基本情報技術者試験の申し込みの流れ
基本情報技術者試験は「ITエンジニアの登竜門」とされる試験であり、ITの基礎知識やプログラミング技術を問う試験です。この記事では、2023年4月から新しくなった基本情報技術者試験について、変更されたことと申し込みの流れについて説明します。
2023年4月から新制度になった
基本情報技術者試験は、2023年(令和5年)4月に試験形態や申し込み方法などが一新されました。
何よりも大きく変わった点は、試験の開催時期です。これまでは年2回開催だった試験が、ITパスポートと同様にいつでも受験が可能な通年試験となりました。
また、これまで午前試験・午後試験に分かれていましたが、午前試験が「科目A試験」に、午後試験が「科目B試験」に変更されました。それに伴い、試験時間・出題形式・問題数なども変更しています。新試験における試験時間・出題形式・問題数は以下のとおりです。
【科目A試験(小問) 】
・試験時間:90分 ・出題形式:多肢選択式(四肢択一) ・出題数:60問 ・解答数:60問
【科目B試験(小問) 】
・試験時間:100分 ・出題形式:多肢選択式 ・出題数:20問 ・解答数:20問(全問必須)
【参考】:基本情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
申し込みの流れ
新制度により、基本情報技術者試験の申し込み方法も大きく変更されました。詳細は後述しますが、申し込みにおける大まかな流れは以下のとおりです。
①受験者登録(マイページアカウントの作成) ②マイページにログイン ③受験予約 ④申し込み完了
【参考】:基本情報技術者試験(FE) | CBT-Solutions CBT/PBT試験 受験者ポータルサイト
これまで申し込み方法が複雑だった側面がありましたが、手順が簡単になり、マイページから内容の確認などもしやすくなりました。受験ハードルが下がったことでチャレンジしやすくなり、資格を活かせる機会が増えることでしょう。キャリアアップや転職の際にも有利となります。
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基本情報技術者試験の申し込み前にチェックすべき項目
試験の申し込みを行う前に基本情報技術者試験に受験資格はあるのかや、知っておくべき制度について説明します。また、情報処理推進機構のホームページから確認できる「試験案内書」にはしっかり目を通すようにしましょう。
【参考】:令和6年度春試験案内書
受験資格
基本情報技術者試験の受験に際して、必要な資格等は特にありません。他のIT資格では下位資格に合格していないと受験できないものもありますが、基本情報技術者試験は誰でも受験可能です。基本情報技術者試験の下位資格であるITパスポートの合格も必要ありません。
また、年齢制限もないので学生社会人問わず誰でも受験が可能です。
科目A試験免除制度
基本情報技術者試験には、科目A試験に限り免除になる制度があります。この制度を利用できるのはIPAに認定された講座を受講し、修了試験に合格または修了認定の基準を満たした場合です。
この制度を利用した試験のことを「免除試験」といいます。免除試験に申し込む際には「修了認定者管理番号」が必要なため注意しましょう。
【参考】:科目A試験免除制度 基本情報技術者試験(FE) | 試験情報 | IPA 【参考】:基本情報技術者試験(FE)の科目A試験免除制度のご案内
基本情報技術者試験に申し込んでみよう
ここでは、基本情報技術者試験の申し込み方法について解説します。また、受験料や支払い方法、合格発表についてもまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
通年試験で自由に日程を選択できる
前述の通り、2023年4月の新試験制度に伴い、基本情報技術者試験が従来の年2回開催から、ITパスポートと同様の随時開催に変更されました。自分の都合に合わせて日時を指定できるため、受験のハードルが下がることで試験がより身近なものになりました。
希望する受験日の3ヶ月先の月末まで試験日時を選択して申し込みできます。なお、科目A・科目B試験はそれぞれ別日に受験することはできず、両試験とも同日に行います。
申し込み方法はネットのみ
基本情報技術者試験の申し込み方法は、「インターネット申し込み」のみです。
