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情報処理安全確保支援士試験とは?難易度・必要な勉強時間を紹介
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情報処理安全確保支援士試験とは?難易度・必要な勉強時間を紹介
アンドエンジニア編集部
2023.10.20
この記事でわかること
情報処理安全確保支援士試験とは、合格率20%程度の難関試験である
試験では、情報セキュリティの導入・開発から保守・管理、インシデント発生時の対応まで幅広い知識・技能が問われる
情報処理安全確保支援士試験対策には、参考書や過去問による学習が効果的である

情報処理安全確保支援士試験とは?

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情報処理安全確保支援士試験とは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営する国家資格「情報処理安全確保支援士」を取得するために受験が必要な試験です。ここでは、情報処理安全確保支援士試験の概要や難易度、合格率について説明します。

【参考】:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験

情報処理安全確保支援士とは?将来性や年収、試験の難易度などを解説

情報処理安全確保支援士試験の概要

情報処理安全確保支援士試験は、毎年4月・10月の2回開催されます。申し込みは試験日の2か月以上前に締め切られてしまうため、早めに手続きを済ませましょう。受験料は7,500円です。

令和5年10月8日に実施予定の試験から形式が変更となり、以下の3つのパートで構成されます。

▪午前Ⅰ:多肢選択式(四肢択一)(50分:30問) ▪午前Ⅱ:多肢選択式(四肢択一)(40分:25問) ▪午後:記述式(150分:4問中2問を選択)

午前は四肢択一の選択問題、午後は多段階選抜方式の記述が追加されました。それぞれのパートの合格基準は、100点満点中60点です。午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後の全パートが合格基準内であれば試験は合格です。

【参考】:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要網 【参考】:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要綱(変更箇所表示版)

情報処理安全確保支援士試験の難易度と合格率

情報処理安全確保支援士試験は、情報処理技術者試験のなかで最も難易度が高いレベル4に位置付けられている試験です。情報セキュリティのスペシャリストにあたる国家資格であり、情報セキュリティに関する高レベルな知識・技術が求められます。

情報処理安全確保支援士制度が設立された、平成29年度まで過去7年の合格率は15〜20%程度で推移しており、難関試験であることが伺えます。

受験者の平均年齢は30代後半で、すでに実務経験があるような人がほとんどです。合格者の統計資料は公式ページからチェックできます。

【参考】:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 統計情報

情報処理安全確保支援士の難易度は?取得後のメリットや年収も解説

情報処理安全確保支援士試験の内容は?

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情報処理安全確保支援士試験で問われる内容は、大きく4つの大項目に分類されます。ここでは、それぞれの大項目においてどのような知識・技能が必要なのかについて説明します。

【参考】:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要綱

1.情報セキュリティマネジメントの推進又は支援に関すること

大項目1では、情報処理セキュリティのマネジメントに関する知識・技能を問われます。情報セキュリティの策定・アセスメント・リスク対応・規程策定など、実業務におけるセキュリティ導入段階で重要なポイントが出題範囲に含まれます。また、導入後の監査についても出題されます。

そのほかにも、情報セキュリティに関する動向や、事例を収集する知識・技能、ISO・JISなどの各規格やガイドラインの動向を把握する力も問われます。技能面では継続的な動向・事例の調査に加え、関係者への周知や組織への影響を評価する技能が必要とされています。

2.情報システムの企画・設計・開発・運用でのセキュリティ確保の推進又は支援に関すること

大項目2では、情報システムを企画・設計・開発・運用するそれぞれのタイミングにおいて、セキュリティを確保できる知識・技能が問われます。高セキュリティなシステムとはどういうものなのかを理解し、製品の導入や設計、実装を支援するための知識・技能が出題範囲です。

セキュリティが高いプログラミングやセキュリティテストなど、より実践的な技能が問われるのも大項目2の特徴です。開発言語や開発環境に関する知識だけでなく、実際にコードを書く能力が必要です。実装したシステムをテストし、検出されたエラーを修正・解消する高い技能も求められます。

3.情報及び情報システムの利用におけるセキュリティ対策の適用の推進又は支援に関すること

大項目3では、セキュリティ対策について広い知識・技能が問われます。暗号化・マルウェア対策・バックアップなど、代表的な手法については深い理解が必要です。知識だけでなく、脅威に対して適切に対策を選択し、正しく実装できる能力が求められます。

セキュリティシステム自体はもちろん、人の管理・教育についても大項目3で出題されます。自社のセキュリティ教育や訓練を企画・実行できる能力や、コンプライアンス管理についても学ぶ必要があります。サプライチェーン・ビジネスパートナーに関わるリスクも出題範囲に含まれます。

4.情報セキュリティインシデント管理の推進又は支援に関すること

大項目4では、実際に情報セキュリティインシデントが発生してしまった場合の対応・管理について出題されます。何をもってインシデントとするのか、といった基準の策定や対応の優先順位決定など、実業務において重要な知識・技能が必要です。

インシデントの解明においては、マルウェアなどの解析ができる技能が求められます。その他、証拠を収集して解析する専門知識も必要です。技術的な部分のみならず、監督官庁や報道機関への公表に関する知識、損失・損害を評価する知識についても出題範囲です。

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情報処理安全確保支援士の役割や年収は?

