シンギュラリティはいつ起こる?言葉の意味やエンジニアへの影響は?
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シンギュラリティはいつ起こる?言葉の意味やエンジニアへの影響は?
キャリア・働き方
アンドエンジニア編集部
2021.12.21
この記事でわかること
シンギュラリティは技術特異点と言われるもので、特にAIが人知を超越するタイミングのこと
シンギュラリティによって、雇用や社会制度、人体や健康に大きな変化が生まれる
シンギュラリティの到来に関わらずエンジニアの役割や仕事は大きく変化していくので、変化に対応する姿勢が大切

「シンギュラリティ」はいつ?

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皆さんは「シンギュラリティ」という言葉を聞いたことがありませんか?最近メディアで取り上げられ、話題になったワードの1つです。シンギュラリティは技術特異点と言われるもので、特にAIが人知を超越するタイミングのことです。

このシンギュラリティはいつやってくるのか、シンギュラリティによって社会はどう変化し、私たちエンジニアはどんな影響を受けるのかなど、不安や興味が尽きません。シンギュラリティは絵空事であり、ありえないと考える方もいらっしゃるでしょう。

ここでは皆さんの素朴な疑問の答えを一緒に探していきます。

「シンギュラリティ」と2045年問題

米国の発明家であり実業家、未来学者、思想家のレイ・カーツワイル博士が2005年に執筆した自著『The Singularity Is Near:When Humans Transcend Biology』の中で、「2045年にAI(人口知能)が地球上で最も賢く、有能な生命体として人間を上回る存在になる」と予言しました。

これが「シンギュラリティ」であり、2045年に起きると予言されていることから「2045年問題」と言われているのです。

「シンギュラリティ」の2029年到来説も

2029年到来説は、シンギュラリティの到来が従来予想よりも早まるというものです。 レイ・カーツワイル博士は2005年の著書で、シンギュラリティの到来を2045年前後と予測していましたが、2017年にレイ・カーツワイル博士がシンギュラリティの到来時期を2029年前後と主張し始めたことから、この2029年問題が浮上してきました。

その理由は、2000年以降の急速なインターネットの普及、ビッグデータの集積などによって、AIの進化を促す「ディープラーニング」(深層学習)の環境が整い、膨大なデータの蓄積によってAI技術が急速に進展していることにあります。

そもそも「シンギュラリティ」とは?

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「技術的特異点」と訳されるシンギュラリティは、1980年代頃からAI研究家の間で用いられるようになった言葉です。AI(人口知能)の進化に関する概念で、シンギュラリティ (singularity)はAI自身が人類に代わって文明進歩の主役となる時点を指しています

シンギュラリティが注目されることになったきっかけとして、2014年に英国で行われた「チューリングテスト」の結果があります。 チューリングテストはコンピューターに知性があるか否かを判定するテストです。このテストで約30%の観察者か「人間かAIかの区別がつかない」と評価を下し、AIの急速な進化が認識されたことからシンギュラリティが現実味を帯びました。

GPT-3の登場

最近では、「GPT-3」というAIツールが書いたブログ記事によって、数万人が騙されたというニュースがあったように、AIの進化スピードには目を見張るものがあります。

シンギュラリティを世に広く知らしめたレイ・カーツワイル博士は、「シンギュラリティは人工知能が人間の知能と融合する時点」と唱え、AIが人間と融和する形で進化していく可能性を指摘しています。

GPT-3の例にあるように、AIが人と区別が付かないほど人間らしくなっていく様子から、「2029年シンギュラリティ到来説」の登場は納得ができます。

【参考】:Azure OpenAI Serviceとは?GPT-3との違いも解説

「シンギュラリティ」を裏付ける法則

ムーアの法則は「2045年問題」を裏付ける1つの根拠になっています。ムーアの法則では、「半導体の集積率は18か月で2倍になる」とされており、この法則に従って計算すると、2030年頃には1つの半導体チップが人間の脳レベルに到達し、2050年には1つの半導体チップで人類全体の脳の計算速度に匹敵するという予測が示されます。

ただし、このムーアの法則は半導体の進化が著しい時期には当てはまりましたが、最近はそれも限界に近づいており、必ずしもムーアの法則は当てはまらないと考える向きも少なくありません。

