VLOOKUPとテーブル
VLOOKUP関数はデータを参照する際の定番とも言える関数です。セル範囲を選択して参照する方法がよく使われていますが、テーブルと組み合わせて利用すると、さらに便利に利用できます。
この記事では、テーブル機能、メリット、テーブルの作成方法、参照方法などについて解説します。Excelのスキルアップ、仕事の効率化に役立ちますので、ぜひ最後まで目を通してください。
VLOOKUP関数とは
VLLOUP関数は有名な関数ですが、どのような関数なのかについて復習しておきましょう。
VLOOKUP関数はExceではよく利用される関数の1つで、指定した値を用いて特定の列から同じ値を探し出し、その値に対応する別の列のデータを取得する際などに利用されます。
たとえば、商品コードをキーにして、商品名や単価などを引き出したい場合などに利用されます。
【参考】:VLOOKUP 関数 |Microsoft サポート
テーブル機能とは
Excelのテーブル機能は、特定のデータの範囲を「テーブル」として定義することで、データをより効率的に管理したり、分析をしたりするための機能です。テーブル機能を利用すると、テーブルにデータの追加や削除が行われても、数式が自動的に更新されるなど、様々なメリットがあります。
【参考】:Excel のテーブルの概要 |Microsoft サポート
VLOOKUPでテーブル機能を使うメリット
VLOOKUP関数とテーブルを組み合わせると、Excelでのデータ分析や管理をより効率的に行えます。組み合わせることで、具体的にどのようなメリットが得られるか見ていきましょう。
■ 構造化参照による簡潔な数式 テーブルを使わないVLOOKUP関数では、参照範囲をセル範囲で指定するため、データの追加や削除を行うと数式を修正する必要がありました。
テーブル機能の構造化参照を使うと列名で直接参照できるため、数式がシンプルになり、#N/Aエラーや「参照できない」といったエラーが減ります。また、データの構造が変わった場合でも、数式の修正工数が大幅に軽減できます。
【参考】:VLOOKUP 関数の #N/A エラーを修正する方法|Microsoft サポート
■ データの動的管理 テーブルはデータの追加や削除が容易に行え、構造化参照と組み合わせることで、VLOOKUP関数の結果も自動的に更新されるため、常に最新のデータに基づく分析が可能になります。VLOOKUPの参照方法としては、相対参照と絶対参照がありますが、それぞれのデメリットをカバーできるのがテーブル参照です。
■ フィルター機能との連携 テーブルには標準でフィルター機能が標準で備わっており、VLOOKUP関数で参照するデータ範囲をフィルターで絞り込めるため、より柔軟な分析が行えるようになります。
■ ピボットテーブルとの連携 テーブルのデータをピボットテーブルのデータソースとして利用することで、多角的なデータ分析を行うことができるようになります。
■ 可読性の向上 構造化参照を使えるため、数式の意味が分かりやすくなり、誰もが数式を理解しやすくなります。構造化参照では、従来のセル範囲(A1、B2など)ではなく、「テーブル名[列名]」という形で参照できるため、数式の可読性が高まり、またデータの変更に容易に対応できるようになります。
テーブルの作成
VLOOKUP関数でExcelのテーブル機能を利用すると、様々なメリットを得られることが分かりました。ここでは、Excel上でテーブルを作成する方法について解説していきます。
テーブルは同一シート上でも別シート上に作成しても、「テーブル名」を付けておけば、「テーブル名」だけで参照ができます。
【参考】:Excel テーブルの名前を変更する |Microsoft サポート
データ範囲の選択
まず、Excelのシート上で、テーブルに変換したいデータの範囲を選択します。データには、顧客リストや商品リストなど、参照や分析に利用できるものがが適しています。
テーブルへの変換
テーブルを作成するデータを選択したら、Excelのリボンの中から「テーブル」を選択します。これにより、指定した範囲がテーブルに変換されます。ここでは、顧客別の売上データからテーブルを作成してみましょう。
Excelの「挿入タブ」のリボンから「テーブル」をクリックし、テーブル化したい範囲を選択し、範囲が正しいことを確認して、OKボタンをクリックします。
テーブルが自動的に見やすく加工されたのを確認しましょう。続いてリボンの左上にある「テーブル名」フィールドに適切な名前をつけます(例:「顧客別売上」など)。これにより、テーブルが出来上がりました。
テーブルの構造
作成したテーブルを見てみましょう。テーブルは、行・列・見出し行の3つの要素から構成されていることが確認できます。見出し行には顧客番号、顧客名、売上金額が記載され、各行は見出しに対応した個々のデータが配置されているのが分かります。
