データサイエンティストはなくなるのか?今後の傾向や将来性を解説
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データサイエンティストはなくなるのか?今後の傾向や将来性を解説
アンドエンジニア編集部
2022.03.02
この記事でわかること
データサイエンティストには統計学、AI、ビジネスの3つのスキルが必要
データサイエンティストはAIがいくら進化してもなくなることはない
IТエンジニアがデータサイエンティストを目指すならビジネスをよく学ぶことが必須

データサイエンティストとは

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データサイエンティストとは、日々蓄積される膨大なデータをビジネスに役立てる道筋をつける人です。まずはじめに、本題に入る前にデータサイエンティストとはどのような職種なのかを解説します。以下に、データサイエンティストの役割・仕事内容・年収についてまとめました。

データサイエンティストの役割

データサイエンティストの役割は、企業に集積される顧客情報などのデータを次のビジネスに生かすことです。また、企業が入手できる周辺データを取捨選択して、ビジネスに有効利用できるように加工する仕事もあります。

近年、これらのデータ量が爆発的に増えており、データのプロでなくては扱えないレベルに達しています。大多数の人が常にスマホを片手に行動するようになり、誰かが何かを検索するたびに、またSNSに投稿するたびに、大量の情報(データ)が蓄積されていきます。

また、AIの画像解析機能や音声認識機能が向上した結果、監視カメラやコールセンターなどを通じて膨大な情報が蓄積されます。このような「情報爆発」によって集積されるビッグデータに「使い道」を見つけるのがデータサイエンティストの役割です。

データサイエンティストとは?そのおすすめの資格も紹介!

データサイエンティストの仕事内容

では、データサイエンティストの仕事内容は具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

データサイエンティストの主な仕事は、データの収集・分析・加工、レポート作成、業務への組み込みです。企業によって異なる場合もありますが、一般的に顧客へのヒアリング後に課題の洗い出しと優先順位の決定を行い、課題の問題点を明確化して膨大なデータの中から活用できるものを選択、収集・保存、提案を行います。

混同されやすいデータアナリストとの違いは、どちらもデータを収集・分析する部分は似ていますが、データアナリストはデータ収集・分析に特化した職種、そこに統計学や企業の課題解決までを目指すのがデータサイエンティストです。データサイエンティストの方が上位の職種であると考えられています。

データサイエンティストの年収

求人情報サイトによると、データサイエンティストの平均年収は約700万円です。年収幅は600万〜800万円が多く、地域・企業・勤続年数によっては1,000万円を超える場合もあります。日本の平均年収よりも高いため、比較的に高収入を目指せる職種です。人材不足や専門職といった観点により、データサイエンティストの年収は高めに設定されていると考えられます。

データサイエンティストに必要なスキル

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ビッグデータはそのままでは「混沌」です。言い換えれば、いくら溜め込んでも役に立たない「ゴミの山」に過ぎません。顧客データなどの構造化されたデータも、十分に使い道を見出せずに死蔵されているケースは少なくありません。

これらの活かされていないデータに「出口」をつけてやるのがデータサイエンティストの仕事で、それを行うには、統計学のスキル・ITのスキル・ビジネスのスキルの3つが重要となってきます。以下にそれぞれについて解説します。

1.統計学のスキル

統計学とは一言でいうと、ばらつきのあるデータの意味を正しく読み取る学問です。確率論や行列などの数学的知識とともに統計学を身につけることで、データから作られた仮説が正しいかどうかを「検定」することができます。

エンジニアリングができても、統計学の知識がなく、偽相関(データ相互の見せかけの相関関係)に騙されると、とんでもないビジネス設計をしてしまうことになります。

こういった知識を身につけるには、「統計検定4級」などの資格取得がおすすめです。まずは統計検定4級の取得からスタートし、統計の基本的な用語や概念を理解してください。その後、3級・2級・準1級・1級と1つずつステップアップしていきましょう。

【参考】:日本統計学会認定資格

データサイエンティストのスキル要件とは?人材育成に政府が動く

2.ITのスキル

データを抽出するときもそれを加工・分析するときも、ITスキルは必要不可欠です。もちろんデータベースの構築にも必要です。データサイエンティストが主に使うプログラミング言語は、統計解析に使う「R言語」、AIでの統計処理(機械学習)に使う「Python」、データベースの定義や操作を行う「SQL」です。

また、これらの知識にはT系の国家試験である「基本情報技術者試験」の資格取得がおすすめです。統計学・データベース・ネットワーク・プロジェクトマネジメント・経営戦略など、データサイエンティストに必要な基礎知識を網羅できます。

【参考】:IPA

Pythonでできること・できないことは?活躍している分野を解説

3.ビジネスのスキル

統計学とITのスキルをビジネスに活かすのがデータサイエンティストです。自社のビジネスをよく理解して、ビジネスに使えるデータ処理・加工・システム設計をしなければなりません。

また、データサイエンスに詳しくない上司や現場の営業マンに分かりやすくプレゼンテーションするスキルも必要です。それがないと、いくら良いビジネスデザインを描いても採用されません。さらには、モデルの精度を上げることだけにこだわらずに、現場で使いこなせるマーケティングシステムにするという現実的な配慮も必要な場合があります。

このようなスキルには、「マーケティング・ビジネス実務検定C級」の資格取得がおすすめです。市場細分化・標的市場決定・マーケティングリサーチ・消費者行動などの基礎が身につきます。

【参考】:マーケティング・ビジネス実務検定

データサイエンティストを目指すエンジニアがまず取得したい資格7選!