【参考】:情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験(CBT方式) | 試験情報 | IPA
まずは上記サイトにアクセスし、「受験申込方法」から「基本情報技術者試験」をクリックしましょう。そこに記載されている「受験の流れ」を参考に、以下の手順で申し込みを行います。
①受験者登録(マイページアカウントの作成) 受験者登録には利用者IDとパスワードの取得が必要です。登録は以下のURLより行います。なお、ITパスポート試験を除いて、1つのアカウントで他の情報処理技術者試験の各試験区分や、情報処理安全確保支援士試験の申し込みが可能です。
【参考】:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 マイページ
②マイページにログイン 利用者IDの登録が済んだらマイページにログインし、「CBT受験申込」から申し込みに進みます。
③受験予約 以下の流れに沿って申し込み手続きを済ませます。
・受験したい試験の選択 ・アンケート回答 ・試験の日程、会場、時間を指定 ・郵便物送付住所の入力 ・支払い手続き
④申し込み完了 上記手順が全て完了すると予約完了メールが送信されるので、内容を確認して問題なければ申し込みは完了です。予約変更は試験3日前まで受付可能です。
受験料
基本情報技術者試験の受験料は、2023年の新試験制度開始後も7,500円(税込)のままです。しかし、2022年には受験料の改定が行われており、今後も受験料が変更される可能性があるため、申し込み前に情報処理推進機構のサイトで確認するようにしましょう。
【参考】:基本情報技術者試験(FE) | CBT-Solutions CBT/PBT試験 受験者ポータルサイト
支払い方法
受験料の支払い方法は、クレジットカード、コンビニエンスストア(Pay-easy)、バウチャーより選択可能です。支払い方法によっては別途手数料がかかる場合があります。バウチャーの場合は、1回の申込で1枚から9,999枚まで購入可能であり、発行手数料として1,650円(税込)かかります。
【参考】:基本情報技術者試験(FE) | CBT-Solutions CBT/PBT試験 受験者ポータルサイト 【参考】:FE・SGバウチャー購入申込| CBT-Solutions CBT/PBT試験 受験者ポータルサイト
合格発表
基本情報技術者試験の合格発表は、受験月の翌月中旬に合格者の受験番号を公式サイトやマイページ、官報から確認できます。試験に合格した後は、経済産業大臣から「情報処理技術者試験合格証書」が交付されます。発送時期についてはIPAのホームページに掲載されるため、チェックしておきましょう。
【参考】:基本情報技術者試験(FE) | CBT-Solutions CBT/PBT試験 受験者ポータルサイト
多人数での申し込みはできる?
これまでは、基本情報技術者試験は団体経由での申し込みを廃止していましたが、現在では学校や企業等の多人数(5名以上)でも申し込みができるようになりました。
多人数での受験を希望する場合は、受験時期の3〜4ヶ月の期間内に、IPAの問い合わせフォームより試験会場の座席数や試験日などを明記して問い合わせましょう。ただし、場合によっては調整に時間がかかり、受付できない場合もあるようです。
【参考】:FE・SGバウチャー購入申込 | CBT-Solutions CBT/PBT試験 受験者ポータルサイト 【参考】:多人数での受験申込はできますか | CBT-Solutions CBT/PBT試験 受験者ポータルサイト 【参考】:IPA 情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 受験に関する問い合わせ
基本情報技術者試験の申し込みに関する注意事項
続いて、基本情報技術者試験の申し込みに関する注意事項を解説します。申し込み前や受験の前日にはこれらもあわせて確認しましょう。
申し込み後にできないこと
基本情報技術者試験は1度受付が完了すると、予約キャンセルを行うことはできないので注意が必要です。また、科目A・科目B試験から免除試験への変更、免除試験から科目A・科目B試験への変更もできません。
申し込み内容の変更は可能
基本情報技術者試験の予約内容を変更する場合は、試験日の3営業日前まで受け付けています。マイページより内容変更を行いましょう。