この後は、自由にデータの追加や削除などの更新が行えます。作成したテーブルを利用することで、データの整理や分析が簡単に行えるようになります。
VLOOKUP関数でテーブルを参照する方法
テーブルが作成できたら、VLOOKUP関数を用いて実際にテーブルを利用してみましょう。ここでは、VLOOKUP関数を用いてテーブルを参照する方法を図解します。
VLOOKUP関数の基本的な書き方
VLOOKUP関数は必ず次の形式で記述します。この基本から外れるとエラーを招きますので、基本に忠実に入力します。
=VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, [検索の型])'
検索値:検索したい値(例:顧客コード)値を指定します。数値、文字列、セル参照など、様々な形式で指定できます。 範囲:データ範囲またはテーブル名を指定します。 列番号:取得したいデータのある列番号を指定します。検索範囲の左端の列が1列目になります。 検索の型:完全一致か近似一致かを指定します。
TRUEを指定すると検索値とほぼ一致する値を探し、FALSEを指定すると検索値と完全に一致する値を探します。完全一致の値が見つからない場合は、#N/Aエラーを返します。
テーブル名を使った参照
VLOOKUP関数はテーブル名で参照ができます。参照先をテーブルにすることで、テーブル内のデータの追加や削除に柔軟に対応できます。またテーブル名による参照では、参照範囲が変わっても数式を更新する必要がなく、ミスを防げます。
構造化参照
テーブルの構造化参照を使うと、テーブル名や列名を直接指定して参照できます。これにより、数式の可読性が向上し、作業がシンプルになります。また、2つ以上のテーブルからデータを参照する場合も、テーブル名で範囲を指定することができるため、データの管理を容易に行えます。
テーブル名による検索の例
実際に作成したテーブルをテーブル名で検索する方法について紹介します。
先ほど「顧客別売上」のテーブルを作成していますので、テーブル名「顧客別売上」で顧客毎の売上額を検索してみましょう。
テーブルのデータをフィルタで絞り込む
VLOOKUP関数だけでは、テーブルに作成したデータを直接フィルタリングして参照はできませんが、フィルター機能や他の関数を組み合わせると、条件に合ったデータを取り出せます。
最も簡便なのは、テーブルに設定されたピボットテーブルの「数値フィルタ」機能で、条件設定をしてデータを絞り込む方法があります。
下図の例では、仮に売上金額が10,000円以上の顧客に絞るのであれば、まずはピボットテーブルの該当項目の脇にあるドロップダウンボタンをクリックします。次に「指定の値より大きい」の項を選択し、表示された「カスタムオートフィルタ」に10,000と入力するだけです。
テーブルが複数ある場合
複数のテーブルを参照する場合でも、それぞれのテーブル名に対してVLOOKUP関数を記述します。ここでは、新たに顧客毎の居住地域項目を持つテーブルを作成してみました。テーブル名は「顧客地域リスト」としました。
テーブルは同じブック内であれば、同一シート・別シートを問わず、どこにでも作成し、テーブル名で呼び出せます。
次に顧客コードをキーにして、顧客名、売上高、居住地域の一覧表を作成してみましょう。顧客名と売上高は先に作成した「顧客売上」から取得し、地域は「顧客地域リスト」から取得するようにVLOOKUP関数を埋め込みました。
図は「テーブル名と列名による検索」パターンの例です。列番号だと3と記述する箇所が、 "COLUMN(テーブル名[列名])" となり、記述がやや面倒かもしれませんが、視認性がよく、テーブル内のデータの追加や削除があっても、式を変える必要がないのは魅力です。
以上のように、テーブル名でテーブルを参照する方法では、フレキシブルかつ簡単にテーブルの追加や参照が行えます。また、テーブルにデータを後から追加や削除をしても、関数を変更する必要がありません。
VLOOKUP関数とテーブルを利用して業務改善を
ここまで、VLOOKUP関数とテーブル機能、そのメリット、テーブルの作成方法、テーブルの参照方法について解説してきました。VLOOKUP関数は、複数のデータから特定の値を抽出する上で便利な関数ですが、テーブルと組み合わせることでさらに便利に利用できます。
テーブルと組み合わせると、データの追加・削除に強く、数式の可読性が向上します。テーブル機能を活用することで、データの管理がしやすくなり、業務のミスを減らし、業務の効率を高められます。ぜひVLOOKUP関数とテーブルを組み合わせて使いましょう。
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