Excelの掛け算とは?
掛け算を行う際に、電卓ではなくExcel(エクセル)を利用することがありますが、それは電卓よりもExcelで行った方が便利だからです。Excelはビジネスや日常生活において多くの人に活用されている強力なツールであり、なかでも掛け算は最も基本的な計算の1つです。
本記事では、Excelを使用した掛け算の基本的な方法について、わかりやすく解説します。初めてExcelを使う方にも理解しやすいように、図を交えて丁寧に説明しますので、Excelが苦手な方、もっとExcelを活用してみたい方はぜひ参考にしてください。
【参考】:Excel のヘルプとラーニング|Microsoft サポート
Excelで掛け算を使うメリット
Excelで掛け算を使うと、様々な場面で効率的に作業を進めることができますが、具体的にはどのようなメリットがあるか、1つずつ見ていきましょう。
計算の自動化
人手による計算は、数字の打ち間違いや計算ミスが起こりやすいですが、Excelで数式を設定すれば、数字を入力するだけで自動的に計算してくれるため、ミスを大幅に減らすことができます。
また、複雑な計算や大量のデータを扱う場合には、Excelの掛け算機能を使うことで、手計算に比べて圧倒的に短時間で計算結果を得ることができます。
データの分析・活用
Excelでは商品単価と販売数を掛け算することで、売上の予測を行うことが可能です。また単価と数量を掛け算することで、製品の原価を計算できます。他、利益計算や統計分析など、経営や業務に必要なデータ分析や活用を容易に行えます。
表の作成・管理
Excelは元々表計算ソフトと呼ばれ、掛け算などを用いることで、複数の条件に基づいた複雑な表を作成できます。またデータが変更された場合でも、計算結果が自動的に更新されるため、常に最新の情報を反映した表を維持できます。
業務の効率化
企業の業務では定常的に行う決算処理や、在庫管理、生産と販売計画など様々な計算を必要とする業務があります。Excelではこうした計算式をあらかじめ用意することで、様々な業務の効率化を図れます。
Excelの掛け算の基本
ここでは、おさらいを兼ねてExcelの掛け算について基本を確認していきます。
掛け算の記号
Excelで掛け算を行う際には、「*(アスタリスク)」という記号を使用します。この記号は、他の多くのプログラミング言語やソフトウェアでも掛け算のシンボルとして使用されているため、広く認識されています。アスタリスクは小文字で入力しますが、誤って大文字で入力しても自動的に小文字に変更されます。
【具体例】 例えばセルA1に「5」、セルB1に「3」と入力し、セルC1に「=A1*B1」と入力すると、セルC1には「15」と表示されます。ここで使用されている「*」が掛け算を行うための記号です。このように、簡単な数式で掛け算を行うことができます。
基本的な掛け算のやり方
Excelではセルに数値を直接入力し、数式を用いて掛け算を行うことができます。以下の手順で行います。
①掛け算を行いたいセル(例:A1、B1)に数値を入力します。 ②掛け算の結果を表示したいセルに、「=A1*B1」のように数式を入力します。 ③Enterキーを押すと、結果が表示されます。
この方法は、2つのセルの数値を単純に掛け合わせる最も基本的な方法です。特に複雑な計算が必要ない場合には、この方法で行うのが一般的です。
セル参照を使った掛け算
セル参照を使用すると、Excelの計算をより柔軟に行うことができます。ここでは、相対参照と絶対参照という2つの概念についても説明します。
■ 相対参照 セルを参照するとき、その参照先は数式が入力されているセルの相対的な位置によって決まります。例えば、セルE3に「=C3*D3」を入力して、その数式を下にコピーすると、E4には「=C4*D4」という数式が自動的に適用されます。これが相対参照です。
【相対参照の例】 相対参照を使って、セルE3に「=C3*D3」と入力し、これをセルE4やE5にコピーすると、それぞれ「=C4*D4」や「=C5*D5」として計算されます。
■ 絶対参照 セル参照の位置を固定したい場合には、「$」を使用します。例えば、セルA1を絶対参照するには「$A$1」と入力します。これにより、他のセルに数式をコピーしても、A1セルだけが常に参照されます。
【絶対参照の例】 一方、絶対参照を使えば、例えばD3セルに「=$A$2*B1」と入力すれば、どこに数式をコピーしても「A2」を固定して計算できます。
PRODUCT関数を使った掛け算
列ごと掛け算したい、複数のセルを1度に掛け合わせたい場合に使う関数名はPRODUCT関数です。この関数を使用すると、範囲内の複数のセルや列全体をまとめて掛け算できます。数値が多い場合や、手動で掛け算を行うのが面倒な場合に役立ちます。
まとめて足し算を行う場合にはSUM関数、まとめて掛け算する場合はPRODUCT関数と覚えておくと良いでしょう。
【参考】:PRODUCT 関数|Microsoft サポート
■ 基本構文 PRODUCT関数では次のように、かっこ内に数値1, 数値2, ...など掛け合わせたい数値を直接入力するか、セル範囲を「A1:A3」というように指定します。
=PRODUCT(数値1, 数値2, ...)
