クラウドエンジニアがフリーランスになる方法とは?
クラウドエンジニアとは、クラウドサービスを利用してインフラやアプリケーションを構築・運用するエンジニアのことです。代表的なクラウドサービスとしては、Amazon AWS、Microsoft Azure、Google Cloudなどが知られており、クラウドエンジニアはクラウドサービスと密接な関係にあります。
クラウドエンジニアは、需要が高く、高い年収を得ることができる職種ですが、独立してフリーランスとして働くには、一定のスキルや経験が必要です。この記事では、クラウドエンジニアがフリーランスになるためのロードマップ、クラウドエンジニアの年収、フリーランスになるデメリットとメリットなどを紹介します。
クラウドエンジニアを目指している方、将来フリーランスとして活躍したい方、ノマド生活にあこがれている方はぜひ参考にしてください。
【参考】:政府情報システムにおけるクラウドサービスの適切な利用に係る基本方針|デジタル庁) 【参考】:アマゾン ウェブ サービス(AWS クラウド) 【参考】:クラウド コンピューティング サービス | Microsoft Azure 【参考】:クラウド コンピューティング サービス | Google Cloud
フリーランスエンジニアとは?
フリーランスエンジニアは、企業などの組織に属さず、独立して個人で働くエンジニアのことです。フリーランスエンジニアの働き方としては、大別すると以下の2通りの働き方があります。
▪在宅ワーク 在宅ワークはその言葉どおり、案件を受注したら、自宅などからリモートで作業を請負います。小規模案件であれば、1人で請け負うこともありますが、中規模以上の案件で、プロジェクトメンバーの一員として参加するケースもあります。大企業の受注が難しく、個人交渉のため買い叩かれるリスクがあります。
▪客先常駐型 現場常駐型とも呼ばれる方式で、受注企業に直接出向いて、客先や客先が利用しているクラウドサービスで作業を行います。大手受注案件の場合は、在宅ワークよりも高額の報酬を得られることが少なくありません。
大型のプロジェクトが少なくないこと、他の工程とも関連する作業が発生すること、クライアントとの人間関係を築きやすく、長期契約になるケースが少なくないことなどから、高額報酬や安定収入が期待できます。
フリーランスエンジニアになる方法
どのようにすればフリーランスエンジニアになれるのでしょうか。
フリーランスは個人事業主であり、自営業と同じであるため、都道府県税事務所に「個人事業の開廃業届出書」を提出することが第1歩です。確定申告は自分自身で行わなければなりません。
健康保険は国民健康保険に加入し、年金は厚生年金から国民年金に加入します。それぞれの保険料、住民税、所得税は給与天引きではなく自分で支払います。
一見面倒に思えますが、フリーランスとして独立する以上は避けて通れません。
【参考】:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁
フリーランスエンジニアが受注する方法
フリーランスエンジニアになる上で、最大の不安は受注や契約でしょう。企業に属していれば、営業社員が仕事を取ってきてくれますが、フリーランスは基本的に自分で仕事を取ってこなくてはなりません。
政府統計にも示されている通り、ITエンジニアは慢性的に不足しており、クラウドエンジニアも絶対数が足りていません。では、どのように仕事を受注するのかについて見ていきましょう。
【参考】:総務省|令和3年版 情報通信白書|ICT人材の不足・偏在
■ 人脈を利用する 在職中に築いた人脈、ネットワークを利用します。古巣や取引先に声をかけておくことで案件の依頼が発生することがあります。
■ クラウドソーシングサービスを利用する クラウドソーシングサービスとは、仕事を依頼したいクライアントが案件を掲示し、フリーランス側は気になったものがあれば応募できるという仕組みです。応募があった中からクライアントは気になったフリーランスにコンタクトをとり、お互いに納期や単価などのすり合わせが完了したら受注となります。
■ フリーランスエージェントを利用する フリーランスエージェントとは、フリーランス向けの案件紹介サービスです。エージェントは、自分のスキルや希望する働き方を登録することで、自分にぴったりの案件を紹介してくれます。交渉や調整などをエージェントが代わりにやってくれるため、開発業務に専念できます。
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クラウドエンジニアがフリーランスになるためのロードマップ
クラウドエンジニアがフリーランスになるためには、ステップ・バイ・ステップで進むためのロードマップが必要です。ここでは、次の4つのステップをおすすめします。基本から順を追って記載していますが、基礎が身に付いている人は第2ステップから進みましょう。
