改定されたことによるCCNAのメリット
企業がネットワークエンジニアのスキルを判断する目安として、CCNAの資格の有無があります。最先端のネットワーク関連知識を問われる試験ですが、試験範囲は不定期で変更されることがあります。改定は事前予告を行った上で行われていますが、2020年の改定では試験の形態が大きく変更されました。ここでは、改定されたCCNAのメリットについて説明します。
企業に自身のスキルをよりアピールできる資格となった
CCNAはルーターや接続用のスイッチなどを提供するCisco社が提供している資格試験で、世界各国で通用するネットワークエンジニアのスキルを証明する試験です。CCNAを保有することによって、ルーターやネットワーク接続用のスイッチに関するスキルを持っていることや、基本的なネットワークの知識を持っている証明となります。
1997年から現在までに何度も改定されており、最近改定されたのが2020年2月24日です。これまでとは違い試験範囲や内容が大きく変わりました。今まで2つの基準が設けられていたCCNAですが、改定後は1つの基準にまとめられています。1つにまとめられたことで幅広い知識を持っているという証明になり、自身の高いスキルをよりアピールできるようになりました。
最新技術のスキルを証明する資格となった
2020年に改定された最も大きな理由は、最新技術または知識に対応するためです。試験内容を最先端の内容に改定することによって、最新技術・知識を持ったネットワークエンジニアとして企業から重宝されるでしょう。
また最近のネットワークエンジニアの仕事は多岐にわたり、ネットワーク以外の分野の仕事も求められています。そのため、改定後の試験内容もスキルや機器についての知識だけでなく、プログラミングといった開発関連や無線などの分野が出題されるようになりました。
IT人材不足も影響しネットワークエンジニアは重宝される存在ですが、ネットワーク関連以外の幅広い分野の仕事を任されることもあります。改定されたCCNAはネットワーク以外のスキルも持っている証明になるため、持っているとより就職活動や転職に有利になるでしょう。
出題分野が1つにまとめられてわかりやすくなった
改定前のCCNAは基本的なスキルを問う分野とルーティングや最新技術などを問う分野に分かれており、資格を取得するにはそれぞれの分野をクリアした上で、1種類にまとまった科目の試験をクリアする必要がありました。改定後は複数の試験が1つにまとめられたため、わかりやすく受験できるようになりました。
なお、CCNAにはコードが割り振られており改定後のコードは200-301です。コードは試験会場や参考書を選ぶ際に必要となるため、間違えないようにしましょう。
受験料が安くなった
改定前のCCNAの受験料は36,400円(税抜き)で、受験方法によっては36,960円(税抜き)かかる場合もありました。、改定後のCCNAの受験料は33,600円(税抜き)となっており、2,800円安くなっています。出題範囲が1つにまとめられたことに加え受験料も安くなり、より受験のハードルが低くなったと言えます。
改定されたCCNAの注意点
ここでは、過去にCCENTの資格を取得した方や、改定後の試験内容で注意すべきことについて説明します。なお、改定されたことによって「これまで勉強していた内容が水泡に帰すのでは?」と不安になる方もいるかもしれません。しかし、大半は改定前の内容と同様なため、改定後に追加された範囲を勉強することになります。
旧資格のCCENT・改定前のCCNAを持っている人は要注意
旧基準ではCCNAが2つに分かれていたり、CCNAよりもレベルが低いCCENTが設置されていたりしました。CCENTがあることにより、CCENTを取得してから上位資格であるCCNAを取得しようと計画していた方も多かったのではないでしょうか。
しかし、2020年の改定後にCCENTは廃止されました。そのため、現在CCENTだけ取得している方の場合は資格が失効となります。救済措置も現在用意されておらず、資格を得るためにはCCNAの受験が必須となりました。
なお、改定前にCCNAを取得しているなら問題ありません。ただし、CCNAには有効期限があります。CCNAの有効期限は3年となっているため、有効期限が切れる前に再度受験する必要があります。期限の切れたCCNAを持っていても価値がないとみなされるので、有効期限は必ずチェックしましょう。
【参考】CCENT廃止について
試験科目や出題される範囲が拡がった
改定後は試験項目が大きく変更されており、新しい分野が追加されています。ネットワーク関連の知識だけでなく、セキュリティや開発関連の知識を問われる問題も出題されているため注意が必要です。
範囲が拡がったことによって、苦手分野や知識が足りない部分を補わなければいけないので、必ず事前に出題範囲をチェックしましょう。例えばネットワークの分野では、新しくIPSやファイアウォールといったセキュリティ関連の知識が深く問われるようになりました。またアクセスポイントだけでなく、無線機器に関する知識についても要求されます。
アーキテクチャの部分はWANの知識だけでなく、クラウドや階層モデルの1つであるスパインリーフ、そしてSOHO関連など幅広く問われます。また、昨今の物理インターフェースでは屋外設置機器へ電源供給できるPoEの概念についても問われ、よりIoT社会を見据えた内容になりました。
ベースのOSをWindowsのみで考えていると不合格に?
