CCNAの勉強方法を知る
シスコは世界的に知られたコンピュータネットワーク機器の大手企業です。シスコ技術者認定資格の信用度やブランド力は高く、日本ではIPAの国家試験と比肩されます。CCNA試験は基礎レベルとは言え、出題範囲は広く、しっかりとした試験対策が求められます。
この記事では、CCNA試験に合格するために必要な資格概要、試験概要、出題範囲、試験対策に有効な参考書や学習サイトを紹介します。ネットワークスペシャリストを目標にしている方、資格取得によって有利に転職をしたい方、ぜひ参考にしてください。
CISCOの認定資格
シスコ技術者認定資格は5つのレベルがあり、CCNAは基礎レベルの資格です。エントリーレベルは英語試験のみで、日本語試験がありません。そのため日本では、CCNAは実質的に入門者向けの資格となります。
▪エキスパート(CCIE、CCDE):世界に通用する高水準のスキルレベル ▪スペシャリスト(Cisco Certified Specialist、Cisco Certified DevNet Specialist):上級レベル ▪プロフェッショナル(CCNA、DevNet Pro、CyberOps Pro):中級レベル ▪アソシエイト(CCNA、DevNet Associate、CyberOps Associate):基礎レベル ▪エントリー(CCT)※英語試験のみ:入門レベル
【参考】:シスコ認定キャリアパス|Cisco
シスコ技術者認定の有効期間は3年
シスコ技術者認定資格では全ての資格の有効期間は3年間です。3年間を過ぎて再認定を受けない場合には資格が失効します。
再認定を受けるには、「継続教育プログラムのアクティビティを終了させる」「試験に新たに合格する」、あるいは「その両方の組み合わせ」のいずれかのアクションを必要とします。この仕組み(再認定ポリシー)があることで、シスコ技術者認定資格のブランド力、信頼性が保たれていると言えます。
【参考】:再認定ポリシー|Cisco
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CCNA試験の概要
CCNAの資格試験の勉強方法や参考書を紹介する前に、CCNA試験の概要について理解しておきましょう。ここでは、試験内容(出題範囲)や試験の実施概要、難易度や合格に必要な勉強時間について紹介します。
CCNA試験は難しすぎる?
2020年の改定により、CCNA試験は「200-301 CCNA」が試験範囲となり、以下の内容と得点配分になっています。改定前は様々な専門分野に分かれていましたが、改定によってあらゆる分野が網羅され、出題範囲が広がりました。
そのため、以前より難しくなったと感じる方もいますが、オールラウンドのエンジニアを求める市場の需要が高まった結果だとも考えられます。出題範囲は以下の6つの分野です。得意・不得意をなるべく減らし、得意分野で確実に得点することが合格の秘訣です。
1.ネットワークの基礎知識(20%) 2.ネットワーク アクセスについて(20%) 3.IP コネクティビティについて(25%) 4.IP サービスについて(10%) 5.セキュリティの基礎知識(15%) 6.自動化とプログラマビリティについて(10%)
【参考】:シスコ公式トレーニング|Implementing and Administering Cisco Solutions (CCNA) | Cisco 【参考】:Cisco Certified Network Associate (200-301 CCNA) | Cisco 【参考】:CCNA 試験のトピック| Cisco
CCNA試験実施概要
CCNA試験は1年中受験が可能なシステムを採用しており、自身のペースで都合の良い日に受験ができます。また、自宅などからオンライン受験を選択することも可能ですので、勉強の進捗状況に合わせて計画的な受験ができます。
CCNA試験実施概要を参考にして、自身のペースで無理のない受験を進めましょう。
▪出題形式:CBT方式(コンピュータを利用したテスト) ▪試験日:通年受験(試験予約は前日まで) ▪受験申込:ピアソンVUEのサイトから申し込む ▪試験会場:全国のピアソンVUEのテストセンター(オンラインでの受験も可能) ▪合否:試験終了後にパソコンで確認可能 ▪受験料:42,900円(税込) ▪試験時間:120分 ▪合格点:非公開 ▪受験資格:特になし(13歳以上で、17歳までは保護者の同意が必要)
【参考】:Cisco Certified Network Associate (200-301 CCNA) | Cisco 【参考】:Cisco 認定試験のチュートリアル ビデオ | Cisco 【参考】:Cisco Systems |ピアソンVUE 【参考】:Cisco OnVUE試験情報 | Pearson VUE
CCNA試験の難易度
CCNAはシスコ認定資格の中で基礎レベルの資格ですが、シスコの認定試験自体が難しく、基礎とはいえCCNAの難易度は低くはないと想定されます。また、シスコ社は難易度に関する情報を開示していないため、正確な難易度を測るのは困難でしょう。