すでに副業をしているクラウドエンジニアは、スキルの裏付けとなる資格を取得し、いきなりフリーランスを目指すのもよいでしょう。各ステップでは利用をおすすめする書籍や、取得しておきたい資格を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
ステップ1:インフラの基礎知識を学ぶ
クラウドエンジニアになるためには、Linuxやネットワークなどインフラの基礎知識を学ぶ必要があります。例えば、Linuxのコマンドやネットワークを構築する知識が必要です。クラウドでの構築もオンプレでの構築も流れは同じです。
ネットワークを利用して、サーバを構築するという流れになります。インフラの基礎知識を学ぶには、本やオンライン教材などを利用するのがおすすめです。例えば、次のような本や教材があります。
■ 『Linux標準教科書』 初心者の方がLinuxの基本的な操作や設定など、基礎から学べる本です。本教材は試験対策の教材ではありませんので、LinuCの資格の受験対策には、レベル1からレベル3までの試験に対応する参考書を入手しましょう。
▪著者:宮原徹、川井義治 、岡田賢治 、佐久間伸夫 、遠山洋平 、田口貴久 その他 ▪出版社:LPI-Japan ▪ページ数:251ページ ▪出版日:2021年11月1日
【参考】:Linux標準教科書|LPI-Japan
ステップ2:クラウドサービスの知識とスキルを身につける
インフラの基礎知識が身についた方は、クラウドサービスの知識とスキルを身につけましょう。クラウドサービスとは、インターネットを通じてサーバーやストレージなどのリソースを提供するサービスのことです。クラウドサービスには、AWSやAzure、GCPなどがあります。
クラウドサービスの知識とスキルを身につけるには、次の教材をおすすめします。
■ 『図解 Amazon Web Servicesの仕組みとサービスがたった1日でよくわかる本 』 AWSの入門書です。本書では、クラウドやネットワークの基礎から、AWSの主要なサービスや機能を豊富な図解とわかりやすいテキストで解説しています。AWSの初学者にとって、AWSの基本を一気に身につけることができる、おすすめの本です。
▪著者:NRIネットコム株式会社、上野 史瑛、 小林 恭平 ▪出版社:SBクリエイティブ ▪ページ数:260ページ ▪出版日:2022年2月2日
【参考】:図解 Amazon Web Servicesの仕組みとサービスがたった1日でよくわかる本
■ 『独学合格 AWS認定クラウドプラクティショナー テキスト&問題集』 AWSクラウドの基本から主要なサービスや機能を図解とテキストでわかりやすく解説している本です。AWS認定資格の中でも、特に「AWS認定 クラウドプラクティショナー」の試験対策に有効で、試験のポイント解説や練習問題などが豊富に用意されています。
▪著者: アクセンチュア株式会社、青柳 雅之、酒井 大吉、田中 宏樹、烏山 智史 ▪出版社:カドカワストア ▪ページ数:336ページ ▪出版日:2024年01月30日
【参考】:独学合格 AWS認定クラウドプラクティショナー テキスト&問題集
ステップ3:クラウドエンジニアの資格を取得する
クラウドサービスの知識とスキルが身についたら、クラウドエンジニア関連の資格を取得しましょう。資格は、自分のスキルを証明するだけでなく、案件獲得や年収アップにも有効です。クラウドエンジニアの資格には、次のようなものがあります。
■ 基本情報技術者試験 基本情報技術者試験は、ITエンジニアの基本的な知識とスキルを測る国家試験です。試験の出題範囲は、テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の3つの分野に分かれています。すでに基本情報技術者試験に合格している方は、その上位資格である「応用情報技術者試験」の取得をおすすめします。
【参考】:基本情報技術者試験(FE) 【参考】:応用情報技術者試験(AP)
■ AWS認定クラウドプラクティショナー AWSの基礎的な知識とスキルを証明する資格です。AWSの認定制度の中で最も初級レベルの資格で、クラウドの概念やセキュリティ、テクノロジー、請求と料金などの分野についての理解が問われます。
【参考】:AWS Certified Cloud Practitioner 認定 | AWS 認定 | AWS
■ AWS認定ソリューションアーキテクト AWSのクラウドサービスを用いて、セキュアで強固なアプリケーションを設計・デプロイするための知識とスキルを証明する資格です。アソシエイトレベルとプロフェッショナルレベルの2種類があります。
アソシエイトレベルは、1年程度のAWSクラウドの経験者を対象とし、プロフェッショナルレベルは、2年以上のAWSクラウドの経験者を対象としています。
【参考】:AWS Certified Solutions Architect | Associate 認定|AWS 【参考】:AWS Certified Solutions Architect | Professional 認定|AWS
ステップ4:クラウドエンジニアとして学べる企業に入る
クラウドエンジニアとして知識やスキルが身についても、実践力がなければフリーランスとして活躍するのは難しいでしょう。