改定前のCCNAでは、設定の問題についてはWindows機器での操作を基準に出題されていました。インターフェースの設定は基本的に変更されていませんが、出題範囲が拡がった影響でWindows以外のOSに関する知識も必要になりました。例えばクライアントOSのIPアドレスを確認するといった問題の場合、WindowsだけでなくMacOSやLinuxなどのOS知識も問われます。
また、開発関連ではPythonやJavaといったプログラム言語に関する問題が出題されることもあり、特にデータ変換の1種であるJSONは出題されるケースが多いです。出題範囲が多いため、抜けがないように勉強しましょう。
改定後のCCNAに合格するための勉強方法
改定後のCCNAの試験では出題される分野が拡がったため、試験に向けて必要な勉強時間を算出し、スケジュールを決めて勉強することが必要です。ここでは勉強時間の目安や、効率良く勉強を進めるのに便利なツール・勉強方法について説明します。
合格するために必要な勉強期間は?
改定後のCCNAは、必要な勉強時間の目安として一般的におよそ160時間、仕事をしながらの勉強なら2ヶ月以上は必要と言われています。人によってはさらに多くの勉強時間が必要となるため、試験までの日数を計算しスケジュールを立ててから学習を開始しましょう。
勉強の効率化が期待できるツールもあるため、「仕事で勉強時間の確保が難しい」「転職のためにすぐに資格が欲しい」という方は、ツールを上手く活用してください。
無料のオンライン学習サイトが便利
学習サイトはオンラインで学習できるため便利です。おすすめの学習サイトの1つがPing-tで、多くの資格をカバーしておりCCNAにも対応しています。ネットワーク基礎から各カテゴリーごとに多くの問題を用意しており、回答と解説をすぐにチェックできます。
自分のペースで勉強でき、理解度を数字で把握することも可能です。選択式の問題だけでなく、シミュレーション問題も各種取り揃えています。コマンド集も充実しているので、資格取得に適したサイトと言えるでしょう。自分の勉強方法が正しいのか不安な場合は、各資格試験ごとに用意された受験者のフォーラムを活用してください。他の受験者とコミュニケーションがとれるようになっています。
他にも、受験者の中で多く利用されているのがCCNAイージスで、参考書感覚で読むことができます。ネットワーク関連の知識が全くない人でも、1度目を通すだけでメカニズムが把握できると言われています。随時追記も行われているので、CCNAの改定にも心強いでしょう。体験談や最新の情報にも対応しています。
【参考】Ping-t
【参考】CCNAイージス
参考書で勉強する
CCNAの参考書も多数販売されており、しっかりと勉強したい人におすすめです。なお、改定後のコード200-301に対応している参考書を選びましょう。改定前のコード(200-125J)の参考書は内容が違うため、購入の際は注意してください。また、参考書の値段は3,000円ほどするものが多く決して安くはありません。自分に合った参考書を選んで活用しましょう。
また、Cisco社は公式の問題集を公開しています。公式ということでより本番に向けた勉強ができ、試験前のシュミレーションにもなるでしょう。
【参考】CCNA Routing and Switchingv3.0レプリカ問題
エミュレータを使う
エミュレータを使った勉強もおすすめです。エミュレータでは限りなく実機に近いコマンドの出力結果をチェックでき、実機に触れる機会がない人に向いています。エミュレータの最大のメリットは実機に比べてコストがかからないことです。「参考書だけではコマンドを覚えられない」「出力結果がわからない」といった方は活用してください。
実機で勉強する
実機を使うと、実際の設定方法や動きを確認できるためよりわかりやすいです。参考書・問題集・オンライン学習と実機を組み合わせて学習することで、テキストで勉強した内容を体感できるのがメリットです。体で覚えることができるので、勉強した内容を忘れにくいのもポイントです。ただし、コストがかかるため資格の勉強のためだけに実機を購入するのは難しいでしょう。
改定後のCCNAに合格してネットワークエンジニアとして活躍しよう
様々な資格の中でもネットワークエンジニアとして確立できる資格がCCNAで、最先端の技術を身に着けていると評価を集めることができます。
昨今改定された内容は範囲も広く、合格するには多くの勉強時間を費やすこととなるでしょう。しかし、CCNAは将来への投資として十分に活かすことができるので、勉強しやすいツールを活用しながら合格を目指して取り組みましょう。
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