求人情報、採用情報などから分かるCCNAの資格手当は月額5,000円〜10,000円が中心ですが、同程度の手当が支給されている資格にIPAの国家試験「基本情報技術者試験」があります。このことから、CCNAは基本情報技術者試験と同程度の難易度だと推測できます。
ちなみに基本情報技術者試験は経済産業省が定めるITスキル標準(ITSS)では、スキルレベル2に該当します。ITSSにおけるスキルレベルの定義は以下のようになっており、レヘル5以上の試験はありません。各レベルに該当する代表的な情報処理技術者試験も挙げておきます。
・レベル7:国内のハイエンドプレイヤーかつ世界で通用するプレイヤー ・レベル6:国内のハイエンドプレイヤー ・レベル5:企業内のハイエンドプレイヤー ・レベル4:高度な知識・技能 (ITストラテジスト試験、システムアーキテクト試験などの高度情報処理技術者試験) ・レベル3:応用的知識・技能(応用情報技術者試験) ・レベル2:基本的知識・技能(基本情報技術者試験) ・レベル1:最低限求められる基礎知識(ITパスポート試験)
【参考】:2.ITスキル標準とは -ものさしとしてのスキル標準 | IPA 【参考】:試験におけるレベル分け(40p「表2.情報処理技術者試験との対応関係」参照) | IPA 【参考】:ITスキル標準V3 2011 ダウンロード | IPA
勉強時間は180時間
CCNA試験に独学で合格するには、どの程度の勉強時間が必要なのでしょうか?CCNAの合格体験記が多数掲載されているIT系オンライン学習サイト「Ping-t」の投稿内容から計算した結果、勉強期間は約3.5ヶ月、約180時間(月50時間として計算)と分かりました。
1日1時間の学習だと半年を要する計算となります。CCNAは初学者でも受験は可能ですが、300時間程度の勉強時間が必要となるでしょう。
【参考】:CCNA合格体験記 | Ping-t
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CCNA資格取得者の年収
ネットワークエンジニアの平均年収は「マイナビエージェント 職種図鑑」によると20代で380万円、30代で427万円(※2023年11月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」からIT保守を参考にすると、平均年収592万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収の433万円と比較して、ほぼ同程度といえます。他に、資格取得者には資格手当を支給する企業が増えており、資格手当分が年収に追加されますので、取得資格次第では平均年収を上回る人もいます。
クラウドサービスやAI・IoTなど、現代社会を支えるITのすべてがネットワークに接続され、専門的なネットワークエンジニアの需要が高まっています。ネットワークのスキル証明となるCCNA資格や上位資格の取得により、年収アップやキャリアチェンジに生かしましょう。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
CCNAの勉強方法
CCNA試験の合格には180時間程度の勉強が必要と分かりましたが、何をどのように勉強すればよいのでしょうか?ここでは高額なシスコ認定トレーニングは利用せず、あまり費用を掛けずに学べる勉強方法を3つ紹介していきます。
スマホなどで利用できる学習アプリが増えていますが、日本語に対応したCCNA学習アプリは執筆時点(2023年11月)では登場していませんので、ここでは割愛します。
【参考】:Cisco Learning Network Store
シスコ公式サイトの練習問題を解く
シスコの公式サイト、「CCNA Routing and Switching v3.0練習問題」は無料で利用できます。
練習問題を解くことで、自身のスキルの棚卸を行え、さらに本試験の感触をつかめるメリットがあります。
まずは公式サイトの練習問題にチャレンジし、自身の強みと弱みを把握し、勉強計画に反映すると良いでしょう。この練習問題はパソコン以外に、スマホやタブレットからアクセスできますので、スキマ時間や移動時間を有効活用できます。
【参考】:CCNA Routing and Switching v3.0 練習問題|Cisco
参考書で学ぶ
CCNA試験対策に役立つ参考書と問題集を紹介します。自身のスキルや知識に合わせて最適な書籍を選択しましょう。ここでおすすめした参考書や問題集を徹底学習することで合格に必要な実力が身につくでしょう。
■ シスコ技術者認定教科書 CCNA 完全合格テキスト&問題集[対応試験]200-301 2020年2月改定のCCNA新試験に対応する対策書です。IT技術専門スクールの講師陣による執筆で、合格に必要な知識が効果的に学べるように構成されています。本書はテキストと問題集が1冊にまとめられ、各章末の確認問題に加えて、模擬試験が2回分収録されています。
1冊でCCNA試験に合格するための基礎力を身につけたい方におすすめします。
