DX推進指標とは?概要やメリット、活用のポイントについて解説
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DX推進指標とは?概要やメリット、活用のポイントについて解説
アンドエンジニア編集部
2023.10.17
この記事でわかること
DX推進指標は企業の経営者や関係者がDXの課題と現状を共有し、DXを進めやすくするためのツールである
DX推進指標は6段階の成熟度、キークエスチョンとサブクエスチョンによる分類で取り組みやすくまとめられている
DX推進指標の自己評価をIPAに提出してベンチマークレポートを入手し、自社のDX推進の分析と次の目標を検討ができる

DX推進指標とは

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DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタルデータやICTを活用し、組織や業務の改革を行うことです。近年、多くの企業がITが進む時代に合わせてDX推進に取り組んでいます。

DX推進指標は、企業の経営者や関係者がDXの推進に向けた課題と現状を共有し、DXを進めやすくなるようにするためにまとめられたツールです。DX推進指標を活用することで、自社の課題を把握し、改善へ向けた取り組みにつなげることができます。

この記事では、自社のDXの取り組み方に迷う方や、DX化をさらに進めたい方のために、DX推進指標の概要やメリット、活用のポイントについて解説していきます。

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DX推進指標の概要

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まず、DX推進指標の目的と、自社のDX推進の度合いを確認するための成熟度、キークエスチョンとサブクエスチョンについても説明します。

DX推進指標の目的

経済産業省は2018年9月、「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」を発表し、企業の複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが企業で残り続けることが引き起こす、様々な問題を指摘しました。

この問題が解決できない場合、2025年以降、年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性があることを明らかにして、これを「2025年の崖」と呼びました。

そしてその対策として、企業がDX推進のアクションを起こしやすくするために「『DX推進指標(デジタル経営改革のための評価指標)』とそのガイダンス」を発表しました。

経済産業省はDX推進指標を、「経営者や社内の関係者がDXの推進に向けた現状や課題に対する認識を共有し、アクションにつなげるための気付きの機会を提供するもの」と説明しています。

【参考】:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(METI/経済産業省) 【参考】:DX推進指標のご案内 | 社会・産業のデジタル変革 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

DX推進指標を使用した自己診断とIPAへの提出

企業がDX推進指標を活かし、自己診断を行うことができるように、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が、「DX推進指標 自己診断フォーマット」 の配布と、自己診断結果の収集及び分析を行っています。

企業はこの自己診断フォーマットを使用して、経営幹部や事業部門・IT関連などの関係者が集まり議論することで、自社のDX推進指標の進行状況や、次の目標を定めるための役に立てることができます。

また、自己診断結果をIPAに提出すると、ベンチマークレポートを取得することができ、他の企業のDX推進の度合いと比較して、自社がどの段階にあるのかを確認することができます。

【参考】:DX推進指標のご案内 | 社会・産業のデジタル変革 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

DX推進指標における成熟度と構成

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DX推進指標では、企業のDX推進の状況の段階を把握しやすくするために、DX推進指標の成熟度を6段階に分けて評価しています。また、DX推進の構成を、キークエスチョンとサブクエスチョンに分けて取り組みやすくまとめています。

DX推進指標における成熟度

DX推進指標では、企業のDX推進の成熟度を6つの段階に分けて評価しています。

企業がどの段階に位置しているかを把握し、適切な施策を行うための基準にすることができます。

■レベル0(未着手):DXに無関心か、関心があっても取り組んでいない段階 ■レベル1(一部での発散的実施):企業全体の戦略が定まらず、一部の部門での限定的な実施が行われている ■レベル2(一部での戦略的実施):企業の戦略が策定され、一部の部門でDXに取り組んでいる ■レベル3(全社の戦略に基づく部門横断的推進):全社的な戦略に基づき、部門を横断してDXに取り組んでいる ■レベル4(全社の戦略に基づく持続的実施):定量的指標を活用し、持続的に取り組んでいる ■レベル5(グローバル市場におけるデジタル企業):DX推進により、デジタル企業として競争上の優位性を獲得し、グローバル競争を勝ち抜くことができる

DX推進指標のキークエスチョンとサブクエスチョン

DX推進指標では、9つのキークエスチョンと26のサブクエスチョンに基づいて、企業のDX推進への取り組み状況を確認します。

キークエスチョンはDX推進やITシステム構築の枠組みを定める重要なテーマであり、経営者が回答することが望ましい項目です。サブクエスチョンはキークエスチョンの詳細情報であり、経営者と関連部門が協力して議論し、回答します。

キークエスチョンは以下の9項目です。まずは、DX推進に関するこれらの項目について、経営陣がしっかりと認識して目標を定め、関連部門や担当者と打ち合わせを進めていくことが重要です。

■キークエスチョン ・ビジョン ・経営トップのコミットメント ・仕組み ・マインドセット・企業文化 ・推進・サポート体制 ・人材育成・確保 ・事業への落とし込み ・ビジョン実現の基盤としてのITシステムの構築 ・ガバナンス・体制

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DX推進指標活用のメリット

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DX推進指標を活用することで、DX推進指標に対する社内の共通認識の構築、次の目標決定、DX推進の管理や評価など、DX推進を社内全体で継続して行うための活動につなげることができます。

