社内SEがつらいと感じる理由
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社内SE(システムエンジニア)は、一箇所で腰を据えて仕事ができる職種として人気が高いイメージがあります。その一方で、SNSでは「つらい」といった否定的な声が散見されるため、社内SEを目指している方は不安に感じることもあるでしょう。
社内SEは、社内システムの管理やトラブル対応、IT戦略の策定など多岐にわたる業務を担当するため、責任が重い仕事が多い傾向にあります。特にトラブル時には迅速な対応を求められるため、プレッシャーを感じる局面があることも、「つらい」と感じる要因の1つと考えられます。
この記事では、「社内SEはつらい」と言われる理由やその対策について解説します。併せて、社内SEの仕事や求められるスキル、役立つ資格も紹介します。未経験者も含めて、社内SEを目指す方はぜひ参考にしてください。
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社内SEはおすすめの職種?
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一般的なITエンジニアの悩みとしては、「納期に縛られる」「土日出勤や深夜勤務がある」「クライアントに気を遣う」といったものがありますが、社内SEはそうした悩みが少なく、知名度が高い大企業や、処遇の良い企業の社内SEは、恵まれた存在に見られがちです。
しかし、現実には社内SEならではの悩みはあり、つらいと感じる人、後悔する人も少なからずいます。まずは、つらいと感じることについて正しく把握してみると、実は解決が可能かもしれません。
また、企業によっては即戦力よりも適性を重視し、スキルは入社してから身につけるという考えのところもあります。そうした点から、企業によっては社内SEはおすすめの職種と言えるでしょう。
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社内SEの仕事と年収
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社内SEの仕事は、一般的なSEと何が異なるのでしょうか?具体的な仕事内容について見ていきましょう。また併せて、社内SEの年収についても確認してみましょう。
社内SEの仕事
社内SEは、企業内のIT関連業務を専門的に担当する職種です。一般的なエンジニアと異なり、主に自社のシステムやネットワーク環境に関わる仕事を行います。
■ ITインフラの運用と保守 社内SEの主な仕事として、社内ITインフラの運用と保守があります。社員が利用するパソコンやプリンターなどの調達や、社内ネットワークインフラの調達と管理、サーバなどの管理と保守など多岐に渡ります。またクラウドサービスを利用している企業では、クラウド側の管理も仕事の範囲です。
■ 社内システムの企画・開発・運用 社内SEは、IT戦略の立案、企業内の様々な基幹システムの企画、開発、運用まで幅広く担当します。開発や運用は外部委託するケースが多いですが、外部委託先の管理責任があります。またプロジェクトによっては、プロジェクトリーダーを任されることもあります。
■ セキュリティ管理 近年、社内SEの重要な仕事として、情報漏えいやサイバー攻撃を防ぐためのセキュリティ対策があります。社内のセキュリティポリシーの策定と運用に加え、人事部などと連携して社員向けセキュリティ教育の実施まで行うこともあります。
■ システムサポート・ヘルプデスク 開発・導入したシステムの社内展開、ユーザの教育やサポートも社内SEの仕事の範囲に含まれます。社員からのIT関連問い合わせへの対応、社内システムやアプリケーションの使用方法のサポート、新しいITツールやシステムの導入時のトレーニングなどがあります。
社内SEの年収
社内SEの年収はどの程度なのでしょうか。前述のように社内SEの仕事は多岐に渡り、また業種や企業規模によっても異なりますが、社内システム企画を一例に、平均的な年収を紹介していきます。
「マイナビエージェント 職種別平均年収ランキング」での「社内システム企画」の平均年収は512万円(※2024年12月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から「IT運用・管理(顧客情報向け情報システムの運用)」を参考にすると、平均年収608万円と分かりました。
国税庁2020年発表の民間給与実態統計調査における民間企業平均年収は433万円なので、社内SEは一般平均年収よりも、やや高いことが分かります。社内SEとして専門性を磨いたり、マネジメント職を目指したりすることで、さらなる年収アップが望めるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント 職種別平均年収ランキング ※【平均年収 調査対象者】2020年1月から2020年12月の間でマイナビエージェントに登録いただいた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
社内SEがつらいと言われる理由
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社内SEは、企業内のIT環境を支える重要な役割を担っていますが、その業務内容や環境に由来する課題から「つらい」と感じる人も少なくありません。以下に、社内SEがつらいと言われる理由について解説します。
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幅広すぎる業務範囲
社内SEは、ITインフラの構築から保守、ヘルプデスク対応、システム開発、さらには経営戦略に基づくIT戦略の提案まで幅広い業務を求められます。特に中小企業では担当者が少ないため、1人で多岐にわたるタスクを処理する必要があり、また専門外の分野の対応を求められるケースもあります。
トラブル対応のストレス
システム障害やネットワークトラブルは時間に関係なく突然発生し、迅速な対応が求められるため、プライベートや休憩時間まで削られることがあります。また業務に直結するシステム障害や、顧客など社外に影響する障害では、迅速かつ正確な対応が求められることから、精神的負担が大きくなります。
社内での理解不足
IT知識が少ない社員や経営陣が、社内SEの業務内容やその重要性について理解が不足しているケースがあります。そのため、短期間での開発や無理なコスト削減を求められたり、システムが正常に動作して当たり前と思われたり、社内SEの成果が認識されにくい側面があります。
キャリアの見通しが曖昧
社内SEは、外部のIT企業やエンジニア職と比較してキャリアパスが限定されていると感じる人もいます。特定の業務(社内システムやインフラ管理など)に特化してスキルの偏りが生じ、転職時に汎用性が低くなる場合があります。
また、エンジニア職としての道を進むべきか、管理職を目指すべきか迷うこともあるようです。
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迅速な技術進化への対応
IT業界では新しい技術が次々と登場します。クラウド技術やセキュリティ対策など、新たな知識の習得が求められたり、社内のIT予算の不足から新しい技術を導入できなかったり、技術面での様々な対応が求められます。
社内SEのメリット
