プログラミングスキルを身に付けるメリットはある?
IT人材の不足が深刻化していますが、その一方で小学校では2020年度からプログラミング教育が導入され、政府がプログラミング教育に力を入れ始めたことは注目すべきことです
「プログラミングの勉強は意味がない」という否定的な意見がSNS上では一部に見られますが、プログラミングを学ぶメリットや価値は多々あります。この記事では、プログラミングを身に付けることで出来ること、メリットやデメリットについて探っていきます。
エンジニアを目指す人の中には、プログラミングが苦手、覚えるのが苦痛と考える方がいるかもしれませんが、それを乗り越える事できっとエンジニアとしての夢の実現に一歩近づけることでしょう。
【参考】:小学校のプログラミング教育、具体的にはどのようなことをしているの?|マイナビニュース
プログラミングを学ぶと何ができる?
まず初めにプログラミングを学ぶと、何ができるのかについて確認しておきましょう。
仕事や生活に関わるさまざまなアプリを作れる
現在プログラミングを学んでいる皆さんは、なぜ学んでいるのでしょうか?ここでは、プログラミングスキルを身に付けることによって何ができるのか、について今1度確認しておきましょう。
プログラミングとはコンピュータに何らかの処理を行わせるための指示を与えることです。この指示を組み合わせることによって、プログラムが作成され、テストや組込み工程を経てソフトウェアやアプリケーションが完成します。
プログラミング言語を習得することで、次のようなことができるようになります。いくつか例を挙げてみましょう。
▪Webサイトの構築 ▪ERPなど業務システムの開発 ▪パソコンやスマホのアプリケーション開発 ▪VRやゲームソフトの開発 ▪AIの開発 ▪組込み家電の開発 ▪スマートスピーカーなどのIoT機器の開発 ▪事務作業の効率化や自動化のツール開発
このようにプログラミングを習得することで、私たちの仕事や生活に関わるあらゆるソフトの作成ができるのです。
プログラミングを学ぶメリット8選
では、プログラミングを学ぶことで私たちはどのようなメリットを得られるのでしょうか?得られるメリットは人によって異なるかもしれませんが、この中に1つでも共感できるものがあれば、それを追求してみましょう。
IT業界の仕事に就きやすくなる
DX推進やAI技術、IoTやビッグデータ解析などの需要からIT人材の不足が深刻化しており、IT業界では慢性的な求人難となっています。プログラミングスキルがあるとIT業界の仕事に就きやすくなります。
エンジニア職として選択肢が広がる
プログラマーはITエンジニアの登竜門とも言われており、システムエンジニアやAIエンジニアなどのエンジニア職種のキャリアパスが豊富にあります。さまざまなエンジニア職種の選択肢があるのはプログラマーならではの特徴です。
時間や場所に縛られない働き方ができる
プログラミングを行う際に、時間や場所に拘束されることがほとんどありません。プロジェクトやチームのミーティングなどもオンラインで行うことが可能ですので、出社をせず好きな場所で働くことが可能になります。
フリーランスや起業など、さまざまな働き方を選べる
手に職を持つと言いますが、プログラミングは1つの技術です。プログラミングを身に付けると、その技術を生かしてフリーランスとして仕事を受注することもできます。また仲間を集めることで起業し、小規模のITベンダーを立ち上げることも可能です。
エンジニアに必要な論理的思考力が身に付く