【参考】:基本情報技術者試験(FE) | CBT-Solutions CBT/PBT試験 受験者ポータルサイト
遅刻した場合は受験できない
以前は試験開始時間5分前までに来場しなかった場合、受験できませんでしたが、2023年12月1日以降は試験開始から80分以内であれば遅刻による入室制限がありません。
とはいえ、交通機関の事故などいかなる理由であっても、遅刻時間に応じた試験終了時刻の繰下げや他の受験日時への振替は行われません。また、入室後に受験端末で行う操作説明の確認は試験開始時刻を超えても確認できますが、その分試験時間が短くなります。
試験開始時刻の15分前が集合時刻となっているため、余裕を持った行動を心がけて早めに来場しておきましょう。
【参考】:基本情報技術者試験(FE) | CBT-Solutions CBT/PBT試験 受験者ポータルサイト 【参考】:試験開始時刻について
基本情報技術者試験当日について
ここでは、基本情報技術者試験の当日の流れについて解説します。あわせて当日に必要な持ち物についても説明していますので、目を通してみてください。当日は余裕を持って行動できるよう、当日の流れや必要な持ち物について頭に入れておくと安心です。
当日の流れ
試験開始時間の30分前から開場・受付が行われ、試験開始前に注意事項の説明や試験開始前の操作確認などがあるため、早めの来場が求められます。
会場により異なりますが、試験は基本的に9:00〜21:00の間で実施されます。指定時間内に間に合うよう、最低でも試験開始5分〜10分前には到着するようにしましょう。
試験会場に到着したら、まずは本人確認書類を提示します。受付担当者から受験時の説明を受け、会場で配布されるログイン情報シートに署名します。その後、試験室に持ち込むもの以外、上着や携帯電話などは全て指定のロッカーに預けます。試験監督員からの受験方法の説明を受け、試験室に入室します。
試験中は会場で用意されているメモ用紙とボールペンを使用し、試験が終了したら返却します。途中退席する場合は試験官に伝えれば対応してもらえますが、その分の時間延長は発生しません。
【参考】:基本情報技術者試験(FE) | CBT-Solutions CBT/PBT試験 受験者ポータルサイト
当日に必要なもの
基本情報技術者試験当日に必要なのは、本人確認書類のみです。これ以外で持ち込み可能なものは、ハンカチやポケットティッシュ、目薬、会場で配布されるログイン情報シートです。持ち込むものは受付で確認されますので、必要なもの以外は全てロッカーに預けましょう。
基本情報技術者試験の受験方式について
基本情報技術者試験は、令和5年度から年間を通じて「CBT方式」で試験が行われています。CBTとは「Computer Based Testing」の略で、コンピュータを用いて実施する試験方式です。コンピュータに問題が表示され、受験者はマウスやキーボードを使って解答します。
CBT方式の操作方法
CBT方式の操作方法については、受験者ポータルサイトから事前に確認することができます。下記のURLから、受験者向けのチュートリアルを体験できます。
チュートリアルでは、実際の試験画面をもとにCBT方式の基本的な受験方法と操作方法の説明が行われ、操作確認用のサンプル問題も用意されています。受験前に一度チェックしておくと、より安心して試験に臨めます。
【参考】:受験者向け チュートリアル|IPA
ハンディキャップ申請も可能
CBT試験を受験する方で、車いすが必要など特別な環境での受験を希望する場合は、予約前に「ハンディキャップWEB申請」が可能です。具体的には、下記のような対応が申請により可能となります。
・イヤーマフ(雑音遮断)※会場備品を使用可 ・筆談対応 ・車いす(電動車いすを含む) ・座席配慮(出入り口の近くなど) ・義手・義足(装具)への配慮 ・試験中の薬の服用 ・補聴器(通信機能がないもの)、人工内耳の装用
これらの対応が必要な場合は、予約前にWEB申請フォームに入力し、受験サポートからの連絡を待ってください。
【参考】:基本情報技術者試験(FE) | CBT-Solutions CBT/PBT試験 受験者ポータルサイト 【参考】:障がい等お持ちの方専用「ハンディキャップ申請」
特別措置試験の実施もある
身体の不自由等により、以上のようなハンディキャップ申請で対応しきれない、CBT方式での受験が難しいという方のために、IPAは特別措置試験も年2回実施しています(令和6年度春期試験における申込受付は既に終了)。特別措置の対象者は以下のようになっています。