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社内SEは時に「つらい」と言われてしまう職種ですが、実は勤務する企業によっては様々なメリットも期待できます。では、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
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安定した雇用環境
社内SEの多くは正社員として採用されるケースが多いため、安定した収入や福利厚生を期待できます。また社内システムは業務遂行に重要な位置づけにあり、その管理を担う社内SEは企業の存続に不可欠な存在です。DX推進などの課題もあり、経営層からの期待が次第に大きくなっています。
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働きやすい労働環境
社内SEはITベンダーやSIerに比べて、納期に追われることが少なく、相対的に残業が少ないと言えます。また社内SEは、所属企業の内部業務に特化していることから、比較的他拠点や他部署への異動が少ない傾向があります。
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業務の多様性と自己成長
社内SEはインフラ整備や、業務システムの開発、セキュリティ対策、ヘルプデスク対応など、多岐にわたる業務を担当することから、新しいスキルや知識を習得する機会が多くあります。また、IT戦略の立案や業務効率化の提案などを通じ、経営視点を学べます。
ユーザと近い距離で働ける
社内SEは、システムを利用する従業員と連携して業務を行うため、ユーザのニーズや課題をリアルタイムで把握しやすい立場にあり、システム構築や改善の達成感を得る機会が多くあります。また、問題解決や業務改善を通じて現場の方から感謝されることが多い仕事でもあります。
ワークライフバランスの向上
ITベンダーとは異なり、社内SEは特定の顧客対応が不要なため、想定外の要求が少なく、また緊急対応が少ない傾向にあります。また社内の中長期的なIT戦略を立案・実行する立場のため、自分のペースで仕事を進めやすく、ワークライフバランス面の充実を期待できます。
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社内SEが仕事を楽しむためのコツ
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ここまで、社内SEが仕事を「つらい」と感じる理由やメリットについて解説しました。ここでは、社内SEの仕事を楽しむためのコツについて紹介します。
仕事のやりがいを見つける
仕事のやりがいはどういった時に感じるのでしょう。多くは、仕事をやり遂げた時の達成感、上司や他者からの評価などがあります。
最初は小さな目標でも構いませんので、仕事の目標を明確にし、小さな成果を得ることから始めましょう。その小さな成果が大きな成果になっていけば、やりがいに繋がります。
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ワークライフバランス
仕事とプライベートのメリハリを付け、休暇や趣味を楽しむようにしましょう。完璧を目指して仕事でストレスを溜めていないか、休暇や家族との生活を犠牲にしていないかなど、自分自身の生活を振り返り、見つめ直すと良いでしょう。
ストレス解消法
仕事でストレスが溜まると、仕事がつらくなります。まずはストレスを溜めないよう、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。温泉に浸かる、睡眠時間を増やす、趣味を見つける、友人と過ごすなど、自分に合うストレス解消法を見つけてみましょう。
相性の良い企業に転職する
生き生きと仕事に打ち込める環境では、多少つらいと感じる仕事でさえ楽しく感じられるものです。反対に、職場環境が合わないと感じると、やりがいのある仕事もつらいと感じてしまうでしょう。仕事に行き詰まった場合は、思い切って転職を視野に入れても良いかもしれません。
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社内SEに役立つおすすめの資格
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社内SEとして転職するには、IT関連のスキルを証明できる資格の取得が有利に働きます。比較的取得しやすく、知名度の高い国家資格を3つ紹介します。
ITパスポート試験(IP)
ITの基礎知識を持つすべての社会人・学生向けの試験で、 IT全般、経営管理、セキュリティ、データベースなどの基礎を学びます。ITの基本知識が証明されるため、非技術者とのコミュニケーションをスムーズに行う上で有効な資格です。既に取得している方は、上位資格の「基本情報技術者試験」に挑戦しましょう。
【参考】:ITパスポート試験(IP)
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基本情報技術者試験(FE)
IT分野に入門し、プログラミングやシステム設計などのスキルを高めたい方におすすめします。プログラミング、ネットワーク、アルゴリズム、データ構造、セキュリティなど、IT技術の基本が網羅されており、開発・運用だけではなく、IT戦略策定時の基礎知識としても活用が可能です。
既に取得済みの方は、上位資格の「応用情報技術者試験」に挑戦しましょう。応用情報技術者資格は、転職時の強い味方となります。
【参考】:基本情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 【参考】:応用情報技術者試験 | 試験情報 | IPA
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情報セキュリティマネジメント試験(SG)
セキュリティリスクに関する知識を深めたい方を対象とし、情報セキュリティ管理、リスク分析、セキュリティ対策の策定・実施方法などについて学べます。サイバー攻撃への対策、社内ネットワークのセキュリティ強化、情報漏洩防止などに役立つ資格で、比較的難易度の低い試験です。
この資格を取得することで、セキュリティ担当の社内SEとしても活躍ができますが、キャリアチェンジを目指す場合にも有効な資格です。
【参考】:情報セキュリティマネジメント試験 | 試験情報 | IPA
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憧れの社内SEを目指して転職を成功させよう
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ここまで「社内SEはつらい」と言われる理由、社内SEの仕事や年収、メリットについて紹介してきました。社内SEは他のエンジニア職種と比較して、募集人数が少ないイメージがあり、社内SEへの転職が難しいのではと不安を覚える方がいるかもしれません。
企業によっては求める社内SEの人物像が異なり、自分に合う優良企業を見つけるのは困難です。また、仕事をしながら資格試験に挑戦し、さらには企業研究や面接対策など、転職活動でやるべきことは数多くあります。
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