ITパスポート試験とは?受験メリットや難易度、合格率を解説
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ITパスポート試験とは?受験メリットや難易度、合格率を解説
アンドエンジニア編集部
2024.01.26
この記事でわかること
ITパスポート試験は、IT利用者向けに情報処理推進機構(IPA)が実施する試験です
試験の難易度は、ITSSレベル1に相当するIT基礎知識が想定されています
ITパスポート試験はIT利用者向けの登竜門であり、試験合格で次へのステップアップに繋がります

ITパスポート試験とは?

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ITパスポート試験とは、情報処理推進機構(IPA)によって実施される一般IT利用者(ITを利活用する者)向けの国家試験です。「Information Technology Passport Examination」の略であり、通称「iパス」とも言います。

ここでは、ITパスポート試験がどういった資格であるかについて紹介します。

【参考】:情報処理推進機構(IPA) ITパスポート試験(IP) 【参考】:ITパスポート試験 iパスとは

ITパスポートとはどんな資格?メリットや難易度、合格率を解説!

IT活用を進めるための資格

IPAはさまざまなIT国家資格を提供しており、それらは「IT利活用者(ITユーザ)向け試験」と「情報処理技術者向け試験」に分けられています。分かりやすく言うと、「IT利活用者(ITユーザ)向け試験」が非ITエンジニア向け、「情報処理技術者向け試験」がITエンジニア向けの試験です。

また、提供している全ての試験はそれぞれ1〜4までレベル分けされており、ITパスポート試験は最も難易度が易しいスキルレベル1に設定されています。

【参考】:試験区分一覧 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 【参考】:2.ITスキル標準とは -ものさしとしてのスキル標準 | デジタル人材の育成 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 【参考】:ITスキル標準V3 2011 ダウンロード

今後DX(デジタルトランスフォーメーション)が加速するにつれて、民間でも人材効率を高めるためにITは必須です。また、RPA(Robotic Process Automation)等の活用により業務自動化や効率化が進んでいきます。通常業務においてもITによる作業手順の見直しが進んでいくでしょう。

経済産業省によると、ITパスポート試験はユーザ企業でのIT利活用に必要な基礎知識を習得するためにさらに活用が見込まれると想定しています。

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ITパスポート試験の概要

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ここでは、ITパスポートの試験内容や出題範囲、受験方法、合格率などについて説明します。

ITパスポートの試験内容

ITパスポート試験は、試験時間120分で100問が出題されます。出題形式は四肢択一式です。出題分野は3分野で、経営全般のストラテジ系が約35問、IT管理のマネジメント系が約20問、IT技術のテクノロジ系が約45問出題されます。

合格基準は全体1,000点のうち合格点が600点以上、正答率60%以上が合格です。さらに、3分野それぞれ1,000点のうち合格点が300点以上、正答率30%以上が合格基準となります。

受験手数料は7,500円(税込)です。

【参考】:【ITパスポート試験】試験内容・出題範囲 【参考】:【ITパスポート試験】受験要領

ITパスポート試験の出題範囲

ITパスポート試験の出題範囲は、それぞれ3つの分野において以下の通り定義されています。

「ストラテジ系の出題範囲」 (企業活動に必要とされる経営知識と経営・システム戦略を対象)  ・企業と法務(企業活動、法務)  ・経営戦略(経営戦略マネジメント、技術戦略マネジメント、ビジネスインダストリ)  ・システム戦略(システム戦略、システム企画)

「マネジメント系の出題範囲」 (システム開発の技法やプロジェクト管理・サービス管理技法から出題)  ・開発技術(システム開発技術、ソフトウェア開発管理技術)  ・プロジェクトマネジメント(プロジェクトマネジメント)  ・サービスマネジメント(サービスマネジメント、システム監査)

「テクノロジ系の出題範囲」 (コンピュータ理論とシステム要素・技術要素から出題)  ・基礎理論(基礎理論、アルゴリズムとプログラミング)  ・コンピュータシステム(コンピュータ構成要素、システム構成要素、ソフトウェア、ハードウェア)  ・技術要素(ヒューマンインタフェース、マルチメディア、データベース、ネットワーク、セキュリティ)