システムエンジニアをはじめ、ITエンジニアは論理的思考力(ロジカルシンキング)が欠かせませんが、プログラミングはアルゴリズムを考えることですので、プログラミングスキルを磨くことで論理的思考力が身に付きます。
AIやIoT、ビッグデータなど時代の最先端の仕事ができる
AI、IoTやビッグデータなどの最先端ITには、それらを支えるプログラマーの存在が欠かせません。プログラミングを習得することで、これら時代の最先端の仕事に関われる機会が増すのは、プログラマーのメリットです。
自分のアイデアをアプリとして形にできる
アプリはアイデアをプログラミングを通じて実現したものです。自分のアイデアをソフトウェアとして形にできるのはプログラマーならではの自己実現の1つの形です。このように、作る喜びを得られる点もプログラミングができるメリットの1つです。
プログラミングを学ぶデメリットと対処方法
プログラミングを学ぶことによって多くのメリットを得られますが、同時にデメリット(リスク)もあります。それらを認識した上で、プログラミング学習に努めましょう。
勉強方法によっては時間とコストが掛かる
最近はPythonやRubyなど構文がシンプルで学びやすい言語の注目を浴びていますが、一般的に1つのプログラミングをマスターするには1,000時間程度が必要と言われています。
独学でも学習は可能ですが、スクールの利用、オンライン学習サイトの利用など、難易度や費用対効果の面から、自分にあった方法を選択してみましょう。
挫折することがある
プログラミングを学ぶと、なかなか理解ができず、多くの方が壁にぶつかりがちです。しかし、この壁を乗り越えることで、大きく成長できます。壁にぶつかったら、誰かに相談する・易しい言語に変更する・気分転換してみるなど、さまざまな解決法がありますので、簡単に諦めず前向きに取り組んでみましょう
将来、AIに職を奪われる可能性がある
現在でもプログラミングの知識がなくとも、プログラミングが可能なノーコード開発ツールがあります。今後、AI技術の発展次第では、プログラマーの仕事の多くの部分をAIが担う可能性があると言われています。
AIが人に代わって要件定義を行い、アルゴリズムを見出してプログラミングまで行うことができるのかはまだ分かりませんが、可能性はゼロとは言い切れません。場合によってはプログラマーの仕事をAIが肩代わりする可能性を完全に否定できないという点はデメリットと言えます。
どのプログラミング言語を学べばよいのか
プログラミングを学ぶことで何ができるのか、どのようなメリットがあるのかについて見てきました。では、これからプログラミングを学ぶにあたり、メジャーなプログラミング言語だけで20近くある中から、どのプログラミング言語を選択すればよいのか迷うところです。ここでは、プログラミング言語を選択する上で1つの基準となる事柄について紹介しますので、参考にしてみてください。
プログラミング言語選びは将来設計から
プログラマーはITエンジニアの登竜門と言われ、多くのエンジニアの方がプログラミングを学ぼうとされていることでしょう。しかしプログラミング言語は200種類以上あり、人気言語に絞っても2桁はあります。その言語選択で迷う方もいるでしょう。
自分に適したプログラミング言語を選ぶには、将来自分は何に興味があるのか、どのような仕事をしたいのかを明確なイメージを描き、将来設計をしっかり行った上で選択することをおすすめします。
以下の視点からプログラミング言語を選ぶとよいでしょう。
▪どのようなソフトやアプリを作りたいのか? ▪どのような仕事に就きたいのか? ▪需要や将来性が高いプログラミング言語はどれか? ▪学びやすいプログラミング言語はどれか?
