、IT技術者育成のためにIT利用者向けのITパスポートから、高度情報処理技術者まで多くの試験区分があります。
国家試験ですので企業の認知度が高く、将来的にシステムエンジニアやシステムアーキテクト、あるいはプロジェクトマネージャを目指す方の最初のステップとなります。共通キャリアフレームワークのITSSスキルレベル2に相当しますので、難易度は他のプログラミング検定より高めです。
基本情報技術者試験では、ソフトウェア開発のプログラミング言語から、C言語・Java・ECMAScript・Perl・Ruby・PHP・Python・アセンブラ言語・表計算ソフトなどから出題されます。
【参考】:情報処理技術者試験 基本情報技術者試験 【参考】:情報処理技術者試験 試験区分一覧 【参考】:情報処理安全確保支援士試験 試験で使用する情報技術に関する用語・プログラム言語など 【参考】:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要綱
プログラミング検定のメリット
これまで検定試験は意味がないという見方もありましたが、現在ではプログラミング教育への取り組みが進んだことで、検定の注目度が高まっています。ここではプログラミング検定の具体的なメリットを解説します。
学習の習熟度が把握できる
現在、自分にはどれくらいの知識とスキルがあるのかを把握できます。教育カリキュラムに組み込まれ始めたプログラミングですが、レベルや理解度はそれぞれ異なります。検定に合格することで習熟度が把握できるので、その後の勉強も進めやすくなります。
スキルの証明になる
検定合格によりスキルレベルが把握できれば、対外的な能力の証明に繋がります。現在、プログラミング業務に携わっている方はもちろん、今後携わりたいと思っている方も、客観的にスキルを証明できるので、より高度な仕事を任せられたり即戦力として採用されたりと、活躍の場を広げられるでしょう。
年収アップにつながる
一般的なプログラマーの年収は「マイナビエージェント 職種図鑑」での平均年収は344万円(※2023年7月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」からエンジニア/プログラマを参考にすると、平均年収592万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、プログラマーの年収は調査媒体によってバラつきがあることが分かります。
プログラマーを含むITエンジニアの報酬は実績が重要視される傾向があるため、さらに年収を上げるには、スキルアップを図る方法が効果的です。プログラミング検定合格に向けて勉強し、より技術を高めることで、年収アップの可能性が高まります。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
プログラミング検定合格に向けた勉強方法
では、実際プログラミング検定に合格するにはどのような勉強方法があるのでしょうか。ここでは2つの方法について紹介します。
市販の本で学ぶ
お金をかけずにじっくりマイペースで学びたい方は、市販の参考書や問題集を使用しながらの独学がおすすめです。
プログラミング検定に関する教材や過去問は数多く販売されています。特に、公式の過去問や参考書は実際の問題に沿った内容のため、より本番を意識した学習ができます。自分が受験する検定、レベル、言語に合わせて最適なものを選びましょう。
プログラミングスクールに通う
多少費用がかかっても、より確実かつ効率的に合格を目指したいという方は、プログラミングスクールに通うのがいいでしょう。
検定に合格するためだけでなく、プログラミングに関する幅広い知識をしっかり学べるのがスクールのメリットです。わからない部分は講師に質問できるので、その場ですぐに解決できます。
プログラミング検定を能力開発に役立てよう
プログラミングは論理的思考力を高めますが、急激に上達するものではなく基礎的なことを学びながら考え方に慣れていくのが上達の近道です。プログラミング検定ではレベル別に理解度が確認できます。ある程度理解が進んだら、検定試験を活用して自身のスキル向上に役立てることをおすすめします。
プログラミング検定に合格すれば対外的に自身のスキルを証明できるので、転職でも有利になります。しかし、「実際にプログラミング検定を生かせる仕事があるのか」「自分のスキルに合った職場を見つけられるのか」といった点で、不安を感じる方も多いでしょう。
そこで利用を推奨するのがマイナビIT エージェントです。
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