在籍している企業でクラウドエンジニアとしてスキルを磨くのが難しければ、転職してスキルアップを図る道を検討しましょう。社員教育に熱心な企業、資格取得に報奨金を出したり、資格手当を支給する企業も少なくありません。こうした企業で経験を積むことがフリーランスへの近道と言えます。
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クラウドエンジニアの年収
クラウドエンジニアは比較的新しい職種ですが、クラウドエンジニアの年収がどの程度なのかについて見ておきましょう。
クラウドエンジニアの年収は「マイナビエージェント 職種図鑑」から、近しい職種の「ネットワークエンジニア」の年収を参考にすると、20代の平均年収は380万円、30代では427万円です。(2023年11月執筆時点)
経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から、近いと思われる職種の「IT保守(顧客向け情報システムの保守・サポート)」を参考にすると、平均年収592万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、クラウドエンジニアは一般平均年収と同程度だと分かります。
クラウドエンジニアは今後さらに需要が高まっていくことも想定され、専門性を磨いてキャリアアップを目指し、フリーランスとして活躍することでさらなる年収アップを図れるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月から2020年12月の間でマイナビエージェントに登録いただいた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
フリーランスになるデメリットとメリット
フリーランスのクラウドエンジニアになると、どのようなデメリットやメリットがあるのかについて確認しておきましょう。フリーランスになるかどうかの判断は、自分のスキルや目標、ライフスタイルなどによって異なります。
フリーランスになる前に、メリットとデメリットをしっかりと比較検討し、自分に合った働き方を選ぶことが大切です。
デメリット
デメリットとしては、以下のような点があります。フリーランスを目指している方は、こうしたデメリットを想定し、いかにデメリットをメリットに変えるのか、その対策を意識しておきましょう。
■ 収入が不安定 フリーランスは一般的なサラリーマンとは異なり、仕事の量や質によって収入が変動しやすいです。仕事が少ない期間や、病気や怪我などで働けない時には収入が途絶えるリスクが想定されます。
■ 自己責任で仕事を管理 フリーランスは自分で仕事を探したり、クライアントとの直接交渉や契約をしたりする必要があります。また納期や品質を守らなければなりません。そこでミスやトラブルが起きると大きな損害を被る可能性もあります。
■ 孤独になりやすい フリーランスは1人で仕事をすることが多い働き方です。特に在宅ワークの場合は、職場の同僚や上司とのコミュニケーションがなくなります。これは、仕事のやりがいやモチベーションを低下させるだけでなく、精神的なストレスや孤独感を感じる原因になる可能性があります。
メリット
フリーランスを目指す人の多くは、このメリットを最大限に追及することがモチベーションとなっています。デメリットを減らし、メリットを最大化する方法をあらかじめ検討しておきましょう。
■ 自由度の高い仕事ができる フリーランスは自分の好きな時間や場所で働くことができます。特にクラウドエンジニアはインターネット環境が整っていればどこでも仕事ができるため、その分自由度が高いと言えます。自らのライフスタイルに合わせてスケジューリングできます。
■ 自分の得意分野を活かせる フリーランスは自分の得意分野や興味のある案件を選択できます。仕事は自分で探して選択できるため、自分のスキルや経験に合った案件を選べます。また、チャレンジングな案件を選択し、新しい技術やトレンドに挑戦することができます。
■ 高収入を得られる可能性がある フリーランスは自分で単価を決められるため、企業などからマージンを引かれない場合にはサラリーマンよりも高い報酬を得られる可能性があります。特に需要が高く、競争力があるクラウドエンジニアは高単価の案件を獲得できる可能性が高まります。
フリーランスのクラウドエンジニアを目指す
ここまで、クラウドエンジニアからフリーランスエンジニアを目指す方法について解説しました。まずはクラウドエンジニアになるためのロードマップを描き、実力を蓄えることが重要です。
フリーランスのクラウドエンジニアになるには、教育制度が整っているスキルを磨けるような企業に就職するのが近道です。しかし、数ある募集案件から条件に合う企業を見つけ出し、企業へのアプローチ、面接対策などすべて独力で行うのは簡単なことではありません。
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