▪著者:林口 裕志、浦川 晃 ▪出版社:翔泳社 ▪発売日:2020年6月24日 ▪ページ数:888ページ
【参考】:シスコ技術者認定教科書 CCNA 完全合格テキスト&問題集[対応試験]200-301
■ 1週間でCCNAの基礎が学べる本 第3版 2020年2月に改定されたCCNA試験に対応するネットワーク入門書です。本書によって試験対策の前にネットワーク初心者が基礎知識を身につけることができます。1日目1章ずつ学習し、7日で終了できるように構成され、各章には試験情報や模擬試験問題が掲載されています。
ネットワーク入門者で、CCNA対策の基礎力を短期間で身につけたい方におすすめします。
▪著者:宮田かおり ▪出版社:インプレス ▪発売日:2021年4月13日 ▪ページ数:336ページ
【参考】:1週間でCCNAの基礎が学べる本 第3版
■ 徹底攻略Cisco CCNA問題集[200-301 CCNA]対応 出題範囲が広くなり、難易度が上がったCCNAの新試験に対応し、問題を解くだけで試験合格に必要な知識が自然に身につく問題集です。また各問題ごとに丁寧な解説が付いており、参考書の代わりとしても使えます。
本書内には549問の問題が収録され、他にダウンロード版として100問、スマホ問題集では132問の模擬問題が収録されており、とにかく問題演習を中心に実力を付けたい方におすすめします。
▪著者:株式会社 ソキウス・ジャパン ▪出版社:インプレス ▪発売日:2021年4月21日 ▪ページ数:688ページ
【参考】:徹底攻略Cisco CCNA問題集[200-301 CCNA]対応
オンライン学習サイトで学ぶ
CCNAの学習では参考書や問題集以外に、オンラインで動画や問題を提供している勉強サイトの利用がおすすめです。オンライン学習サイトを利用するメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
▪自分のペースで学習できる ▪実際の試験に近い形式で問題を解くことができる ▪解答や解説を確認して学べる
ここでは、無料や低料金で利用できるオンライン学習サイトを2つ紹介します。
■ CCNA イージス CCNA試験の合格を目指す人に向けたWeb教科書を提供するサイトです。CCNAの出題範囲をすべて無料で学ぶことができます。各章には練習問題があり、スマホやタブレットからアクセスできるため、スキマ時間や移動中にも効率的な勉強ができます。
【参考】:CCNAイージス
■ Ping-t Ping-tは、IT関連の資格試験に関するオンライン学習サイトです。苦手な問題を克服できる画期的なシステムを採用しており、効率的な学習ができます。Ping-tはユーザ登録することで一部コンテンツを無料で利用できます。
利用者の合格体験記が豊富に掲載されており、また「助け合いフォーラム」を利用して様々な質問ができます。コンテンツは月額2,400円から利用可能で、12ヶ月利用しても6,800円とリーズナブルです。
【参考】:Ping-t 総合学習サイト
その他
CCNA試験の中でも、シナリオやシミュレーション問題に関しては実機操作による学習が必要と考える人がいます。ルーターやスイッチの実機を持っている方、仕事で実機に触れる機会がある方は問題ありませんが、実機の経験がない方は不安になるかもしれません。
そんな方には、ネットワークシミュレーションソフト「Cisco Packet Tracer」をダウンロードして代用する方法があります。実機操作ができないと不安だという方はぜひ試してみましょう。
【参考】:Cisco Packet Tracer:ダウンロードの方法
CCNA資格を足がかりにさらなる活躍を
ここまで、ネットワーク資格として知名度とブランド力を誇る、シスコ技術者認定試験のCCNAについて、試験の概要、勉強方法などを解説しました。ネットワークスペシャリストを目指す上でCCNAは登竜門とも呼べる資格です。
資格取得後のさらなるスキルアップと活躍を目指し、合格を目指しましょう。資格を活かす方法としては、企業内でのステップアップ以外に、より活躍できる企業への転身も重要です。
しかし、初めての転職活動では分からないことだらけで、不安が募るかもしれません。ネットワークエンジニアの求人情報から、自分のスキルを活かせる企業を探し出し、その企業について情報収集が必要となります。企業とのコンタクトや条件交渉、面接対策や履歴書の作成など大きな負担が待ち構えています。
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アドバイザーは企業側の人事担当者と直接連携を取れますので、求人票に載っていない企業情報も確認することができます。残業時間や給与面など、働き方などをしっかり確認の上で応募企業を選んでいくのが良いでしょう。
・資格やプログラミングの勉強をしているけれど、企業が求めるレベルに達しているのかわからない ・スキルアップをして市場価値を上げていける企業の選び方を知りたい ・数多くあるITエンジニアの職種の中で、自分に向いている仕事は何か知りたい
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