【参考】:【ITパスポート試験】試験内容・出題範囲

ITパスポート試験の受験方法

ITパスポート試験は、2011年(平成23年)からCBT方式で実施されています。CBTとは「Computer Based Testing」の略で従来の集合試験会場での筆記試験に代わり、コンピュータ利用の試験会場で実施します。試験会場は試験委託先となる全国のプロメトリック株式会社の運営サイト・会場を活用しています。

【参考】:【ITパスポート試験】iパスとは

ITパスポートはCBT方式?通常試験との違いや申し込み方法を解説

ITパスポートの試験日

ITパスポート試験の試験日は、受験方法がCBTのため随時実施されています。

受験する際は、まずiパスのサイトで利用者IDを登録します。その後会場と日程を決定し、受験手数料を支払います。受験の確認票は送付されませんので、各自ダウンロード印刷し、試験会場に持参します。試験開催状況は3か月後までの状況がウェブに掲載されています。

【参考】:iパス  ITパスポート試験 試験の流れ 【参考】:iパス  試験開催状況一覧 【参考】:プロメトリック  ITパスポート試験

ITパスポート試験の試験日は?申し込み方法と注意点・受験料も解説

ITパスポート試験の合格率

ITパスポート試験の合格率は、2023年(令和5年)10月のデータによると53.7%です。IT国家試験の合格率としては高めであり、スキルレベルも1であるため、難易度はそこまで高くないと言えます。

また、すでにIT系のスキルがある方や出題される3つの分野のいずれかを習得している方にとってはITパスポート試験は難しいものではありません。とはいえ、まったくのITスキル初心者の方にとっては難しいと感じる人も多いでしょう。

【参考】:ITパスポート試験ー統計情報

ITパスポート試験の合格率は?受験者層や難易度なども解説!

ITパスポート試験は意味ない?取得するメリット

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ITパスポート試験は「取得しても意味ない」と言われることがありますが、実際のところ取得することでどういったデメリット・メリットがあるのでしょうか?

ITパスポート試験の取得デメリット

ITパスポート試験はIT利活用者の登竜門であるため、IT一般知識を広くカバーしますが、深い知識を求める試験ではありません。このことにより、情報処理技術者としては十分なレベルとは判断されません。

さらに試験合格者の独占資格ではないため、試験に合格しなくてもしっかりとした仕事ができる方も多数います。

ITパスポート試験を最終ゴールとせずに、上位資格である「基本情報技術者試験」を次のステップとして検討するのが良いでしょう。この2つの試験は、共に共通キャリア・スキルフレームワークであるITSSのレベル2に相当します。

【参考】:基本情報技術者試験(FE)

基本情報技術者試験とITパスポートの違いは?範囲や免除、重複受検など解説

ITパスポート試験の取得メリット

経済産業省では今後どのような業種においてもIT知識が求められると想定し、ITパスポート試験の普及活動を進めています。特にDX(デジタルトランスフォーメーション)においてはAIやビッグデータならびにIoT等のテクノロジーが登場し、アジャイル開発手法等の旧来なかった手法が取り入れられています。

ITパスポート試験ではこのような新しい技術や手法についても総合的に取扱いされています。そのためITパスポート試験合格により、正しいIT知識を有し活用できることが証明できます。特に受験者は10代から20代が多く、学生も34%と多い状況です。

試験合格により学生の採用活動で用いるエントリーシートに記載することができます。さらに、高校・大学の単位認定や入試優遇および企業の入試優遇等のメリットがあります。

また非IT企業の受験者が2/3を占めており、試験合格者は企業のIT利用者の求めるスキルが認定されます。ITパスポート試験は共通キャリア・スキルフレームワークであるITSSのレベル1に相当しており、試験合格によりIT基礎知識の保有が認定されます。

ITパスポートを取得するメリットとは?必要性や難易度も解説
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ITパスポートの資格を活かせる職種や年収

