「クラウドエンジニアはきつい」って本当?
クラウド全盛の今、脚光を浴びるクラウドエンジニアですが、一方でSNSなどでは「きつい」「やめとけ」といった否定的な意見が一部にあります。クラウドエンジニアはインフラエンジニアの1つの職種ですが、役割や働き方はインフラエンジニアとは大きく異なります。それにも関わらず、インフラエンジニアと同じようなネガティブな声があるのはなぜでしょうか。
この記事では、クラウドエンジニアへの転職を目指すエンジニアのために、「クラウドエンジニアはきつい」の理由や真相に迫りますので、転職先を探す際の参考にして頂けると幸いです。
クラウドエンジニアは将来性のある人気の職種
クラウドエンジニアは、クラウド時代にマッチした比較的新しい職種で、将来性が高い人気の職種です。
三大クラウドサービスとしてAWS「Amazon Web Services)」、Azure「Microsoft Azure」GCP「Google Cloud Platform」がよく知られていますが、クラウドエンジニアとクラウドサービスは密接な関係があります。
また、AWSクラウドサービスを扱うエンジニアをAWSエンジニアとも呼びますが、AWSが圧倒的シェアを誇っている今日、クラウドエンジニアの代名詞がAWSエンジニアという声があるのも納得できます。
【参考】:クラウドエンジニアの仕事内容とは?今後の展望やスキル・資格について紹介|マイナビIT AGENT
クラウドエンジニアとは?
クラウドエンジニアはインフラエンジニアの1つの職種ですが、対象とするのはクラウド環境上のインフラです。クライアント向けにAWSなどのクラウド上でのサーバやネットワークの設計、構築支援を行います。
インフラエンジニアの業務範囲であるサーバやネットワーク機器の監視、運用、保守などはクラウド事業者が行いますので、クラウドエンジニアの仕事からは外れます。
クラウドエンジニアに必要なスキル
クラウドエンジニアとして働く上で必要なスキルや知識について解説します。ここでは特に重要とされるスキル要素について紹介していきます。非常に多岐にわたっていることが分かります。
1.ITインフラの設計・構築スキル クラウド上で主に利用されるサーバとネットワークについて、深い知識が必要です。未経験者には習得するのが難しいスキルですが、サーバーエンジニアやネットワークエンジニアの経験があると有利です。
2.セキュリティに関するスキル クラウド移行をためらう理由として、「セキュリティリスク」を挙げる企業が多いという実情があります。そのため、クラウドサービス事業者は万全のセキュリティ対策を講じており、クラウドエンジニアにはセキュリティに関する高いスキルが求められます。
情報セキュリティ関連の資格を有していると、クラウドエンジニアとしての市場価値は高まるでしょう。 【参考】:情報セキュリティ白書2020| P190-3.4クラウドの情報セキュリティ
3.クラウドサービスに関する知識・スキル 企業がクラウドサービスを利用する際、多くの企業はサービスメニューが充実した三大クラウドサービス(AWS、Azure、GCP)から選択するケースが多いでしょう。
クラウドサービスを紹介、提案し、実際にクラウド設計と構築を行う立場のクラウドエンジニアとしては、クラウド基盤やクラウドサービスに関する知識、スキルが欠かせません。
4.DevOpsに関する知識・スキル DevOpsはシステム開発側と運用側の連携を高め、システム全体の効率を高めることを目的とするモデルですが、特にクラウド環境において最大限の効果を得られるとされています。DevOpsに関する知識やスキルを有するクラウドエンジニアは高い市場価値を有しているとして重宝されます。
5.コミュニケーションスキル クラウドエンジニアはシステムエンジニアと同様に、クライアントの要求をヒアリングし、要件定義を行い、最適なクラウドインフラの設計と提案、構築を行います。またクラウド事業者や関係ベンダーとの調整なども行いますので、コミュニケーションスキルが求められます。
クラウドエンジニアに必要な資格
クラウドエンジニアになる上で資格が必須というわけではありませんが、資格はスキル証明となり、また企業によっては資格手当支給や昇進昇格の要件となることもあります。転職を有利に進める上でも資格取得をおすすめします。
ここでは特にクラウドエンジニアにおすすめの資格を3つ挙げましたので、未取得の方はぜひチャレンジしてみてください。
1.AWS認定資格 世界最大のクラウドサービス、AWSが主催するAWSクラウドに関する認定資格で、3つのレベル、12種類の試験があります。AWSエンジニアを目指す方は最低でも1つは取得しておきましょう。 【参考】:AWS認定|AWS
2.Microsoft Azure認定資格 マイクロソフトが認定するMCP資格に組み込まれた、IT技術・専門的知識を証明する資格です。 認定資格としては3つのレベルから構成され、Azureを利用する上で必要なさまざまな分野の知識が問われます。 【参考】:Microsoft認定資格|Microsoft
3.Google Cloud認定資格 Googleが主催する認定資格で、Google Cloudに関する知識やスキルを問う試験です。分野ごとに資格試験が分かれ、それぞれの分野でクラウド利用に関する専門知識、クラウドサービスの設計や実装、管理などの必要なスキルが問われる試験です。 【参考】:Google Cloud 認定資格|Google Cloud
クラウドエンジニアの年収
クラウドエンジニアの年収に関するデータは少なく、平均年収を示すのは困難です。ちなみに、転職サイトの「マイナビAGENT」で「クラウドエンジニア」を検索ワードして求人検索をすると、450万円から1,200万円の幅で求人が見つかりますので、高年収の職種と見ることもできます。
