
ITパスポート試験とは?

ITパスポート試験とは、情報処理推進機構(IPA)によって実施される一般IT利用者(ITを利活用する者)向けの国家試験です。ITパスポート試験はInformation Technology Passport Examinationの略です。さらにITパスポート試験をiパスと言い、一般受験者の認知度向上を図っています。 参考:情報処理推進機構(IPA) ITパスポート試験(IP) 参考:ITパスポート試験 iパスとは
ITパスポート試験の取得メリット
経済産業省では今後どのような業種においてもIT知識が求められると想定し、ITパスポート試験の普及活動を進めています。特にDX(デジタルトランスフォーメーション)においてはAIやビッグデータならびにIoT等のテクノロジーが登場し、アジャイル開発手法等の旧来なかった手法が取り入れられています。
ITパスポート試験ではこのような新しい技術や手法についても総合的に取扱いされています。そのためITパスポート試験合格により、正しいIT知識を有し活用できることが証明できます。特に受験者は10代から20代が多く、学生も34%と多い状況です。
試験合格により学生の採用活動で用いるエントリーシートに記載することができます。さらに、高校・大学の単位認定や入試優遇および企業の入試優遇等のメリットがあります。
また非IT企業の受験者が2/3を占めており、試験合格者は企業のIT利用者の求めるスキルが認定されます。ITパスポート試験は共通キャリア・スキルフレームワークであるITSSのレベル1に相当しており、試験合格によりIT基礎知識の保有が認定されます。
ITパスポート試験の取得デメリット
ITパスポート試験はIT利活用者の登竜門です。そのためIT一般知識を広くカバーしますが、深い知識を求める試験ではありません。このことにより、情報処理技術者としてはまだ十分なレベルとは判断されません。
さらに試験合格者の独占資格ではないため、試験に合格しなくてもしっかりとした仕事ができる方も多数います。
ITパスポート試験を最終ゴールとせずに、IT利活用者向けの試験である情報セキュリティマネジメント試験(SG)や情報処理技術者試験の基本情報技術者試験(FE)を次のステップとして検討するのが良いでしょう。この2つの試験は、共に共通キャリア・スキルフレームワークであるITSSのレベル2に相当します。
ITパスポート試験の将来性
今後DX(デジタルトランスフォーメーション)が加速するにつれて、民間でも人材効率を高めるためにITは必須です。また、RPA(Robotic Process Automation)等の活用により業務自動化や効率化が進んでいきます。通常業務においてもITによる作業手順の見直しが進んでいくでしょう。
経済産業省によると、ITパスポート試験はユーザ企業でのIT利活用に必要な基礎知識を習得するためにさらに活用が見込まれると想定しています。
ITパスポート試験の詳細情報

