PDFをExcelに変換する
PDF(Portable Document Format)とは、Adobe社が開発した電子文書のファイル形式で、紙に印刷したようなレイアウトで文書を保存・表示することができます。閲覧や印刷にPDFは便利ですが、データの編集や、分析には不向きです。
しかしPDFをエクセルに変換することで、データを効率的に編集・解析でき、PDFのデメリットが解消されます。この記事では、PDFファイルをExcelに変換する方法とその注意点について解説します。
【参考】:PDFファイルをエクセルに変換したい|Microsoft コミュニティ
PDFをExcelに変換する理由
実際にPDFをExcelに変換したいケースとは、どのような場合なのでしょうか?ここでは、PDFをExcelに変換して利用する3つのケースについて、1つずつ見ていきましょう。
■ データを編集したい場合 一旦作成したPDFの数値やテキストを修正したい時、Excel形式に変換することでExcelの機能を使用でき、編集が便利になります。
■データを他のソフトで利用したい場合 Excel形式に変換することで、PDFをエクセルに取り込むことが可能になり、BIツールなどでデータを分析をしたり、他のソフトでデータ活用したりすることが可能になります。
■データを分析したい場合 PDFに含まれている数値データをExcelで整理して、新たにグラフを作成したり、統計分析を行ったりして、Excelの機能をフルに活用することが可能になります。
PDFをExcelに変換するために必要なもの
PDFをExcelに変換する上で、必要なものを確認しておきましょう。変換するのに必須になるものと、あると便利なものに分けて挙げてみました。
必須となるもの
PDFをExcelに変換するために必須となるのは、データ分析などに利用できるPDFファイルとExcelソフトです。それぞれ詳しく見てみましょう。
■変換して利用したいPDFファイル 変換元となるPDFファイルです。画像主体のファイル、複雑なレイアウトのファイル、パスワードロックされたファイル、セキュリティ設定されたファイルは避けた方が良いでしょう。
■Excelソフト 変換後のデータを編集するためのExcelソフトで、Microsoft Excelが一般的です。Microsoft Excel 2016以降をおすすめします。またWindowsを利用する場合は、サポート期限内にあるWindows10もしくはWindows11をおすすめします。
あると便利なもの
PDFをExcelに変換するために必須となるもの以外に、あると便利、あった方が良いものがいくつかあります。それぞれ見てみましょう。
■PDF閲覧ソフト Adobe Acrobat ReaderなどのPDF閲覧ソフトがあると、PDFファイルの内容を確認することができます。
■PDF変換ソフト Adobe Acrobat ProなどのPDF変換ソフトを使用すると、より高精度な変換が可能です。
■オンライン変換ツール iLovePDFなどのオンラインツールを利用すると、手軽にPDFをExcelに変換できます。
■インターネット環境 オンラインツールを利用したり、ツールをダウンロードしたりする場合はインターネット環境が必要です。
PDFのExcel形式への変換方法
PDFファイルをExcel形式に変換する方法を紹介します。ここでは、できるだけ費用をかけず、誰もが簡単に変換できる方法を中心に紹介していきます。
Adobe Acrobat Proを利用する
Adobe Acrobat Proは、PDFを編集・変換するための強力なツールです。無料版は有料版を購入する方向けのお試し版で、利用できるのは7日間です。購入しない場合は、7日以内に解約手続きを行う必要があります。
【参考】:Adobe Acrobat Proをダウンロード:包括的なPDFソフトウェア | Adobe Acrobat
1. Adobe Acrobat Proを開く Adobe Acrobat Proのホーム画面から、「変換」の「PDFを書き出し」を選択します。
2. 「PDFを書き出し」を選択する 「PDFを書き出し」を選択すると、「PDFをMicrosoft Officeファイル、画像などに変換します。」と表示された画面が開きますので、[ファイルを選択]ボタンをクリックします。
3. 「変換」オプションを選択する Excel形式にしたいPDFファイルを選択したら、「変換」メニューから「Microsoft Excel」を選択し、続いて[XLSXに変換]のボタンをクリックします。PDFファイルはあらかじめAdobeのサイトからサンプルPDFをダウンロードしておいたので、これを利用します。
4. Excel形式のファイルに書き出しを行う 「名前を付けて保存」の画面が表示されたら、変換先のフォルダを指定します。デフォルトは「最近使用したフォルダに保存」となっていますが、右下の「別のフォルダーを選択」をクリックし、任意のフォルダを選び、分かりやすいファイル名を付けて保存しましょう。
5. Excelファイルを確認する 変換するPDFファイルの容量や画像量などによって異なりますが、変換には数分程度を要します。変換が済むと自動的に変換後のExcelファイルが開きますので、確認したら必要に応じて不要な箇所を削除するなどの編集を行います。
Googleドキュメントを利用する
次にフリーソフトを使わず、日常利用しているGoogleドキュメントを使う変換方法を紹介します。Googleドキュメントは無料で利用でき、PDFを簡単にExcel形式に変換することができます。手順は以下の通りです。