・肢体不自由(上肢) ・肢体不自由(下肢) ・肢体不自由(体幹) ・肢体不自由(その他運動機能障害) ・視覚障害(点字受験を必要としない) ・視覚障害(点字受験を必要とする) ・その他の身体不自由等によりCBT試験会場で受験できない場合
特別措置試験は、筆記による方式で行われます。マイページの「基本情報技術者試験(FE)」から「CBTを受験できない方」をクリックし、申請内容を登録すると、事務局より申請結果がメールで通知されます。承認確認後、試験受付期間中に試験申込みを行います。
【参考】:【PBT】令和6年度 春期試験 基本情報技術者試験(FE)CBTを受験できない方向けの特別措置試験
エンジニアが基本情報技術者試験を受けるメリット
最後に、エンジニア経験者が基本情報技術者試験を受けるメリットについて紹介します。受験を迷っている場合は、目を通してみてください。
エンジニアとしての基礎スキルが得られる
基本情報技術者試験の合格を目指すことで、エンジニアとしての基礎スキルが身につきます。プログラミング・アルゴリズム・ハードウェア関連など、エンジニアとして必要なスキルを体系的に得られるのは大きなメリットです。
基本情報技術者試験の受験・合格は知識の定着だけでなく自信にも繋がり、難易度の高い試験への受験意欲や合格にも繋がるでしょう。
上位資格にチャレンジしやすい
基本情報技術者試験は、IPAが認定するスキルレベル2に該当する試験です。基礎的な知識を問う試験であるため、合格することでワンランク上のスキルレベル3の「応用情報技術者試験」にチャレンジしやすいメリットがあります。
基本情報技術者試験はIT試験の登竜門のような存在なので、レベル3・レベル4と少しずつ難易度を上げていくための基盤になってくれます。
【参考】:応用情報技術者試験(AP)
資格手当がもらえることもある
在籍企業によっては、基本情報技術者試験に合格することで資格手当がもらえることがあります。資格手当は、5,000円〜10,000円が相場です。基本情報技術者試験の合格はさほど難しくないため、給料を上げる1つの方法と言えるでしょう。実際、資格手当を目当てに基本情報技術者試験を受験する人が一定数います。
年収アップを図りやすい
資格を取得することで資格手当をもらえるだけでなく、キャリアアップを図る際にも役立てられ、年収アップにつながります。
基本情報技術者試験を活かせる職種には、プログラマーやシステムエンジニアなどが挙げられます。ここでは、システムエンジニアの年収例を参考に紹介します。
システムエンジニアの年収は「マイナビエージェント 職種図鑑」での平均年収は431万円(※2024年2月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種の「エンジニア/プログラマ」を参考にすると、平均年収592万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、システムエンジニアは一般平均年収と同等、もしくはやや高めであることが分かります。
システムエンジニアとしてキャリアを積んだら、資格で得た知識を活かしてマネジメント業務にもチャレンジしてみましょう。プロジェクトマネージャーなどにキャリアアップできれば、年収はさらにアップします。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
準備をしっかり整えて基本情報技術者試験に申し込もう
本記事では、基本情報技術者試験の申し込み方法などについて解説しました。試験合格のために大事なのは、試験に集中できる状態を作ることです。エンジニア経験者であっても集中できなければ合格は難しいでしょう。
試験に集中するためにも申し込み方法などで不安点があってはいけません。ぜひ本記事を参考に申し込み方法に関する不明点を解消し、万全の状態で基本情報技術者試験に挑みましょう。
試験に合格できたら、知識やスキルを活かしてキャリアアップを図るのがおすすめです。その際、転職を伴うのであれば条件や待遇がマッチしやすい転職エージェントを活用してみましょう。
そこでぜひご活用いただきたいのがマイナビIT エージェントです。
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