プログラミング言語を選択する
学ぶべきプログラミング言語を選択する際には、何を作りたいのか、自分が就きたい仕事をイメージし、目的で選ぶとよいでしょう。ここでは目的別におすすめのプログラミング言語を紹介していきます。言語選択の参考にしてみてください。
WEBサービス
Webサービスには、私たちが直接目にしたり、操作したりするWebページのフロントエンドと、その裏側でデータの処理を行うバックエンド(サーバーサイド)があります。それぞれ、用いる言語が異なりますので分けて見ていきましょう。
■ フロントエンド
Webページを開発するにはHTML、CSS、JavaScriptの知識が必要ですので、フロントエンドエンジニアを目指すなら、まずこの3つを学びましょう。
▪HTML
HTMLは、Webページを制作するための言語です。HyperText Markup Languageの略で、マークアップ言語とも呼ばれます。
▪CSS
CSSは、Webページの装飾に用いる言語です。Cascading Style Sheetsの略で、スタイルシートとも呼ばれています。Webページでは、一般的に基本部分はHTMLで作成し、色など見た目に関する部分はスタイルシートで装飾をします。
▪JavaScript
JavaScriptは、Webページに動きをつけたり、クリックしたボタンをへこませたりすることができる開発言語です。フロントエンドのブラウザ上で動くだけではなく、サーバーサイドでも利用されることがあり、Webアプリの開発にも利用される汎用性の高い言語です。
■ バックエンド
バックエンドはWebサービスの裏側を担っており、主にサーバー構築、データベースの管理、システム開発などがあります。フロントエンドとの連携が求められるため、次の2種類のプログラミング言語をおすすめします。
▪PHP
PHPは構文がシンプルで初心者にも学びやすいWebアプリケーションの開発に適した言語です。利用できるフレームワークが豊富で、効率的にWebアプリケーションを開発できます。CMSでよく利用されるWordPressもPHPで作られています。
▪Ruby
日本人が開発したプログラミング言語です。コードがシンプルで扱いやすく、初心者も学びやすい言語です。「Ruby on Rails」という強力なフレームワークがあり、様々なWebサービスを簡単に作れます。
データ解析や機械学習
データ解析やAI開発に必要な機械学習をしたい人にはPythonがおすすめです。
▪Python
Pythonは統計処理やデータ解析、機械学習でよく利用されるプログラミング言語ですが、構文がシンプルで学びやすい言語としても人気です。Pythonはフレームワークが非常に豊富で、汎用性が高く、Webアプリの開発、ゲームやスマホアプリの開発にも利用されています。
スマホアプリ
スマホアプリは、iPhone系のiOS用アプリとAndroidアプリは開発言語が異なりますので、次の2種類から選択します。
▪Swift
Swiftは2014年にApple社が発表したプログラミング言語です。iPhone以外にMacやiPadなど、あらゆるApple製品向けアプリを開発できます。また、一般的なWebアプリ開発にもSwiftが使えますので、習得メリットの大きな言語と言えます。
▪Kotlin
Kotlinは汎用言語のJavaをベースに開発されたシンプルな言語で、Javaとの相互利用が可能です。Androidアプリの開発によく利用されていますが、サーバーサイドでも利用が増えています。
組込み系
スマート家電やスマート機器分野で注目され、組込み系でよく利用される言語として、C言語、C++、Javaなどがあります。いずれもプログラミング言語としては難易度は高めですが、汎用性の高い言語ですので、活躍分野が広く、需要が高い言語です。
▪C言語
プログラミング言語として長い歴史を持つC言語は、比較的処理がシンプルな組込み系家電などの開発に適しています。
▪C++
C++は、C言語にオブジェクト指向の要素を入れ、機能拡張したプログラミング言語です。C++はC言語との互換性があります。またC++は基幹システムなど大規模システムの開発にも利用されるなど、適用分野を選ばないのが強みです。
▪Java
Javaはあらゆる分野で利用される、シェアの高いオブジェクト指向のプログラミング言語です。安定性が高く、セキュリティ面も強いため基幹システム開発でも利用されます。学習難易度が高いのが難点ですが、一度習得すれば、スマホアプリの開発も含めてあらゆる分野で活用できます。
プログラミングを学んでキャリアパスを描きましょう
この記事では、プログラミングのメリットをテーマに、プログラミングを学ぶと何ができるのか、プログラミングのメリットは何か、学ぶプログラム言語を選ぶ方法などについて解説をしました。プログラミングスキルを高めることが、エンジニアとしてキャリアアップを目指す上で重要です。
扱える言語が増えれば、活躍できる分野も確実に広がります。まず言語を1つ習得し、自信が付いたら2つ目の言語に挑戦してみてはいかがでしょうか?複数の言語スキルを身に付ければ、仕事の機会は広がり、年収のアップも可能です。
明確なキャリアパスを描き、目的意識を持ってプログラミング言語の習得に努めることをおすすめします。
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