【PRODUCT関数の例】 例えば、A1からA3までのセルに入力された値(例:10,15,2)を掛け合わせる場合、C1に「=PRODUCT(A1:A3)」と入力すると、結果は「300」となります。このように、PRODUCT関数は多くのセルの掛け算を効率的に行うことができます。
その他の便利な機能
Excelには掛け算をさらに効率化するための便利な機能がいくつかあります。ここでは、「オートフィル機能」「桁数調整」「エラー処理」「自動計算」について解説します。
■ オートフィル機能 オートフィル機能を使うと、1つの数式を複数のセルに自動的に適用できます。例えば、E3に「=C3*D3」と入力した後、E1セルの右下にカーソルを合わせ、黒十字マーク(フィルハンドル)が表示された状態でドラッグすると、他のセルにも同じ計算式が適用されます。
これがオートフィル機能で、これを利用することで手動で数式を都度入力する手間が省けます。
【参考】:「オートフィル」機能で繰り返しのデータ入力を自動化 | Microsoft for business
■ 桁数の調整 Excelでは小数点以下の桁数を簡単に調整することができます。セルの書式設定を使用して、表示される小数点の桁数を増減できます。これにより、計算結果の表示をより見やすくできます。
方法は、小数点の桁数を設定したいセルを選択し、Excelの右上にある書式アイコンをクリックします。表示形式タブを選択し、左の分類から「数値」を選び、右画面の「小数点以下の桁数」欄で、桁数を指定し、下の[OK]ボタンをクリックします。
この例では、E5セルの売上額15000が「15000.00」と小数点以下2桁まで表示されています。他にセル書式を変更するだけで、パーセント表示や時刻表示など様々な書式に容易に変更できます。
■ エラー処理 Excelで計算を行う際、エラーが発生することがあります。例えば、数式で除数が0になると「#DIV/0!」エラーが表示されます。掛け算でも数値以外の文字が含まれていると、「#VALUE! 」エラーが表示されます。こうしたエラーは、「IFERROR」関数を使用すると、エラーを特定の値やメッセージで表示することができます。
【具体例】 Excelでは計算エラーが起きると、独特なエラーが表示されます。以下の例では割り算で分母がゼロのため、「#DIV/0!」というゼロ割エラーが表示されていますが、初心者やExcelに不慣れな人にとっては意味不明でしょう。
「=IFERROR(A1/B1, "エラー")」と入力すると、B1セルが0の場合には「エラー」という文字が表示されます。このようにしておくと、エラー発生時の対処が簡単になります。
【参考】:IFERROR 関数 |Microsoft サポート
■ 自動計算できない Excelは計算式を組み込んでおくだけで、数値を入れると再計算機能により、自動的に計算してくれる点が便利です。基本的にExcelの計算方法の設定は「自動」ですが、自動計算できない場合には、これが手動になっていることがあります。その場合には、数式タブの「計算方法の設定」を確認しましょう。
Excelの掛け算を活用しよう
ここまで、Excelにおける掛け算の基本から応用までを解説してきました。アスタリスク(*)を使ったシンプルな掛け算から、PRODUCT関数を使った複数のセルの計算、セル参照の活用方法、さらには便利な機能まで幅広く紹介いたしました。
初心者の方でも、Excelを使って効果的に掛け算を行うための基礎知識を学べたのではないでしょうか。今後さらに学びを深めたい方は、Excelの公式ドキュメントやオンラインチュートリアルを参考にし、ここで解説した掛け算以外の四則演算や統計関数なども学習することをおすすめします。
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