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情報処理安全確保支援士には、情報セキュリティに関連するあらゆる業務を主導する役割があります。ここでは、情報処理安全確保支援士の役割や年収について解説します。

情報処理安全確保支援士の役割

情報処理安全確保支援士の役割は、試験内容で挙げた大項目4つに記載の業務を推進・支援することです。まず、情報システムに対して適切なセキュリティ方針を定め、企画・設計を行います。次に、実際のシステムを調達・開発する段階でセキュリティの観点からフォローします。

セキュリティ対策の詳細を検討してシステムに適用するのも、情報処理安全確保支援士の業務です。システムを運用していくなかで、インシデントが発生した場合の対応・原因究明・再発防止策検討も情報処理安全確保支援士の重要な役割であると言えます。

情報処理安全確保支援士の年収

情報処理安全確保支援士の年収については公表されていません。近い職種を参考にすると、「マイナビエージェント 職種図鑑」での「セキュリティエンジニア」の平均年収は356万円(※2023年8月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」での「IT技術スペシャリスト(特定技術(DB・NW・セキュリティ等))」の平均年収は758万円と分かりました。

国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、「セキュリティエンジニア」では平均よりも やや低く、経済産業省の「IT技術スペシャリスト」では平均よりやや高めであることが分かります。

セキュリティエンジニアは、その経験を活かしてコンサルタントやスペシャリストとしてキャリアアップすることが可能です。「IT技術スペシャリスト」はキャリアアップ後のスペシャリストを対象としているため、平均年収に開きがあると考えられます。

情報処理安全確保支援士試験の受験者の平均年齢が、ある程度実務経験のある30代後半であることから考えても、セキュリティエンジニアの平均年収を上回る可能性も大いに考えられます。

企業によっては資格取得に対する報奨金や、資格手当を支給しているところも見られます。

情報処理安全確保支援士の資格を取得することで、スペシャリストとしての実力を示し年収アップを狙うこともできるでしょう。

【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁

情報処理安全確保支援士になるメリット・デメリット

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情報セキュリティスペシャリストの証である情報処理安全確保支援士ですが、「資格取得は意味ない」との意見も見られます。そこで、ここでは情報処理安全確保支援士になるメリット・デメリットについて紹介します。

情報処理安全確保支援士になるデメリット

情報処理安全確保支援士になるデメリットは、維持費用が高い点です。試験に合格した際の登録費用は合計約2万円で、3年後の更新までにかかる講習費用は約14万円です。講習を受講しなかった場合は登録取り消しとなってしまうため、必然的に高額の維持費用が発生します。

企業で取得した場合は会社が負担するケースもありますが、個人負担するには非常に高額です。情報処理安全確保支援士を取得して起業しようとする場合は、資格の維持コストに注意してください。

【参考】:情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)の受講する講習について

情報処理安全確保支援士の登録更新方法!費用や講習についても解説

情報処理安全確保支援士になるメリット

情報処理安全確保支援士を取得する大きなメリットは、士業として仕事ができるようになる点です。情報セキュリティに精通した人材として企業で重宝されるだけでなく、情報セキュリティを専門とするコンサルタントとして事業を開始することもできるでしょう。

情報処理安全確保支援士になると、弁理士や技術士などの国家資格試験の一部が免除できる点もメリットの1つです。あわせて取得したい資格がある場合は取得を検討してみるのもよいでしょう。

【参考】:試験のメリット|8.国家試験等の一部免除、公的制度の応募資格・募集条件など

情報処理安全確保支援士のメリットは?試験概要と将来性を解説

情報処理安全確保支援士の必要性

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「資格を取得する意味がない」と言われる理由の1つとして、情報処理安全確保支援士が必置化されていないことが挙げられます。しかし、政府の政策などを見ても、情報処理安全確保支援士の必要性は今後高まっていく可能性があります。

情報処理安全確保支援士についての政府の動向

情報処理安全確保支援士は、2017年に情報処理技術者試験から独立した比較的新しい国家資格ということもあり、社会における知名度や定着度はまだ十分とは言えません。

そこで政府は、「情報処理安全確保支援士制度の普及策」を打ち出すなど積極的に普及活動を行っています。「経済安全保障推進法」でも、基幹インフラの提供を行う事業者へのサイバー攻撃等を防ぐため、システムには国の事前審査が必要であるという指針を示しています。

政府の動向からも、社会におけるセキュリティへの関心度、より高度なセキュリティ対策の重要性は高まっており、情報処理安全確保支援士の需要は増え続けることが予想されます。

【参考】:情報処理安全確保支援士制度の普及策 - 経済産業省 【参考】:経済安全保障推進法 - 内閣府

情報処理安全確保支援士の年収は?難易度・メリット・将来性を解説

今後、各企業が資格所有者を積極的に採用する可能性も

IT化が進むにつれて、サイバー攻撃などの危険性もますます高まっています。国や企業が情報セキュリティに関して高度な知識や技能を持っている人材を確保したいのは、必然のことです。