データサイエンティストがなくならない理由

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「データサイエンティストがなくなる」「消える」という噂の源にあるのは、AIの機会学習・ディープラーニングがさらに進化することで「企業にとってのデータの利用法までAIが自動的に決めてくれるのでは」という素朴な未来予測によるものです。

AIはあくまでもコンピュータ

鉄腕アトムのような「人間のような思考力を持つAI」が誕生しない限り、AIがデータを経営にどう活用するのかまでを決めるような未来はやってきません。

また、競争他社よりも付加価値の大きい製品やサービスを創造して「儲けたい」という欲も重要ですが、これをAIに実装することは難しいです。囲碁では、プロ棋士が太刀打ちできないソフトがすでに実現しています。それが可能だったのは、囲碁という極めてシンプルなルールの下では、コンピュータの”超人的”な計算能力が物を言うからです。

しかし、ビジネスは白と黒の石を交互に置いていくゲームとはわけが違います。UX(ユーザーエクスペリエンス)を左右する要因は多種多様で、AIがそれに重みづけをすることは非常に困難です。

いまさら人に聞けないDXとUXやCXの違い、それぞれの関係性についても徹底解説!

データをどうビジネスに利用するかは人間にしか決められない

ビッグデータの「混沌」はディープラーニングの進化によってある程度整理整頓され、使い勝手が良くなっていくでしょう。しかし、特定の企業がそのデータからビジネスにどんな付加価値を与えられるかを構想(デザイン)するのは、人間にしかできません。

AIが進歩するほど既存ビジネスとAIを結びつける人材が必要になる

政府は、すべての企業が2025年までにDX(デジタル・トランスフォーメーション)を実現しなければ国際競争力を失うとして、IT化による企業経営の「変容」を提唱しています。

しかし、IT化がAI技術の駆使という意味合いを強めるほど、既存ビジネス(オールドビジネス)にとってDXはイメージしにくくなります。AIと自社(データ)を結びつける人材が必要になるため、データサイエンティストの存在が欠かせません。

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なくなる心配よりも、今は育てるのが急務

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日本のデータサイエンティストの現状は、なくなる心配よりも「必要なのに絶対的に不足している人材」として育成を急ぐべき時期にあります。

データサイエンティストという職業はいつ生まれたのか

データサイエンス(データの科学)という言葉は昔からありましたが、職業としてのデータサイエンティストが脚光を浴びるきっかけになったは、米国のビジネス雑誌「ハーバード・ビジネス・レビュー」が2012年に掲載した記事「データサイエンティスト―21世紀で最もセクシーな職業」です。

それまでは地味でアカデミックな存在だったITに詳しい統計学者が、一躍「ウォール街のトレーダーよりも高給を取るセクシーな職業」になったのです。

しかし、実際に大きなIT企業やコンサルティング・ファームを除いた一般企業に、どれほどのデータサイエンティストがいるでしょうか?「統計学×IT×ビジネス」の三位一体を体現するデータサイエンティストは、日本ではまだまだ理念的な存在だとさえ言えるかもしれません。少なくとも、DXの実現を迫られている「すべての企業」に行き渡る数には遠く及びません。

人材が足りていない場合は激務になることも

前述の通り、データサイエンティストの需要は高まっていますが、「やめとけ」「つらい」などとネガティブな声も挙げられます。

その背景には、企業によってデータサイエンティストの数が足りていないことによる激務にあります。激務と感じるデータサイエンティストは多くいますが、近年は採用・育成に力を入れ始めている企業も増えているので、今後人材不足が解消される可能性も高いでしょう。

日本でのデータサイエンティスト育成は緒に就いたばかり

米国では2010年代に多くの大学がデータサイエンティスト養成のカリキュラムを設け、社会人向けのオンライン教育もあります。しかし、日本では2017年に滋賀大学が日本発のデータサイエンス学部を開設したところで、2021年現在まだ卒業生は排出されていません。業界団体である「日本データサイエンティスト協会」も2013年に設立されたばかりです。

今の日本は、データサイエンティストがなくなるというより、その育成がやっと始まったばかりなのです。

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データサイエンティストを目指すならビジネスマインドが不可欠

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データサイエンティストの養成体制が整っていない現在、データサイエンティストを目指すにはどんな道があるでしょうか。

データサイエンティストへの入り口は3つ

データサイエンティストへの入り口は、「統計学者から」「ITエンジニアから」「ビジネスマンから」の3つです。アドバンテージがあるのは、1または2の入り口から入る人です。文系学部出身の生粋のビジネスマンが、統計学とIT知識やスキルを身につけるのは非常に高いハードルがあると言えます。

ITエンジニアがビジネスマインドを身につけるのは簡単ではない

商売気のない人間はいないと言いますから、ITエンジニアがビジネスマインドを身につけるのは、ビジネスマンが1からプログラミングを習うよりハードルは低いと言えます。しかし、そう簡単なことではありません。

データサイエンスは、既存ビジネスに新たな付加価値を加えるのが役目です。そのためには既存ビジネスのルーティーンを、その問題点が見えてくるまで深く知らなければなりません。そもそも、ITによるデータの抽出や統計学によるその解釈も、現実には筋の良いビジネスの構想や問題意識が根底にないと、どこから手を付けて良いのかが分らないのです。

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エンジニアがデータサイエンティストを目指すなら

将来データサイエンティストを目指したいエンジニアは、統計学を学ぶとともに、ぜひマーケティングとビジネスについても勉強しましょう。

エンジニアにもUI(ユーザーインターフェース)とUX(ユーザーエクスピアリエンス)の考え方が重要だと言われるようになりました。データサイエンティストを目指す人にはとくにそれが重要です。現在の業務を窓口にして、UI・UX・マーケティングの観点から仕事を把握し直していくことで、ビジネスマインドは徐々に養われていきます。

データサイエンティストとは?気になる市場性や年収を解説!
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