ITパスポート試験は情報処理推進機構(IPA)によって試験運営されています。情報処理推進機構ではIT利活用者(ITユーザ)向け試験と情報処理技術者向け試験を整備し、国家試験として提供しています。以降で、ITパスポート試験の具体的な試験詳細について説明しています。
ITパスポート試験の試験内容
ITパスポート試験は、試験時間120分で100問が出題されます。出題形式は四肢択一式です。出題分野は3分野で、経営全般のストラテジ系が約35問、IT管理のマネジメント系が約20問、IT技術のテクノロジ系が約45問出題されます。
合格基準は全体1,000点のうち合格点が600点以上、正答率60%以上が合格です。さらに、3分野それぞれ1,000点のうち合格点が300点以上、正答率30%以上が合格基準となります。
受験手数料は5,700円(消費税込)ですが、令和4年(2022年)4月実施分から7,500円(消費税込)に改定されます。受験を検討される方は改定前に受験を検討するのが良いでしょう。
ITパスポート試験の出題範囲
ITパスポート試験の出題範囲は、それぞれ3つの分野において以下の通り定義されています。
・ストラテジ系の出題範囲:企業活動に必要とされる経営知識と経営・システム戦略を対象とします。 企業と法務(企業活動、法務)が範囲設定されています。 経営戦略(経営戦略マネジメント、技術戦略マネジメント、ビジネスインダストリ)が範囲設定されています。 システム戦略(システム戦略、システム企画)が範囲設定されています。
・マネジメント系の出題範囲:システム開発の技法やプロジェクト管理・サービス管理技法から出題されます。 開発技術(システム開発技術、ソフトウェア開発管理技術)が範囲設定されています。 プロジェクトマネジメント(プロジェクトマネジメント)が範囲設定されています。 サービスマネジメント(サービスマネジメント、システム監査)が範囲設定されています。
・テクノロジ系の出題範囲:コンピュータ理論とシステム要素・技術要素から出題されます。 基礎理論(基礎理論、アルゴリズムとプログラミング)が範囲設定されています。 コンピュータシステム(コンピュータ構成要素、システム構成要素、ソフトウェア、ハードウェア)が範囲設定されています。 技術要素(ヒューマンインタフェース、マルチメディア、データベース、ネットワーク、セキュリティ)が範囲設定されています。 参考:情報処理推進機構(IPA)試験要綱・シラバス など
ITパスポート試験の受験方法
ITパスポート試験は2011年(平成23年)からCBT方式で実施されています。CBTとは「Computer Based Testing」の略で従来の集合試験会場での筆記試験に代わり、コンピュータ利用の試験会場で実施します。試験会場は試験委託先となる全国のプロメトリック株式会社の運営サイト・会場を活用しています。
ITパスポート試験の試験日
受験手数料改定前にITパスポート試験に合格しておきたいところです。本年2021年の ITパスポート試験の試験日ですが、受験方法がCBTのため随時実施されています。
受験する際は、まずiパスのサイトで利用者IDを登録します。その後会場と日程を決定し、受験手数料を支払います。受験の確認票は送付されませんので、各自ダウンロード印刷し、試験会場に持参します。試験開催状況は3か月後までの状況がウェブに掲載されています。 参考:iパス ITパスポート試験 試験の流れ 参考:iパス 試験開催状況一覧 参考:プロメトリック ITパスポート試験
ITパスポート試験の合格率
ITパスポート試験の合格率は、2020年(令和2年)の推移データによると58.8%です。これまでの2011年(平成23年)以降、CBT形式の傾向では41%から59%の合格率となります。国家試験の合格率としては高い合格率です。
また、すでにIT系のスキルがある方や出題される3つの分野のいずれかを習得している方にとってはITパスポート試験は難しいものではありません。とはいえ、まったくのITスキル初心者の方にとっては難しいと感じる人も多いでしょう。
ITパスポート試験の勉強時間・勉強法
ITパスポート試験の勉強時間は事前にIT系のスキルがあるかどうかで左右されます。
・IT経験者の方 IT経験者の方の勉強時間は、数時間から20時間程度で合格します。IT経験者はすでに基礎情報があるため、出題形式に慣れるのが近道です。 ITパスポート試験の問題と解答は、以下のリンク先からダウンロードできます。およそ直近5回分出題傾向が理解できれば合格に近づきます。正答率60%を目指して理解を深めましょう。 参考:iパス ITパスポート試験 問題冊子・解答例)
・ITスキル初心者 ITスキル初心者の勉強時間は、50時間から100時間ほど要する場合も報告されています。まずは基礎知識を吸収するために参考書籍を1冊用意しましょう。最初は広くバランスよく理解することが重要なため、以下の書籍をおすすめします。 「【令和3年度】 いちばんやさしいITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集」 2021年のITパスポート試験参考書、売上No1で最新のシラバスに対応しています。問題集も過去問を中心に多数掲載されています。 出版元:SBクリエイティブ 参考:【令和3年度】 いちばんやさしいITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集
上記参考書を30時間ほど熟読し、問題集・過去問を確認していきます。理解度が高まったら情報処理推進機構の公開している過去問直近5回分を理解し、合格レベルに近づけましょう。
IT経験者ならびにITスキル初心者の方それぞれ理解が深まったら受験の準備に入ります。情報処理推進機構ではCBT疑似体験ソフトウェアを公開しています。CBT疑似体験ソフトウェアをダウンロードし、操作方法と問題に慣れておきましょう。 参考:情報処理推進機構(IPA)CBT疑似体験ソフトウェア
ITパスポート試験に合格したら次のステップを目指しましょう

ITパスポート試験はIT利活用者(ITユーザ)の基礎となる知識認定を行う試験です。ITスキルは進歩しているため、絶えず知識吸収するためにはITに対する興味と意欲が成長の鍵となります。
次のステップではITSSレベル2となる上位資格を目指しましょう。ITユーザは情報セキュリティマネジメント試験(SG)が、情報処理技術者は基本情報技術者試験(FE)がおすすめです。スキルアップの結果、将来の選択肢がさらに広がるでしょう。
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