当資格は、現時点では名称独占のみで業務独占ではないため、資格所有者でなければできない業務はありません。しかし、資格保有者であることを明示すれば情報セキュリティを担える人材であることをアピールできます。

講習費用などはかかりますが、定期的に講習を受ける義務があるということは、最新の知識や技能にアップデートできる機会が設けられているという大きなメリットでもあります。

進化の速いIT化社会では、高度かつ最新の知識や技能を持っていることが求められます。情報処理安全確保支援士は、これからの社会で求められるIT人材像に合致しているのです。今後、企業などが当資格保有者を優先して採用するケースが増加する可能性もあるでしょう。

そのため、需要の高い職種への転職を希望している方には、情報処理安全確保支援士試験が非常におすすめです。希望に合う職場を見つけたいなら、転職のプロに相談できる転職エージェントの活用をおすすめします。

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情報処理安全確保支援士試験に独学で合格するには

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情報処理安全確保支援士試験は難易度の高い資格であるため、スクールに入ったり通信講座を受講したりする方も少なくありません。

しかし、時間をかけて丁寧に学習すれば、独学でも合格を狙えます。ここでは、独学で情報処理安全確保支援士試験に合格する方法を解説します。

200~600時間程度の勉強時間を確保する

必要な勉強時間はどの程度の事前知識があるかで変わりますが、約200~600時間程度と言われています。情報セキュリティについての知識がない方は、毎日2時間勉強しても、約10か月かかる計算です。

そのため、合格のためには1年、2年後の試験日に向けて、コツコツ準備を進めることが大切です。

免除制度を活用する

午前Ⅰ試験は以下の条件をクリアすることで、2年間免除されます。

・応用情報技術者試験に合格する ・いずれかの高度試験・支援士試験で合格する ・いずれかの高度試験・支援士試験で午前Ⅰの合格基準をクリアする

午前Ⅱ試験から始められれば、負担も少なく集中力を持続させたまま難関である午後試験に挑めます。そのため、まずは応用情報技術者試験やそのほかの高度試験を受験するのがおすすめです。

【参考】:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要綱(変更箇所表示版)

過去問を繰り返し解く

試験を主催するIPAの公式ページには、過去問が公開されています。問題の傾向や流れを把握するためにも、過去問を繰り返し解くことが大切です。

ただし、午後試験に関しては令和5年10月8日より初めての形式となるため、過去問はありません。それでも、これまでの午後Ⅰ、午後Ⅱ試験の記述問題を解くことは、試験範囲の内容を理解するのに大いに意味があるので、積極的に利用しましょう。

【参考】:過去問題

情報処理安全確保支援士試験に役立つ参考書

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情報処理安全確保支援士試験の勉強には、参考書・問題集などが便利です。ここでは、情報処理安全確保支援士試験対策におすすめの参考書を紹介します。

情報処理教科書 情報処理安全確保支援士 2023年版

教科書のように詳しく丁寧に学べる参考書を探している人には、本書がおすすめです。幅広い出題範囲を網羅しており、それぞれで詳しい解説がなされています。図表が豊富なので、視覚的に理解しやすいのが本書のメリットでしょう。過去問も充実しており、最新の試験問題もWebで配信されます。

▪著者:上原 孝之 ▪ページ数:808ページ ▪出版社:翔泳社 ▪発売日:2022/11/21

【参考】:情報処理教科書 情報処理安全確保支援士 2023年版

令和05年【春期】【秋期】情報処理安全確保支援士合格教本

知識編は知識解説+確認問題で構成されているため、内容をしっかり理解したあと問題を解いて確認するという流れで学習を進められます。また、午後問題の読み方指南では、問題点の発見・記述力の両方が身に付きます。

▪著者:岡嶋裕史 ▪ページ数:800ページ ▪出版社:技術評論社 ▪発売日:2022/11/24

【参考】:令和05年【春期】【秋期】情報処理安全確保支援士合格教本

2023 情報処理安全確保支援士「専門知識+午後問題」の重点対策

情報処理安全確保支援士試験の全4パートのうち、より専門的な知識・技能が求められる午後問題を重点的に学べるのが本書の特徴です。各章のはじめに効果的な学習方法を示しており、参考書や過去問の活用術もサポートしています。午後Ⅰ・Ⅱの重点対策におすすめです。

▪著者:三好 康之 ▪ページ数:810ページ ▪出版社:アイテック ▪発売日:2022/11/02

【参考】:2023 情報処理安全確保支援士「専門知識+午後問題」の重点対策

今後も必要性が高まる情報処理安全確保支援士を目指そう

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情報処理安全確保支援士試験は、今後ますます需要が高まると予想されている情報セキュリティに特化した国家資格です。システムのセキュリティに関するあらゆる分野の知識・技能が問われます。合格率は20%前後と低く、難関試験であると言えます。

情報セキュリティのスペシャリストである情報処理安全確保支援士は、企業の情報セキュリティ担当エンジニアだけでなく、セキュリティに関するコンサルタントとしても活躍できます。

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