【参考】:ファイルを作成、表示、ダウンロードする - パソコン - Google ドキュメント エディタ ヘルプ
1. GoogleドライブにPDFファイルをアップロードする Googleドライブに変換したいPDFファイルをアップロードします。Googleドライブにログインし、マイドライブの画面左上の[+新規]ボタンをクリックし、表示されたメニューから「ファイルをアップロード」を選択します。ファイルを指定する画面が表示されたら、変換したいPDFファイルを選択します。
【参考】:Googleドキュメントを使ってGoogleドライブでPDFを編集する方法|Adobe Acrobat
2. GoogleドキュメントでPDFを開く PDF内にある表をexcel に変換する方法です。GoogleドライブにアップロードされたPDFファイルをダブルクリックすると、GoogleドキュメントでPDFファイルが開きますので、Excel形式にしたい表やドキュメントをコピーします。
3. GoogleスプレッドシートにExcelにしたい部分を貼り付ける Googleスプレッドシートを開き、Googleドキュメントから先程コピーした部分をスプレッドシートに貼り付けます。
4. Excel形式でダウンロードする 「ファイル」メニューから「ダウンロード」→「Microsoft Excel (.xlsx)」を選び、Excelファイルとして保存します。
オンライン変換ツール(iLovePDF)を利用する
ここでは、オンラインでPDFをExcel形式に変換するツールを紹介します。インターネット環境があり、ブラウザがあれば、簡単に行えますので、おすすめします。オンラインの変換ツールとしては、「iLovePDF」や「Smallpdf」がありますが、今回は「iLovePDF」を利用します。
【参考】:iLovePDF | PDFファンのためのオンラインツール 【参考】:PDFエディタ|PDFSimpliとオンラインで任意のドキュメントを編集する
1. 変換ツールにアクセスする Chromeなどのブラウザで「iLovePDF」にアクセスし、「PDFからExcel」のタイルを選択します。
2. PDFファイルをアップロードする サイトの指示に従って、変換したいPDFファイルをドロップするか、ファイルを選択します。
3. Excel形式で変換を実行する 次の画面でファイルのプレビューとメッセージを確認したら、右下の[Excelに変換]ボタンをクリックします。
4. Excel形式で変換を実行する 次のように、「PDFファイルは編集可能なEXCELスプレッドシートに変換されました。」と表示されたらPDFからExcelへの変換は終わっていますので、変換後のExcelファイルをダウンロードし、任意のフォルダーに保管します。
変換後のデータの確認と注意点
PDFからExcelに変換後、データの正確性とレイアウトの整合性を特に注意深く確認することが重要です。変換プロセスにおいて、以下の点で差異が生じる可能性があるため、入念なチェックが必要です。
確認すべき項目
PDFからExcelに変換した場合、一見正しく処理されたように見えても細部で変換ミスを生じている場合があります。以下に挙げた数値データ、文字コード、表構造、画像、数式については確認することをおすすめします。
■数値データ 数値データでは小数点以下の桁数や数値形式が正しく変換されているかを確認しましょう。特に、通貨や日付のフォーマットは、元のPDFとExcelで異なる場合があります。
■文字コード 文字化けが発生していないか、特に全角と半角の混在や特殊文字の表示を確認しましょう。
■表構造 セルの結合や罫線、行/列の高さが正しく再現されているかを確認しましょう。特に複雑な表構造の場合、変換後にレイアウトが崩れることがあります。
■画像 画像が正しく挿入され、サイズや位置が適切か確認しましょう。特に、グラフや図表は、元のPDFと比較して歪みがないか注意が必要です。
■数式 数式が正しく変換され、計算結果が一致しているか確認しましょう。
■セキュリティ ファイルが暗号化されたり、パスワードロックが掛けられている場合には、PDFをエクセルに変換できない場合がありますので注意しましょう。
確認のポイント
変換後のデータを確認する場合には、以下に挙げる目視確認に加え、サンプルデータでの検証、変換ツールによる違いなども確認するようにしましょう。
■全データの目視確認 変換されたExcelファイルを元のPDFと照らし合わせながら、全てのデータが正しく変換されているか確認しましょう。
■サンプルデータでの検証 重要なデータが含まれるファイルに対しては、事前に一部のデータを抽出して変換し、問題がないことを確認してから全てのデータを変換することをおすすめします。
■変換ツールの機能 使用する変換ツールによっては、変換後のデータの品質に違いがあります。ツールのマニュアルなどを参照し、最適な設定を選択しましょう。
PDFをExcelに変換して有効活用しよう
PDFをExcelに変換するには、プログラムやVBAなどを使わなくても簡単に実行することができます。ここでは、Adobe Acrobat Pro、Googleドキュメント、オンラインツールを使った3つの方法について紹介しました。
それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため、無料の範囲で紹介した3つの方法を実際に試し、状況に応じて最適な方法を選択するようにしましょう。
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