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ここでは、ITパスポートを活用できる職種であるテクニカルサポートについて紹介し、さらに気になる年収事情についてもまとめました。

テクニカルサポート

テクニカルサポートとは、IT製品やサービスを利用する顧客や販売店の営業担当者などから技術的な問い合わせを受ける仕事を指します。業務には製品に関する知識はもちろん、ITに関する知識も問われるため、ITパスポートの学習で得た知識が活用できます。

また、どういった製品やサービスを扱うかで今後のキャリアアップが大きく変わります。例えば、ネットワーク機器のサポートであればネットワーク関連知識が深まるため、将来的にネットワークエンジニアやプログラマーなどを目指すことも可能です。

テクニカルサポートはきつい?その理由とメリット・向いている人を解説!

資格取得者の年収

ここでは資格取得者の参考年収として、前述で紹介したテクニカルサポートの年収を紹介します。

「マイナビエージェント 職種図鑑」での「テクニカルサポート/ヘルプデスク」の平均年収は310万円(※2023年11月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種の「顧客サポート/ヘルプデスク」を参考にすると、平均年収390万円と分かりました。

国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、テクニカルサポートは平均年収よりもやや低いことが分かります。

テクニカルサポートはIT知識を活かして、プログラマーやシステムエンジニアなどにキャリアアップを目指せる職種です。ITパスポートを取得したら上位資格に挑戦してスキルアップを図りましょう。

【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁

ITパスポート試験の勉強方法や参考書

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ITパスポート試験の勉強時間は、事前にIT系のスキルがあるかどうかで左右されます。ここでは、経験者と初心者に分けて合格に必要な勉強時間や勉強方法、おすすめの参考書を紹介します。

ITパスポートの取得に必要な勉強時間は?詳細や試験内容などを解説!

IT経験者の場合

IT経験者の場合は、数時間から20時間程度の勉強時間があれば合格できるでしょう。すでに基礎知識があるため、出題形式に慣れるのが近道です。

 ITパスポート試験の問題と解答は、以下のリンク先からダウンロードできます。およそ直近5回分出題傾向が理解できれば合格に近づきます。正答率60%を目指して理解を深めましょう。

【参考】:iパス  ITパスポート試験 問題冊子・解答例

IT初心者の場合

IT初心者の場合は、50時間から100時間ほど要するでしょう。まずは基礎知識を吸収するために、参考書籍を1冊用意しましょう。最初は広くバランスよく理解することが重要です。

理解が深まったら受験の準備に入ります。情報処理推進機構ではCBT疑似体験ソフトウェアを公開しています。CBT疑似体験ソフトウェアをダウンロードし、操作方法と問題に慣れておきましょう。

【参考】:情報処理推進機構(IPA)CBT疑似体験ソフトウェア

おすすめの参考書

ITパスポート試験に向けた学習を行う上では、過去問を解く方法の他に、参考書の活用も効果的です。ここでは、おすすめの参考書を紹介します。

「【令和5年度】 いちばんやさしいITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集」 2023年のITパスポート試験参考書、売上No1で最新のシラバスに対応しています。問題集も過去問を中心に多数掲載されています。

▪著者:高橋 京介 ▪ページ数:560ページ ▪出版社:SBクリエイティブ ▪発売日:2022/12/20

【参考】:【令和5年度】 いちばんやさしい ITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集

上記参考書を30時間ほど熟読し、問題集・過去問を確認していきます。理解度が高まったら情報処理推進機構の公開している過去問直近5回分を理解し、合格レベルに近づけましょう。

ITパスポート試験におすすめな問題集20選!試験概要も紹介

ITパスポート試験に合格して次のステップを目指そう

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ITパスポート試験は、IT利活用者(ITユーザ)の基礎となる知識認定を行う試験です。ITスキルは進歩しているため、絶えず知識吸収するためにはITに対する興味と意欲が成長の鍵となります。

次のステップではITSSレベル2となる上位資格「基本情報技術者試験」を目指し、スキルアップを図って将来の選択肢をさらに広げましょう。

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