他には、シンギュラリティを裏付けるものとして「収穫加速の法則」があります。これは「イノベーション同士が結び付くことで、新たなイノベーションが起き、進化は指数関数的に起きる」という法則で、これによってシンギュラリティが起きるとしています。

「シンギュラリティ」に対する賛否

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シンギュラリティがいつ起きるかという議論の前に、シンギュラリティに対して肯定論と否定論があります。どちらが正しいかは別にして、それぞれの見方を見てみましょう。

「シンギュラリティ」肯定論

シンギュラリティの実質的提唱者であるレイ・カーツワイル博士は、自著『The Singularity Is Near:When Humans Transcend Biology』の中で「シンギュラリティの到来を2045年」と予言しましたが、最近の考えとしては「2029年に早まった」と予測しています。

イギリスの著名な物理学者であるスティーブン・ホーキング氏は「完全なる人工知能の開発によって人類は終焉を迎えるかもしれない」と、シンギュラリティの到来を認めつつ、危機感を示しています。

ソフトバンクの孫正義氏はシンギュラリティは人類史上最大の革命であるとし、シンギュラリティによってすべての産業が再定義されると主張しました。

肯定派でも、シンギュラリティ後の未来予想には、悲観的なものから楽観的なものまでまちまちですが、シンギュラリティという1つの大変化が起きるという考え方は共通しています。

「シンギュラリティ」否定論

一方、シンギュラリティ説を批判する人、否定する人たちはAIの進化を認めつつ、それが来ない理由として「AIが人間を超える存在になることはありえない」としています

たとえば、AIの権威として知られるスタンフォード大教授のジェリー・カプラン氏は、「AIには独立した目標や欲求がない」とし、あくまでも「AIの能力は人間のためにあり、AIと人間は同一視できない」と考えています。

これを大きく分けると、「AIが自我を持ち、自身の判断や欲求によって自己進化していく」か、「自我を持つことはないから自己進化はしない」のかの2つの意見に集約されるようです。いずれにしても、一昔前まではSFの世界にしか存在しなかった論争が現実のものとなっていることは否めません。

「シンギュラリティ」による社会の影響と変化

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シンギュラリティ到来の賛否はともかくとして、AIは着実に進化しており、AIの進化によって世界が変わっていくことは否めません。ではAIの進化によって世界はどのように変わっていくのでしょうか?雇用・社会制度・人間そのものへの影響など、3つの視点から見ていきましょう。

雇用への影響

人の仕事のAIへの置き換えはすでに始まっており、既に職業そのものの置き換えに関する実証実験がスタートしています。 たとえば、工場の生産ラインや生産コントロールのロボットへの置き換えによる無人工場、自動運転技術を用いた無人タクシー、レジや品出しの自動化による無人コンビニエンスストアの実験は既に始まっています。

この置き換えがコスト面でペイできるとなれば、人の仕事は確実にAIに置き換えられていくでしょう。専門家の研究でも、今後10年から20年の間に人の仕事の50%はAIに置き換わるという報告があります。

社会制度への影響

「ベーシックインカム」という社会制度があり、既にこの実験を行っている国もあります。日本でもベーシックインカムの導入を提唱する政党や政治家がいます。

ベーシックインカムとは、国民や市民に対して無条件に最低限度の所得を分配する社会政策です。働かない人、働けない人にも所得保障がなされ、ベーシックインカム貧困問題の解決に役立つとされています。

シンギュラリティによる失業者増加対策として、このベーシックインカムが議論されています。人の仕事をAIが担うことで、AIが利益を生みだします。この利益をベーシックインカム制度によって人に分配し、失業問題を解消するという考え方です。

人体や健康への影響

SF映画などに登場するサイボーグも、既に夢物語ではなくなってきました。AI技術の発達によって脳波による人工義手や人工義足の制御が可能となり、まさにサイボーグそのものの実現可能性が高まってきました

シンギュラリティによって、これまで不可能と思われてきたことが、次々と覆されていく可能性があります。感情や自我も脳の働きによってコントロールされていますが、脳の働きに関する解析が進めば、AIが感情や自我を持つ可能性も否定はできません。

こうして、人とAIの融合が進むことで、まったく新しい形態を持つ人類が登場してくるかもしれません。

「シンギュラリティ」によってエンジニアの仕事はどう変わる?