参考までにマイナビ エージェントの職種別平均年収ランキング※から、インフラエンジニアの1職種であるネットワークエンジニアの平均年収が載っていましたので以下紹介しておきます。
▪ネットワークエンジニア:455万円
【参考】:※IT・インターネット・通信 クラウドエンジニア(マイナビ エージェント)
「クラウドエンジニアはきつい」と言われる理由
どのような仕事でも「つらい」「きつい」は付きものです。クラウドエンジニアはインフラエンジニアの「きつい」というのとは少し意味合いが違うようです。
インフラエンジニアは夜勤や休日出勤が「きつい」原因として挙げられていますが、クラウドエンジニアは必ずしも夜勤や休日出勤が多いわけではありません。ではなぜ「きつい」と感じる人がいるのか、探ってみました。
クラウド移行案件の負担が大きい
クラウドエンジニアの仕事には、オンプレミスからクラウドへの移行案件があります。この仕事ではクラウド設計や移行計画書の作成、提案から移行完了まで数カ月を要するプロジェクトを任されます。企業の基幹システムのクラウド移行は絶対に失敗が許されません。
企業活動に対して致命的ダメージを与えるため、小さなミスも許されません。
この責任の重たさがストレスやプレッシャーとなって身に降りかかってくるのです。クラウドエンジニアはやりがいがある分、リスクも大きい仕事であり、これが「きつい」と言われる理由の1つです。
常に最新の技術が求められる
クラウド技術は急速に発展しています。AWSだけでも200を超えるサービスがあり、利用する企業ごとに最適なサービスを組み合わせて提供します。
クラウドエンジニアはこうしたクラウドサービスに関する知識やスキルに加え、サーバやネットワーク、セキュリティなど広範なインフラ知識を求められます。またクラウドエンジニアは絶対数が不足しており、引く手あまたの状況で仕事も多忙を極めます。
忙しい中で常に最新の知識や技術の習得が求められることから、寸暇を惜しんで勉強をする必要が出てきます。こうした面がクラウドエンジニアが「きつい」と言われる理由の1つです。
移行完了後もストレスから解放されない
苦労してやっとクラウド移行した案件でも、安心はしていられません。クラウドはさまざまな障害対策が講じられてはいますが、障害はゼロではありません。どのクラウドサービスでもSLA(Service Level Agreements)があり、可用性が担保されていますが、それらは決して100%ではありません。
時にはクラウドサービス側の不具合でサービス停止が起こり得ますが、一定の免責があります。そのため利用者側の影響が大きいと、移行に関わったクラウドエンジニアも何らかの形で火中の栗を拾うことになりかねません。
こうした事は頻繁に起こりませんが、移行後のストレスも「きつい」と言われる原因になっています。
【参考】:AWS サービスレベルアグリーメント
クラウドエンジニア職に就くメリット
クラウドエンジニアは「きつい」とされる理由について考察をしてみました。以上のように、クラウドエンジニアは責任の重たい職種であるが故に「きつい」と言われる職種だと理解できました。ここでは、そんなクラウドエンジニア職に就くメリットについてまとめました。
クラウドエンジニアの需要が高い
オンプレミスからクラウド移行の需要は、総務省調査※によると依然旺盛です。その背景にはDXブームによる企業システムの刷新や災害対策などがあります。このクラウド化を支えるのがクラウドエンジニアであり、その需要は高いことがメリットの1つです。
【参考】:※企業におけるクラウドサービスの利用動向|総務省令和2年版情報通信白書
クラウドエンジニアになるチャンス
AWS・Azure・GCPの台頭、政府方針のクラウドシフト※もあり、世の中はクラウドファーストの傾向がさらに強まっています。一方で、クラウドエンジニアの不足は顕在化しており、ネットワークエンジニアやインフラエンジニアがその代役を買ってでるという状況が続いています。
クラウドエンジニアは幅広い知識やスキルが求められ、なり手が少ない状況にあるため、逆に今がチャンスでもあります。
【参考】:政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針
クラウドエンジニアへのロードマップ
クラウドエンジニアはただ単に「きつい」だけの仕事ではなく、期待が大きくやりがいのある職種だと理解できました。では、どうすればクラウドエンジニアとして転職ができるのでしょうか?
もちろん未経験からでもクラウドエンジニアに転職することは可能です。クラウドエンジニアの求人には「未経験者歓迎」と書かれた求人もあります。
しかし、「未経験者歓迎」とあっても何らかのスキルは必要です。先ずはITインフラの基本を習得しておき、最低でも「シスコ技術者認定」や「Linux技術者認定資格」の初級レベル程度の資格は取得しておきましょう。
次にクラウド技術の習得を目指し、関連する資格の取得(例:AWS認定資格)などを取得しておくと良いでしょう。クラウドエンジニアは一朝一夕でなれるほど甘くはありません。この記事を参考にして、クラウドエンジニアになるための自分自身のロードマップを描き、1歩ずつ着実にスキルアップに努めましょう。
クラウドエンジニアは需要が高まっているおすすめの職種
クラウドエンジニアへの不安を払拭し、業界経験者がクラウドエンジニアを目指すには、膨大な求人の中からクラウドエンジニアとして活躍できるような求人を探すことです。
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