社内でのDX推進の共通認識ができる

DX推進指標の自己評価を行う際、関係者が集まって議論することで、認識の共有を持つことができます。課題や施策などの認識が社内で共有されることで、DX推進に向けた議論が活発化し、実行を円滑に進めることができます。

また、全社的な戦略に基づき、継続的な取り組みを行うためにも、関係者間での情報共有や共通認識が重要です。

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次に取り組むべき目標が設定できる

DX推進指標を利用して自社の現状や課題を把握することで、取り組むべき方向性が明らかになります。自己診断を行って、達成できていない項目があれば、それが次に取り組むべき目標であることが分かります。

IPAに自己診断を提出してベンチマークを確認し、他社のDX推進成功事例などを確認して、自社に適した施策を取り入れることもできるでしょう。そうすることで、具体的に次に何を実行すればいいかが明確になり、停滞することなくDX推進への取り組みを向上させていくことが可能です。

DX推進の管理や評価ができる

取り組みを継続するためには、活動の管理や評価が必要不可欠ですが、DX推進は多くの企業にとって前例のない取り組みでもあるため、その管理や評価を行うには、何らかの指標が必要です。

そこで、DX推進指標を活用することで、DX推進の管理や評価を行うことが可能です。定期的にDX推進指標を使って自己診断を行うことで、自社のDX推進指標の進捗度合いを確認することができ、行動と評価のアクションを繰り返すことができます。

DX推進指標の自己診断とIPAへの提出

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ここでは、DX推進指標を使って自己診断し、IPAへ提出する流れと、ベンチマークの活用について解説します。

DX推進指標による自己診断を行う

まずは、経済産業省やIPAの公式ホームページで提供されている「DX推進指標とそのガイダンス」を入手して、DX推進指標の目的や考え方、実施内容を理解します。

そして、DX推進指標をもとに、IPAで提供されている「DX推進指標自己診断フォーマット」を記入して、自己診断を行います。

9つのキークエスチョンと26のサブクエスチョンを通じて、現状や課題を把握し、経営者と関連部門が協力し、全社的な議論も行いながら自己診断を行いましょう。

このステップが、DX推進指標の活用においても特に重要な部分であると言えます。しっかりと社内で共通認識を形成しましょう。

【参考】:DX推進指標のご案内 | 社会・産業のデジタル変革 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

DX推進指標の自己診断結果をIPAに提出する

自己評価を行ったら、さらにDX推進を効果的に行うために、IPAに自己診断結果を提出しましょう。Web申請システム「DX推進ポータル」にアクセスして、DX推進指標の自己診断フォーマットを提出することができます。

【参考】:ログイン(gBizID) - DX推進ポータル 【参考】:DX推進ポータルの利用方法 | 社会・産業のデジタル変革 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

関係者全員で今後のDX推進施策を検討する

提出した自己診断結果の分析結果や比較データは、ベンチマークレポートとして入手できます。

ベンチマークレポートや自己診断結果をもとに、自社のDX推進の進捗状況や、次の目標を明確にすることができます。これを元に、経営陣と関係部門でDX推進の方針や具体的な方策をまとめ、次のレベルを目指して実行に移しましょう。

DX推進指標活用のポイント

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DX推進指標を活用してDX化をより進めるために、経営層が主導して全社で進めること、実行に移して継続的に取り組むことが、重要なポイントとして挙げられます。

経営層が主導して全社で協力して進める

企業がDX化を実現するには、経営者自身が自社の現状や課題を適切に把握し、DXにより何を実現するかというビジョンを明確に持つことが重要です。

その上で、企業全体としてDX化を進めるためには、IT関連部門だけでなく、事業部門や営業部門など、全社にわたってDX推進への意識の向上と認識の共有が不可欠です。

経営陣がDX推進部門に丸投げするのではなく、経営陣が自らDX推進を主導し、社内の認識合わせや各部門への理解を求めながら、部門を横断してDX推進を進めていくことが、DX化を実現するための重要なポイントです。

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継続したDX推進への取り組みを維持する

DX推進のためにDX推進指標を取り入れて自己診断を行い、自社の課題や方向性を把握しても、具体的な取り組みが行われなければ効果が上がりません。また、1回だけの取り組みで終わってしまっては、継続的なDX推進につなげることはできません。

また、DX推進は近年のIT技術の発展は著しく、DXの計画も時代の環境変化に合わせて変える必要があります。

そのために、定期的に自己診断を行い、IPAへの提出を行ってベンチマークレポートを取得し、自社のDX推進状況を把握して長期的な目標を定めて取り組むことが重要です。

DX推進指標を活用して時代に適した企業に成長しよう

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DX推進で目指すべき目標は、IT化が進む社内の中で企業がデジタル技術や先端サービス、データ分析を活用し、組織の変革や新たな価値を創出することです。そのためには、全社的な継続した取り組みが欠かせません。

この記事で解説したように、DX推進指標は、自己診断を通じて現状を把握し、具体的な施策につなげるツールとして役立ちます。自己診断の結果を元に継続的な評価や改善を行い、変化する環境に適応しながら推進し、時代に適した企業として成長を目指しましょう。

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