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シンギュラリティが到来すると、社会や私たちの生活が大きく変わることは誰も否定はできませんが、私たちエンジニアの仕事にはどのような影響があるのかを見ていきましょう。

AIに置き換わる仕事

AIが普及をしていくと、人間よりもAIが担った方が効率的な仕事はAIに置き換わっていくでしょう。AIに置き換わるのは定型業務だけではなく、推測や推論を伴う業務もAIに置き換わっていきます。つまり、知的労働すらもAIに置き換えられていくのがシンギュラリティの特徴です。

エンジニアの仕事では、一部のプログラマの仕事はAIに置き換わっていくと言われています。現在でもAI技術を用いた「ノーコード開発」や「ローコード開発」が一般化しつつあり、この動きは加速されていくかもしれません。

ただし、エンジニアの仕事全般について言えば、AIによる自動化・簡素化は行われたとしても、エンジニアの仕事自体がAIに置き換わる可能性は低いでしょう。

AIが生み出す新たな仕事

AIが人間にとって必要不可欠な存在になっていく中、AIの価値をさらに高める役目を我々エンジニアは負っています。AIは与えられた情報や人間の指示に基づいて、人に代わる仕事をしますが、自ら新しいものを創出したり、新たな発見をしたりすることは苦手です。

シンギュラリティによって、いずれこの考え方は覆るかもしれませんが、AIの進展によって次のような分野で新たな仕事が生まれていく可能性が高いと考えられます。

■IoT分野 「モノのインターネット」と訳される「IoT(Internet of Things)」は、AIの普及や発展に必要不可欠です。あらゆるものがインターネットに接続され、AIによってコントロールされる世界が現実のものとなりつつあります。

逆に言えば、IoTによってAIが成り立つことから、IoT市場は今後益々成長・発展し、新たな仕事が生まれるでしょう。

■ロボット分野 ロボット自体は比較的古くからありますが、ロボットにAIを搭載することでロボットは人間に近づいていきます。このAI開発・ロボット開発は新たな仕事を生み出すでしょう。

警備ロボット・機械を操作するロボット・ロボットを管理するロボット・介護士や看護師に代わるロボット・調理ロボット・教師ロボットなど、ありとあらゆる分野でAI搭載ロボットが開発され、このロボットに搭載されるAIの開発は我々エンジニアの主要な仕事の1つになっていきます。

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今後需要が増すIT職種

現在はDX推進が日本経済の大きな課題であり、「DX人材」の需要が高まっていますが、今後の需要は「AI人材」にシフトしていくでしょう。特に「AI人材」として注目度が上がっていくエンジニア職種は以下の通りと考えられます。

■AI開発エンジニア AIそのものの開発を行うエンジニアも必要ですが、システム開発にAI技術を組み込めるエンジニアへの期待が高まっていくでしょう。 システム化の目的は、ビジネスや業務の効率化や利便性向上にあります。効率化や利便性向上はAI技術を駆使することで飛躍的に高まることから、そうしたシステムへの期待が高まっていきます。

■データエンジニア AIはビッグデータによって深層学習を行い、進化していきます。またビッグデータ活用によって、ビジネスの革新が起きています。ビッグデータの分析や解析を行うデータサイエンティストは、企業の発展において一層重要な役割を期待されつつあり、その需要はさらに高まるでしょう。

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「シンギュラリティ」にかかわらずエンジニアは変化に対応しよう

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シンギュラリティが実際に起きるのか、起きるとしたらいつ起きるか、その答えはまだ見つかりません。しかし、未来に向かってパラダイムシフトは確実に起きつつあり、私たちエンジニアに求められるものも次第に変わっていくでしょう。

たとえば、AI開発に最も使われているプログラミング言語は「Python」です。他、R言語やC++も利用されています。私たちエンジニアは漫然とプログラミングを学ぶのではなく、時代の変化を認識し、目的意識を持って使用言語の選択を行い、キャリアパスを明確にすることが大切てす。

常に時代の変化を捉え、しっかりと将来を見つめて対策に努めるエンジニアを目指してください。

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